わずか1カ月でスマホサイトを構築可能。ECサイトが自動変換サービスを利用するメリットとは?
EC市場におけるスマートフォン経由の売上比率は
最終的に5割に到達する可能性がある。
モバイルEC最大手『ニッセン』の自動変換サービス活用事例を紹介:スマホ対応の鍵は“リーンスタートアップ”にあり!
「ネットショップ担当者フォーラム2012」【参加費無料】
12月6~7日の東京有明TFTホールにおいて、ネットショップ運営成功の「本質」的手法を知るショップ担当者のためのイベント「ネットショップ担当者フォーラム2012」が開催される。
特別講演A1-2セッションでは、株式会社エムティーアイの小畑陽一氏が、モバイルEC最大手「ニッセン」の事例を紹介。リーンスタートアップでスマホ対応を成功に導くノウハウを明かす。スマホ対応に悩むECサイト担当者必聴の内容だ。
講演“リーンスタートアップ”で切り拓くスマホ・ビジネスの成功戦略
(12月6日 11:40~12:20)
- 日時:2012年12月6日(木)・7日(金)
2日間、10:00~18:30 - 会場:TFTホール(東京有明)
- 参加費:無料
- 主催:Web担当者Forum
(株式会社インプレスビジネスメディア)
このようにEC市場の大きな変化を予測するのは、スマートフォンサイへの自動変換サービスを提供しているMTIのPackage Solution事業部長・小畑陽一氏。
スマートフォンサイトの構築手法は、大別して
- フルスクラッチでゼロからつくる
- スマートフォンに対応済みのCMSを利用する
- 自動変換サービスを利用する
という3つの方法がある。
このうち既存の基幹システムをいじらず、すばやく導入できるのが③の方法だ。ニッセンをはじめ、大手ECサイトでも導入されている自動変換サービス活用のポイントを、小畑氏にうかがった。
なるべく早くスマートフォン対応をしたいと考えているECサイト運営者はぜひ参考にしてほしい。
ECサイトのROI向上にスピードで貢献する自動変換サービス
――MTIはスマートフォン向けのサイト変換で、200社以上の実績があります。どのようなサイトが多いのですか。
小畑氏 顧客の4割はECサイトですが、証券など高度なセキュリティや安定性を求められる金融系サイトにも導入実績があります。
弊社はもともとフィーチャーフォンのキャリア間サイト変換サービスを行っており、そこで蓄積してきたノウハウがあります。加えてオンプレミスで機材をもっていること、システム運用のために専用の人員を配していることなどを、評価していただいているのだと思います。
――顧客にECサイトが多いのは、なぜでしょうか。
小畑氏 ECサイトが多い理由はもちろん、スマートフォンサイトの有無が、売上に直結するからです。スマートフォンでPCサイトを閲覧することはもちろん可能です。しかしPC向けのサイトをスマートフォンで表示させると、離脱率が目に見えて跳ね上がってしまう。こうした傾向があることは、ECサイトを運営している皆さんは、恐らくご存じだと思います。顧客を逃さないためには、スマートフォン向けサイトは必須なのです。
もう1つの理由は、ECサイトの顧客層が、スマートフォンのユーザー層と重なるからです。スマートフォンの普及率は、2年前にはわずか10%程度でしたし、スマートフォン経由の売上比率も、全体から見ればわずかなものでした。にもかかわらず、多くのECサイトがスマートフォン対応をこぞって始めたのには理由があります。その10%のスマホユーザーの中に、課金サービスを利用したり、商品を購入したりするユーザー層が多く含まれていたからです。
別の言い方をすれば、ECをよく利用していたユーザーほど、フィーチャーフォンからスマートフォンへといち早く乗り換える傾向が見られた。このことは、弊社が提供する有料コンテンツのデータからも見て取れましたし、ECサイトの皆さんも実感していたと思います。
――フルスクラッチでの構築や、CMS導入などの選択肢もある中で、なぜ自動変換サービスが選択されるのでしょうか。
小畑氏 ECサイトに限らずビジネスではROI(投資利益率)やQCD(品質・価格・納期)が重要になります。ROIを向上させるためのポイントは、やはりスピードです。結論から言えば、自動変換サービスを用いれば、わずか1か月程度で既存のフィーチャーフォン向けサイトやPC向けサイトを、スマートフォン向けサイトへと変換し、運用スタートできます。
ECサイトをフルスクラッチで構築した場合は、当然ながらそのような短期間でローンチするのは不可能です。企画から決済・実装・テストを経てサービス開始に到るまで、6か月から12か月はかかるでしょう。
仮に12か月かけてようやくスタートしたフルスクラッチのサイトと、1か月で立ち上げて、その後11か月間にわたってユーザーのフィードバックを得ながら改善を続けた変換サイトがあるとします。どちらが競争力のあるECサイトかといえば、圧倒的に後者でしょう。テストをしながらユーザーの意見をくみ上げ、フレキシブルに改善を続けていくことが、スマートフォン対応の一番のポイントであり、ECサイトのROIを向上させる要因になると思います。
ECにおけるPCとスマホの売上比率は、最終的に5:5になる
――立ち上げの速さだけでなく、運用面でも自動変換サービスにメリットはあるのですか。
小畑氏 もちろんあります。まずECサイトのWeb担当者にとって一番大きなメリットは、自社のサイトを進化させるための施策を考える時間が生まれることです。
自動変換サービスを利用すれば、既存のケータイサイトさえ運営していれば、スマートフォンサイトは勝手にできあがります。しかもデザイン面は、「music.jp」をはじめとする弊社運営サービスでの実績を基に作られたテンプレートを利用できますし、SEOやABテスト、商品のレコメンドなども自動変換サービス側にある程度任せてしまうことができる。これによってECサイトのWeb担当者は、自社のサイトを進化させたり、尖ったサービスを企画したりという、本来の業務に時間を割けるようになります。
もう1つは前述のスピード面の優位性にも関連しますが、基幹システムをいじる必要がない点です。自動変換サービスは、既存のWebサイトがインターネットに出力するHTMLをそのまま利用し、スマートフォン向けに変換する仕組みになっています。ですからWebの裏側、つまりWebサーバーと連携して動作している基幹システムには手を加える必要がないのです。
基幹システムの奥の方で、COBOLで書かれたメインフレームが動いていたりすると、スマートフォンサイトを構築するためにCOBOLの技術者を探してくる羽目になってしまいます。そこまでは極端だとしても、基幹システムの改修には、100万単位の人月コストがかかることは珍しくないでしょう。
冒頭で説明したとおり、ECサイトは、他サイトに比べてスマートフォン対応に積極的です。しかし実は4割ものECサイトは、現段階でもスマートフォン対応が十分にできていません。スマートフォン対応を阻む大きなハードルとして、基幹システムとの連携の問題を挙げるECサイトも少なくありません。しかし自動変換サービスを利用することで、この問題はすばやくかつ低コストで解決できるようになります。
ECサイトのスマートフォン対応の要は変化への柔軟性
――御社では数多くのスマートフォン対応成功事例を見てきていると思います。ECサイトのスマートフォン対応の要諦は、どこにあるのでしょうか。
小畑氏 一番重要なのはマーケットの変化にフレキシブルに対応することです。
2年前であればスマートフォンのユーザーは、アーリーアダプター層が中心でした。サイトの使い勝手が多少悪くとも、ユーザー側が工夫して使ってくれた。しかし現在では若い女性にも普及してきていますし、来年からは恐らく、高校や大学の入学プレゼントとして子どもたちから一番喜ばれる商品は、スマートフォンになるでしょう。シニア向けのスマートフォンもすでに発売されています。つまりスマートフォンのユーザー層は拡大するとともに、多様化しているわけです。
使い勝手の悪いサイトを我慢して使ってくれるユーザーは、もはや少数派です。
このような変化にECサイトが対応するためには、自分たちの商材がどの層をターゲットとしているのかをはっきりさせ、スマートフォンサイトをその層に最適化させる必要があります。言い方を変えれば、「自社のブランドを尖らせること」が大事です。
たとえば最近、開設されたある航空会社のビジネスクラス向けのサイトでは、フォントやボタンを大きくし、PCサイトより落ち着いたデザインを採用しています。シニア層をターゲットとしており、サイトをその層に最適化しているわけです。スマートフォンはPCに比べてパーソナルなデバイスです。それぞれのユーザー層に特化したインターフェイスで表示させるなど、きめの細かい対応を行うことが、競争力の強化につながります。
もちろん、だからといってすべてのデバイス、ユーザー層に対応するのは不可能ですし、その必要もありません。たとえば今後、画面サイズが7インチ程度のデバイスが普及すると思われますが、自社のユーザー層と一致しなければ、無理に対応しなくてもいいでしょう。むしろ必要がない部分は勇気をもって切り捨て、攻めるべきところをきっちり攻める。そのような選択と集中が、今後のECサイトには強く求められるようになると思います。
――最後に、今後のEC市場がどのように推移していくか、見通しを教えてください。
小畑氏 まず、フィーチャーフォン経由の売上が急速にシュリンクするのは間違いないと思います。家庭でのPCの必要性は少なくなってきていますから、PC経由の売上高も横ばいが続くでしょう。そのパイを埋め、なおかつEC市場の拡大を牽引していくのがスマートフォンだと思います。
ECサイトにおけるPCとモバイルの売上比率は、9対1というのが業界の通説です。しかし私は、この売上比率は最終的に5対5になってもおかしくないと考えています。PCでもフィーチャーフォンでもEC利用経験がなく、スマートフォンで初めて購買体験をするユーザーが今後どんどん増えていくからです。
小売業界全体の年間売上高150兆円のうち、EC市場の規模は数パーセントに過ぎません。しかしスマートフォンの普及が礎となり、EC市場自体が今後飛躍的に拡大していくと思っています。
この大きなマーケットの潮流に乗り遅れないためには、スマートフォン対応が不十分なECサイトは、一刻も早い対応が求められるでしょう。
スマホ対応の鍵は“リーンスタートアップ”にあり!
モバイルEC最大手『ニッセン』の自動変換サービス活用事例を紹介
「ネットショップ担当者フォーラム2012」開催【参加費無料】
12月6~7日の東京有明TFTホールにおいて、ネットショップ運営成功の「本質」的手法を知るショップ担当者のためのイベント「ネットショップ担当者フォーラム2012」が開催される。
特別講演A1-2セッションでは、株式会社エムティーアイの小畑陽一氏が、モバイルEC最大手「ニッセン」の事例を紹介。リーンスタートアップでスマホ対応を成功に導くノウハウを明かす。スマホ対応に悩むECサイト担当者必聴の内容だ。
- 主催:Web担当者Forum(株式会社インプレスビジネスメディア)
- 日時:2012年12月6日(木)・7日(金)/2日間、10:00~18:30
- 会場:TFTホール(東京有明) 【会場アクセス】
- 参加費:無料
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