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Adobe CQを中心としたクリエイティブとマーケのワークフロー統合にアドビの未来が見えた/Adobe Digital Marketing Summit 2012レポート

イベントから見えてきた、アドビが目指すマーケティングプラットフォームの本当の姿とは?

デジタルマーケティングに関する大規模イベント「アドビ デジタル マーケティング サミット」のレポート第1弾をお届けする。
SiteCatalystでおなじみアドビ システムズが米国ユタ州で開催したイベントで、日本からも大勢が参加した、デジタルマーケティングの最先端が語られるイベントだ。

この記事では……(クリックすると各項目にページ内ジャンプ)

開催、Adobe Digital Marketing Summit 2012

世界最大級のデジタルマーケティングイベント「Adobe Digital Marketing Summit 2012」が、3月20日から23日まで4日間にわたり、米国ユタ州のソルトレイクシティで開催された。

これまで「Omniture Summit」として開催されていたものが今回から「Adobe Digital Marketing Summit」と名称を改めたこのサミットには、37か国から4000名を超える顧客企業担当者やWebエキスパートらが参加した。日本語でのイベント案内や日本語での同時通訳が用意されていたこともあり、日本からも70名近くが参加し、自社やクライアント企業のデジタルマーケティング推進に活かすべく情報収集に余念のない様子が見られた。

筆者は、アドビ システムズ社の招待を受け、昨年に引き続き2回目の参加となるが、前回以上に同社が推進するデジタルマーケティングソリューションへの注目度の高まりを感じた。

会場は、ソルトレイクシティの「Salt Palace Convention Center」。

サミットはセミナーに加えて展示会も併設されており、パートナーブースでは、EメールやクロスチャネルマーケティングソリューションベンダーであるResponsysやExactTaregt、CQをクラウドサービスで提供するCITYTECHなど、前回の2倍となる54社が出展。同社のソリューションを中核とするデジタルマーケティングのエコシステムは着実に広がっているようだ。

パートナーブース

この他にも、AOLハフィントン・ポスト・メディア・グループの社長兼編集主幹として有名なアリアナ・ハフィントン氏やTwitterの共同創業者であるビズ・ストーンら著名人を招いた「パネルディスカッション」や、多岐にわたる領域の顧客事例やベストプラクティスを紹介する「分科会」が多数開催され、参加者にとって実に濃密な数日間だったといえるだろう。

アリアナ・ハフィントン氏
ビズ・ストーン氏(左)

「レリバンシー」の高い「パーソナルな体験の提供」のための
「データ」「コンテンツ」「最適化」

21日に行われたオープニングジェネラルセッションでは、米アドビ システムズ社のブラッド・レンチャー氏(デジタルマーケティングビジネスユニット担当上級副社長 兼 ゼネラルマネージャー)が登壇し、現在のデジタルマーケティングを考える上で重要となる2つのキーワードを提示した。次の2つだ。

  • デジタルセルフ(digital self)
  • パーソナルな体験(personalized experience)

まずは「デジタルセルフ」だ。レンチャー氏は、自身のデジタルライフを例に挙げながら、

  • LinkedInでは、自分のプロフェッショナルネットワークのつながりがわかる
  • Facebookでは、家族構成や既婚であることなどのプライベート情報が示される
  • Garminでは、サイクリングの行動情報がわかる
  • 音楽のストリーミング配信サービスであるspotifyでは、どのようなジャンルに興味があるかだけでなく、聴いている音楽をもとにそのときの気分や感情などもわかる

といったように、現代は、このようなオンライン上のデジタルデータがその人自身を表す時代、すなわち「デジタルセルフの時代」であると語る。いわゆるビッグデータ時代におけるデータの爆発的な増大とは、個々人を表すデータの増大を意味しているといってもいいだろう。

レンチャー氏のデジタルセルフ

「デジタルセルフ」は決して目新しいワードではないのだが、レンチャー氏のいうデジタルセルフは、一般的にいわれるものとは少し観点が違う。

ソーシャルメディアの台頭と日常生活への浸透により、デジタルセルフが一般的にはソーシャルメディア上での振る舞いという観点から語られることが多いのに対して、ここでいうデジタルセルフはデジタル化された行動をも対象としている点(先に紹介したレンチャー氏のデジタルライフにもあったように)が大きく異なる。

2つ目のキーワードであるパーソナルな体験については、デジタルセルフよりもはるか昔から用いられてきた言葉であり、「パーソナルな体験を実現しようとする試みはこれまでにもあったが、以前と異なるのは現在は消費者自身がそれを望んでいるという点」とレンチャー氏は消費者側の意識の変化を指摘した。

「デジタルセルフ」と「パーソナルな体験」は一見すると相互に関係のない2つの動きのように思えるが、デジタルマーケティングを実施する企業側の視点に立てば、デジタルセルフの潮流がパーソナルな体験の提供を可能にする土台になるといえる。

「パーソナルな体験の提供」とは、単に個々人に異なるコンテンツを表示するといった表層的なこと意味するわけでは決してない。重要なのは「レリバンシー」(関連性)である

このようなレリバンシーの高いコンテンツを通じたよりよい体験の提供にあたり、レンチャー氏は「データ」「コンテンツ」「最適化」という3つの要素の役割を次のように説明した。

  • コンテンツ ―― 人々に行動を起こさせるもの、よい体験を与えるもの

  • 最適化 ―― それぞれの人にレリバンシーのあるコンテンツを提供すること、すなわちパーソナルな体験の提供

  • データ ―― 最適化を可能にするもの

「アクショナブル」なデータを「リアルタイム」に

そのうえで、個々人への最適なコンテンツの提供を通じより良い体験を与えるためには、「データを“アカデミック(学術的)なもの”から“アクショナブル(行動できる)なもの”へ転換すること」が不可欠であり、さらに「デジタルマーケティングには新しいテクノロジーが必要だ。リアルタイムアナリティクスが重要な鍵を握る」と、データ分析におけるリアルタイム性を強調した。

さらに、ビジュアル化されたダッシュボードによって状況や結果をすばやく把握することや、どのようなコンテンツをどのような人に提供し、その成果をどのようにデータで測定するかをデジタルマーケター自身が行えるような操作の容易性についても言及した。

ちなみに、レンチャー氏に続いて登壇した社長兼CEOのシャンタヌ・ナラヤン氏も、アクショナブルなデジタルマーケティングという点でビジュアライズされたダッシュボードの重要性を指摘していた。この記事の冒頭で触れたサミット会場のパートナーブースを見てもダッシュボード関連の企業が見当たらなかったのは、アドビ自身がダッシュボード機能の大幅な強化に力を入れている点を裏付けるものだろう。

このように、デジタルマーケターにデータをアクションへつなげていく力を与えることこそが、同社の展開するデジタルマーケティングソリューションの根底にある考えであると捉えて間違いない。

アドビ プラットフォームの要となる
ウェブエクスペリエンスマネジメント製品「Adobe CQ」に注目

アドビ システムズ社の強みや市場での目指すポジショニングは何なのだろうか。マーケターの方々は、旧オムニチュア製品であるSiteCatalystを中心とするDigital Marketing Suite製品群の統合ソリューションだと思いがちだろう。イベントの名称が「Adobe Digital Marketing Summit」だということも考えると、なおさらだ。

しかし、実はそうではないことが今回のサミットでよくわかった。「コンテンツ制作」から「最適なオーディエンスへの配信」「データの測定」さらには「予測を基にした施策の実行」までを含む、企業のデジタルマーケティング活動全体を、PC・モバイル・タブレット・アプリなどのさまざまなデバイス・タッチポイントにわたり可能とする統合プラットフォームこそが同社の描くビジョンである。そうしたことを実現するのが、コンテンツ制作側のCreative Suiteとデータ分析を基盤とするDigital Marketing Suiteのシームレスな連携なのだ。レンチャー氏の言葉を借りるならば、まさに「CMO向けのプラットフォーム」である。

そしてこの2つのSuiteを橋渡しする中核となるのが、同社がウェブエクスペリエンスマネジメント製品(WEM)と呼ぶ新たなプロダクト「Adobe CQ」である。

CQを単なるCMS(コンテンツ管理システム)だと誤解されている向きもあるかもしれないが、上記の理由から筆者はサミットへの参加前よりプラットフォームとしてのCQに非常に注目していた。事実、ジェネラルセッション終了後に報道陣向けに行われたアドビ エグゼクティブQ&Aパネルでも、レンチャー氏は「Adobe CQを中心としたクリエイティブとマーケティングのワークフローの統合に投資をしてきた」と改めて強調しており、同社の統合ソリューションにおけるCQの位置づけがいかに重要であるかが伺える。

現在はアドビのマーケティング製品群というと、中心となるSiteCatalystをTest&TargetやSearchCenter+、Discoverなどの製品と組み合わせて活用するイメージが強いだろう。しかし、ここまでで紹介してきたように、同社の目指す統合プラットフォームという観点に立てば、中心をなすのはCQであり、SiteCatalystはこのプラットフォームを最大限に機能させるための「データ」という燃料を送り込む役割を担うものになる。

しかしながら、「統合」という言葉でさえ、同社の描くビジョンから考えると、実は正しい表現ではない。そのことを端的に示していたのが、ジェネラルセッションの最後に登壇したCTOのケビン・リンチ氏によるデモンストレーションである。

リンチ氏によるデモンストレーション

これは現在開発中のソリューションの一端を垣間見せるもので、あるキャンペーンサイトの公開から効果測定までを例に挙げ、コンテンツ制作からデータ測定、さらにシミュレーションによる施策の支援、チーム内での結果の共有といった一連のワークフローをシームレスに行うものであった。そこには個々の製品をどのように組み合わせるのかという説明は1つもない。なぜなら、製品を単体で利用するのでも、複数の製品を連携・統合して活用するのでもなく、個々の役割を担う機能を備えた1つのデジタルマーケティングプラットフォーム、そしてこれをクラウドサービスとして提供することが同社が描いているビジョンだからである。

サミットでは、この他にも、「予測分析」(Predictive Analytics)や従来のAdobe SocialAnalyticsとContext Optionalの機能を統合した新製品「Adobe Social」、さらにメジャーバージョンアップによりユーザーレベルでの分析機能を一層強化した「Adobe Discover3.0」など注目の発表が行われた。これらについても順次紹介していく。

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