Twitter活用の三大条件&ツイートネタ帳
コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。
宮脇 睦(有限会社アズモード)
心得其の弐百伍十四
Twitterを活かせる人の条件
前回はTwitterを止めることで作業効率が高まった、私の経験を紹介しました。そして結びに「向き不向き」とあるように、Twitterの活用方法をクライアントに指導することもあります。そこで今回は「Twitterを活用できる職業」と、その方法について。
まず、Twitterを活かすには以下の3の条件が必要です。
- 細切れの時間がある
- 不特定多数の客を相手にしている
- リピートが期待できる
大手のカスタマーサービスや企業広報のように「専従」できない「中の人」の場合、移動時間や仕事の切り替えなどで、定期的に「わずかな空き時間」ができることが第一条件となります。次に「拡散」という言葉に表れるように、不特定多数の目に触れることでメリットがある業種であること。最後はどの商売でも不可欠なことですが、顧客との接点を維持するのは反復的利益を期待してのことで、Twitterを商売で活用するには、改めてこの点を意識する必要があります。
最も向いている職種
実は小売店、飲食店など、大半のBtoCはTwitterを活用できる職種です。不特定多数の客を相手にしており、リピーターが期待でき、なにより「細切れの時間」があります。
八百屋やスーパーマーケットには「一服休憩」と呼ばれる喫煙の有無を問わない5~10分程度の小休憩があり、客のいない飲食店は自由時間です。さらに利点は、だらだらとタイムラインを見る余裕もないので、時間を浪費する可能性が低い点です。
そのなかでも、最も適している職種が「携帯電話販売業」、いわゆる「(ケータイ)ショップ」です。呼び込みをしている時間や、客のいない時間を工夫すればツイートする時間はいくらでもつくれますし、いま彼らが売ろうとしている商材は「スマートフォン(スマホ)」で、Twitterとの親和性の高さは言わずもがな。
Twitterの利便性を語ることはセールスに連動し、客がTwitterを始めれば、そのまま「つながり」続けることができ、次の機種変更や買い足しに誘導できるという寸法です。
入口を押さえる荒技
ショップではスマホの契約の際に自分のアカウントをフォローさせてしまうという荒技が使えます。十分な説明を尽くしたうえでのことと前置きしますが、「試し」に「いつでも解除できる」を組み合わせて、各種オプションプランやネットサービスを登録させるのはショップの常套手段で、そこにひと手間加えるだけのことです。これを押し売りととるか伝道師に昇格するかが活用の最重要ポイントです。「つぶやき」の中身が両者の分かれ目です。
実際の活用に際しては相応のネットリテラシーが求められることを断っておきます。Twitter特有のお約束や、ときおり巻き込まれるトラブルへの耐性をもっているという意味ですが、これも毎日の業務の一環として取り込めば、次第に身につくことでしょう。
ツイートの活用実態は
ところでショップのTwitter利用の実状はどうでしょうか。社長がTwitter界の巨星である、あのキャリアの100店舗を調査してみました。結論を述べれば活用されていません。
調査対象の店舗では、社長のつぶやきが注目を集めた2年前の春前後に多くのアカウントが取得されていましたが、そのうち今年の2月中旬の調査日から1週間以内にツイートをしていた店舗は27店で、1ヶ月以内に拡大しても37店にとどまります。その37店の一日当たりの平均ツイート件数は0.70。8ヶ月以上放置しておいて「再開」したケースもあるので、完全に停止したかの判別は難しいものがありますが、「活用」という基準からは明らかに落第です。
また肝心の「ツイート」も、割引プランの告知や新製品の紹介で、客を思うツイートなどなく、これでは「押し売り」となること請け合いです。
伝道師になるためのネタ帳
なにをつぶやけばいいのかわからない
お待たせしました。そんな方のために、地元街角で「伝道師」になるために使えるツイートネタを伝授します。
まず、フォローしなければTwitterの利便性はわかりません。そこで「オススメアカウント」をツイートします。著名人の素のつぶやきは、Twitterの醍醐味の最たるもので「セレブの追っかけ」と揶揄される由縁です。芸能人から著名人のアカウントリストを用意しておくとよいでしょう。ただし、孫正義さんや津田大介さんは微妙。IT業界人の注目度と、非IT業界人のそれはまったく別物と心得てください。テレビ番組などでTwitterエピソードを語ることが多い、お笑いコンビ「カラテカ」の入江さんや、「オリエンタルラジオ」の中田さんなどがオススメです。あるいは平成の無責任男、高田純次さんの名言珍言を自動配信する「高田純次ボット」などもありです。
「地元店舗のアカウント」もオススメです。街角で見知った店舗のアカウントを紹介することで親近感を与える狙いです。また、それをきっかけに客と店の交流が始まれば、「Twitter活用の伝道師」の地位は目前です。
ネットの物理法則
その後は定期的にハッシュタグや、リムーブといった使用法をつぶやき、ときおり「今朝は寒いですね」や、「目の前の道路は大渋滞。帰宅時はご注意を」といった「目の前の生情報」を織り交ぜていけばネタに尽きることはありません。自然とコミュニケーションが始まることでしょう。
この方法はフォローさせる方法を工夫すれば、ショップ以外のすべての商売で使えます。客が喜ぶ情報を提供することでアカウントに引力が生まれるからです。引力とは集客力であり、顧客ロイヤリティとなり、コミュニティへと発展させます。それらを助ける「クチコミ」については次回「だれでもできるクチコミの起こし方」にて。
今回はTwitter用にアレンジしましたが、Facebookでもmixiでも使えます。それはインターネットの基本的な物理法則、
面白い情報を発信すると引力が生まれる
という法則があるからです。ちなみに、私が「インターネット」を布教する際に多用したのは「ウルトラ100兄弟」。こんなくだらなく面白いものもある世界だと伝えることで、インターネットへの抵抗感を破壊したのでした。
今回のポイント
細切れの時間が鍵
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コメント
”「目の前の生情報
”「目の前の生情報」を織り交ぜて”は、さすがの指摘だ。
ローカル地域の実店舗だからこそ、ほとんどの人類に意味のない極端に限定的な情報が意味を持つ。
営業である必要はない、マスを相手にする必要はない、この2点を理解することは重要だ。
いつもながら宮脇氏の説明は的確な要所をついている。
コメントありがとう
コメントありがとうございます。
「ほとんどの人類に意味のない」シニカルですが、的確な表現です。素晴らしい!
ソーシャルメディアとは「全体」でそこに照準を合わせれば「マス」と同じ。
でも、本当に大切なのは体温が伝わるかの如き「人肌感」。だから、ショップの前の植え込みに咲くタンポポの「開花情報(ドキュメント・あるいは観察日記)」などのほうが、
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とやるより、価値が生まれる・・・ことに気づいていない人が多いのが残念至極です。