[WAIS Japan開催間近] 新人ウェブマスターに捧げる「イマドキ」のアクセス解析

INTERVIEW
石井 研二氏(有限会社いなかどっとコム)

解析結果とマーケティング的判断で
訪問者が辿りたい「道」づくりが可能に

「アクセス解析カンファレンス」を発展させる形で2006年から始まった、アクセス解析とウェブマーケティングの展示会+カンファレンスイベント「WAIS Japan(ワイズ・ジャパン)」が、12月5日(水)に開催される。

WAIS Japan運営委員であり、Web担の連載「ウェブサイト“見える化”&“カイゼン”講座」でもおなじみ、「日本一のログ読み男」として企業サイトのアクセス解析をリードし続ける石井氏に、新人ウェブマスターが最低限把握しておくべき企業サイトのアクセス解析を伺った。

ウェブの進化とともに変わった
アクセス解析の方向性と目的

石井研二氏
石井研二氏
有限会社いなかどっとコム 代表取締役
詳細なアクセス解析結果を、動線解析込みで見やすくビジュアルな形でレポートしてくれるログ解析サービス「サイトグラムPro」で多数の大企業サイトをアドバイスする「日本一のログ読み男」。著書に『アクセスログ解析の教科書』(翔泳社刊)がある。

業種や規模にかかわらず、企業にとってウェブサイトが果たす役割は、以前とは比較できないほど大きく、多様なものになっている。そのためウェブサイトの制作や運営に対して、予算だけでなく人的リソースの投資も積極的に行われるようになっているようだ。

今までITとは縁のない部署にいたにもかかわらず、いきなりウェブ担当者に任命されて、「サイトの価値を高めろ」というミッションと膨大なサイトマップやアクセスログを渡されて途方に暮れている人もいるかもしれない。

そんな新人ウェブマスターのために、アクセス解析とウェブマーケティングの現状について、多数の企業サイトのアドバイザーを務める「日本一のログ読み男」こと石井研二氏に話を聞いた。

そもそもアクセスログは、システム管理者がサーバーの正常運用を監視するために利用されていたものです。ですから、以前はAnalogやWebalizerのようなシンプルなツールで十分だったわけです

しかし、現在すでにアクセスログは単なるシステム管理目的だけでなく、マーケティングデータとして利用されるようになっている。

ウェブサイトの運営が企業活動の1つとして大きな位置を占めるようになってきて、訪問者の行動記録が残されているアクセスログにマーケティングデータとしての価値を見いだした人たちが現れたことは、ある意味当然です。また、キーワード広告やSEOの隆盛により、その効果の検証として企業のマーケティング担当者の関心が高まってきたのも理由の1つでしょう

今、ウェブマスターには、単なるサイト運用だけでなく、オンラインマーケティングを駆使してウェブサイトの価値を高めることも求められているようだ。実際、石井氏も運営に携わっていた「アクセス解析カンファレンス」では、来場者の中に占める技術者の比率が下がり、マーケティング担当者が約7割を占めていた。

現状把握がログ解析の始点
分析のポイントは「入り口ページ」

では、ウェブマスターに任命されたら、最初に何をするべきなのだろうか?

まずウェブマスターを引き受けた時点の、つまり原点となるアクセス状況に関する数字を記録しておきましょう。そうしないと、いくら効果が出たとしても評価されないですからね。

そして、ウェブサイトの目的を再度確認しましょう。その目的によって、集めたい閲覧者のニーズや誘導したいページ、見せたいページ数などすべて変わってきます。

そこからやっとアクセス解析が始まります。どんなに人がたくさん来ても、すぐに帰ってしまったり、標的のページに誘導できていなければ意味がありません。アクセスログは単なるデータではなく、“閲覧者の行動履歴”であることを理解するのが重要です

確かにアクセス解析では、単なる「増えた・減った」のアクセス数統計だけでなく、閲覧者がサイト上でどのように動いたのかをつかむことが重要になってきている。

重要なのが、閲覧者がそのサイトに最初に入ってくる“入り口ページ”です。ウェブサイトに関する大きな幻想の1つに、“閲覧者はトップページから見始める”というものがあります。本当にそうなのか検証してみるといいでしょう。ほとんどのウェブサイトでは、トップページから入ってくる閲覧者は3割以下です。特に商品の紹介ページが多いサイトではさらに少なくなります。実際には、サイトにあるページの9割はだれかの入り口ページになっていると言っていいほど、閲覧者が最初に見るページは分散しています

自分の行動を考えてみるとわかるだろう。たとえばDVDレコーダーの新製品について調べているならば、ほとんどの人が、検索エンジンやニュースサイトなどのDVDレコーダーの機能比較記事からリンクをたどって、商品紹介ページに直接アクセスするだろう。メーカーのトップページからアクセスすることは少ないのではないだろうか。

「入り口ページ」と「直帰率」に注目

直帰率に着目して行う
5ステップの具体的な対策手順

石井研二氏

入り口ページを把握したら、次は何をすればいいのだろうか?

せっかくサイトに来たのに1ページしか見ないで帰ってしまうユーザーを把握しましょう。この割合を“直帰率”と呼びます。多くのサイトで、直帰率は4割を超えています。特にトップページ以外でその傾向が大きいです。もったいない話じゃないですか。トップページ以外のページに検索エンジンなどから直接アクセスしてくる人は、具体的なニーズを持っています。その人たちが直帰しないように対策を考える必要があります

では、直帰率が高いページがわかったとして、どういった対策をとるべきか。

直帰率が高いということは、そのページがお客さんのニーズに応えられていないということなのです。ニーズは検索キーワードを見ればわかります。検索エンジンから来たお客さんは『○○を探しに来た』と言いながら入ってきているのです。解析ツールで“使用された検索キーワード”の上位1000個は見てください。100位以下にあるニーズは少数に見えますが、それはサイトが適したつくりになっていないだけで、世間ではたくさん検索されているかもしれません。良いニーズの芽を見つけ、それを取りこむコンテンツを追加すれば、結果的にウェブサイトの価値を上げることになります。

ニーズがわかれば、あとは簡単です。リンク1つで解決する場合もあります。営業系の人ならば、どういうお客さんには何を伝えればいいかはわかっています。サイト上でも同様に、このページにこういうニーズを持って訪れたお客さんには、このようなページへのリンクを用意してあげよう、と考えるのです。リンクは少なくとも3つ作ってください。そして、こまめに入れ替え、効果を検証しましょう

闇雲なSEOは直帰率を上げるだけ
来た人の興味をひくリンクを3つ配置

整理すると、次のようになる。

  1. スタートページになる回数が多く、直帰率が高いページを見つける

  2. そのページを訪れる際に使われる検索キーワードをピックアップする

  3. キーワードからお客さんのニーズを推測する

  4. そのニーズに応えることができるページへのリンクを該当ページに3つ作る

  5. リンクを入れ替えながら継続して効果を検証する

もちろん検索エンジンでのランクを上げるSEOも必要ですが、いくら検索エンジンから人を呼べても、その人のニーズに応えられなければ意味がありません。闇雲なSEOは直帰率を上げるだけということになりかねないのです

今後、ウェブマスターの役割は、PCやインターネットのスキルは当然として、それ以上にマーケティングに関する知識と動きが必要になってきている。もちろん各部署のマーケティング担当者や、実際にサイトを運用する技術者、クリエイターなどとの密なコラボレーションが必要になってくる。

マーケター垂涎の情報がログには満載されている

日々のチェックと定期診断で
ツールを使い分ける

ウェブマスターとしての判断の基本となるアクセス解析ツールに関しても、無料のものから高価ではあるが高機能なものまで、さまざまなツールが存在している。選択の基準はどこにあるのだろうか?

ツール選びの前に、ツールを使って何をしたいのかをまず認識して、それを実現する機能を持つものを選択するのが現実的です。さらに、“ツールの組み合わせ方”もポイントになります。たとえば、体重計に毎日乗るように日々ウェブサイトの監視をするツールと、定期検診のようにある程度データを蓄積して詳しく分析するツールの2つを組み合わせるのです。前者は、Weblalizerのような無料ツールやASP型のツールで、後者は高機能な専用ツールから選択することになるでしょう

最後に、アクセス解析のプロとして、アクセス解析ツールについて伺った。

Google Analyticsが出たおかげで、それなりにしっかりとしたアクセス解析ツールをだれでも使えるようになりました。でも、得られるデータが多すぎて、何を見ればいいかわからないという人も多いようですね。自分の商売を考えれば、どのようなデータが欲しいかというのはわかるはずです。そして、アクセス解析のデータには、マーケターなら何時間でも見ていられる興味深いデータがたくさんあります。最初はわからなくても、とにかくどんなデータがあるのかを把握しておくといいでしょう。ただし、データに振り回されないように、必ず何らかの「仮説」をもってデータを読むようにしてください

今年も開催! WAIS Japan 2007 今年のテーマは「ウェブPDCAラボ」
基調講演は“あの”キノトロープ生田昌弘氏!

このインタビューでも触れていた「アクセス解析カンファレンス」を発展させる形で2006年から始まった、アクセス解析とウェブマーケティングの展示会+カンファレンスイベント「WAIS Japan(ワイズ・ジャパン)」が、今年は12月5日に開催される。

基調講演には、日本のウェブ初期から企業サイトを作り続けてきた、キノトロープの生田昌弘氏が登壇する。

キノトロープといえば、日本のウェブサイト制作会社のトップ3を挙げれば必ずそこに含まれる、トップクラスとの制作会社。そのキノトロープを立ち上げ、プロデューサとして日本の企業サイトに携わってきた生田氏のウェブ論、そしてキノトロープ流のワークフローは、あらゆるWeb担当者の役にたつはずだ。

WAIS Japan 2007開催概要
  • 開催日時:2007年12月5日(水)10:00~18:00
  • 参加費:無料
  • 会場:ベルサール神田(地図
    東京都千代田区神田美土代町7 住友不動産ビル2・3F
    新宿線「小川町駅」徒歩2分、丸ノ内線「淡路町駅」徒歩2分
    千代田線「新御茶ノ水駅」徒歩2分、JR線・銀座線「神田駅」徒歩6分
    半蔵門線・東西線・三田線・千代田線「大手町駅」徒歩8分
  • 主催:WAIS Japan 実行委員会
  • 運営事務局:有限会社いなかどっとコム 株式会社インプレスR&D デジタルワン株式会社

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WAIS JapanにはWeb担も全面的に協力している。興味のある方はぜひチェックしてほしい。

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