Googleアナリティクスで良いレポート(報告書)を作るには、どうすればいいですか?
当クリニックの代表。
イケメンの研修医。
優しい天然ボケの研修医。
ここ「アクセス解析5分クリニック」には、Webサイトについてさまざまな悩みを抱えた患者が、毎日のようにやってくる。研修医の来栖と綾瀬はデコボココンビだが、院長の丸山先生がとにかく名医。たった5分ですべての悩みを解決する!というのだ……。(登場人物紹介を詳しく見る)
今回のお悩み
Googleアナリティクスで良いレポート(報告書)を作るには、どうすればいいですか?
理想のレポートとは
最近、アクセス解析レポートに何を書いていいかわからなくなってきたんだ。
私も! 改善案もないし時間もないし。もうこれ以上、どこを見たらいいやら……。
2人とも、レポートの作成に困っているようだね。そういえば、今までレポート作成については触れてこなかった。今日はちょっとしたコツを伝えよう。
まず結論から先に言おう。理想のレポートとは、報告相手が望むものを考え、その目的を叶えるレポートだ。相手によって内容は変わるし、「これが正解」というものはない。
……そんな言葉で作れるなら、私達はとっくにやっていますよ!
結局、アクセス解析が難しいのは、そうやって根本論みたいな話が多いからです。もうちょっと、ぼく達が真似できるような話が聞きたいです。
ごめんごめん。確かに理想論だけど、それを外してはいけないので、まず伝えたんだよ。でも、それだけでは先に進めないよね。今日はもっと簡単な1つのコツを伝えよう。
アクセス解析レポートによくある3つの誤解
コツを伝える前に、よくある3つの誤解を解いておこう。2人は、なぜアクセス解析レポートをうまく書けないのだと思う?
うーん、もう書くことがなくなったというか。新しいネタがないのですよ。数値に変化もないし。
見るところも多すぎて、手がかりもないし、どこを新しく見たらよいのやら。
2人とも「新しいネタ」があることが大切だと思っているのだね。それが1つ目の誤解だ。
でも、毎回同じレポートを出したら、がっかりされます。改善案を出さないと。
いや、改善案を出す必要はない。それが2つ目の誤解だ。
でも、改善案もなく、「なぜ悪いのか」の報告もなければ、ぼく達のお仕事はなくなりますよ。
その「なぜ悪いのか」が3つ目の誤解なんだ。多くの人がレポートから“悪い原因”を特定しようとするけど、それは良くない。まとめてみよう。
- 新しいネタが必要
- 改善案が必要
- 原因を特定しなくてはならない
この3つの誤解があると、2人のようにどこかで行き詰まるし、間違ったレポートになってしまう。実は、上記3つがなくとも、十分に満足してもらえるアクセス解析レポートを作れるんだよ。
レポートの目的は「気づいてもらうこと」
まず、アクセス解析レポートの目的を1つに絞ったほうがよい。それは「気づいてもらうこと」だ。
「気づいてもらうこと」ですか?
そう。たとえば、「1月1日~1月10日の期間はアクセス数が少なかった」とか。気づきだよね?
でも、それを報告したら、きっと突っ込まれますよね? 「なぜ少なかったんだ!」って。
来栖君、さっきの3つ目の誤解にハマっているよ。「なぜ?」ではなく「何が?」を選ぼう。ぼく達は「何が少なかったのか?」という事実を把握することが大切なんだ。
他の週と比べて、「1月1日~1月10日は、Googleからのアクセスが少なかった」など、事実を調べるのですね。
そう。「比較」が中心だ。それを詳細に調べているだけで、時間もかかるし、立派なレポートになるよ。
でも、それでは改善案につながりませんよ。
綾瀬さん、「改善案」は2つ目の誤解だったね。まずは「気づいてもらうこと」を中心に考えよう。後述するけど、それでも十分満足してもらえる。
でも、たとえば数値が変化しないときがありますよね。そういうときに書くネタがなくて困るのです。
1つ目の誤解「新ネタ」にハマっているよ。本当に変化していないのだろうか? 細かく見れば、たとえばキーワードの順位が変化してるかもしれないよ。詳細に事実を調べることが大切だったね。
でも、そんな報告では怒られますし、仕事がなくなりますよ。
そこがポイントだ。
不況のなかで、数値が変化してないならば、サイト自体は良いのかもしれない。施策の結果、SEOの順位が変わったならば、今は変化がなくとも、これからよくなるのかもしれない。でも、こういった予測や結論めいたことは、プロのアナリストでもない限り、自分たちだけ判断するのは危険だ。
つまり、自分だけで結論を出さずに、まず事実を報告しろと。
最近あったケースを話そう。
「仕事をしているぞ!」アピールのために、すごく色やグラフがキレイなレポートを持ってきた人がいた。しかし、そこには把握しなければいけない数値が入っていなかったため、報告会の参加者は「改善案」を考えることができなかった。したがって、その人のレポートの評価はすごく悪かった。作成の時間は、かなりかかっただろうにね。
なんか、私のことを言われているようです。
だからこそ、さっきの3つの誤解を戒めて、参加者に「気づき」を与えるレポートを揃えることに注力するんだ。「何かに気づいてもらおう」という気持ちでレポートを作ったら、必ずおもしろい数値が入ることになるよ。なぜなら、自分でも疑問に思うからだ。「これって、一体何が増えているんだろう?」って。
つまり、事実を詳細に突き詰めて、“会議の参加者が何かに気づくレポート”を作ることが大切なのですね。
参加者にとって「新しい気づき」があるミーティングは評価される。それは必ずしも新ネタを入れることだけではなく、まずは今の事実を詳細に伝えることなんだよ。
まとめ
良いレポートが作れなくて困っている人はたくさんいる。その場合、以下3つの誤解をしていることが多い。この考え方をしていると、特に初心者は行き詰まってしまうことがある。
- 新しいネタが必要
- 改善案が必要
- 原因を特定しなくてはならない
レポートを作成する場合は、会議参加者に「気づき」を与える気持ちで作ろう。なるべく事実を詳細に調べ、突っ込まれても「何が」変化したのか報告できるようにするんだ。
2人は勘違いしていたけど、会議参加者が満足するのは、プレゼンのような立派なグラフを見たり改善案を聞けるからではない。何かの「新しい気づき」を与えてもらうからなんだよ。
長い付き合いになればなるほど、そういった「新しい気づき」を与えてくれる人は重宝される。確かに、プロのコンサルタントで、事実を基に、すごい改善提案をする人もいる。しかし、「スマートフォンのアクセスが毎月増えている」というだけでも、新しい大きな気づきなんだよ。
まずは「事実に基づく気づき」を与えることに専念してみよう。それだけで、きっと、今までと違う目でレポートを見てもらえるはずだ。
(今回は、考え方の説明のため、処方箋はお休みです)
筆者が運営する「ウェブ担当者通信」から、新年会とセミナー開催のお知らせです。
■「2013年 心と身体を美しく!初めての新年会」開催
http://webtan-tsushin.com/seminar/20130215ny.html
ウェブ担当者通信では2月15日(金)に、渋谷で新年会を開催します。食事だけでなく、倉園佳三さん・森野誠之さんをお招きし、2人からお話を聞く予定です。
ウェブ担当者通信では昨年末に、2012年振り返りのアンケートを行ったのですが、そのなかで一番話題に上がっていたのが「忙しくて時間がない」という問題でした。一方で「GTD」という海外のエグゼクティブからも注目されるタスク管理手法があります。そのGTDのタスク管理を、クラウドで行える「Nozbe」というソフトウェアがありますが、このソフトウェアの日本唯一のマニュアル本を作成されたのが、倉園 佳三さんです。
今回は、その倉園さんから最新のタスク管理の秘訣、GTDにはとどまらない「タスク管理」のお話しをお聞きする予定です。
また、「運営堂」としてニュースまとめなどで活躍されている森野誠之さんからは、「ニュースまとめの裏話」をお聞きします。
どうすれば、莫大な最新情報を整理し、対応できるのか? ウェブ担当者の方が、ふだんの仕事から離れて楽しく飲める会にしたいと思っています。
■「中小企業向けウェブ運用担当者PROになる プレセミナー2/15」開催
http://webtan-tsushin.com/seminar/20130215bs.html
ウェブサイトで大切だと言われるPDCA。2013年はどのようにPDCAに取り組むかが大切だと思います。同じく2月15日に、私と運営堂森野氏により、PDCAの最初のとっかかりである、「問題解決力アップ」のセミナーを開催します。
このセミナーは、一般のセミナーと異なり、「“あなたのサイト”が教材になる」「あまり人数を集めずに、そのかわりしっかりサポートする」「課題が出るので、必ず前進できる」という特徴があります。
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※キャラクターイラスト(来栖、綾瀬):「コミPo!」にて制作
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