プライベートDMPを用いた顧客分析&マーケ施策を成功させる3つのステップと具体例
これからのデジタルマーケティングは顧客行動をデバイス・チャネルにまたがって分析し、顧客一人ひとりにパーソナライズされた体験を提供することが重要である。とはいえ、果たしてこれをどのように実現すればいいのだろうか。
プライベートDMPを中心に、レコメンドエンジンやWebアナリティクス、LPO、A/Bテスト、マイニング・予測・モデリングといった機能を組み合わせたactivecore marketing cloudを提供している株式会社アクティブコアの代表取締役社長 山田 賢治氏が、「Web担当者Forum ミーティング2015 秋」にて、「プライベートDMPを活用した顧客分析・OneToOne事例」と題して、成功事例を交えて解説してくれた。
プライベートDMPに取り込むデータ
DMP(データマネージメントプラットフォーム)には2つのタイプがある。ひとつは、広告配信のためのサービスで、オーディエンスデータを使い、クッキーベースで、人に合わせた広告を配信するというタイプのDMPだ。しかし、ここで取り上げるのは、企業が独自のデータを中心に活用するDMP、プライベートDMPである。
DMPで最も重要なポイントは、取り込むデータだ。Webデータ、マスターデータ、トランザクションデータ、外部データなど、さまざまなデータを取り込み、IDで紐づけて自社用マーケティングDBを構築する。
ツールの善し悪しもある程度は関係するが、DMPで何ができるかは、取り込むデータの種類や完全性にかかっている。特に、取り込むデータに欠けている部分があるとうまく使えない。また、できるだけ顧客接点のデータを格納し、それらをつなげて分析することで顧客を理解できる。
分析フローと可視化の注意点
DMP顧客分析では、まず顧客を可視化し、次に顧客をセグメント化、そのセグメントごとに施策を実行することで効率を追求する。フローは以下のようになる。
可視化で注意すべき点がいくつかある。
- 行動履歴からアクティブな顧客の属性を集計する
「全体では男性が多いが、アクティブ会員は女性が多い」などのケースがあるので、行動履歴からアクティブな顧客を抽出して、その属性情報を集計することが重要。
- 顧客単位で横軸に時間の経過 縦軸に計測数値でプロットする
たとえば、縦軸には購入金額の合計、横軸には最終購入からの経過時間をとり、個々の顧客をプロットしていく。すると、「最終購入が1か月以内で購入金額が10万円以上」のアクティブでかつ優良顧客、アクティブだが購入金額は低い顧客、元は優良顧客だったが離反しかかっている、などのグループが見えてくる。これが、どこにアプローチすればいいかの判断材料になる。
その他、ある時点でのデータではなく推移を見る。デシル分析や回帰分析、クラスタ分析なども使って、効率的なアプローチを見つける。
セグメント化と施策実効のポイント
顧客を可視化したら、それを元にセグメント化する。可視化で優良顧客、見込み顧客、離反顧客にグループ化したら、各グループで属性やどのメールを見ているか、どの広告を見ているかなどの項目を組み合わせ、ターゲットを抽出する。
たとえば、「アクティブだが購入金額が低いグループで、メールの開封率は高い」というセグメントを抽出したら、そのセグメントにランクに関するメールを送るといった施策が考えられる。1年間の購入金額で、ゴールド・シルバー・ブロンズのランクが決まり、それによって割引率が違うなどの会員サービスを行っている場合、ランクアップメールやランクダウンメールを送ることがあるだろう。
アクティブコアのこれまでの経験では、ランクダウンメールの効果が高いのだという。人は、「何月何日までにいくら以上の買い物をしないと、ランクダウンしてしまう」と知ると、買い物をしようと思うものらしい。アクティブコアのDMPでは、コンテンツの反応分析も可能だ。
セグメント化では、以下の点に注意が必要だ。
- 分析用のセグメントを設定する
最初からターゲティング施策用のセグメントを作りたくなるが、まずは分析用のセグメントを作って、対象の顧客数、メール配信なら有効メールアドレス数を確認してから施策を打つべきだ。
セグメント化したら、セグメントごとにアクションする。たとえば、以下のような方法が考えられる。
- 同一セグメント内で○○○していない人にアクション
たとえば旅行会社で、「数は少ないが贅沢な旅行」「安くいろいろな所へ行く」「海外旅行は贅沢に」などのセグメント分けができたとしよう。そのセグメントの中で、最近は予約していない人を抽出してレコメンドメールを送るといった方法だ。
- メール反応時間帯でセグメント化し、よく見られている時間にメールを送る
最近、取り組みたいという依頼が多い方法で、「午前中に反応」「深夜に反応」「夕方~夜に反応」など、メールに反応している時間帯でグループ分けする。反応時間帯でメール送信を最適化すると、開封率が格段に上がる。
OneToOneマーケティングの事例
最後に、DMPによるマーケティングの事例がいくつか紹介された。
- ショールーミングならぬWebルーミング
オムニチャネルの事例で、リアル店舗での購入情報を元に会員サイトのマイページでお勧め商品をレコメンド。それを見た顧客はリアル店舗で購入する。
- フォローメールのパーソナライズ
従来は誰に対しても同じメールを送っていたが、購入や閲覧の履歴によってメールの内容を変え、タイトルや言葉遣いも年代によって変えた。さらに、これまで手動配信だったが、DMPからの自動配信に切り替えた。注意点としては、配信数が増えるので、セグメントやクラスタで切って、同じ人に同じ内容のメールが行かないように設定する。
その他サイト閲覧による顧客のクラスタ化やDMPからアタックリストを作成してコール部隊へ渡すB2Bの事例などが紹介された。
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