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経路を評価するか、媒体を評価するか

経路を評価するか、媒体を評価するか

田中 話が難しくなってしまいがちですが、経路を評価するのと媒体を評価するのは違います。

有園 はい。

田中 実際の広告運用を考えると、A媒体、B媒体、C媒体のトータルのコンバージョン数をたたき出してくれるのはどの媒体なのかを考えなければなりません。その次に経路の最適化をしましょうという2つがあります。それぞれの媒体を比べて媒体を評価するときは、ラストインプレッションもしくはラストコンバージョンを見ます

有園 もう少し経路の話を聞かせてください。もし、コンバージョンを発生させている経路が、「バナーA → バナーX → バナーB → サーチ → コンバージョン」の流れだとします。

田中 はい。

有園 バナーA、バナーXまで来ている人が100人いた場合、バナーBを見たあとにサーチしてコンバージョンすることが統計的に予測できる場合、バナーXの次にバナーBを見せるように順番をコントロールすることってできるんですか?

田中 いや~。人間がどの媒体をどの順番で見るかをコントロールすることは絶対にできませんね。人間をコントロールすることはできません。機械ですべての媒体に第三者配信できるようになると少しは違うかもしれませんね。

有園 すべての媒体に第三者配信ができるようになればですね。なるほど。バナーAをインプレッションしました、バナーXをクリックしましたというレコードをもっているクッキーに対して次はバナーBを見せることは、Fringe81さんではできるんですか?

田中 できます。1ユーザーあたりのフリークエンシー数ごとにバナーを入れ替えることができるので。すべての媒体で、というと「そんなに頻発するかな~?」って気はします。確率論として、バナーAとバナーXを見ている人ってどのくらいいるかなと。両方見ている確率ですね。

有園 それで言うと、両方見ている確率は低いと思います。勝ちパターンを探したいので調べるのですが、いろいろなパターンがあってこれだというのは見つけにくいです。

画像3-3

媒体のコスト効率を図る

田中 僕はシンプルに考えていて、コンバージョンにいたったラストインプレッションって何だっけ? ということを重視しています。この方法論だと意思決定が早いんですよ。あと、サーチでけっこうな無駄があることがわかるんで、サーチの予算をバナーに移行すればコンバージョンは増えますよという話をしています。クリック数を増やすよりはビューを増やすほうがやりやすいです。

有園 間接コンバージョンと直接コンバージョンの両方が増えるように配信を微調整しているんですか?

田中 リアルタイムにはあんまりしていません。リアルタイム変えていくと混乱します。変数がたくさんありますからね。まずは、一本普通の配信をして、詳細なデータを分析します。やってみると気づくこともあるので、その分析結果をもとに、最適解を探し出して、たとえば、次は三本のバナーを、こういう順番で配信してみよう、とか調整をします。

有園 間接と直接の効果を見て、間接効果が高ければバナー広告にもっと予算を割り当てたほうがいいねということになるわけですね。次のキャンペーンがあれば本数を増やして配信するわけですね。

田中 もしくは、媒体の評価をして、この媒体はやらなくてもよかった、こっちの媒体はもっとやったほうがいいと判断します。トータルコンバージョンを増やすためにどうしたらいいかを考えます

有園 媒体のコスト効率を図るわけですね。田中さんの言うトータルコンバージョンとは、直接コンバージョン+間接コンバージョンのことですよね?

田中 そうです。

有園 それを分母にして、分子に媒体に投資したコストを載せて、トータルCPAを出すわけですね。そのような成功事例はありますか?

田中 BtoB系のお客様には喜ばれています。たとえば、IT系の専門媒体は10~20サイトくらいしかないのでどこからコンバージョンが来ているのか、トータルコンバージョンを使えば効率を上げる方法がわかるので喜ばれています。BtoBだと検索エンジン広告の単価も高く、検討期間も長いため、すぐに買ってもらえないですよね。

有園 たとえばサーバーとかですか?

田中 そうですね。あとはクラウドとか基幹システムです。稟議をあげてから1週間以上かかるものもあります。そうなると直接コンバージョンが1件や2件とかって言うこともあるんです。1か月以上たってから決まるものもあるので、実際は間接コンバージョンは直接コンバージョンの5倍~10倍くらいあります

有園 1週間のキャンペーンが終わってからコンバージョンをしたものは間接コンバージョンですか?

田中 はい。1週間以内であっても自然検索結果からきたものもすべて間接にしています。今まではコンバージョン数が少ない場合でも、ちょっとした誤差で2件だったのが5件という結果になることもあるんです。でも2件や5件という少ない場合、「たまたまじゃないの?」ということがありますよね。直接コンバージョンだけだと、母数が少なすぎていい悪いを判断するのが難しくなっちゃう、と。

有園 へぇ~。

田中 この場合間接コンバージョンまで見ると、5倍~10倍くらい出ることがある、といいましたが、つまり直接が5だとすると、最大間接が50、つまり55件のコンバージョンです。ここまで母数が増えれば、それぞれの媒体パフォーマンスをちゃんと評価できますよね。

有園 その場合クリエイティブは1つ~2つで運用するんですよね?その場合、cookieの長さはどのくらいにしていますか?

田中 それはクライアント次第ですが、30日とか、60日のこともあります。

有園 BtoBだと60日くらいが普通ですかね?

田中 たしかに、BtoBだと60日くらいまでですね。

有園 この話を聞くとバナーのビューからコンバージョンが見えるので、バナーの再評価につながりますね。

田中 この前、初めてバナーっていいものだと再評価してくださったお客様がいました。「今まではアドネットワークの方が単価が安いのでいいと思っていたけど、実は高額な専門媒体の方が間接のコンバージョンまで見ると成果が出ている事がわかった」という報告を聞きました。

有園 いい話ですね。それは。今のはたまたまBtoBでしたが、比較検討する期間が長い商材で、バナーの効果を調べたい場合は、ビュースルーを見た方がいいですね。

田中 はい。

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