SEOは、大手ブランドのサイトの開発者がこなすべきたくさんの仕事の1つとなっているけれど、まともな配慮が向けられているとはとても思えない例が往々にしてある。
SEO業界の人間なら、クローリングとランキングに関する検索エンジンのガイドラインを無視したら損だってわかっているけれど、フォーチュン1000に入るような企業では、SEOの価値を信じていない人が山ほどいる。というわけで、よくあるSEOの間違いを改めて取り上げてみてもいい時期なんじゃないかな。
- スパイダーに配慮していないナビゲーション
スパイダーに配慮していないせいでクロールしてもらえず、損しているサイトがたくさんある。たとえば、
- Flashを使ったリンク
- JavaScriptによるリンク
- ドロップダウンリスト
- 検索ボックスのインターフェイス
などだ。
- 関連キーワードへの無関心
フォーチュン500企業のうち、キーワードの調査とターゲティングを正しく実行しているところは、わずか数十社足らずだろうと僕はみている。そのほかの企業は、ページコンテンツやタイトルタグを「クリエイティブな広告ライター」に任せきりにしているはずだ。
- Flashや画像をメインにしたコンテンツ
ナビゲーションだけにとどまらず、検索エンジンにとって最も重要であるコンテンツまでもが、何とも残念なことに、スパイダーには読み取れないファイルに隠されている。何年も前から、「いずれFlashコンテンツを検索エンジンがクロールできるようになる(または、画像内のテキストを読めるようになる)」という期待が語られているけれど、ちゃんと実現するのはまだ遠い先のことのようだ。
- URL正規化の問題
「印刷用ページ」があったり、同じページなのにナビゲーション経路によって異なるURLになったり、あるいは、昔ながらの厄介な重複コンテンツ問題が存在したりする場合、「正規のコンテンツ」に対する評価が低くなる。
- コンテンツの配信と提携
自社サイトにおけるURL正規化の問題に加え、大手のウェブコンテンツ所有者は、数十(ときには数百)ものサイトとライセンス契約を結んでコンテンツを提供していることが多い。影響力の強い大手サイト6か所にそれぞれ同じコンテンツがある状態は、自社サイト内に6つの重複コンテンツを抱え込んでいる状態よりもダメージの大きいことがあり得る。
- CookieやセッションIDがないと閲覧できないページ
コンテンツへのアクセスに関して、スパイダーに配慮したシステムを構築していない大手サイトは、トラブルを招くことになる。たとえスパイダーでもCookieがなければコンテンツにアクセスできないような構造になっていると、本来なら自分が獲得できるはずのトラフィックが別の誰かのところに行ってしまう。
- コンテンツへの制限付きアクセス
ニューヨークタイムズ、エコノミスト、Salon.comは、競合サイトのリンク人気が自分たちよりも上昇しているのにまったく気付いていない。スパイダーがアクセスできるようにしてあっても、有料会員でなければ見られないようなページにわざわざリンクを張ろうという訪問者はまずいない。
- 複数サイトの作成
大企業は、自社ドメイン名の下で直接プロジェクトを立ち上げるより、広告代理店がキャンペーンスローガンを変えるたびに新しいドメイン名でサイトを立ち上げる方が偉いと思っているようだ。サンドボックス効果という言葉を聞いたことがないんだろう。
この間のPubConのイベントで、とても興味をそそられる肩書きの持ち主に出会ったんだ。「サーチ・プロキシ・アーキテクト」っていうんだけど、人気のない有名ブランドのサイトに手を加えて、検索エンジンがクロールしたりインデックス化したりできるような代わりのページを作るという仕事だ。これは基本的に、検索エンジンが許容するようなクローキングの発展形だ。検索エンジンだって、こういったサイトのコンテンツをインデックスから排除するより、クロールできた方がいいはずだからね。
こうした手法がどの程度利用されているのか、僕にはまったくわからないけれど、この「道徳的クローキング」とでもいうべきものは、どうやらみんなが思っているよりもはるかに多く利用されているらしい。残念ながらここに僕の知っている例を掲載することはできないけど、何か知っている人がいたら、遠慮せずコメント欄で教えてほしい。
そんなわけで、君が今度「クローキングはホワイトハットか、それともブラックハットか?」なんて誰かから聞かれたら、「状況次第だ」って答えてもいいかも。
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