インタビュー

アドビはもうクリエイティブだけの会社じゃない オムニチュアがジョインした意味とその将来像

アドビがオンラインマーケティングのオムニチュアを買収した狙い、両社の統合によるメリットを聞いた

アドビ システムズ社がオンラインマーケティングのオムニチュアを買収した狙いはどこにあったのか。その目的や両社統合によるメリットについて、アドビ システムズ 株式会社 オムニチュア事業本部 本部長の尾辻マーカス氏に伺った。また、アドビの2011年 事業戦略説明会で代表取締役社長のクレイグ・ティーゲル氏が語った様子を伝える。

2月に提供開始された、アドビのレコメンデーションツール「Adobe Recommendations」に関するインタビューは「40種以上のアルゴリズムで顧客体験を最適化するレコメンドツール「Adobe Recommendations」/アドビ システムズ+オムニチュア」の記事へ。

TEXT:柏木恵子

制作から計測・分析、最適化までをシームレスに提供

編集部● オムニチュアがアドビ システムズに加わったことの目的や効果について教えてください。

アドビ システムズ株式会社 尾辻 マーカス氏
アドビ システムズ 株式会社
オムニチュア事業本部
本部長
尾辻 マーカス氏

尾辻● 2009年の10月に米国での買収が完了し、日本法人は2010年の3月からになりますので、ほぼ1年が経ちました。ここまでに達成できたこととして、Adobe Creative Suiteとの連携があります。たとえば、インハウスでクリエイティブの制作をしているような企業の場合、Dreamweaverを利用している会社が多いのですが、同じインターフェイスから一連の動作でTest&Targetを利用してターゲティング広告を打つことができます。クリエイターとマーケターの意識のすれ違いなどもなくなり、効率よく広告展開ができます。これはかなり高く評価されていて、新規契約にも結びついています。

もう1つの効果は、アドビの大きなエンジニアリングリソースを利用できることです。既存製品の足りないところも補ってもらえて、開発のスピードもクオリティも上がりました。Adobe Scene7もオムニチュアビジネスユニットの傘下に入っていまして、技術的な連携を進めています。

また、先ごろオーディエンス最適化技術を持つDemdex社を買収しました。最近では、これまでのインプレッションを買うという広告出稿からオーディエンスを買うという方向に広告主の要望が変化しています。たとえば「30代男性にこの広告を見せたい」というようなことです。そういった取り組みを可能にするのがDemdexの技術です。このような企業の買収を通じて、さらに精度の高いターゲティング広告を実現するというのが、今後の方向性です。CEOのシャンタヌ・ナラヤンもプレスに対して、これからも円満な買収によって会社を大きくし、特にOnline Marketing Suiteを強化していくと言っていますので期待しています。

編集部● これから先の展望としては、どんなことを考えていますか。

オンラインマーケティングの最適化、カスタマーエクスペリエンスマネジメント、コンテンツオーサリング
アドビがフォーカスする市場分野

もう少し先の展望としては、現在のOnline Marketing Suite製品群が連携しているのと同じようなレベルまで、他のビジネスユニット製品との連携を強化していきます。アドビがフォーカスする「コンテンツオーサリング」「オンラインマーケティング最適化」「カスタマーエクスペリエンスマネジメント」という3つの分野、それぞれ優れた製品ではありますが、他のビジネスユニットとの連携を今後していくことで、もっと優れたソリューションを提供できると考えています。Creative Suite製品群もそうですし、カスタマーエクスペリエンスの分野ではDay Softwareの製品(コンテンツ管理ソリューション)もあります。Day Softwareとオムニチュアの技術的相性も良いので、その連携も考えています。Day Softwareは日本法人がないので、日本でどう展開するかは検討中です。

最終的には、Creative Suite製品で作られた、さまざまなデバイスやプラットフォーム向けコンテンツに自動的にタグが入って分析データが集まり、コンテンツが自動的に最適化される世界をイメージしています。アドビ製品でHTML5向けコンテンツも作成できますし、Digital Publishing SuiteでiOSやAndroid向けの雑誌出版も可能になりました。Googleテレビなども重要なデバイスです。そういった多様なプラットフォームに、アドビ製品で作ったコンテンツやクリエイティブが配信・表示されます。それらのすべてを自動的に計測してレポーティングし、コンテンツが最適化されるという世界です。何年後ということはできませんが、すでにそれぞれのパーツはあるのですから、あとはそれをつなげていくだけです。

オムニチュア共同創業者のジャシュ ジェイムズがいつも言っていたのは、「マーケターがマーケティングできるようにテクノロジーを作っている」ということ。テクノロジー自体が目的ではなく、優れたマーケティング施策を実行するのが重要だということです。マーケターがこのような施策をやりたいと考えて実際にサイト上で実現するまでの道のりを、オムニチュアはかなり短縮しましたし安価にもしました。それをさらに簡単にできる仕組みを作っていきたいと考えています。

コミュニケーションの多様化とともに
オンラインマーケティング市場が大きく成長

アドビ システムズ株式会社 クレイグ・ティーゲル氏
アドビ システムズ 株式会社
代表取締役社長
クレイグ・ティーゲル氏

2月23日に開催されたアドビ システムズの2011年 事業戦略説明会では、アドビ システムズ日本法人の代表取締役社長 クレイグ・ティーゲル氏が、オンラインマーケティングの最適化を担うパートナーとしてアドビに加わったオムニチュアについて、「オムニチュアは当時からウェブ解析において世界のリーダーとされていた。アドビはクリエイティブツールでコンテンツの制作・配信をリードしており、2社が組むことによって、制作したものを分析し最適化することが可能になる」と話し、両社の統合のメリットを説明した。

2010年はオンラインマーケティングソリューションの導入が進み、多くの企業がウェブ解析だけではなく、最適化ソリューションも導入しているという。アドビのCreative Suite 5(CS5)とオムニチュアのOnline Marketing Suiteとの連携も進み、クリエイティブから解析までをシームレスに連携させる動きも加速している。また、アドビの2010年の売上高は38億米ドル(前年比29%増)に上るが、部門別ではデジタルエンタープライズとオムニチュアが大きく成長していることを話した。この傾向は2011年から2012年にも続くだろうと予測している。

さらにティーゲル氏は、タブレット端末など新しいデバイスが登場し、コミュニケーションの方法が多様化していることも、アドビにとって大きなチャンスだと話す。コミュニケーションが多様化するなか、Webを使ってマーケティング担当者はメッセージを配信し、効果測定を行っており、Webコンテンツの分析や最適化、パーソナライズの需要が高まっているためだ。また、2011年度の日本でのビジネス戦略として、今後さらにオンラインマーケティングの最適化分野で、オムニチュアのソリューションを既存顧客と潜在顧客にさらに広めていくことを伝えた。

アドビ システムズ 株式会社
  • 代表者:代表取締役社長 クレイグ ティーゲル (Craig Tegel)
  • 資本金:1億8,000万円(2010年9月30日現在)
  • 設立:1992年3月27日
  • 従業員数:260名(2010年9月30日現在)
  • 事業内容:コンピュータソフトウエアおよびサーバ・ソリューションの販売支援・マーケティングならびに製品サポート
  • URL:http://www.adobe.com/jp/
  • Adobe Recommendations
  • Adobe Online Marketing Suite
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