第1回
サイト訪問者の目線で考える
現実の店舗や窓口では、目の前にいるお客が困っていればすぐにわかるし、同じトラブルが重なれば問題が起きないように施策をとる。しかし、ウェブサイトを作っているときにはお客は目の前にいないし、公開後にお客の対応をするのはウェブサーバーやスクリプトという機械だ。そのため、現実の商売では当然のように行っている接客ができない、いや忘れてしまってはいないだろうか?
今木 智隆(株式会社ビービット)
ユーザーの目線を考えることの重要性
ウェブサイトがビジネスとして成功するための要素は、コンセプト・デザインから細かな言葉遣いに至るまでさまざまであるが、その中でも「ユーザーにしっかりと(見てもらうべき)情報を見てもらう」ことは常に重要な要素の1つに挙げられるだろう。
いくらデザイン(見た目)がよく、コンテンツが充実しているサイトであっても、ユーザーは驚くほどすぐにサイトから離脱してしまうことが少なくない。このようなことが起こる原因は、ひとえにユーザーが目指す情報へスムーズにたどり着けないことによる。
こんな状態では、せっかくコストをかけてサイトをリニューアルしても、ビジネス的には何らプラスの価値を生み出さない。
リアルビジネスに見るユーザーの目線と対応
上に書いたような話は、ウェブサイトに限ったことではない。たとえば、スーパーマーケットで、誰も目にしないような隅の場所に目玉商品を置いて、売り上げが期待できるだろうか?
コンビニでは、よく売れる商品であるおにぎりやサンドイッチは必ず目線の高さに合わせて置かれており、サラダや1リットルの紙パックジュースは下段に並べられている。ペットボトルでありさえすれば、350ccや500ccは目線の高さ、2リットルのものは下段。前者は誰もがすぐに探せるように、後者は探したい人が見つけられればよい、というスタンスで、明確に買い物客の目線を意識した配置だ(図1)。
サイト訪問者の行動はまるで「ジャングルの野獣」
インターネットでは、ユーザーは欲しい情報以外には目もくれない。
それは、あたかも「肉食獣が獲物をまっしぐらに追いかける」かのような行動である。そのため、ユーザーは自分の見ている部分(標的)以外は、ほとんど目に入っていないか、目に入っていたとしても内容を認識していないのである。しかも、ユーザーは非常に「わがまま」であり、さっとサイトを見渡して自分が欲しいと思っている情報がなさそうだと判断すると、いとも簡単にサイトから出て行ってしまう。したがって、ユーザーを逃さないためには、ユーザーの目線・意識に配慮し、的確に獲物(目指す情報)を配置しなければならない(図2)。
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