アプリストア最適化(ASO)のためにチェックすべき10の項目(後編)
アプリストアの検索順位を決定する基準にアプリを適合させ、検索結果ページで上位に表示させるための方法を解説するこの記事は、前後編の2回に分けてお届けしている。
10のチェック項目のうち5つを紹介した前回に引き続き、今回は残る5つを見ていこう。→まず前編を読んでおく
- 顧客および競争の状況を把握する(前編で解説)
- 適切なアプリ名を選ぶ(前編で解説)
- キーワードを最大限に活用する(前編で解説)
- 説得力のある説明文を作る(前編で解説)
- ユニークなアイコンで目立たせる(前編で解説)
- スクリーンショットや動画を入れる
- アプリのコンテンツをローカライズする
- 外部プロモーションでトラフィックを増加させる
- アップデートを頻繁にする
- 評価とフィードバックを呼びかける
6. スクリーンショットや動画を入れる
アイコンと同じく、説明の中のスクリーンショットは、検索時の順位に直接影響しなくても、ダウンロードを後押しする。実際にどんなアプリなのかは画像のほうが伝わるし、画像は説明文に命を吹き込む。潜在顧客たちがダウンロードの前にそのアプリをどう使うのか思い描けるのだ。
iOSアプリは5枚まで、Androidアプリは8枚までスクリーンショットをアップロードできるが、ページを読み込んだときにギャラリーに表示されるのは最初の2~3枚だけだ。そのため、最初の2、3枚には特に注意を払い、顧客にとっての価値がはっきりと伝わるようにし、見た人がさらにスクリーンショットを見たくなり、アプリをダウンロードしたくなるような強力なものにする。
アプリストアで好まれるのは、顧客がアプリでどのような体験ができるのかを示す画像だが、スクリーンショット欄には厳密には、コンセプトやキャラクターを描いたものなど、どんな画像でもアップロードできる。グラフィックデザインとスクリーンショットを組み合わせ、主な要素や新しい機能を説明するテキストを重ねるのが一般的だろう。
たとえばキャンディークラッシュは、スクリーンショットにグラフィックスを組み合わせることで新しいアップデートを周知させている。
どんなアプローチを取るにせよ、スクリーンショットはアプリの最も重要な特徴、最新のアップデート、そしてユーザーが最も多くの時間を過ごすことになるページがよくわかるものでなければならない。小綺麗なスプラッシュページなどは飛ばして、アプリを日常的に使ったらどんなことができるかを顧客に示そう。
最良の結果を出すには、さまざまなスクリーンショットの組み合わせでA/Bテストを実施し、どの場合にダウンロードがいちばん増えるかを判断する。
7. アプリのコンテンツをローカライズする
グローバルマーケティングでは、「万人向け」的アプローチはまず失敗する。現在、アプリ売上全体のうち北米の消費者からの売上はわずか31%だ。そして、英語圏以外の消費者のうち72%は、英語が堪能な人でさえショッピングでは母語を使うほうを好む。この2つの数字は、アプリパブリッシャーが手にすることのできる巨大なチャンスの存在を物語っている。もちろん、各々の顧客層特有の好みに対応して市場に参入できるアプリパブリッシャーにとっての話だが。
すなわち、英語圏以外のオーディエンスをターゲットにする場合には、ブランドコミュニケーションと言語を、各オーディエンスセグメントの要求と必要性に適合させることを検討しなければならない。
最も基本となるのは、顧客が日常使っている言語で語りかけることだ。翻訳やローカライズの安価なサービスは無数にあるので、アプリのタイトル、キーワード、説明文、スクリーンショットを顧客層に合わせた言語に翻訳する。
iTunesのApp StoreとグーグルのGoogle Playはどちらも、コンテンツをローカライズすることで、さまざまな国の顧客に対し見つけやすさと読みやすさの両方を向上させることができる。こうすることで、多くの顧客が母語のキーワードを用いてアプリを見つけられるようになり、母語で書かれたなじみやすい製品ページを見て多くの顧客がダウンロードしてくれるようになるので、普及とコンバージョンの両方を向上させられる。この2つの効果が合わさることで、ダウンロード数を767%も増やすことができる。
たとえば、「クラッシュ・オブ・クラン」のパブリッシャーであるSupercellは、アプリの説明とスクリーンショットを翻訳して中国市場を攻略した。
8. 外部プロモーションでトラフィックを増加させる
結局のところ、オンページ最適化は、数あるモバイルマーケティング施策の中の1つのツールにすぎないことを肝に銘じておくべきだ。そしてここで、SEOの知識が本当に役立ってくる。GoogleとAppleはどちらも、検索時の順位と総合順位を判断する際に、アプリページへの訪問者の総数と製品ページの被リンク数を考慮していると一般に考えられている。
簡単に言えば、コンテンツへのトラフィックが多くなるほど、検索結果での順位は上がる。トラフィックを増やすには、アプリを中心にソーシャルメディアやコンテンツでオンラインプレゼンスを構築し、記事やレビューを依頼し、オンライン広告に資金を投じることだ。
「App Indexing」がアプリの製品ページにトラフィックを呼び込むための最も効果的な戦略であることは、多くのパブリッシャーが知っている。比較的新しい概念であるApp Indexingを使えば、AndroidやiOSのアプリコンテンツが検索できるようになり、グーグルのウェブやモバイルウェブの検索からリンクできるようになる。検索結果にインデックス化されたアプリを目にする顧客がリンクをクリックすることで、アプリをまだインストールしていなければ製品ページに、インストール済みならアプリ内のインデックス化されたコンテンツページに、大量のリンクをもたらしてくれる。そのためインデックス化は、新しいチャネルでコンテンツを推進することになり、再エンゲージメントとユーザー獲得の両方に役立つ。
App Indexingは、検索エンジンの結果ページから直接、ダウンロードとアプリストアへのトラフィックを促す。
App Indexingは、検索の世界を急速に大きく変えた。今では検索の40%が検索結果にインデックス化されたアプリを返している。世界はモバイルへと進んでおり、ASOとApp Indexingの流れを先取りしているアプリは、従来型のウェブが支配的な検索結果から市場シェアを奪うものになるだろう(アプリストアにとどまらないマーケティング戦略のより詳しい方法については、アプリマーケティングチャネルの2016年版ガイドをチェックしてほしい)。
9. アップデートを頻繁にする
モバイルの顧客が求めているのは、フィードバックに基づいた定期的なアップデートによって常に改善されていくアプリだ。頻繁にアップデートされるアプリは、アプリストアと顧客の両方から、価値の高い顧客志向のアプリだと見なされる。そのため、アプリのアップデートとレビューの向上は密接に関係しており、当然、アプリの新しいバージョンや改良バージョンは、以前のバージョンよりもよい評価を集める可能性が高い。
もちろん、アップデートを公開しただけではまだ道半ばだ。次のステップとして、既存の顧客にアップデートのダウンロードを促そう。新しいアップデートを売り込む際は、次の3つの戦略が役に立つ:
アプリ内で顧客にアピールする。たとえば、ログイン時に促すメッセージ、プッシュ通知、アップデートへのリンクを目立つメインナビゲーションに表示するなどで、新しいアップデートがあり、求められていた改善がなされていることを顧客に知らせる。
アプリストアの製品ページにあるアプリの説明文と「新機能」欄を更新する。新機能や改善点を行動喚起につながる説得力のある文章で説明する。
星5個のレビューがたくさんある状態を維持する。特に最新版のレビューだ。私たちが実施した2015年の消費者調査では、既存の顧客の3分の1がアップデートをダウンロードする前にアプリの評価をチェックしていることが明らかになった。安定した勝利のためには、高い評価を維持することだ。
一般的にアップデート頻度はどの程度がいいのかを見つけるため、トップ500にランクされているアプリを精査したところ、アップデートの間隔は平均30~40日だった。
ただし、iOSアプリはアップデートのたびに評価がリセットされ、これにより順位が一時的に急降下することを覚えておこう。そのため、iOSアプリの場合は、頻繁にアップデートするとアプリストアにおける順位が多少不安定になる。これに対して、Androidの場合は頻繁にアップデートしてもさほど順位は揺らがない。
10. 評価とフィードバックを呼びかける
最後になったが決しておろそかにしてはいけないのが、好意的なレビューを途切れさせないようにすることだ。レビューは、アプリ品質を最もよく証明してくれるものであり、検索順位を決定する最大の要因の1つだ。
2015年のMozのブログ記事、トップ500アプリの分析では、評価(評価の平均と評価数)と順位の間には、テストしたほかのどの要素よりも高い相関関係があるのがわかった。全般的に、好意的な評価が多いアプリは上位に入っている。
また、順位決定の際にはほぼ確実に評価数のほうが評価内容より重視されていることもわかった。アプリストアはファンのコミュニティが大きいアプリほど認めるところがあり、コミュニティの規模を判断するのにいちばんの指標が評価の数なのだ。
評価の数が多いアプリは、顧客を継続的に魅了し、製品ロードマップと今後のアップデートを方向付けるために、積極的にフィードバックを呼びかけている。
しかし、アプリストアの評価からは顧客満足度の一面的な見方しか得られないことも頭に入れておく必要がある。多くの場合、時間をかけてレビューを書くのは、アプリが熱烈に好きか反対に大嫌いか、いずれにしても積極的に意見を述べる少数派だ。実際には、顧客のほとんどはこの両極の中間に位置しており、フィードバックをもらうためには、特別なエンゲージメントか刺激策を提供しなければならない。
星5個のレビューを書いてくれる可能性の高い顧客のみに依頼するなど、評価を賢く促すことで、評価を高め、ひいては順位を上げることができる。
まとめ
アプリストアの順位付けアルゴリズムの背後にあるデータと科学、そして紹介したアプリストア最適化(ASO)の重要なコツを理解したなら、堅固なASO戦略への道を着実に進んでいる。慎重な測定と多少の試行錯誤を続ければ、まもなくアプリストアの上位で競い合っているライバルたちを凌駕できるだろう。
もちろん、たゆみなく進化する検索順位決定アルゴリズムと、競争原理に基づくアプリストア本質があいまって、アプリストア最適化は手を休める暇もないプロセスだ。ASO戦略を成功させるには、鋭い眼力を持ち、分析をいとわず、常に状況を確認することが求められる。これを怠らなければ、投資は何度でも報われるだろう。
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