企業ホームページ運営の心得

一生嫌いになる瞬間。サイト全体の評価を決める最後の印象

最後に与えた印象が悪ければ、その顧客を生涯にわたって逃がしてしまうことがあります
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の弐百参十

最後の印象を操作する

無理な条件を提示する企業には喧嘩を売り、お得意さまでも理不尽な要求にはノーと突き放し、儲け話だとしてもつまらない仕事は断るといった「高飛車」な営業方針を貫いておりますが、訪問した客先からの退出時、誰もいなくても玄関口や門扉の前で「一礼」をします。お客様への感謝はもちろんですが、「最後の印象」について営業の師匠から学んだからです。

対面した客に頭を下げることはだれでもするでしょうし、訪問時に腰をかがめてすり寄る営業マンはたくさんいますが、出口で頭を下げる人は意外と少ないのです。そして出口とはお客様との最後の「接点」になります。「そこで頭を下げれば、丁寧、謙虚といった印象を残すことができる」というのが師匠の教えです。

人間の記憶とはいい加減なもので、最後に目にした光景をもとに全体が書き換えられる傾向があります。つまり「最後の印象」が大切ということ。もちろんWebでも。

一生嫌いになる瞬間

Webにおける「最後の印象」は、メルマガや各種サービスの解約時です。ここで残した印象が後にサイト全体への評価となります。

一例を挙げてみましょう。実際に利用していた有料会員制のSEO解析サイトのサービスが、期待した内容ではなかったことから解約しようと思い、毎日届くメルマガにある「サービス停止はこちら」と示されたページに進みます。そこでは、解約すると受けられなくなる「特典」が並び、思いとどまるように訴えかけます。無視して「解約はこちら」へ進むと、「ご協力ください」とアンケートを強制。

  • なぜ、やめるのか
  • どのサービスが気に入らなかったのか
  • 仕事に役立ったか
  • よかったと思う機能は何か

繰り返されたアンケートはおおよそ10ページ。

DMを迷惑メールに

私の感じた「最後の印象」は「悪徳商法」です。獲得した客を逃さないために、のらりくらりと解約に応じないあれです。そして今後、何があってもこのサイトを利用すまいと心に誓いました。

無料のサイトで解約手続きが面倒なら、そのまま継続したかもしれません。実際、手続きを複雑にして、解約を拒むサイトもあります。しかし、そこまでして引き留めたとしても、その企業名を含むすべてのメールを「迷惑メール」としてメーラーで処理されれば、まったく意味がないどころか、個人情報管理のコストやメール送信のサーバーリソースを無駄遣いしているということです。

こんなこともありました。魅力的なネットサービスの広告を見つけ、申し込んだところ、「すでに登録されているメールアドレス」と断られました。調べてみると、かつて解約手続きが面倒で迷惑メール扱いにしたサイトが名前を変えていたのでした。

客の声がダメージに

「解約手続き」を探すのに1時間以上を費やしたサイトもあります。退会に至るフロー(手順)はこうです。

  1. ログイン
  2. ユーザー設定
  3. メールアドレスの変更
  4. 退会手続き
※1ページずつ遷移します

メールアドレスを削除(退会)したいと願う人が「メールアドレスの変更」をクリックするでしょうか。サイト設計者は「どちらもメール」と一括りにしたのかもしれませんが、「解約」へのルートはバイパスとして整備しておくべきでしょう。例え真っ当なサービスを提供していても、退会手続きを複雑にすることで、抜け出せない「悪徳商法」のような印象をユーザーは持つからです。

退会者の声を聞いて今後のサービス改善に役立てるということは間違いではありません。その場合でも選択制の質問にし、1つか2つに留めるべきでしょう。10ページのアンケートにあきれた私は、後半の設問のすべてを読まずに適当なラジオボタンをクリックしました。つまり、嫌がる相手に問うたところで正しい答えは得られず、最後の印象を悪くしたうえに、客の気持ちが反映されていない「回答」を「集計」するのは「徒労」で、さらに「反映」させたとしたら、無意味を通り越してダメージとなります。

複数の調査をとりたいなら任意の「お願い」にするか、アンケート回答者へのプレゼントなどのメリットを用意するとよいでしょう。

サドンデスシステムでトラブルゼロ

弊社もメルマガを発行しています。当初のメルマガ解約方法は、メルマガの最後に「解約ページ」へのリンクを用意し、解約ページにアクセスしてメールアドレスを入力すると確認画面が表示され、削除されるというオーソドックスな手順にしていました。ところが、月に1~2回ぐらいは「解除できません」と「クレーム」が届きます。特に読者が急増した時などは、毎日のようにクレームが届きました。なかには、

わざと解約できないようにしているんですか

と怒気を含んだ声で電話をかけてきた女性もいました。

以後、メルマガの冒頭に「解除リンク」をおき、クリックすればすべてのデータを削除するようにプログラムを組み直しました。これを「サドンデスシステム」と呼んでいますが、変更して以後、5年間での解約クレームはゼロです。ちなみに、先ほどの女性は自分のメールアドレスを間違えて入力していたのが原因でした。

ビジネスと恋愛の関係

メルマガや会員登録をさせる目的は顧客(見込み客も含む)を囲い込むためです。ビジネスとは算数の世界で、顧客の数と売上は比例し、見込み客が購入する割合は、通りすがりの見知らぬ他人より高く、購入した客はもちろん、サイトや商品に興味を持って会員登録したユーザーを手放したくない気持ちはわかります。しかし、客のクビに縄をつけることはできません。そして最後の最後に悪い印象をつけると、それが「終生」のイメージとなり、再び顧客になることは期待できないでしょう。下手をすれば「風評」となり広がることもあります。

別れ際はスッキリと。これは恋愛と同じです。泣いてすがっても離れた気持ちをつなぐロープはなく、反対にきれいに別れれば、運命の女神がイタズラすることもあるのです。弊社のメルマガでは「出戻り組み」は少なくありません。

今回のポイント

別れ際にビジネス全体の印象が決まる

去る者は追わず、ひっぱらず

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