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さて、平日・休日にATMで振り込みが出来るかどうか、また夜に利用した時のATM手数料はいくらなのかなどは、どこを見れば書いてあるのだろうか。図6の店舗案内のページをよく読むと、「ATM営業時間」の注記に、これらの情報は「ATMのサービス内容」に書いてあることが、小さく表示されている。これは気が付きにくいだろうし、せっかく書いてあるのに、文中の「ATMのサービス内容」というテキストから、リンクが張られていないというのも問題だ。

図6(再掲):店舗案内のページ
図6(再掲):店舗案内のページ

さらに「ATMのサービス内容」というページがどこにあるかというと、これは「国内店舗・ATMのご案内」ページ(図3)の右上の「ATMのサービス内容」というテキストリンクに気が付かないとアクセスできない。ページ内の他のテキストリンクが青文字に下線付きであるのに対し、この「ATMのサービス内容」は下線が付いていない。このページに来たユーザーが、ざっとページを見回しただけで、これがリンクであることには気付きにくいだろう。みなさんは気付いただろうか?

図3(再掲):「国内店舗・ATMのご案内」
図3(再掲):「国内店舗・ATMのご案内

休日に振り込みができるかどうかは「ATMのサービス内容」ページで確認できたとする。次は、ATMの利用手数料や振込手数料を調べたいが、これらを調べるには、いったんトップページまで戻らないといけない。トップページの左上の部分の「手数料一覧」をクリックすると図7のページが新しいウィンドウで開く。

図7:手数料一覧のページ
図7:手数料一覧のページ

「振込手数料」や「当行ATM利用手数料」のリンクでそれぞれの手数料を確認することができる。しかし「当行ATM利用手数料」のページから、「ATMのサービス内容」へのリンクはなく、また逆も同様。それぞれが袋小路になっている。

図8:「店舗・ATMの詳細」「手数料一覧」「ATMのサービス内容」それぞれのページには相互のリンクがない
図8:「店舗・ATMの詳細」「手数料一覧」「ATMのサービス内容」それぞれのページには相互のリンクがない

確かに、銀行のサービスは多岐にわたり、これらをWebサイト内で網羅的に結びつけるのは困難だと思う。保険と同じで、ただし書きや注釈も多くなり、相当記述が細かくなることは致し方ない。「三菱東京UFJ銀行」のWebサイトは、その範囲内でかなりよい使い勝手になっているとは思うが、ユーザーが使いそうな重要なリンクは目立たせるなり、相互リンクを充実させるなどもう少し工夫の余地はありそうだ

今回のまとめ:アクセス解析で数字はどう読む?

では、今回コメントした範囲で、アクセス解析的にはどういうところに着目して数字を見たらよいだろうか。

  1. 「国内店舗・ATMのご案内」ページの利用検索機能の割合

    国内店舗・ATMのご案内」ページの次に見られたページのデータ、あるいはクリックしている箇所を確認することのできるツールなどを利用して、実際に利用されている検索方法はどれが多いのか少ないのかを確認し、あまり使われていない検索方法に関しては少し整理してもよいだろう。選択肢が少ないのも問題だが、あまり選択肢を多くする必要もないだろう。

  2. 「国内店舗・ATMのご案内」ページのATMサービス内容の発見率

    またこのページで、重要なもう1つの機能である「ATMサービス内容」の存在感のなさが気になるので、こちらはアクセス解析というよりも、現在のページとは別にATMサービス内容へのリンクを目立たせるテストページを作り、ここをクリックした人のセッション(訪問)あたりのページビュー数を比較してみるとよいだろう。ページビュー数が多ければ、目的ページへまでの到達に迂回が多いという想定で考えてみるとよい。

まとめると、以下のような視点となろう。

  • 横スクロールのナビゲーションは避けること
  • 使う検索機能の絞り込みが可能かどうか
  • 相互リンク不足解消のためにできることはないか

この記事では、サイト訪問ユーザーのごく一部の目的だけを取り上げたが、実際のユーザーの訪問理由は多岐にわたることが予想されるので、個人向けや企業向けといったコンテンツ別にセグメント分けしてから数字を見るようにした方がよいだろう。つまりコンテンツ別にURLも構造化して作り込まれていることがアクセス解析をする上でも望ましい。情報構造がきれいであれば、ユーザーにもアクセス解析にも優しいことが多い。

そして通常コンテンツに関する改善活動のため、実際は利用頻度、あるいはページビュー数の多いコンテンツから、上記のようなユーザーのよくある訪問理由の上位をピックアップし、同じような視点でサイトをめぐってみて、ユーザーがどこで立ち止まっているのかなどの仮説を立ててから、具体的な数字を見ていくということが重要だ。つまりプライオリティ付けである。闇雲にすべての利用目的に沿ってサイト改善を考えるのは効率的ではない。

◇◇◇

さてこの連載では、

  • Webサイトのオーナーか管理者の方からの「かってに解析」してほしいリクエスト
  • 「かってに解析」されたサイト運営者・管理者の方からの異論や反論

などを随時募集していきたいと考えている。希望者は、(web-tan@impressrd.jp)までお寄せいただきたい。

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