日を経ずに再びこの話題を取り上げるのは気が進まないが、多くの読者のためにはっきりさせておく必要があるように思う。この理論の仕組みをできるだけわかりやすく説明し、2、3の例を紹介するよう努めた。
上の例では、ページにリンクしているW3Cのページ(ウェブ標準についての非常に有益な情報源)がサイト上にあるすべてのページの表示順位に影響を及ぼす。これは、PageRankの標準的なフローモデルをただ複製したものじゃない(僕の考えでは、最初のモデルのPageRankはほぼ廃れている)。W3Cのページから興味をかきたてる要因が与えられることによって、検索エンジンに自分のドメインのコンテンツをもう少し重視させられるようになることを示している。
一般的な前提は単純だと思う。検索エンジンは、現在および過去の被リンクによって勝ち取った信頼と記事の重要性に基づいてドメイン名を評価する。もっと適切なコンテンツや、被リンクの多いコンテンツがあるのに、それが属するドメイン名の被リンクが比較的少ないばっかりに、別のもっと被リンクが多いドメイン名のコンテンツのほうが上位に表示されることもよくある。
こう説明すると頷く人が多いが、いざ実践となると、この理論が活かされていないように思う。僕が話した人たちは、この理論を聞いてもまだ、複数のドメイン名にリンクを埋め込んですべてのドメイン名をメインのサイトにリンクさせるべきか悩む。彼らは、ブログを別のドメイン名でホストすべきか、登録したばかりのドメイン名用のコンテンツをどのように作成したらいいか、と質問してきて、僕はいつもこう思ってしまう。「おいおい、そのことについてはついさっき話したじゃないか?」
上の図があまり納得できないなら、関連のある別の略図を使おう。この図では、A~Gのリンクページを互いに同等(そして異なるドメイン上にある)と考えることが大事だ。
「悪い」と僕が言う場合、それは「非常に悪い」ということだ。図の左側の例がどれだけ価値を下げているかを数値で表す科学的な方法はないけれど、僕の鋭い勘によると、9分の1くらいだろう。これは良くない。リンクビルディングでは9分の9の価値を求めるべきだ。被リンクの獲得は、SMOに携わる者(とウェブサイト管理者)の仕事の中でも特に困難な仕事なのだから、なおさらだ。
以下は、「上げ潮」の公式の応用例だ。
ブログを別のドメイン名に開設しない。
つまらないドメイン名をいくつも取得して、自分の主要なサイトにリンクさせない(年7ドル余計にHO-HO(His Office Her Office)に回すほうがマシ)。
ただ1つの被リンクのためだけに、ほかのサイトに掲載されるすばらしい記事を書いたり、すばらしいコンテンツを作成したりしない(マーケティングやブランド化にからむほかの理由からそうする場合もあるが、被リンク獲得の観点から言えば意味がない)。
のめり込みたい仕事や熱中している趣味が互いに独立した形でいろいろあるという場合、いくつもウェブサイトを作るのでなく、それらを関連させて1つの総合的なサイト、またはテーマの広いサイトにまとめる理由づけができないかを考える。
オフラインメディアのキャンペーンとともに、有名ブランドとしてウェブサイトを開設する場合は、そのサイトを主ドメイン名のサブホルダーに戻す。
ドメイン名の売買をしているのでないなら、1つのドメイン名に専念して最大限に権威あるサイトにするほうがためになる。
そして、こうした応用ルールが実際にどんな効果をあげているか、いくつか例を紹介しよう。
自分の名前で検索してみると、僕自身に関するWikipediaのページ(つい最近作成されたばかりだ)が、もっと有益で、的を絞っていて、被リンクが多い何千というページよりも上位に表示される。Wikipediaのドメインは非常に強力なので、ほとんど被リンクがない新しいページでも、Googleで非常に高く評価されている。
「24 season two」で検索すると、Foxのドラマ『24』のページと比べて外部リンクが半分以下で直接的な関連性が低いAmazon.comのページが、検索結果のいちばん上位に表示される。外部リンクがほとんどないのに公式ページよりも上位に表示されている有名なドメインが12近くある。
「oatmeal」というキーワードで検索すると、人気の高い多くのオートミールのブランドよりSEOmozのほうが強力なドメインだとわかる(それに、SEOmozの開発者であるMattが、すばらしくひねくれたユーモア感覚の持ち主だってことも)。
Michael Martinez氏は、前述の僕の主張と並べるようにして、GoogleのMatt Cutts氏が書いているブログのページが、そのGoogleの「補足結果」に入っていると指摘するのが好きだ。しかし、補足結果に入っている彼のサイトのページを調べると、「communication in other languages」(他言語でのコミュニケーション)、「howto files」(ファイルの手引き)、「firefox vs ie stats」といった、彼にほとんど関係のないテーマや単語でもいちばん上位に表示されている。これもまた、つまらないサイトを蹴散らすくらいのサイトだったら、(やむをえず)補足結果が多くなっても心配するには及ばないことを示す好例だと言える。
この投稿で、この問題は一段落ということになればいいと思う。もっと例を示してもらって共有できるならありがたいけれど。もう時間は遅いし、ポートランドから車を運転して帰ってきたから疲れているんだ。
ソーシャルもやってます!