怠惰からヒントを得た小規模サイト向けサイト・アーキテクチャ戦略
さて、僕が11月から4月にかけて、空き時間を使いNCAAバスケットボールのサイト『Bracketography』を運営していることは、知っている人もいるかもしれない。およそ3週間前まで、僕はそのサイトを完全に、手入力による静的なHTMLページで構築していた(コンテンツ管理システムへの移行は延び延びになっていたんだ)。
今年僕らは、40を超えるNCAAトーナメント参加チームについてプロファイルを掲載した。けれども、筆者略歴ページやサイトマップといった必要な場所から、随時欠かすことなくそれぞれのチームにリンクしていくことは、僕にとって無理な話だった。そこで、40以上に及ぶそれらのページについて、ホームページからのみリンクする状態で済ましていたんだ。その時点でホームページのページランク値は4だった。
僕はこの夏をだらだらと過ごしてしまい、本来そうすべきだったのに、サイト全体でこれら新しいページをクロスリンクするための編集作業を行わなかったんだ。
しかし驚いたことに、数週間前、新たにWordPress上に代わりのページを設け、これら40ページを301リダイレクト(恒久的なリダイレクト)したところ、これらのページのうちかなりの割合(60%?)は、ページランク値がホームページと同じ4だったことに気が付いたんだ。残りのプロファイルページ(40%?)のページランク値は3だった。これらの数値は、Bracketographyのホームページ以外から被リンクを得ていないページの話だ。
僕は、ページランクが検索結果表示ランクと一致するものではないことを十分承知している。しかし、この意外な現象は、以下の戦略へと繋がったんだ。
小規模ウェブサイト向けの最良実践サイトアーキテクチャ――バージョン2.0
SEOの作業は、いつでもこんな話から始まる。
自分のサイトのアーキテクチャはフラットにしよう。そうすれば、検索スパイダーが特定のページに達するために、複数の階層のリンクを巡回する手間が省ける。
さてみんな、僕は今回の記事で自分のサイトアーキテクチャをパンケーキのようにフラットにすることをお奨めしたい。確かにこれは、意味論的にそれほど有効ではなく、ユーザビリティの面でも役に立たないが、こうしたホームページからのリンクは、SEO目的のために途方もなく重要なんだ。
平均的な小規模サイトの場合、ほぼすべてのリンクジュース、すなわちページランクは、必然的にまず最初にホームページに発生し、ホームページからサイトの階層を通じて下位ページへ浸透する(例外なのは、リンクベイト的なコンテンツを多く含み、該当のコンテンツに直接つながるリンクが大量にあるサイトの場合だ)。
下の図は、僕が提案する従来型SEO戦略の修正版だ。パンケーキのようにフラットなこの戦略は、スプラッシュページを組み込みたいと考えるデザイナーに反論するための武器としても、より効果的なはずだ。
最初の方で触れた通り、この修正版は小規模サイトのみに通用するものだ。より規模の大きなサイトでこの戦略を用いた場合、アクセスしてきたユーザーを混乱させてしまうとともに、レイアウト的な画面の有効活用もままならない。
この戦略を比較的小規模なサイトにお奨めする理由
――ホームページリンクの価値に関する理論
SEO分野の専門家の多くは、一般的に検索エンジンがリンクの価値を決定する際、次のような計算に従ったアルゴリズムを使用していると考えている。
ここで、「x 」に当てはまるのがそのページにあるリンクの数だ。そのページに多くのリンクがあればあるほど、各リンクを通過するリンクジュースは少なくなる。
Googleの創業者サーゲイとラリーが書いた、有名な論文のオリジナルを見てみよう。この論文の内容が、現在のページランクに生きている。
上に示した数式では、先頭に0.85倍(85%)という係数を置いているが、これは減衰係数で、ウェブ上の重要でないページから渡ってくるリンクジュースの量が、最終的にゼロに近づくようにするものだ。そしてGoogleは、同社の検索ロボットが通常単一ページで100以上のリンクを巡回しないと明言している。
しかし僕の経験によると、ホームページリンクに関して言うなら、アルゴリズムの用いる数式は、次のようなものに近い可能性がある。
僕が特に思っていることは、こういうことだ。
- 減衰係数はもっと低い(係数の数値自体は大きい値だが、減衰率がより低いということ)。
- 該当のページにあるリンクの数は、個々のリンクの価値にそれほど影響を与えない(ホームページとは本質的に、同一サイトの異なる部分へすばやく導かなければならないものだということを、Googleは理解している)。
確かにこの戦略は、多数のリンクを作成することでリンクジュースがあまりにも急激に流出してしまった場合に、ホームページの価値を若干下げる可能性もある。しかし、各ページが優れたタイトルとヘッダーを備え、最適化も十分ならば、ページランク値が多少低くても、ホームページ以上に検索結果に登場する可能性は高いはずだ。
この種の戦略によって、成功や失敗事例を見たことがある人はいるかな?
おまけのヒント:もしSEOを手がけて間もないのならば、上位の検索ランクを得ようと思っているページに、リンクジュースを集めるもう1つの方法があることを知っておくといいだろう。それは、(プライバシーポリシーや法的な免責事項など)ランク入りする必要のないページに対して張るリンクで、nofollow属性を使用することなんだ。しばらく前、Googleのマット・カッツ氏がこうした方法が完璧に正当なものであるとインタビュー記事で語っていた。このインタビュー記事の2番目の設問を参照してほしい。
今回の記事を書いたデビッド・ミーム氏は、米国の西海岸を拠点に活躍する小規模企業向けSEO業者兼ウェブデザイナーだ。
コメント
0.95 × (3÷x ) = 2.85 × (1÷x )
0.95 × (3÷x ) = 2.85 × (1÷x )
ですよね。ということは、上手くホームページリンクを張れば、減衰係数が1を越えるのでリンクの価値が非常に高いものを作れることになるのでは?
細かい点よりも記事の主旨を
編集部の安田です。
たしかに式だけを見るとそうですが、ふつうにアルゴリズムを考える人ならば減衰係数を1以上にすることはなく、Googleのエンジニアがそういうミスを残す可能性は低いですね。
それに、そのためにトップページのリンク数を1本や2本に減らしたとしても、その状態が人間の訪問者にとって適切なのかという問題が生じます。
ご指摘ごもっともで、記事内で提示された式では、トップページに配置されているリンクの数が少ないと、そのページが持っている以上のランク受け渡しがされることになります。しかし、記事の主旨は数式の細かい点ではなく、「トップページは他のページよりも多くリンクを配置しても各リンクの価値が下がりにくいと思われる」ということですので、その点をご理解ください。