「今週のオススメ商品」は効いているのか? 実際の閲覧→購買をデータで検証するには?(第49回)
「今月/今週のオススメ」ページは、本当のところ、どれぐらい成果を上げているのか、検証したい。
eコマースサイトには、商品カテゴリ別、売れ筋ランキング、新商品紹介コーナー、検索機能の実装など、商品を見てもらうためのさまざまな方法がある。
進んだeコマースサイトは、1人1人の興味関心などに応じて見せるコンテンツを自在に変えて、閲覧している人に最適化した内容を表示するような時代になってきたが、まだ多くのサイトは、たとえば「今月/今週のオススメ」のようないわゆる特別なセールを固定の位置で表示して実施しているようだ。しかしそういったセールは、手間ひまをかけただけの成果があったのかを検証せずに、惰性でやっていないだろうか。
eコマースサイトなどでは、メルマガによる集客なども頻繁に行っているだろう。今回は、そういう集客施策にあまり依存しない条件下で、セールの内容を見たことが購買意欲を高め、成果に結びついたのかを調べてみたい。使うのは、次のセグメントだ。
- トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション
- トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していない2ページ以上閲覧セッション
2つ目のセグメントで、なぜ「2ページ以上閲覧」としたかというと、「セールページを閲覧した」ということは2ページ以上閲覧しているということなので、同じ条件で比較しないと意味がないからだ。
セールページの効果を検証する2つのセグメントの作り方
標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図1青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図1赤枠部分)のエリアをクリックすると、図2のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図2赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図3赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」(図3青枠部分)を選択しよう。図3はその「条件」を選択した画面だ。
今回のセグメントの条件設定は、図3緑枠部分で行う。
「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」の設定方法
「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」は、図4のように条件指定しよう。
セッションベースのセグメントなので、
- 「フィルタ」は、「セッション」「含める」(図4赤枠部分)
を選択する。その下の「条件」はまず、
- 「ランディング ページ」「完全一致」「/」(図4青枠部分)
とする。トップページから閲覧を開始した訪問という意味だ。
続いて条件を掛け合わせるために、その右端にある「AND」ボタン(図4緑枠部分)をクリックし、掛け合わせる条件指定画面を出す。セールページは「/special/」配下のページ群が該当することとし、「セールページを閲覧したセッション」という条件は、
- 「ページ」「先頭が一致」「/special/」(図4黒枠部分)
と指定する(「/special/」は、セールページのURLにあわせて変更すること)。
セグメントの名前を「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。
これで1つ目の新規セグメント作成作業は終了だ。
「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していない2ページ以上閲覧セッション」の設定方法
「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していない2ページ以上閲覧セッション」は、図5のように条件指定しよう。
こちらもセッションベースのセグメントなので、
- 「フィルタ」は、「セッション」「含める」(図5赤枠部分)
を選択する。その下の条件はまず、
- 「ランディング ページ」「完全一致」「/」(図5青枠部分)
とする。トップページから閲覧を開始した訪問という意味だ。続いて条件を掛け合わせるために、その右端にある「AND」ボタン(図5緑枠部分)をクリックし、掛け合わせる条件指定画面を出す。セールページは「/special/」配下のページ群が該当することとし、セールページを閲覧していない2ページ以上閲覧セッションという条件は、
- 「ページ」「先頭が一致しない」「/special/」
- 「AND」
- 「ページビュー数」「>」「1」
と設定する(図5黒枠部分、「/special/」は、セールページのURLにあわせて変更すること)。
セグメントの名前を「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していないセッション」とでも名付けて、「保存」ボタン(図3黒枠部分)をクリックする。
これで2つ目の新規セグメント作成作業は終了だ。
2つのセグメントに該当するセッションの割合を確認するには?
次にこのセグメントの活用方法を見ていこう。まずは[ユーザー]>[サマリー]レポートに該当の2つのセグメントを追加(図6赤枠部分)しよう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
- メニューが開くので、[サマリー]をクリックする
- 「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」のセグメントを「適用」する(図6赤枠部分、オレンジの折れ線グラフ)
- 「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していないセッション」のセグメントを「適用」する(図6赤枠部分、緑の折れ線グラフ)
このレポートでは、
- 該当セグメントを掛けた結果が全体に対してどの程度の割合を占めているのか(図6青枠部分)
- それぞれの「ページ/セッション」や「平均セッション時間」「新規セッション率」の指標(図6緑枠部分)
を見較べておこう。
この例では、「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」は全体の15%程度と、一定のボリュームがあることがわかった(図6青枠部分)。少なくとも「セールページ」はそれなりに見られているということだ。
また「ページ/セッション」や「平均セッション時間」(図6緑枠部分)を見ると、「セールページを閲覧したセッション」は「セールページ以外を閲覧したセッション」と比べて熱心にサイト内を訪問していることがわかった。
2つのセグメントのコンバージョン率を検証するには?
次にチェックするのは、熱心にサイト内を訪問しているだけでなく成果に結びついたのかということが最大の関心事なので、トランザクション数(購入数)や収益(売上)、コンバージョン率といったところだろう。そこで、[コンバージョン]>[eコマース]>[サマリー]レポートに該当の2つのセグメントを追加で掛けよう(図7赤枠部分)。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[eコマース][サマリー]を順にクリックする
- 「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」のセグメントを「適用」する(図7赤枠部分、オレンジの折れ線グラフ)
- 「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していないセッション」のセグメントを「適用」する(図7赤枠部分、緑の折れ線グラフ)
この例は「ある1か月間」のデータなので、季節変動やセールの内容などで変動することもあるだろうし、これだけで何かを判断するのは難しいと思うが、少なくとも「セールページを見た訪問」の方が、コンバージョン率は高かった(図7青枠部分)。
あとは、セールページを特別に作ったとしたら、その労力を報いるだけの収益があったか、注文単価は上がったのかといったこと(図7緑枠部分)も確認すべきポイントになるだろう。
購入されたのか、間接的な効果だったのかを検証するには?
次にチェックするのは、このセールページで紹介した商品群そのものが果たして購入されたのか、あるいは全体の購入意欲を掻き立てた間接効果に留まったのかということを検証しておきたい。
これは[コンバージョン]>[eコマース]>[商品の販売状況]レポートに該当の2つのセグメントを追加で掛けよう(図8赤枠部分)。
セグメントを掛ける順序としては、「セールページを閲覧したセッション」を最初に持ってくる(図8青枠部分)ことにしよう。レポートは最初に選択しているセグメントの数量の多い順に並んでいるからだ。今回の目的はセールページで紹介している商品群が実際に買われているのかということなので、該当セグメントを先頭に持ってくるべきなのだ。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[コンバージョン]をクリックする
- メニューが開くので、[eコマース][商品の販売状況]を順にクリックする
- 「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧したセッション」のセグメントを「適用」する(図8青枠部分)
- 「トップページから閲覧を開始し、セールページを閲覧していないセッション」のセグメントを「適用」する
- 「すべてのセッション」のセグメントを「適用」する
果たして販売数量、あるいは収益などの指標で上位にランキングされている商品(図8緑枠部分)は、セールページで紹介されていた商品群だっただろうか、確認してみよう。上位に表示されていれば、セールの効果があったと言える。
逆に上位に表示されていなければ、セールの効果はほとんどなかったということになる。セールの告知方法を改善するか、あるいはセールで紹介する商品の選択を見直すなどの施策を考えるべきだろう。
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