DIGITAL&DIRECT NEWS

メディアやデバイスを統合したマーケティング戦略から生まれた「週刊ジョージア」 誕生秘話

飲みながら読む「週刊ジョージア」創刊! 「世界は誰かの仕事でできている。」 ― 日本コカ・コーラ株式会社

この記事はD2Cが発行するDIGITAL&DIRECT NEWSの一部をWeb担当者Forum向けに特別公開したものです。

イマコレ!

缶コーヒーは、身体を使って働く男の飲み物という印象が強かった。日本コカ・コーラでは、改めてジョージアのコア・ターゲットを検証し、男性を中心とした働くすべての人をターゲットに定め、彼らを応援するメッセージを届けたいと考えた。そこで生まれたのが山田孝之さんをメインキャラクターとした今回のキャンペーン。そして、これまでになかったスマホ・マガジン「週刊ジョージア」が誕生した。

point1 課題

ジョージアのビジネスを支えるコア・ターゲットを改めて明らかにして、その人たちにブランドの姿勢を伝えるメッセージを届けたい。そして、“ブランドラブ”を高めたい。

point2 企画

「世界は誰かの仕事でできている。」をテーマに、山田孝之さんが8役に扮したテレビCMなどを展開。

さらに、これまでになかった本気のスマホ・マガジン、「週刊ジョージア」をKADOKAWAとのパートナーシップで実現する。

point3 成果

目標は年間200万ダウンロード。さらに、コンテンツのアクティブユーザーの存在が重要。まだそうした数値は把握できていないが、ソーシャルメディア上などを見てもポジティブな反応が多い。

九鬼裕隆 氏
日本コカ・コーラ株式会社
マーケティング本部 IMC
コンテント エクセレンス
シニアマネジャー

コーヒーブレイクの5分間を充実させたい!

統合マーケティング施策を考えるに当たって、改めてコア・ターゲットは誰かを考えた

今年1月27日に始まったテレビCM、「ジョージア」新キャンペーン、「マニフェスト編」が話題になった。演技派俳優として売れっ子の山田孝之さんが演じるさまざまな働く男たちの「世界は俺の仕事でできている」という決意表明だ。

週刊ジョージアの表紙

テーマは「世界は誰かの仕事でできている。」その心は、この世界は皆それぞれの仕事でできている、だからすべての働く人たちを応援したい、「働く男性一人ひとりがヒーローだ」、と言うもの。

お話をうかがった九鬼裕隆氏は、マーケティング本部にあって、IMCというチームに所属する。これはIntegrated Marketing Communicationの略。各部署からメンバーが集まる部門横断的なチームで、統合的にコミュニケーション全般を推進する。

今目指しているマーケティングのあり方は、メディアやデバイスで区切ったようなコミュニケーションはしないというものです。だから、デジタルの時代だとか、スマートフォンの時代だとかというとらえ方もしません。すべてのコンタクトポイント、メディアを統合したマーケティング戦略を前提にして、その中で何を消費者に届けるかということを重視しています(九鬼裕隆氏、以下同)。

だから今回紹介するキャンペーンも、デジタル施策に特化した戦略ではない。ただ、後程紹介する「週刊ジョージア」が話題となり、デジタル施策が目立っているという側面がある。

このキャンペーンを考えるに当たって、改めて、ジョージアのコアのファンは誰かを考えた。いわば、原点回帰だ。

そのターゲットに向けて、ブランドのメッセージを届けたい。“ブランドラブ”とコカ・コーラが呼ぶロイヤルティを高めることで、「1日1本缶コーヒーを飲む」から「1日1本ジョージアを飲む」へ行動を変容させたいと考えた。

そのコア・ターゲットだが、働くすべての人ととらえた。そこから缶コーヒーの飲用度が高い人にさらに絞り込んでいくと、大半が男性であるということが改めて見えてきた。結局は、性別こそ男性となったが、非常に幅広い層がコア・ターゲットだということが改めて明らかになった。

一所懸命に前向きに生きる働く男性に新しい媒体を届ける

TOP画面

ターゲットは働く男性ですが、ただ働くだけでなく、一所懸命に日々努力を積み重ねて、前向きに生きている人たち。彼らがちょっと疲れて、あるいは立ち止まりたいと思って、ブレイクする。そんなときに缶コーヒーを飲んで、それこそほっと一息つく。そんな時に彼らは何をしているか、多くは、同僚や友人と会話を楽しんでいるか、あるいはスマートフォンを片手にSNSをチェックしたり、ネットサーフをしたりしている。その時に、彼らにメッセージを届け、その時間を少しでも充実したものにして、ジョージアというブランドとのかかわりを強化してもらうにはどうしたらいいか、というディスカッションを行いました。

そこで出たアイデアが「週刊ジョージア」の創刊だった。本気でファンとつながれる、更新を心待ちにされる、そんなデジタル雑誌を作ることができれば、たしかに素晴らしい。「でも、本当にできるのか?」とチームは少しだけ迷ったという。我々は雑誌づくりのプロじゃない。内容のない広告媒体は作りたくない……。

その解決策が、広告を担当する電通の提案にあった、出版社とのコラボレーションだった。広告施策ではなく、出版事業としてのパートナーシップを築くことだった。

そのパートナーとして選んだのがKADOKAWAだ。出版社としてデジタル施策に積極的に取り組む出版社の筆頭格だ。

本当に、新雑誌創刊に匹敵するような体制を整えていただいて、編集をしていただいています。また電子雑誌ですから、インターフェースも重要ですが、その点についても、電通さんとKADOKAWAさんのスペシャリストが本気で開発をしてくれました。

週刊となっているが、平日毎日、朝夕2回の更新を基本としている。毎日のブレイクタイムに、何らか新しい記事にふれることができる。

その内容はというと、その道のプロに聞くリアル・インタビュー「働キング」、歴史に残る漫画を毎日配信する「マンガ傑作選」、旬な女優やアイドルのグラビア「妄想カノジョ」、その他にも「空想科学研究所SP」や「男のガッツ飯」など、さまざまなコーナーがある。またアプリ内でジョージアのパッケージや画像を撮影すると、とっておきのコンテンツを楽しめるという袋とじ企画もある。

また表紙では、年間を通して、山田孝之さんが扮する48の働く男が登場する。

毎週違う職業を1年間通して表現することで、すべての職業は一様に大切で、だからこそ世界は回っている、というメッセージを届けたい。すべての働く人を応援したいのです。

“誰もやったことのないことをやる”のが、コカ・コーラらしさ

「働く男たち」をテーマとしたコンテンツ

IMCには過去にこだわる人はいません。あえてコカ・コーラらしさを出そうと思っている人もいません。それよりもむしろ、純粋に、何が、どんなものが一番、消費者やユーザーにとって価値があるものなのかということを一所懸命に考えています。

つまりはその結果提案されたコンテンツやコミュニケーション手段が、新たな“らしさ”を作り上げていくということだろう。

いま、出版業界の大きな課題が電子雑誌のあり方である。その意味では、「週刊ジョージア」は、一つの可能性を示すものだと言える。

単純なキャンペーンというものの概念を超えて、一つの新しいメディアを作っていければと思っています。その結果が評価されて、真似されるのは大いに結構だと思っています。むしろ私たちの成果を広めてもらえれば嬉しい限りです。逆に言えば、そのためにも誰もやったことのない新しいことをやっていくことが大切なのだと思っています。

“ジョージアを飲みながら読むスマホ・マガジン”。デバイスやメディアにこだわらない方針の中で生まれた、新たなメディアであり、新習慣の提案と言える。

このキャンペーンは、ここで紹介したテレビCM、スマホ・マガジンに加え、ジョージアホームページ、ソーシャルアカウント、屋外広告やプレゼントキャンペーンなど統合的なコミュニケーションとして展開中である。

この記事は、株式会社D2Cが発行する小冊子 『DIGITAL&DIRECT NEWS』 Vol. 48のコンテンツの一部を、許諾を受けてWeb担当者Forumの読者さん向けに特別公開したものです。

DIGITAL&DIRECT NEWSについて

※『DIGITAL&DIRECT NEWS』を長らくご愛読いただきまして、ありがとうございました。

2014年10月発行のvol.50をもって刊行を終了し、オンラインサイトの「D2Cスマイル」を通して、デジタルマーケティングに関するさまざまな情報を提供していく。

モバイルを活用する企業のマーケティング活動全般におけるモバイル活用の「いま」を凝縮し、企業の明日のマーケティング活動のヒントとなる情報を提供しています。年4回(4、7、10、1月)発行。

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