GoogleアナリティクスでセグメントしたユーザーにAdWords広告を出すには?(第38回)
無料ユーザーからヘビーユーザーを抽出し、そのユーザーに対して、有料プランへの移行を促すAdWords広告を出稿したい
今回は、ヘビーユーザーに対してAdWords広告を出稿して、効果的にアップセル(引き上げ)するためのユーザーリストを、Googleアナリティクスを使って行う方法を紹介する。
今回、ターゲットとするセグメントは次のものだ。
- 無料プランユーザーで、月6回以上使用したユーザー
前回は、無料ユーザーを有料ユーザーへ引き上げるヒントをGoogleアナリティクスから得るために、「無料プラン利用ユーザー」と「有料プラン利用ユーザー」のセグメントを作成し、それぞれの閲覧ページの違いやユーザー行動の違いを分析するといった方法を紹介した。
前回の最後に次のような提案をした。
無料プラン利用ユーザーから利用頻度が高いユーザーをさらに抽出できれば、そのユーザーは有料プランをお薦めする候補にできるのではないか。
そもそも分析というのは、それを何らかの施策に生かすからこそ意味がある。
実際に、Googleアナリティクスで作成したセグメント条件に合致したユーザーは、抽出してAdWordsに登録でき、さらにそのユーザーに対して広告を出すといったことが可能だ。つまり、Googleアナリティクスでの分析から実際の広告施策につなげることができるようになっているのだ。
無料プラン利用ユーザーや有料プラン利用ユーザーを識別するためには、カスタム変数あるいはカスタム ディメンションなどのトラッキングコードのカスタマイズが必要になる。そのあたりに関しては、前回の記事が前提となるので、あらかじめ参照してほしい。(→前回の記事を読んでおく)
事前準備
GoogleアナリティクスとAdWordsを連携しよう
GoogleアナリティクスとAdWordsの連携は簡単にできる。条件は、連携したいGoogleアナリティクスとAdWordsのどちらのアカウントの管理権限も持っていることだけだ。
Googleアナリティクスの「アナリティクス設定」のプロパティの項目の1つである「AdWordsのリンク設定」(図1赤枠部分)をクリックしよう。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[アナリティクス設定]をクリックする
- 画面中央の[プロパティ]配下の[AdWordsのリンク設定]をクリックする
すると図1のように、連携可能な「リンク済みAdWordsのアカウント」を表示(図1青枠部分)してくれる。リンクしたいAdWordsアカウントにチェックし、「続行」ボタン(図1緑枠部分)をクリックしよう。
続いてリンクの設定画面(図2)が表示される。
あとは、リンク グループのタイトル名(図2赤枠部分)を付け、連携するGoogleアナリティクスのビューを選択(図2青枠部分)し、「アカウントをリンク」ボタン(図2緑枠部分)をクリックすればよい。
連携されたかどうかの確認方法
再び「AdWordsのリンク設定」(図3赤枠部分)をクリックして表示してみよう。
すると、どのリンク グループと連携できているのかの一覧が表示され、該当のリンク グループ名(図3青枠部分)をクリックすれば、その設定内容を確認することができる。
Googleアナリティクスでヘビーユーザーを抽出できるようにするための方法
次は「無料プランユーザーで、月6回以上使用したユーザー」セグメントを作成する。標準に用意されているセグメントには今回紹介するセグメントは存在しないので、新しいセグメントを作成していく必要がある。
まずレポート画面の上部にある「+セグメント」(図4赤枠部分)のエリアをクリックしよう。ブラウザ表示の横幅が狭い場合は、すべてのセッション(図4青枠部分)の下に並んで表示される。
「+セグメント」(図4赤枠部分)のエリアをクリックすると、図5のようなセグメントの機能が表示されるので、左上にある「+新しいセグメント」(図5赤枠部分)をクリックして新規セグメントを作成していこう。
新しいセグメントを作成する初期画面では「ユーザー属性」(図6赤枠部分)が選択されているが、今回作成するセグメントでは「条件」と「行動」(図6青枠部分)の2ヵ所で指定を行う。図6はその1つである「条件」分類を選択した画面だ。セグメントの設定は、図6緑枠部分で行う。
なおこのセグメント新規作成機能のユーザーインタフェースは若干変わったが、これについては次回に触れる予定だ。
今回設定するセグメント(広告を出したい対象ユーザー)は「無料プランユーザーで、月6回以上使用したユーザー」だ。これは、「無料プランユーザー」という条件と、「月6回以上使用しているユーザー」という条件の掛け合わせとして設定する。
前半の「無料プランユーザー」の条件は、「カスタム変数」を使うか、「カスタム ディメンション」を使うかで、設定方法が異なる。どちらの方法を使うのかは、あなたのサイトでどのトラッキングコードを使っているのかによる(詳しくは前回の記事を参照)。
- 今使っているトラッキングコードが古い「ga.js」の場合 ―― 「カスタム変数」を使う
- 今使っているトラッキングコードが新しいユニバーサルアナリティクスの場合 ―― 「カスタム ディメンション」を使う
「無料プランユーザー」の条件設定(カスタム変数の場合)
カスタム変数利用時は、「無料プラン利用ユーザー」セグメントの設定内容は、図7のような設定にする。
フィルタは「ユーザー」「含める」と指定(図7赤枠部分)しよう。その下の項目は、「カスタム変数(値01)」「完全一致」「free」(図7青枠部分)のように設定する。これは、1つ目のカスタム変数に付与した値が「free」の条件で絞り込むという意味になる。
「無料プランユーザー」の条件設定(カスタム ディメンションの場合)
カスタム ディメンション変数利用時は、「無料プラン利用ユーザー」セグメントの設定内容は、図8のような設定内容になる。
フィルタは「ユーザー」「含める」と指定(図8赤枠部分)しよう。その下の項目は、「会員種別」「完全一致」「free」(図8青枠部分)のように設定する。これは、「会員種別」という名前の「カスタム ディメンション」の値が「free」の条件で絞り込むという意味になる。ここに関しては前回記事のトラッキングコードのカスタマイズと連動するので、そちらとあわせて確認してほしい。
「月6回以上使用ユーザー」の条件設定
上記で施した「条件」が正しく設定されていれば、図9赤枠部分に「1」の表示があるはずだ。確認しよう。
問題なければ、後半の「月6回以上使用」ユーザーの条件を加えよう。
今度は「行動」分類(図9青枠部分)をクリックしたうえで、「セッション」「≥」「6」(図9緑枠部分)と設定して、「保存」(図9黒枠部分)しよう。
ユーザーリストの作成
AdWords用の広告出稿用リストを作成する方法
これで、Googleアナリティクスでのセグメントは完成だ。
あとは、そのデータをAdWordsでの広告出稿に使えるようにするために、「ユーザーリスト」を作成する作業を行おう。
ユーザーリストを作成するには、該当のセグメントを掛けているレポート表示画面で、該当セグメントの右側のマーク(図10赤枠部分)をクリックし、その下に表示された機能の中の「ユーザーリストを作成」(図10青枠部分)を選択すればよい。
例として、[ユーザー]>[サマリー]レポートの場合の手順を説明する。
- 画面上部グローバルナビゲーションの[レポート]をクリックする
- 画面左側にあるメニューで、[ユーザー]をクリックする
- メニューが開くので、[サマリー]をクリックする
- 「無料プランユーザーで月6回以上利用」セグメントを「適用」する
- セグメント表示の右側の∨マーク(図10赤枠部分)をクリックする
- 「ユーザーリストを作成」(図10青枠部分)を選択する
すると、図11のように該当プロパティのアナリティクス設定のリマーケティングのユーザー リスト画面(図11赤枠部分)に移動する。
この画面で、「共有」の指定は、連携したAdWordsアカウントを選択(図11青枠部分)し、「次のステップ」(図11緑枠部分)をクリックする。
すると図12のように、指定したセグメント条件がユーザー リストの定義として表示される。
定義の内容を確認のうえ、ユーザーリスト名(図12赤枠部分)を指定しよう。これは、わかりやすい名前をつけておくのがいいだろう。
「ルックバック日数」(図12青枠部分)はプルダウンから「30日」を選択しよう。ルックバック日数とは、「セッション ≥ 6」の指定が過去何日以内の行動かを指定する日数を意味する。ここでは「1か月(30日)で6回以上利用したユーザー」を条件指定したいので、「30日」を選択するわけだ。なおルックバック日数(図12青枠部分)は7日、14日、30日の3種類から選択できる。
「過去7日間のユーザー」(図12黒枠部分)は、この設定でどのくらいのユーザー数になるのかをおおよそ推定して表示してくれる機能だが、図12の例では架空の設定をしているため表示されていない(対象がいなくてゼロということ)。
その下の「有効期間」は、この条件で抽出したユーザーがリストに残っている期間を指定する部分。今回の例では、無料プランユーザーが有料プランユーザーに移行する期間や量を勘案してここは決めたいところだ。あまり有効期間を長くすると、有料プランへ移行したユーザーにも有料プランの広告を延々とお薦めするようなことになりかねないので、長く設定すれば良いというわけではない。ユーザーの視点からもよく考えて設定しよう。
これで「保存」(図12緑枠部分)すればよい。
リストが作成できたら、該当プロパティのアナリティクス設定のリマーケティングのユーザー リストは図13のように表示される。
次に、いったんGoogleアナリティクスから離れてAdWordsの管理画面にログインして、「共有ライブラリ」の「ユーザーリスト」の画面で、今作成したユーザー リストが追加されたことを確認しよう。
- AdWordsの管理画面にログインする
- 画面上部の[キャンペーン]をクリックする(赤枠部分)
- [共有ライブラリ]をクリックする(青枠部分)
- [ユーザーリスト]をクリックする(緑枠部分)
これでAdWords側で広告出稿対象のユーザーリストを使えるようになり、Googleアナリティクスの特定のセグメント条件に対して実際に施策に結び付けて活用できるようになるというわけだ。
AdWordsにおける指定方法などに関しては、本稿の範囲を超えるので解説はここまでにするが、このようにして実際の広告出稿施策に結びつけていただきたい。
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