ここが変だよWebマーケティング

広告の間接効果ってほんとにあるの? 3社の事例付き ~ここが変だよウェブマーケティング#5

ここが変だよウェブマーケティング

[コラム]
ここが変だよ
ウェブマーケティング

株式会社デジタルフォレスト 清水昌浩

集客のためによかれと思ってやっている、さまざまなマーケティング手法。なのに結果がついてこない、アドバイスを聞いてもなんとなく納得いかない……とお悩みの方は多いのではないだろうか。もしかしたらそんなあなたと、あなたの周囲のウェブマーケティングは、どこかが「変」なのかもしれない。

デジタルフォレスト 清水昌浩氏が、実話をもとにウェブマーケティングの問題点とその解決策を読み解くシリーズ。

ウェブ広告は定量的に費用対効果を把握できるため効率的な広告だ、と言われて久しい。確かに4マス媒体と違って、アクセス解析ツールによりその効果を定量的に把握できるため、数字に基づき判断することによってより妥当な判断を下すことができる……ように一見思える。しかしあなたは、自分がいま見ている数字は適切なものだ、と自信を持って言い切れるだろうか?

先日、ある会社の管理職の方から連絡をいただいた。効果検証を行った結果にもとづいて、リスティング広告で出稿するキーワードを、コンバージョン率の高い自社や自社商品関連のものに絞り込んだらしい。

私は一抹の不安を覚えた。この管理職氏の判断は正しいものなのだろうか、適切ではない数字に翻弄されてはいないだろうかと。話を聞くに、確かにこの管理職氏は数字に基づき判断を下している。しかし社名や商品名で検索する人のコンバージョン率が良いのは、ある意味当然だ。しかし、そこにはある問題が存在する。確かに現状の費用対効果は良くても、時間とともにコンバージョン数が頭打ちになっていき、中期的に見て尻すぼみになる可能性がある点だ。

あなたもこのような状態に陥ってしまってはいないだろうか? 短期的な費用対効果は改善したいが、尻すぼみになることは避けたい……でもどうすればいいのだろうか?

このような場面で妥当解を求めるために、広告の間接効果(履歴効果)を把握することが有効な場合がある。広告をクリックしてサイト訪問した際にコンバージョンするという直接的な効果以外にも、広告の間接的な効果をきちんと評価しよう、というものだ。

しかし実際に広告の間接的な効果などあるものなのだろうか? もしかしたら広告の効果を高く見せるための広告代理店の半ばこじつけな言い分だったりはしないかと疑問を持つ方も多いであろう。

今回の記事では、広告の間接効果について3つの事例を用いて紹介する。今回の記事を通して、広告の間接効果に対する理解が深まり、効果の有無を判断する参考になれば幸いである。

広告の間接効果とは?

広告の間接効果と呼ばれるものには、いくつかのパターンがある。

  1. 下図左のように、ある広告Aによってサイトにユーザーを呼び込んだときに効果が上がらなかったとしても、その広告によって興味喚起されたユーザーが後日サイトを訪れてコンバージョンしたら、それは広告Aの効果とみなそうというもの。

  2. 下図右のように、広告B経由でサイト訪問したユーザーが、その後広告C、広告Dを経てコンバージョンしたら、広告Dだけではなく、広告B、C、Dの相乗効果とみなそうというもの。

広告の間接効果の例1広告の間接効果の例2
広告の間接効果の例

当然、広告効果には、さまざまな要因が影響を及ぼす。広告をクリックしたユーザーの背景はもちろんのこと、その会社のブランド力、商材の特性、媒体や広告メニューの特性、広告クリエイティブ、サイトの魅力度や使い勝手のよさなどによって、広告の効果は変わる。そのため、とある会社の事例がそのままみなさんの会社に当てはまるわけではない。 とはいえ、間接広告効果の現実を実際の数値事例を用いて明らかにすることは、多くの方の意思決定に役立つと思われる。

そこで本記事では、某不動産サイト、某BtoBサイト、某人材サイトの3つの事例を紹介していく。

間接効果定義の方法はいくつかあるが、今回の事例では、広告によって初めてサイトを訪れた人が

  1. その後一定期間の間にサイトに再来訪する
  2. 来訪したうえでコンバージョンにつながるか

の2点について、実際の事例を通して明らかにしていく。

某不動産サイトの事例

始めに、中堅クラスの某不動産サイトの事例を紹介する。広告はバナー広告とリスティング広告について実施したものである。ちなみにこの事例では、各広告経由で対象サイトに初めて訪問したユーザーのみを分析対象としている。

まずは各広告をクリックして訪問した際にそのままコンバージョンしたか、という直接効果を見ていこう。

  1. 直接効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    訪問件数:905 → コンバージョン数:0(コンバージョン率:0%)

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    訪問件数:704 → コンバージョン数:0(コンバージョン率:0%)

    不動産という商材の特性上、検討に時間を要するということもあるが、コンバージョン件数0件とは悲しい限りである。直接効果しか見ない場合は「この広告は使えない」と判断されてしまうだろう。

    次に間接効果を見てみよう。ここでは初回訪問後3か月の間に再訪問するか、コンバージョンするか、といった点を把握する。

  2. 間接効果……再来訪効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由

    再訪問件数:538 (うち再訪問時も広告経由:356、再訪問は広告以外経由:182)
    =再訪問率:59.4%(538÷905)

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    再訪問件数:117 (うち再訪問時も広告経由:59、再訪問は広告以外経由:58)
    =再訪問率:16.6%(704÷117)

    リスティング広告をクリックしたユーザーの再訪問率は59.4%と高い。もちろん検索するユーザーの背景という理由もあろうが、初回訪問時に一定のブランド刷り込み効果があったといえる。また再訪問の内訳として、広告経由が356と高い割合であり、継続的な広告出稿が功を奏しているといえるのではなかろうか。

  3. 間接効果……再来訪時のコンバージョン効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    コンバージョン数:3 (うち再訪問時も広告経由:2、再訪問は広告以外経由:1)
    コンバージョン率:0.3%(3÷905)

    ※コンバージョン率は初回訪問件数を母数としている
    某不動産サイト ユーザー群1

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    コンバージョン数:0
    コンバージョン率:0%

    某不動産サイト ユーザー群2

    初回訪問がリスティング広告経由の間接的なコンバージョン数が3件、コンバージョン率が0.3%と、決して高い数値を示しているわけではない。しかし直接効果が0件、間接効果が3件とでは雲泥の差である。

某BtoBサイトの事例

次に中堅~大企業クラスの某BtoBサイトの、ある事業部の事例を紹介する。分析の方法は先の某不動産サイトと同様である。

  1. 直接効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    訪問件数:866 → コンバージョン数:2(コンバージョン率:0.2%)

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    訪問件数:143 → コンバージョン数:0(コンバージョン率:0%)

    B2Bという商材を考えると、リスティング広告のコンバージョン率0.2%は効果が高いかどうか判断が分かれるところであるが、バナー広告は直接的な効果はないといえる。

    次に間接効果を見ていく。先の事例同様、初回訪問後3か月の間の分析を行っている。

  2. 間接効果……再来訪効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    再訪問件数:183 (うち再訪問時も広告経由:72、再訪問は広告以外経由:111)
    再訪問率:21.1%(183÷866)

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    再訪問件数:18 (うち再訪問時も広告経由:5、再訪問は広告以外経由:13)
    再訪問率:12.6%(18÷143)

    先の事例と比べて再訪問率が低い。商材特性の違いはあるが、そこまで再訪問しているわけではないのは、サイトの魅力度や使い勝手のよさ、という観点で課題が存在するのかもしれない。

  3. 間接効果……再来訪時のコンバージョン効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    コンバージョン数:2 (うち再訪問時も広告経由:0、再訪問は広告以外経由:2)
    コンバージョン率:0.2%(2÷866)

    某BtoBサイト ユーザー群1

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    コンバージョン数:0
    コンバージョン率:0%

    某BtoBサイト ユーザー群2

    初回訪問がリスティング広告経由の直接効果が2件、間接効果が2件(しかも再訪問時は広告以外からの)と、間接効果を把握しなければ広告の効果を実際の半分しかないと勘違いしてしまうところだった

某人材サイトの事例

最後に中堅クラスの某人材サイトの事例を紹介する。分析の方法は先の2サイトと同様である。

  1. 直接効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    訪問件数:109 → コンバージョン数:1(コンバージョン率:0.9%)

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    訪問件数:248 → コンバージョン数:3(コンバージョン率:1.2)%

    バナー広告の方がコンバージョン率が高く、出稿媒体や広告クリエイティブが非常に上手くいったケースといえよう。

    次に間接効果を見ていく。先の事例とは違い、初回訪問後1か月の間の分析を行っている。

  2. 間接効果……再来訪効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    再訪問件数:148 (うち再訪問時も広告経由:115、再訪問は広告以外経由:33)
    再訪問率:135.8%(148÷109)

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    再訪問件数:393 (うち再訪問時も広告経由:309、再訪問は広告以外経由:84)
    再訪問率:158.5%(393÷248)

    訪問者数ではなく訪問件数でカウントしているため再訪問率が100%を越えている。人材サイトの特性もあるが、初回訪問がきっかけとなりリピート化に成功している好例である。また再訪問時も広告経由の割合が高く、継続的な広告出稿が成功しているケースだといえる。

  3. 間接効果……再来訪時のコンバージョン効果

    ユーザー群1:初回訪問がリスティング広告経由
    コンバージョン数:1 (うち再訪問時も広告経由:0、再訪問は広告以外経由:1)
    コンバージョン率:0.9%(1÷109)

    某人材サイト ユーザー群1

    ユーザー群2:初回訪問がバナー広告経由
    コンバージョン数:7 (うち再訪問時も広告経由:2、再訪問は広告以外経由:5)
    コンバージョン率:2.8%(7÷248)

    某人材サイト ユーザー群2

    特にバナー広告に関しては、直接効果は3件しかないが間接効果は7件もある。間接効果分析を行わなければ完全に判断を誤ってしまうところである。ただし、再訪問は広告経由が多いのに対して、コンバージョンは広告以外での訪問が多い。より広告の費用対効果を高めるためには、広告期間や出稿媒体の再検討が有効かもしれない。

まとめ(と、管理職氏のその後)

以上3つの事例について紹介した。再訪問率やコンバージョン率はもちろん違うが、いずれのケースにも共通しているのは、間接効果を把握しなければ、広告効果の判断を誤ってしまうということだ。

直接効果(青いセル)と実質効果(直接+間接)(ピンクのセル)では数値が大幅に異なる!
サイト広告新規訪問件数直接CV数直接CV率再訪問件数再訪問率間接CV数間接CV率実質CV数実質CV率
不動産サイト事例リスティング90500%53859.4%30.3%30.3%
バナー70400%11716.6%00%00%
BtoBサイト事例リスティング86620.2%18321.1%20.2%40.5%
バナー14300%1812.6%00%00%
人材サイト事例リスティング10910.9%148135.8%10.9%21.8%
バナー24831.2%393158.5%72.8%104.0%

最後に、冒頭の管理職氏のその後をひとつ。

彼の会社は、継続的にアクセス解析ツールを使っていたこともあり、過去の広告について間接効果の分析を行うことができた。

分析にはいくらかの時間を要したが、結果として、いくつかのリスティング広告のキーワード群といくつかの媒体は間接的な広告効果ありと判断し、広告の出稿を継続することとなった。

広告の費用対効果の改善と広告効果の最大化はマーケターの最重要懸念事項だ。短期的な刈り取り効果だけではなく、中期的な認知拡大やコンバージョン効果をあげるためにも、一度広告の間接効果の分析を行ってみてはいかがだろうか。

また、広告の間接効果測定は、利用するアクセス解析ツールや効果測定ツールによって、できることが大幅に変わってくる。適切な効果測定を行うためにどういったツールを使うべきか、広告代理店やツールベンダーに問い合わせてみることをお勧めする。

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