企業ホームページ運営の心得

Googleを越える企業が日本に生まれない理由

Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の八十壱

大人の世界は言えないことだらけ

「毒があるというか……」とある講演のオファーをいただき、依頼理由を訊ねての答えです。良い意味でと前置きがあり、拙文をお読みいただきその「毒」に痺れたといいます。編集者やクライアントにこの話をすると皆うなずきました。

今回は「毒増量」でお届けします。薄めて薬にしたつもりですが。

私は年長者や社会的地位のある方にでも思ったことを伝えます。もちろん対面で。これができるのは私に「しがらみ」がないことが大きいでしょう。

商売を始めると想像以上に世界は小さく、狭い日本では知り合いばかりに出会います。中小企業の現役経営者には二代目三代目が多く、地元中学の上下を縦糸として力関係が複雑に絡み合います。そこでうっかり口を滑らせると、実害はブログの炎上以上です。

共犯者というビジネスサポーター

「ここだけの話し、●●さんは××を嫌っている」ある編集者が耳打ちします。表面上は仲良くし、著作の中で持ち上げるのは「商売のしがらみ」が理由と続けます。

しがらみは悪いことではありません。立ち上げたばかりのビジネスを急成長させるのに「しがらみ(縁故関係)」は役立ちます。マスコミ、コンサルタント、ブローカーにブロガーなどを「活用」すると評価の定まっていないサービスだとしても、「知人」という理由から「可能性」を喧伝してくれます。立場が変われば協力します。そして互いに言えないことが増えていきます。悪い言葉を使えば「共犯者」の誕生です。

IT系の社長ブログには色んな社長が「友人」として登場します。地平の果てが見えない広大なインターネットの世界ですが、業界関係者は想像以上に狭い世界で右往左往しています。とても日本人的です。

IT系企業の注意すべき特徴

年間1万円でお店の宣伝をするというサイトがあります。都心の一等地にオフィスを構え、専従スタッフを抱えているのですが、開業から1年半が経った2008年7月現在で130社ちょっと。オフィスの賃料にもなりません。

小学生でもわかる話しが「インターネット」というラッピングで見えなくなることがあります。笑っているのはシステムを納品した会社です。「発注者責任」といえばそれまでですが、同業者が口をつぐむのは「しがらみ」だったりします。

IT系企業の注意すべき特徴を4つ記します。ご注意ください。

  • 特徴1:楽して儲かる

    年間1万円でも登録などは客が自分でするので御社の手間は不要です。クチコミで利用者が増えるのでランニングコストも不要です。つまり、楽して儲かります。

    濡れ手に粟を夢見させ、正気に戻るころには投資した金が泡と消えています。この手の話しは枚挙に暇がありません。ビジネスブログ、SNS、SEOにショッピングモール。「簡単」「誰でも」「楽に」という文字は疑って結構です。楽して儲けようとするとカモにされます。大神源太氏の映画に出資するように。

  • 特徴2:世界一が大好き

    ちょっと事業が大きくなり、マスコミ取材が相次ぐと「世界一」を口にし始める経営者がいます。古くはマイクロソフト、ヤフー、最近ではグーグルを越えるといいます。「根拠」や「論拠」が記されていない点が特徴です。何を持っての世界一かは不明のまま言葉だけが1人歩きを始めます。

    「風説の流布」と呼ばれかねない大言壮語を止められない社内体制は横暴と暴走を生み出し、不正を止められない土壌となります。こういう企業と付き合う際にはご注意ください。

  • 特徴3:新しいものを作っていない

    Googleを越える企業が日本に生まれない理由を日本人社会の閉塞性に求める著名人もいますが、そもそも独自開発の製品やサービスをもつIT系企業が少ないことが根本理由です。ブログも検索エンジンも米国から輸入したものがベースで「オリジナル」が非常に乏しいのです。Googleもマイクロソフト、ヤフーといった「踏み台」があったから生まれたということを忘れてはなりません。

    それにしても輸入したものを独自開発かのように触れ回る業者が多すぎます。

  • 特徴4:成長カーブが描けない

    拡大期にビジネスが成長するのは当然として、成熟期に入ったときに新しい成長カーブを描けないのも日本型IT系企業の特徴でしょう。ポータルサイト、ブログ、SNSの……次の一手で成長カーブを描けた企業は希です。「ブーム」という追い風がない凪の海で途方に暮れます。

    もちろん、すべてのIT系企業がこうだという訳ではありません。しかし、仕掛ける側に立つWeb担当者ならばこれらの特徴は覚えておいてください。すると、ネット界の「トレンド」に振り回され我を見失うことなくなります。

猿まねではなくカイゼン

ネットは虚業。という論には真っ向から異議を唱えますが、日本のIT系企業がGoogleやヤフー、マイクロソフトと同列かというと答えはノーです。日本のIT系企業は高級自動車を輸入販売する「ヤナセ」に似ています。海外(米国)から製品を輸入して日本人向けにお色直しをして販売しているからです。

猿まねと揶揄するものではありません。日本人のカイゼンには定評があり、IT系企業でもその「日本人らしさ」が発揮されているということです。裸の王様を指摘する日本人はマイノリティーです。対立を嫌う気質が「セカンドライフ」や「Web 2.0」の祭りを否定させません。業界という村社会の中で、身内で仕事を廻すのも「らしさ」です。同時に不倶戴天の敵に買収を持ちかけたり、昨日のライバルと提携したり、お世話になった企業の茶の間に土足で上がり込むような真似が日本人のメンタリティには馴染みません。

そもそも「Google」という「カルチャー(文化)」に対して上か下かで論ずることがナンセンスだと私は考えます。

ダークスーツにノーネクタイ、無精髭を生やして「今風」を気取っても、日本人の骨の髄がビジネスにも表れます。

♪今回のポイント

しがらみはどこの世界にもある。

IT企業も日本気質の論理で動いている。

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