ソーシャルリスニング (傾聴) “いろは” の “い” ~御社と顧客の関係をより良くする方法の基本
あなたも、こんな投稿をTwitterなどで目にしたことが何度もあるのではないでしょうか。
最近●●の不具合が多い…
電波わるすぎて家んなかじゃ電話できない。
不在着信しかこないよ~( ; ; )もう●●( *`ω´)」
○○って喫茶店にいる。安い割に味はそこそこ。
つーか、●●や▲▲が不味すぎるんだよ
これは、ある企業や店舗の商品に関して、実際に消費者が投稿しているコメントです。「●●」や「▲▲」には企業名や商品名が入っています。
こういったクチコミは、ソーシャルメディアが普及する前から、リアルの生活の場でもよくされていました。それが今や、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアの台頭により、一人ひとりの「不満」「クレーム」が視覚化され、拡散し、多くの消費者の目に触れるようになりました。
現在、こういったソーシャルメディア上のクチコミを分析し、企業のマーケティングやサポートに活かそうという動きが注目されています。それが、「ソーシャルリスニング(傾聴)」と呼ばれるものです。
ソーシャルリスニング(傾聴)とは?
ソーシャルリスニングとは、名前の通りユーザーの声に耳を傾ける(リッスンする)ために、ソーシャルメディアへの投稿を調べようという試みです。
ただ、単にソーシャルメディアの画面で眺めるだけでは関係のない情報も大量に流れていきますから、さまざまな方法で自社に関係する投稿を抽出し、それを分析することが必要になります。
古くは掲示板の投稿からブログの記事を分析するサービスがありましたが、今ではより多くの人がTwitterやFacebookなどで気軽に思ったことを書き綴るようになっていますので、そうしたソーシャルメディアサービスでの投稿を分析するサービスを提供する企業も増えてきています。
さて、「投稿を調べる」といっても、さまざまな情報があるので、そこからどんな情報を得て、何に役立てればいいのでしょうか? ソーシャルリスニングにはさまざまな目的がありますが、主だったところでは以下の5つが有効でしょう。
ソーシャルリスニングの目的
- 顧客の離脱を防ぐ
- 意図しない悪い噂の拡散を防ぐ
- 商品開発やプロモーションの切り口に活かす
- プロモーションを促進する
- プロモーションの効果測定をする
「ソーシャルメディア『リスニング(傾聴)』 ~“ソーシャルメディア”との連携で何が変わる? ベールを脱いだ、実力者たちの戦略は?」と題したセミナーが4月22日(日)に開催されます。筆者もそこで講演し、こうしたことを説明する予定ですが、ここでは簡単に、ソーシャルリスニングの目的「1」~「3」について、簡単に紹介します。
ソーシャルリスニング3つの目的
1. 顧客の離脱を防ぐ
御社の製品やサービスに関して、冒頭で紹介した「不満」「クレーム」のような投稿があった場合、その投稿をした顧客が商品やサービスに満足していないということです。
その不満を直接企業に伝えてもらえれば、何らかの形でフォローできます。しかし、直接クレームを伝えるということはせず、友人やソーシャルメディア上で不満を述べる人は多いものです。そのままであれば、その顧客は不満を抱いたままになり、二度と購入(来店)してくれないでしょう。
しかし、不満を感じた人をソーシャルメディア上で見つけて、的確なサポートをすれば、不満を解消できる場合が多いのも事実です。
そこで、ソーシャルメディア上で顧客の声に耳を傾け、直接は伝わってこない顧客の不満を見つけ、(ソーシャルメディアを通じて)その不満を解消すれば、その顧客の離脱を防ぐことができるのです*注1。
実際に対応する際には、実際に商品に欠陥があったりサービスに問題があったりした場合には、真摯な姿勢で謝罪をするべきでしょう。しかし、実際には消費者側に使い方などの認識に誤りがあるために不満につながっている場合もあります。そういった場合には、正しい使い方を連絡するなどします。
もちろん全員の不満が解消される訳ではありませんが、不満に対して企業が自ら連絡してくれることにより、不満が嬉しさ・感動に変わり、高ロイヤリティユーザーへと転換するきっかけになることもあります。
何よりも、傾聴していなければ不満を抱えたままになり、継続利用に至らなかったであろう消費者の意識や態度を変容させ、つなぎとめておけることが重要です。
みなさんのビジネスの顧客継続率はどの程度でしょうか?
継続に至らない理由はどういったものでしょうか?
それは不満を汲み取って解決差し上げれば解消できたものではないでしょうか?
2. 意図しない悪い噂の拡散を防ぐ
顧客の抱いた不満の声がソーシャルメディア上で投稿された場合、その情報はフォロワー・友達に伝わり、またさらにその先のフォロワー・友達へと拡散されていく可能性があります。
「1.」で紹介したように、不満の声を見つけてサポートしていくことにより、不満の声が拡散される可能性を低めることができます。また、仮にフォロワー・友達に誤った情報が拡散してしまっているようであれば、直接メンション(Twitterでの連絡方法の1つ)で連絡していくことにより、一人ひとりに誤解を解いていくこともできます。
また、消費者の誤解ではなく、製品の不具合であったり、会社として明らかにやってはいけないことをやってしまっていることに気付けば、会社発信で早期に製品回収の動きに入ったり、会社発信で謝罪のリリースを打ったりすることもできます。
何もしなければ、企業側が気づくこともなく悪い情報が流布してしまうかもしれないところを、ソーシャルメディアの情報を調べて対応することで防ぐことができるのです。
3. 商品開発やプロモーションの切り口に活かす
ソーシャルメディアに携わる人のなかでは有名な『グランズウェル』という書籍をご存じでしょうか?
ソーシャルメディアの企業戦略に関する名著で、日本でも多くのソーシャルメディア担当者に読まれている書籍ですが、その中で次のように書かれている部分があります。
すでに、顧客は問題点と修正方法の両方を知っており、商品開発担当者や経営陣が考えたこともないようなアイデアを持っている。
製品やサービスの問題点や改良すべき点をいちばんよく知っているのは、実際に製品やサービスを利用している当事者である顧客です。
ソーシャルメディア上に投稿されている「不満」「使ってみた感想」「友達に薦めている声」といった声に耳を傾けることで、どんな製品であっても、改善に活かせるアイデアを得られるのではないでしょうか?
「我が社では、既存ユーザーに対するアンケートやヒアリングにより、問題点やニーズを調べている」という企業も多いでしょう。しかし、そうした「企業に聞かれて答える」意見とは異なる、だれのためでもない「生の声」を調べられるのが、ソーシャルリスニングの魅力なのです。
ソーシャルリスニング、何から始めれば良いの?
実際にソーシャルリスニングを行おうといった場合に、どのように始めるかは、会社によってさまざまです。
基本的には、ソーシャルリスニングのための何らかのツールやサービスを利用するのが良いのですが、無料ツールも有料ツールもあります。また、コンサルティングや業務自体のアウトソースを請け負う企業もあります。
予算がある場合は専門家の助けを借りるのがいいのですが、「まずは予算をかけずに」ということが多いでしょう。その場合、自社のブランド関連の用語(社名、製品名、店舗名など)をTwitterやFacebookで検索して調べてみるのがいいでしょう。
どんなキーワードで検索するのがいいのかがわかったら、次は、その検索結果をRSSリーダーなどで定期的にチェックできるようにしておくといいでしょう。検索するキーワード数が多い場合などは、Web担当者Forumの編集部ブログで解説されていたような方法(以下のリンクを参照)を使うと、チェックが楽になります。
また、手前味噌になりますが、筆者の所属するガイアックスでも、Facebook内での傾聴に利用できる「Fantastics」というツールも提供していますので、紹介しておきます。
ソーシャルメディア「リスニング(傾聴)」のセミナーを開催します(4/22)
冒頭でも紹介しましたが、4月22日にソーシャルリスニング(傾聴)をテーマにしたセミナーを開催します。
ソーシャルリスニングの考え方や利用できるツール、さらに実際に行う場合の業務の流れなど解説する内容です。
セミナーでは、筆者(ガイアックスの井出)のほか、マーケティングリサーチの第一人者である萩原 雅之氏(トランスコスモス)がマーケティング観点からの傾聴について解説し、さらに、話題を集めた書籍 『ソーシャルメディア進化論』 の筆者である武田 隆氏(エイベック研究所)が16年300社の成功事例を紹介し、具体的な施策について解説します。
ソーシャルリスニングに興味をもち、これから始めてみようという方、ぜひセミナーにご来場ください。
イベント名 | [SwapSkillsDoubbble(4)] “ソーシャルメディア”との連携で何が変わる? ベールを脱いだ、実力者たちの戦略は? ソーシャルメディアを利用したコミュニケーション 「リスニング(傾聴)」 |
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開催日時 | 4月22日(日)13:20 ~ 17:00 |
主催 | allWebクリエイター塾 |
共催 | Web担当者Forum |
参加費 | 6,600円 |
詳細/お申込み | http://swapskills.info/doubbble/04.html |
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