企業ホームページ運営の心得

マニフェストは嘘なのか。新規事業の公開原則

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の百十弐

不況・不景気の定番

新人教育のイメージ画像

自社だけが業績不振で食うや食わずに追い込まれているなら悲嘆するのもわかりますが、全体がそうならばこれも「ブーム」と面白がるのも一興です。ところが街角からは溜息ばかりが漏れてきます。しかし、具体的な数字を尋ねると横ばいや微減の企業も多く、「溜息ブーム」に横並びを好む日本人的性質が見え隠れします。

溜息ブームだけでなく不況になると「新規事業」に着手する企業が増加します。溜息より建設的で、どうせブームに乗るならこちらがオススメです。そこで活躍するのがホームページなのですが……新規事業をホームページに公開しようとすると「何を掲載するか」「どこまで公開するか」という議題で日本人らしさが発揮されます。

瞬時になかったことにできる

新規事業をホームページで公開するメリットは数知れません。チラシやパンフレットを作成するのと比較して安価ですし、新規事業には未確定要素が多くフレキシブルに変更できるのもホームページの魅力です。予算を切り詰めたいのであれば「無料ブログ」に専用サイトを作る方法もアリます。さらに印刷物は「証拠」として残りますが、ホームページは瞬時に「なかったこと」にでき撤退コストもわずかです(最近はキャッシュで残りますが)。

実績のある事業ならそれを紹介することで客の信頼を得ることができますが、新規事業にはありません。新規事業をホームページで公開する魅力は「取引先が見ている」ことです。取引先=客はサイトの常連です。「取引実績」は「信頼」と等価ですから新規事業の見込み客として期待できるということです。

嘘かそれとも公約か

新規事業として掲載する内容の多くは「ない」ものです。ここで「リスクを嫌う」という日本人らしさが首をもたげ会議を仕切ります。

「ないものは公開しない」

会議室では「たら、れば」のリスクが並べられ具体的な記述や表現が削られます。会議では事業計画などの資料を見比べながら削っていくので、会議の参加者はそれでも意味が通じると考えます。しかし、ベースとなる資料を見たことがない「客」には理解不能で、「何を伝えたいのかわからないコンテンツ」ができあがります。

これを打破するのに参考となるのがマニフェスト(政権公約)です。マニフェストとは政党にとっての「新規事業」が記されており、実現性は棚上げにされたまま景気の良い数字が踊ります。堂々と大風呂敷を広げている様を知れば、わずかなリスクを怖れて萎縮することが馬鹿らしくなることでしょう。お気づきの方も多いでしょうが、この一節はアイロニーを多量に含んでおります。

マジでソンする中小企業

嘘をつけとはいいません。しかしリスクを怖れてばかりいては不況に押しつぶされます。そして正直であることと事実を羅列するのは別次元の話です。ホームページは営業日報や観察日記ではなく、お客様にメッセージを届けると考えれば「広告的要素」は欠かせません。

みたこともない、画期的な、まったく新しい。

新商品のキャッチコピーでよく使われるこれらの言葉に論拠や根拠がないことは多く、つまりは思っただけの言葉に過ぎません。また、保険会社のCMには「ナンバーワン」が溢れています。「通販型自動車保険」「癌保険契約数」「顧客満足度」とそれぞれの保険会社はセグメントの中で「1番」と宣言しているのです。

広告に不慣れな企業では「安い」という表現にすら「弊社より安い会社がある」と及び腰になります。高い安いは「基準」で異なり、松阪牛に比べればオージービーフは安くてもブラジル産の鶏肉よりは高額です。「業界最安値」という表現ではない「安い」は主観と客観の間にあるのです。

正直であることと「伝える努力」を放棄することは別物です。

ライバルはリアルタイムでパクれない

どこまで公開するかという問いには「全部」と答えます。原価を公表しろとはいいませんが、サービスの内容や商品のスペックを隠してはなりません。会議室でのメモ書きも公開するぐらいで丁度です。新規事業は客にとっても未体験のサービスです。どれだけ言葉を尽くしてもすべてを伝えるのは困難で、出し惜しみして客に理解しろというのは傲慢です。

同業他社に企画を盗まれるという懸念は杞憂に過ぎません。理由は2つ。他者の企画を盗む企業は効率よく「成功」を欲しいので、軌道に乗った(利益が出た)という情報を得るまでは動きません。もう1つは、よく練られた新規事業も「未完成の要素」が多く、実業務を通じて肉付けされていくからです。仮に盗んだとしても、ライバル企業は同じ苦労を背負わなければならず、盗んで理を得ようとする彼らは苦労を嫌い前述の理由に帰結します。もちろん、軌道に乗れば「パクる」ことでしょうが、そのときは「先行者利益」を使って逃げ切りを計るのが定石です。

机上の空論より目先の売り上げ

ある建設会社社長は「下請け専門事業」を思いつきコンテンツとして公開すると、大型分譲の現場で旧知の親方が声をかけてきました。建設不況から職人を抱えておく仕事量はないが、大きな仕事が入ったので依頼したいといいます。もちろん、ホームページを見て声をかけてきました。

三部作の教育シリーズで少し触れましたが、新規事業には「無理解」という社内の敵もあります。彼らを黙らせるのは簡単です。売り上げを立てることです。もともと人材流動性のある建築業界で「下請け専門」の需要を社内から疑問視する声もありましたが、結果が雄弁に語ります。どれだけ美しい経営理論も売上伝票の敵ではありません。アイデアは公開することで輝きを放ちます。その輝きに引かれて社外から味方が現れます。

日本人は生真面目で周囲の目を気にする……本当でしょうか?

今年の暮れにNHKドラマとなる「坂の上の雲」の舞台である明治期を調べると「まずはやってみる」という日本人に多く出会います。新規事業もまずはやってみることから始まります。ちなみに「新規事業」を考えるにはコツがあります……が、これはまた別の機会に。

♪今回のポイント

新規事業にホームページは最適。

公開することで道は開ける。経験上かなりの確率で。

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