えっ、私が運用なんてムリ、ムリ! …リスティング広告、もう一回ちゃんと教えて!
経営者:リスティング運用担当者が突然退職しちゃったから、キミが業務としてやっておいて。不安なことは、ウチでお願いしているSEMコンサルタントの寳さんに相談していいから。
ウェブ担当者:…わ、わかりました(来た、来たよ、社長のザックリボール)。さっそくですが寳さん、相談に乗ってください。リスティング広告は何となくわかるけど、実務経験がなくて心配…。
寳:よろしくお願いします。新しい機能が次々に出て複雑になってきてはいますが、リスティング広告の根本は難しくないです。しかも、リスティング広告をちゃんと身に付けると、仕事のさまざまな局面で応用が効きます。まず、リスティング広告の基本的な考え方、それからその考え方がどのようにビジネスで役立つのかを併せて説明していきますね。
リスティング広告とは?
リスティング広告とは、シンプルに考えると、ユーザーと企業をつなぐ「橋」のようなものです。
ビジネスをより増やしたいと思う企業が、自社の商品やサービスを必要としているユーザーに向けて、橋をかけます。するとユーザーはこの橋を渡って、求めた情報に辿りつくことができます。
重要なのは、この橋が「企業」と「ユーザー」どちらにもメリットがあるものだということです。
企業のメリットは、正しい橋をかけることで、大きな利益を生むことができるという点です。リスティング広告は費用対効果が優れている広告として、今やインターネット広告のトップランナーとなっています。
一方ユーザーのメリットは、橋を渡ることで、今まさに自分が探している情報を、すばやく見つけられるということです。現在、パソコンだけでなくスマートフォン、タブレット端末なども使って、いつでもどこでもインターネットに接続するのがあたりまえになっています。
だから何かをほしいと思ったり、必要だと感じる瞬間が生まれたりしたとき、誰でもすぐにインターネットで探せます。そんなとき、かゆいところに手が届くように正しくかけられた橋は、何よりも有益な情報となってくれるはずです。
このように、リスティング広告は「企業」のためのものでもあり、同時に「ユーザー」のためのものでもあります。橋として双方の幸福な出会いを作り出せる広告であるのが、ユニークですばらしい点だと言えるでしょう。
リスティング広告の得意なこと、苦手なこと
このように企業とユーザーをつないでくれるリスティング広告ですが、必ずしも万能ではありません。リスティング広告が得意なこと、苦手なことをおさえておきましょう。
一言で説明すると、次のようなことです。
得意なことは、多少なりとも興味を持ってくれている相手へのアプローチです。
苦手なことは、まったく関心を持っていない相手へのアプローチです。
リスティング広告で何より大切なことは、ユーザーの気持ちを知ることです。
あなたが提供している商品・サービスには、すでに多少なりとも興味を持ってくれている相手がいますよね。そういう相手にアプローチすることが、橋たるリスティング広告がもっとも得意とするところです。
詳しく述べるのは別の機会にしますが、相手を知るためのツールも豊富にそろっています。
たとえば、「あの人ならどんな言葉で探すだろう?」を調べて見つけることができるキーワードツールや「サイト内に来てくれたあの人はどんな行動を起こしているだろう?」がデータで見えるアクセス解析などです。
それらの言葉やデータを手がかりにして、相手にちゃんと届く橋をかけていくのです。
だから、まったく関心を持っていない相手に対する強引なアプローチはちょっと苦手です。
いやいや、お金をばんばん使って大量に露出しさえすれば、誰か引っかかる人が出てくるはずだろう?
そんなふうに考える人がいるかもしれませんが、リスティング広告の考え方とは根本的に異なるものです。相手が誰かもわからないまま、むやみやたらとラブレターをまくような行為は、リスティング広告にはできません。
このリスティング広告の得意なこと、苦手なことがわかれば、企業がやるべきことは自ずと見えてきます。
まずは、多少なりとも興味を持ってくれる相手がいる状態をつくることです。
ウェブ担当者の仕事である、サイト内に製品やサービスにまつわる情報を充実させることもその一つですね。そして相手をよく知って、届く橋をかけるように広告を使っていくこと。これに尽きるのです。
2つのリスティング広告とその役割
リスティング広告の役割と種類について、説明していきましょう。
リスティング広告には大きく分けて「検索連動型広告」と「コンテンツ向け広告」があります。
検索連動型広告とは
検索連動型広告とは、検索したキーワードに応じて検索結果に表示される広告のことで、テキストのみの広告です。もはやお馴染みですね。
コンテンツ向け広告とは
コンテンツ向け広告とは、ニュースやブログ、Q&Aサイト、動画などで表示される広告のことで、テキストに加えて画像や動画が使えます。
コンテンツ向け広告にどんな場面でユーザーと触れているか、例を挙げて説明してみます。皆さんもイメージしながら一緒に読んでみてください。
ある夜、一人の男性ユーザーがインターネットに接続して「婚約指輪」と検索します。その男性は社会人3年目の26歳会社員。
付き合っている恋人との結婚を、ひそかに決意したのかもしれません。表示された広告をクリックしてジュエリーショップのサイトを眺めては検索結果に戻って、別のジュエリーショップのサイトを眺めています。
すこし考えあぐねている様子で、ため息も聞こえます。その後、男性ユーザーは「婚約指輪 相場」と検索しなおしました。
恋人との結婚の意志は定まったものの、貯金にいくらか不安があるのかもしれません。今度は検索結果に出てくる検索連動型広告はクリックせず、いわゆるオーガニック検索結果に表示されているQ&Aサイトをクリックしました。
そして、婚約指輪の相場に対する回答が書いてあるページにたどり着き、さまざまな意見を目にしました。
回答を読み終えた男性ユーザーは、Q&Aサイトのページ内に表示された小さなジュエリーショップの広告をクリックした後しばらくして、恋人に連絡をとりはじめました。
週末、その小さなジュエリーショップに恋人と一緒に来店するための予約を行ったようです。
この簡単な例でもわかるように、ユーザーは目的をもって検索を行っています。
今回、男性ユーザーは、恋人にふさわしく、自分の身の丈にあった婚約指輪を見つけることが目的でした。その目的に達するまでに、婚約指輪の相場を調べたり、ジュエリーショップを探して予約したりしていたわけです。
ユーザーは、当然ながら目的をはたすための検索だけではなく、途中でさまざまなサイトに触れ、閲覧しています。その閲覧時にアプローチできるのが、コンテンツ向け広告です。
ここ何年かでこのコンテンツ向け広告の機能の進化が進んで、検索連動型広告と同じくらい重要で、威力を発揮できるものになってきました。
ターゲットの設定方法などが検索連動型広告とは、少し異なりますが、検索連動型広告もコンテンツ向け広告もリスティング広告です。相手をよく知って、橋をかけるように使っていくことでうまく運用できるのです。
「相手をよく知って橋をかける」は仕事の多くの場面で応用できる
ここまでリスティング広告について述べ、「届けたい相手をよく知って橋をかける」のがポイントだとお伝えしました。この考え方は、実はリスティング広告にとどまらず、ビジネスの多くの場面で役立ちます。
たとえば、あなたはボス(社長)や上司に対して、自分の考えや意見を伝えることをあらかじめあきらめていませんか? ボスや上司の言うことがいつでも絶対。そんな空気が蔓延している職場だと、何かおかしいとか、こうしたほうがいいのでは、という気持ちが仮に芽生えても、要望を出す想像すらつかないかもしれません。
なかには、過去に考えや意見は積極的に述べてきたが、ボスや上司に採用してもらえた試しがない。そういうことが続くうちにいつしか言わなくなってしまった。そんな人もいるでしょう。
でも、ボスや上司の行動を観察し、どんなことに興味や関心を持ち、どんな価値観や考え方で動いているか、よく知ろうとしてみてください。顔色をうかがうのではなく、あくまでも観察です。
簡単ではありませんが、注意深く見ていれば、どこかに自分が伝えたいこととの接点が浮かび上がってきます。そして、ボスや上司の興味・関心を出発地点として、橋をかけるように自分の意見を伝えてみましょう。そうすれば、リスティング広告と同じく、ちゃんと相手に届く、伝わる可能性が出てきます。
いちばんわかりやすい例は、ボスや上司の考え方には「儲かる」かどうかという軸が強力に存在していること。あなたが述べようとする考えや意見を、短期的であれ、中長期的であれ「儲かる」を接点にして具体的に伝えれば、ボスや上司が聞き入れる確率はグッと上がるはずです。
ボスや上司が最近、自社と競合関係にあるA社の動きを特別気にしているとわかったら、チャンスです。あなたの考えや意見が自分で考えた完全オリジナルなものであったとしても、A社を調査してその動きと関連付けた上で伝えれば、意見ははるかに通りやすくなります。
リスティング広告と同様、いい伝え方をしても百発百中とはいきませんが、あなたの気持ちが伝わるようになれば、あなたは自分の仕事がしやすくなり、仕事がより楽しく、やりがいのあるものに変わっていくはずです。
リスティング広告でユーザーについてよく知ってアプローチするのが大事であるように、ビジネスにおいても、相手をよく知って伝えることが成功の近道なのです。
今回のまとめ
リスティング広告とは、「企業」と「ユーザー」をつなぐ「橋」のようなもの。
リスティング広告の得意なことは、少しでも興味を持ってくれるユーザーへのアプローチ。苦手なことは、まったく関心を持っていないユーザーへのアプローチ。
リスティング広告には、検索連動型広告とコンテンツ向け広告がある。検索連動型広告は、キーワードを入れて検索結果に表示されるテキスト広告。コンテンツ向け広告は、さまざまなサイトに表示される広告。
リスティング広告をうまく運用するコツは、届けたい相手を知り、橋をかけること。
「相手をよく知って橋をかける」は仕事の多くの局面で応用できる。
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