「無料」で釣るのもクーポン系の二重価格も違法、当然でしょ。消費者庁が景表法上の問題を例示
「無料」を強調しながらも実質的には料金を支払わないと利用できないサービスや、クーポンサイトの不当な二重価格表示、クチコミやアフィリエイトでの優良誤認などについて、その問題点と留意事項を消費者庁が例を挙げてまとめました。
「無料といいつつそうじゃない、あぁ、あのゲームサイトね」と思うかもしれませんが、今回の消費者庁の資料は、そうしたサイト以外にも関連する注意点(特にアフィリエイト出稿など)も含まれていますので、注意が必要です。
これは、ネット上のどんな広告やサイト上の記述が問題となるのかを解説するもので、次の5つのサービスタイプについて、それぞれ起こりえる景品表示法上の問題点や留意事項を提示したもの。
- フリーミアム(基本無料だが付加的なサービスを有料とするモデル)
- クチコミサイト
- フラッシュマーケティング(クーポンサイト)
- アフィリエイト
- ドロップシッピング
資料はかなりしっかりと作られているため、詳細はオリジナルの公表資料PDFを参照してほしいのですが、ポイントをいくつか紹介していきましょう。
「無料」を強調しすぎるのはNG
基本的なサービスは無料で利用でき、一部のユーザーが付加的なサービスを有料で利用する「フリーミアム」型のサービスにおいては、次のような事例があります。
ゲームのサービスを提供する事業者が「完全無料でゲームをプレイ可能」と表示
実際にはゲーム上で使用するアイテムを購入しないと、ゲームを一定のレベルから先に進めることができない動画視聴サービスを提供する事業者が「完全無料で動画が見放題」と表示
実際には動画をあらゆる時間帯にわたって視聴するためには、月額使用料を支払う必要がある「無料で全てのデータを保存して、どこからでもアクセスできます」と表示
実際には無料で保存できるデータ量やデータの種類が限られている
これは、事業者が「サービスを無料で利用できること」を強く強調して表示(宣伝やサイト上)することで、付加的なサービスも含めて無料で利用できる(完全無料)と一般消費者に誤認させることから、景表法上の不当表示となる例です。
この場合、事業者はどこまで無料なのか、その具体的な内容と範囲を正確かつ明瞭に表示する必要があります。
クーポンサイトの二重価格は販売実績がないとNG
フラッシュマーケティング系のサイトで、「通常価格5730円のところ、73%オフで提供」というような二重価格表示が景表法上の不当表示にあたる例も指摘しています。
二重価格表示をする場合は、その比較対象価格は、最近それなりの期間に販売された実績のある同一商品・サービスの価格である必要があります。そうでない場合は、比較対照価格がどのような価格であるかを具体的に表示する必要があります。
また、「すばらしいおせち」であると記載されているのに、実際に届くのはスカスカのゴミのようなおせちであるようなものも、不当表示です。
こうしたことが発生しないように、店舗に対しても、クーポン掲載サイトに対しても、優良誤認がない記載をすること、比較対象価格で販売されていた実績があることなどを確認し、問題があれば掲載を取りやめるなどするべきだとしています。
クチコミサイトでもアフィリでも不当表示はNG
アフィリエイト、ドロップシッピング、クチコミサイトなどにおいて、実際のサービスや商品が競争事業者のものよりも優れていると誤認させる記述をした場合や、正当な販売実績のない二重価格表示をした場合は、景表法上の不当表示となることも明確に示しています。
いずれも実際のところ、何か新しい法律や特別なことが説明されているわけではないのですが、既存の景品表示法で問題とされている表示が行われてしまっている例が多々あることをわかりやすく説明しています。
資料では、どのような記述がどうした背景をもとに問題となるのかが示されていますので、広告宣伝を担当する方、またはサイトのコンテンツを担当する方は、景品表示法と併せて確認しておきましょう。
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