SiteCatalystよりも多面的&深くデータを掘り下げられる「Discover」がセッション越えユーザー単位分析「Cross-Visit」でさらに強力に/サミットレポート
上位版の行動データ分析ツール「Discover」
サミット開催中には、統合スイートである「Adobe Digital Marketing Suite」のなかでオンライン行動データ分析ツールの上位版である「Adobe Discover(ディスカバー)」のメジャーバージョンアップが発表され、新機能「Cross-Visit」に注目が集まっていた。
サミット会場でアメリカの企業担当者と話をしていても、Discoverは当然のように利用されており、中にはWebアナリストだけでなく担当副社長が自ら利用している企業もあるほどだ。
今回のバージョンアップではユーザーインターフェイスも一新されている。これまでのオムニチュア製品としてのDiscoverからアドビ製品として新しく生まれ変わったといってもいいだろう。日本語のローカライズも進んでおり、4月下旬には世界で同時にリリースされる予定である。
リリースに先立ち、カスタマー・アナリティクスのグループプロダクトマネージャーであるティム・ロット氏とシニアソフトウェアエンジニアであるカイル・スミス氏にDiscover 3.0の新機能について話を伺った。
まず、インターフェイスだが、従来のものからAdobe Insightのような色調に変わっている。これはSiteCatalystとは異なり「Discoverでは長時間使用することが多い点を踏まえ、目への負担を軽減するための配慮
」だという。
ただし、メニューやワークスペースなどのレイアウトはほぼ従来通りであり、現バージョンを利用しているユーザーも、とまどうことなく使い始めることができるようになっている。
SiteCatalystよりも多面的にクロス&ドリルダウンできるDiscover
Discoverの新機能を紹介する前に、DiscoverとSiteCatalystとの違いについて簡単に触れておこう。
SiteCatalystではバージョン15からセグメントの作成や変数同士のクロス分析がデフォルトで可能になっている。これにより、Discoverをご存知ない方には両ツールの違いがわかりにくいかもしれない。
SiteCatalystでもクロス分析が可能ではあるが、2つの変数に限定されているため多面的にデータを把握するのには向いていない。一方Discoverでは、複数のデータを自由にクロスしてドリルダウンできる。これにより、たとえば、
B2Bサイトで特定の商材の資料請求を行ったユーザーに絞り込んだうえで、
それらのユーザーが
・いつ(時間帯も含め)
・どこから(どのようなキーワードで)
・どのページに流入し・
・何を閲覧したうえで
・最終的にどこから離脱しているのか
・トータルでどの程度サイトに滞在していたのか
・何回目の訪問であったのか
といった一連の流れをドリルダウンしながら簡単に調べられる。さらに会員IDなどで特定したうえで、資料請求時だけでなく過去における一連の訪問についても同様のデータを抽出し、資料請求にいたるまでの流れを把握することも可能だ。
この他にも、各会員の属性データ(業種業態、年商、役職など)と組み合わせることで、対象セグメントに限定した行動データを抽出したり、過去に資料請求した商材をもとに商材同士の関連性を属性別に見たりといった用途にも使える。
ECサイトであれば、検索キーワードのランクレポートに初回訪問者、複数回目の訪問者、購入者といった各セグメントを横並びで表示し、それぞれのセグメントにおける各キーワードの利用割合を比較することで、たとえば「初回訪問では周辺キーワードの割合が多く、来訪回数が増えるにつれ社名やブランド名での割合が増加している」といった傾向も俯瞰してみることができる。
また同様にECサイトで、ユーザーレベルでのセグメントを適用したうえで、特集ページで掲載している商品ごとに会員ランク別の購入金額を並列することで、トータルでの商品売上に対する特集ページの販売効果を会員ランク別に見ることもできる。
SiteCatalystでは、資料請求や会員登録、申し込みなどの指標となる対象を「event変数」であらかじめ設定しておく必要があるが、Discoverでは(条件にもよるが)セグメント機能を利用して後から指標として追加し、過去にさかのぼって効果を確認することも手軽にできる。
主要なKPIでない限り、事前に見るべきデータをすべて設定しておくというのは現実的ではなく、データを調べているなかで新たな発見や気づきを得て、そこから別の切り口で見る必要がでてくるというのが一般的だろう。Discoverでは、このように後からデータを多面的に、そしてその場で分析できる点が大きな強みだ。
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