DIGITAL&DIRECT NEWS

潜在顧客にとって価値あるコンテンツを拡充するZ会のデジタルマーケティング戦略とは?

デジタルマーケティングで顧客価値のあるコンテンツを作り込みZ会の魅力を訴求する

この記事はD2Cが発行するDIGITAL&DIRECT NEWSの一部をWeb担当者Forum向けに特別公開したものです。

デジタルマーケティングで
顧客価値のあるコンテンツを作り込みZ会の魅力を訴求する

伊豆蔵 善史 氏
株式会社Z会 マーケティング部 宣伝営業課

1999年、Z会入社。当初は出版部門に配属され書店営業に従事。2003年に大学生・社会人向け商品の宣伝担当となり、2004年よりデジタルマーケティングの領域に携わる。2012年からは幼児~高校生までの通信教育の宣伝を担当し、デジタルマーケティング戦略立案に従事。

さまざまな手法を駆使して全体としてのコンバージョンを高める

幼児から社会人まで、幅広く通信教育の機会を提供するZ会は最近、デジタルマーケティングの領域でもさまざまな話題を振りまいている。その中心にいる一人が、マーケティング部宣伝営業課に在籍する伊豆蔵善史氏だ。

Z会が発行する英単語集など学習参考書の書店営業に数年従事し、その後、宣伝職に異動した。最初は大学生・社会人向けの商品の宣伝を担当したという。

予算もそれほど多くなかったので、WEB中心の展開でした。ただ、2003年頃の話なので、あまり施策の手段はなく、アフィリエイトやまだ出始めのリスティング広告などを駆使していました。試行錯誤の中、管理画面と格闘し、運用していましたね。

その後、今度は幼児~高校生までの通信教育の宣伝に回り、デジタルマーケティング全般の戦略立案に携わるようになった。

やっていることはそれほど変わっていません。WEB広告や施策、WEBサイトの管理・運用です。ただ、ご承知のように手法が多様化し、さまざまな挑戦ができるようになりました。

今でこそアドネットワークを自分で運用することはなくなったが、広告会社の担当者と密に連絡を取って相談する姿勢は変わらない。

指標もいろいろと増えましたし、動画も当たり前になりました。手段が増えた中で、何が必要なのか、何が足りないのか、常に考えています。

資料請求などを訴求する場合、現在は多くの企業はアドネットワークに頼り切っている。それはZ会も同様なのだが、最近、少し考え方を変えたという。

最終目標は入会ですが、その入口として、私たちも資料請求にまず重点を置いています。そのため、これまではどうしてもリスティング広告で資料請求が何件だったとか、アフィリエイトで何件といった施策ごとに数値を追い求めていたのですが、ここ数年は、それに加えて、さまざまな指標を見ながら、バナー広告やSNSなど多様な手法を組み合せて、それこそデジタル施策全体でコンバージョンが上がることが大事だと考えるようになりました。つまり、バナー広告を見た人が、そのタイミングではクリックをしなかったけど、後になって検索をし、資料請求に至った場合もバナー広告のコンバージョンだととらえ、その上で各施策の調整をするようにしています。

つまり、一つひとつの施策の結果を見るだけではなく、それぞれの施策による複合的な結果を検証するようになったのだ。広告だけでなく、潜在顧客にとって価値のあるコンテンツを充実させて、それをタッチポイントとしていく。それをきっかけとして、「Z会」と指名検索してもらう。あるいは広告に接触したときに、「Z会」というブランドを再想起してコンバージョンすることもあるだろう。

Z会の魅力を訴求した体験談サイト「KOTOZUTE」

そうしたコンテンツの一つが、「KOTOZUTE(ことづて)」である。これは、先輩たちの体験談をまとめたサイトだ。Z会の活用法や入試対策など、高校生が勉強の仕方などに悩んだ時のヒントになることを目的としたコンテンツだ。

Z会というブランドは高校生にとってある程度認知されている一方で、いざ学習教材・方法を検討する段階になったときに、ちゃんと想起し、選択肢の一つとしてもらうにはどうすればよいかという課題を感じていました。『Z会は難しい、自分には向かない』という印象を持っている高校生に、Z会を利用して大学合格した先輩たちのさまざまなリアルな声を通じて、自分事化してほしかったんです。

Z会の強みは問題作成力と添削力。選び抜かれた良質な問題を何度も考え、間違えながら、自分の手で解答を書く。その解答が添削され、指導を受けることで自分の力となり、大学合格に必要な解答力が身につくのだが、そこが「難しい」ととらえられてしまう要因となっているのかもしれない。

簡単に解ける問題をいくら解いても実力はつきませんし、○×をつけるだけでは間違いの原因に気づけません。自分で解き、考える、その過程が力になります。そういった経験をZ会からではなく、先輩たちの声で高校生に届けられれば、と思います。

その対策として、「KOTOZUTE」は有効だった。これまでも冊子によって同様のコンテンツを提供していたが、スマートフォンでも見やすいサイトとして提供し、高校生にとってより閲覧しやすく、タッチパネルならではの面白味のあるインターフェイスを持ったサイトになったことが効果的だったようだ。

受験生の心に沁みるオリジナルアニメが大きくバズった!

もう一つ、話題となったのが「クロスロード」という120秒間のアニメ。「秒速5センチメートル」などで有名な新海誠監督による作品で、キャラクターデザインは田中将賀氏が担当した。

テレビCM前提ではなく、WEB専用の動画として作られたものだが、今年の2月25日・26日、国公立大学前期試験のタイミングでオンエア、Z会のホームページおよびYouTubeなどでWEB公開され、大評判になった。何しろ出来がいい。しっかりと短編映画のクオリティの作品となっている。

ストーリーは、離島に住み「Z会の通信教育」で頑張る女の子と、都内に住みアルバイトをしながら同じくZ会で頑張る男の子の物語。添削をする先生が、答案でなぜか二人が同じようなミスをして、証明の組み立て方も似ていると指摘する。その二人が合格発表の日に偶然出会うというもの。この、ラブストーリーになるかどうか、彼らが合格したかどうかもわからないほのぼのとした物語は、公開10日あまりで100万回以上再生された。決して一人ではない。通信教育という線で、Z会とつながり、皆つながっている。そんな世界観が、受験生たちの心を打ったのだろう。

「超難問コロシアム」と「学部問吉」で高校生に問題力・添削力をアピール

また、ゆるキャラテイストのキャラクター「学部問吉(まなべもんきち)」も展開している。“問”をキャラクター化したもので、とぼけた先生といった感じで評判がいい。テレビCMや駅貼りポスターなどで展開されている。

加えて、昨年10月から今年の2月にかけて、「超難問コロシアム」というリアルイベントを仕掛けた。大学入試レベルの難問に、高校生が三人一組で挑戦するというもの。予選、本選と来て、決勝は2月上旬。12時から夕方の5時までニコニコ生放送で放映され、昼間ながら来場者は5万5000人を記録した。高校生にZ会を認知してもらうためのブランディング施策だった。

そしてその後、学部問吉が登場。このイベントで出題された問題を「天才問題集」と名付けられた1冊の問題集にまとめ、それをプレゼントするというキャンペーンを展開した。

「こちらもZ会に接触していただくためのコンテンツです。出題される問題は、Z会が考える良問であり、極めて難度の高いものばかりで、そういった問題を作成する力を感じてもらえればと考えました」と言う。

こうしたさまざまな企画、コンテンツでZ会をブランディングし、想起率を高め、自然検索を増やし、さらにアドネットワークの確率を高める。

「超難問コロシアム決勝の生放送では、Z会で教材を作成するスタッフも多数出演しましたが、その点も好評をいただきました。通信教育は教室などの対面教育とは違い、顔が見えにくいと感じられることもあるかと思いますが、高校生には、実は一人じゃない、添削指導の先生や問題を作るスタッフなどがいることを感じてほしいですね。もしかしたらクロスロードのように『つながっている人』がいるかもしれませんし…」と伊豆蔵氏は、Z会の想いについて語った。

※「KOTOZUTE」 http://www.zkai.co.jp/kotozute/
※「クロスロード」 http://www.zkai.co.jp/home/crossroad/
※「学部問吉」 http://www.zkai.co.jp/ad/mon/

※5/9 見出しを修正しました。

この記事は、株式会社D2Cが発行する小冊子 『DIGITAL&DIRECT NEWS』 Vol. 48のコンテンツの一部を、許諾を受けてWeb担当者Forumの読者さん向けに特別公開したものです。

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2014年10月発行のvol.50をもって刊行を終了し、オンラインサイトの「D2Cスマイル」を通して、デジタルマーケティングに関するさまざまな情報を提供していく。

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