ネットショップ担当者フォーラム

ANAグループがECモール事業に参入。成城石井、髙島屋、ディノス、全日空商事、日テレ7など出店する「ANA Mall」とは

3 years 3ヶ月 ago

ANAグループがECモールビジネスに参入する。

ANAのマイルが貯まる・使えるECモールを1月末に開設し、パートナー企業は出店形式で参加することが可能。全店舗でANAマイルが貯まり、「1マイル1円相当」で使うことができる。

スタート時には、アンファー、九南サービス、ストリーム、成城石井、髙島屋、ツインバード、DINOS CORPORATIN、ドウシシャ、日テレ7、ハースト婦人画報社、リンベル、全日空商事などが出店した。

約3800万人のANAマイレージクラブ会員を有するANAグループが立ち上げたECモールは「ANA Mall」
「ANA Mall」のTOPページ(画像は編集部がキャプチャして追加)

約3800万人のANAマイレージクラブ会員を有するANAグループが立ち上げたECモールは「ANA Mall」。グループ会社のANA Xが運営を手がける。

コンセプトは、“旅と日常がつながるECモール”。「ANA Mall」の特徴は次の通り。

買い上げ金額100円につき1マイル、ANAカードで買い物をした場合は、100円で2マイルが貯まる。貯めたマイルは1マイル=1円で買い物に利用できる。キャンペーンやクーポンにより、マイルの積算率が異なることがあるという。

ANAグループ直営店だけでなく、国内有数のショップが出店する。モール開店時には、食品や家電、家具、衣類、化粧品など23ショップが出店。今後、出店ショップ数や取扱商品数を増やしてく。

「ANAショッピングA-style」や、地域の魅力を旅する店「TOCHI-DOCHI」など、ANAグループのECショップ5店舗を「ANA Mall」に集約。モールを通じて、ANAグループ各ショップへの直接訪問やモール内での商品検索も可能にした。ANAグループでは航空関連グッズや機内食、地域特産品など、様々な商品を展開していく。

石居 岳

コンバージョン率向上には消費者心理の理解が重要。“買い控え”“カゴ落ち”が発生する理由に学ぶCVR改善ポイント | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

3 years 3ヶ月 ago
高いコンバージョン率を達成するためには、地道な努力が必要です。価格を意識、商品、在庫、配送などの基本をチェックし、うまく機能すれば消費者はユーザーエクスペリエンスから配達時間まで、迅速なプロセスを期待し続けるでしょう

効果的なプロモーションを展開するためには、コンバージョン率のアップは欠かせません。一方で、多種多様なブランドや商品が台頭している昨今、オンライン通販利用者はショッピングに関わる体験(編注:サービスの充実度)の期待値が高くなっています。小売事業者はこうした期待に応え、消費者のニーズを満たしていくことが求められます。

『Digital Commerce 360』と調査会社のBizrate Insightがオンライン通販利用者を対象に共同で実施したアンケート調査の結果をひもときながら、消費者が抱いているニーズを解説します。自社のコンバージョン率をアップさせるヒントが見つかるかもしれません。

記事のポイント
  • コンバージョンには、送料無料を含む適正価格が重要
  • カスタマーエクスペリエンスから納品まで、スピードが命
  • Facebook、Instagram、Amazonは、コンバージョンに最も効果的な場所

買い控えの理由は“価格の高騰”に一極集中

『Digital Commerce 360』とBizrate Insightは、2023年1月に1060人のオンライン通販利用者を対象に調査を実施しました。2022年を振り返ってみたところ、驚いたことに、すべては価格に集約されました。インフレがコンバージョンに影響したのです。消費者が注文をしない理由は何なのかを尋ねたところ、圧倒的に多かった回答は、価格の高騰でした。

注目すべきは、オンラインショッピングを利用した人のうち、「プロモーションが限られていた」と答えた人はわずか14%だったということです。4人に1人は、一般的な経済的不安を感じているようです。また、回答者のうち35%が送料無料に魅力を感じています。小売事業者は、この特典(編注:送料無料)をどのように拡大すれば利益を上げられるかについて、考え続けています。

個人的な事情、特に金銭的な理由が、コンバージョンに大きく影響しているのかもしれません。また、「その他」と回答した人の中には、「お金がない」「不要なものを買う気がしない」などの意見もありました。

その他に、買い物を阻害する要因としては、25%が「在庫切れ」、21%が「配送の遅れ」を挙げています。いずれも2022年を通しての要因であり、2023年以降も小売事業者の課題となっていく可能性があります。

「2022年に買い控えした理由は何か」の質問に対する回答(3つまで回答可。出典:Digital Commerce 360とBizrate Insightsが2023年1月に1060人のオンライン通販利用者を対象に実施したアンケート調査【以下同】)
「2022年に買い控えした理由は何か」の質問に対する回答(3つまで回答可。出典:Digital Commerce 360とBizrate Insightsが2023年1月に1060人のオンライン通販利用者を対象に実施したアンケート調査【以下同】)

基本要素の「送料無料」「適正価格」がコンバージョンを促進

コンバージョンを促進するために、どのようなWebサイトの機能や属性を備えるべきかを尋ねたところ、お金に関する条件が上位になりました。

回答のトップは、送料無料(69%)と適正価格(66%)でした。送料無料以外のキャンペーンがオンライン通販利用者の関心を引くのは周知の事実ですが、回答者の36%が送料無料以外のキャンペーンを購入の要因として挙げています。また、13%は注文を分割払いにできることを挙げました。経済的な要因によって、分割払いの重要性が増すかもしれません。

商品:豊富な情報と画像、レビューが購買行動を後押し

まずは商品が大切です。47%は商品からスタートします。そして、「買おうと思ったときに、その商品の在庫があること」(45%)がその後に続きます。消費者は、自分の買い物にとって最も良い判断をするために情報を求めています。そのために、適切な質と量の商品レビューが必要と考える消費者は39%、豊富な商品情報と画像を求める回答は28%でした。

13%は、商品のデモを含む動画に注目しています。動画の好みは、商品カテゴリーに依拠する傾向がありました。

ブランド:消費者からの信頼は重要なファクターの1つ

ブランドへの信頼はコンバージョンの要です。認知率の高さ(46%)や、これまでに購入した経験がある、または定期購入を利用したことがあること(43%)も、信頼の後押しをしています。

また、消費者がブランドへのロイヤルティが高い会員になると、コンバージョンが28%向上する可能性があるようです。このほか、数は少ないですが、ブランドが社会的な活動や政治的な活動への支援を行っていることは、回答者のうち12%が「信頼につながる」と答えています。この傾向は今後、さらに増加することが予想されます。

ユーザーエクスペリエンス:コンバージョンアップの“核”

回答者の40%が挙げたように、ユーザーエクスペリエンスはコンバージョンの核となるものです。購入にあたって、消費者はスピード感を求めています。回答者のうち32%が「速いチェックアウト」、21%が「速いサイトスピード」を必須条件として挙げています

必要なものが簡単に見つかることも同様に重要です。回答者の24%が「関連の高い結果を表示するサイト検索」を挙げています。消費者はより多くの情報を必要とすることが多く、そのような場合には「現場のカスタマーサービスに簡単にアクセスできることが貴重である」と、21%が回答しています。

また、オンライン通販の利用者は、テキストやソーシャルなど、複数の方法でカスタマーサービスに連絡できることを望んでいます(19%)。これは、年齢が若い消費者ほど顕著であるようです。顧客の行動履歴に基づいてパーソナライズされた購入体験も、11%が「コンバージョンを促進するために不可欠である」と回答。一方で、企業と顧客の相互作用を生み出すインタラクティブツールの価値は限定的であるとしました(9%)。

「オンラインショッピングをする際、Webサイトやアプリで注文するきっかけになりやすい機能や条件は何か」の質問に対する回答(複数回答可)
「オンラインショッピングをする際、Webサイトやアプリで注文するきっかけになりやすい機能や条件は何か」の質問に対する回答(複数回答可)

問われる、配送スピードと返品対応

オンライン通販利用者は、迅速な配送を期待し(61%)、配送時間の保証を望んでおり(39%)、両方ともコンバージョンに影響を与えています

小売事業者との過去の経験が重要であることは、回答者の45%が指摘しています。カスタマーサービスの担当者とのやり取り(16%)やバーチャル・アポイントメント(8%)と同様に、顧客とのやり取りの質がその後のコンバージョンに影響しています(24%)。

返品に関しては、消費者のニーズは以下の通りです。

  • 返品送料無料
  • わかりやすい/簡単な返品制度(42%)
  • 小売店以外(36%)または小売店の店舗経由(32%)の実店舗での返品オプション

オンライン通販利用者は、特にカゴ落ちした商品に関するプロモーションメールに惹かれることもあります(17%)。利便性には、質の高いモバイルアプリのオプション(18%)や簡単な再注文機能(21%)などが挙げられました。いずれも消費者の時間を節約することを目的にしています。

「オンラインで注文をするきっかけになる施策や取り組みは何か」の質問に対する回答(複数回答可)
「オンラインで注文をするきっかけになる施策や取り組みは何か」の質問に対する回答(複数回答可)

ソーシャルメディアで優位な広告はFacebook

広告について調べたところ、オンラインショッピングを利用する人の3人に2人が、購入時にオンライン広告がどこに表示されているのかを気にしていないことがわかりました。

彼らが気にするのは「場所」です。消費者がクリックし、最終的に購入に至った場所を掘り下げることで、小売事業者はマーケティング予算の使い方に優先順位をつけることができるのです。コンバージョンという点では、Facebookが最も強力であり、InstagramやAmazonも効果的です。ソーシャルメディアは以下のような順位になっています。

  • Facebook 36%
  • Instagram 26%
  • YouTube 22%
  • TikTok14%
  • Twitter 12%
  • Pinterest 6%
  • 興味のある商品を取り上げているソーシャルメディア広告 4%
  • インフルエンサー(プラットフォーム関係なく)3%
  • LinkedIn 2%

一般的な広告の成功は、スポンサー付き広告を含むAmazonがトップです(26%)。次は、Amazonとはずいぶん差が広がりますが、Webサイトのディスプレイ広告で5%。

Eメールは従来通り消費者の注目を集め、コンバージョンを促進しますが、Eメールで配信されるプロモーションの内容が重要です。具体的に商品を提案するメールは22%に支持されましたが、新商品やトレンドを紹介するメールは8%にしか支持されませんでした。

テレビ広告は18%にとどまっています。SMSまたはテキストメッセージも注目されていますが、現在では4%の普及率にとどまっています。

「広告をクリックし、購入につながる最も効果的な広告のプラットフォームはどこか」の質問に対する回答(3つまで回答可)
「広告をクリックし、購入につながる最も効果的な広告のプラットフォームはどこか」の質問に対する回答(3つまで回答可)

“カゴ落ち”を招いてしまうカートのUXとは?

ショッピングカートは、すぐに購入を決められない消費者にとって、さまざまな場面で利用されています。たとえば、カートに保存しておきたい(32%)や、気が散ってカートに入れたことを忘れてしまった(17%)なども挙げられました。また、価格を比較するためにカートに商品を入れた人(19%)にとって、カートは便利な場所となっています。

カゴ落ちの理由は、お金に関係があります。35%の消費者が、「配送料によって注文の合計金額が予想以上に高くなった場合、カゴ落ちする」と回答しています。また、29%が、送料無料にならない場合にもカゴ落ちしています。

予想外の追加費用(税金、取り扱い手数料、配送料)が発生した場合は、18%がカゴ落ち。同じ割合で、クーポンコードを受け付けない場合にもカゴ落ちしています。

在庫切れの場合も、22%が注文を止めています。配送自体はそれほど問題になっていないものの、消費者のニーズに合っていない(18%)、または配送日が保証されていない場合、12%がカゴ落ちしています。

利便性の観点から、15%が店舗で購入することを決め、8%が単に販売者を信用しなかったと回答しました。

カートのユーザーエクスペリエンス(スピード、エラー、支払い方法の選択とルールの透明性など)も、カゴ落ちにつながる可能性があります。他の多くの問題ほど重大ではないものの、次のような問題点がある場合には、対処したほうが良いでしょう。

  • 希望の支払いオプションが使えない 15%
  • チェックアウトページでエラーが発生する 12%
  • チェックアウトに時間がかかりすぎる 10%
  • 読み込みが遅い 9%
  • 返品規定が明確でない 8%
  • 融資が受けられない 8%
  • ギフトカードが使えない 8%
  • ユーザー名/パスワードを思い出せない 6%
「カートに商品を入れた後、購入せずにサイトを離脱した場合、その理由として最も多いのはどれか」の質問に対する回答(複数回答可)
「カートに商品を入れた後、購入せずにサイトを離脱した場合、その理由として最も多いのはどれか」の質問に対する回答(複数回答可)

81%が“オンラインカスタマーサービスを利用したことがある”

消費者は、ブランドから適切な情報が得られなかったり、購買の意思決定をするために質問をしたいときがあります。

小売事業者はさまざまなコミュニケーション・タッチポイントを提供する必要がありますが、すべてのタッチポイントが同じコンバージョン率を実現するわけではありません。コンバージョンを促進するカスタマーサービスのトップはEメール(40%)で、次点は人間によるライブチャットのやりとり(37%)でした。

自動応答のチャットボットによるものは14%とかなり低くなっています。電話は26%、テキストは21%と僅差でした。ソーシャルメディア経由のやりとりは12%と低いですが、特定の消費者層にとってはより重要であり、成長すると思われます。予約/店舗関連のオプションは、過去数年間で、多くのバリエーションが登場しました。

各サービスのコンバージョンの可能性は次の通りです。

  • 店頭での対話 18%
  • バーチャルアポイントメント 10%
  • 店頭スタッフとのアポイントメント 6%
「過去1年間に体験したカスタマーサービスについて、どのようなやりとりをした後にオンライン購入をする可能性が最も高いか」の質問に対する回答(3つまで回答可)
「過去1年間に体験したカスタマーサービスについて、どのようなやりとりをした後にオンライン購入をする可能性が最も高いか」の質問に対する回答(3つまで回答可)

全ての利用者がスマホで買い物するわけではない

市場調査子会社のeMarketerによると、2022年のオンラインショッピングに占めるモバイルの割合は41.6%であり、順調に利用されていることがうかがえます。

しかし、すべての消費者が「スマートフォンで買い物を済ませたい」と考えているわけではありません。データで示されるカゴ落ち率は、この点を考慮していない可能性があります

小売事業者が最適化されたモバイルアプリを提供していない場合もあり、17%の消費者はモバイルアプリがない状況に直面しています。また、5%の人が、単にスマートフォンを持っていない、またはスマートフォンを使って買い物をすることを選択していないことも忘れてはいけません。

モバイルでの買い物を敬遠する人も

スマートフォンユーザーは、その端末特有のユーザーエクスペリエンス(UX)ニーズを考慮した、効率的なショッピング体験を必要としています。

消費者にとって時間の節約は常に重要です。28%が「デスクトップでより簡単、かつ迅速に買い物を済ませられる」と回答し、モバイルショッピングを敬遠しています。

ユーザビリティの観点からは、商品を比較する際に行ったり来たりするのが大変(26%)、スクロールが多すぎる(25%)、読み込み時間が遅い(24%)、ステップが多すぎる(17%)など、数多くの課題があります。また、「疑問が生じたときに、販売店の電話番号がすぐにわからない」という回答が10%ありました。

UXの観点からは、スマートフォンは気になる点がたくさんあります。20%がナビゲーションの煩雑さを挙げ、プロモーションコードの追加やポイント交換が困難であることを挙げています。

また、画像がうまく表示されなかったり、小さすぎたり(18%)、チェックアウトが困難(17%)ということもよくあります。モバイルデザインに関しては、表示される情報のレイアウトが悪い(17%)、またはコンテンツが正しく表示されない(15%)と回答しています。最後に、ナビゲーションのボタンサイズが合わない場合があり、調査対象者の10%がこれを挙げていました。

「スマートフォンを使ってオンラインショッピングをする際に、注文を妨げる要素は何か」の質問に対する回答(複数回答可)
「スマートフォンを使ってオンラインショッピングをする際に、注文を妨げる要素は何か」の質問に対する回答(複数回答可)

効果的なパーソナライゼーションは“検索結果”が首位

コンバージョンを促進したいと考えるとき、パーソナライゼーションはもっと重要視されるべきです。パーソナライゼーションが最も効果的なのは、パーソナライズされた検索結果(32%)、ホームページの見せ方(28%)、ウェルカムメッセージ(16%)です。

商品ページは重要な意思決定の場であり、過去の購入履歴(24%)と閲覧行動(22%)に基づいたレコメンデーションも効果的です。ショッピングカートの役割はそれほど大きくはないようで、事前の閲覧(17%)と購買行動(15%)に基づいたレコメンデーションはコンバージョンにつながりにくいようです。

カゴ落ち商品に関するメールは、消費者に過去の閲覧を思い出させることができるため、有効であると考えられます。また、過去の行動に基づいた購買後のメールは、11%の回答者に支持されています。

オンライン通販利用者のなかには、パーソナライゼーションに興味がない(22%)、あるいは好きではない(12%)という人もおり、小売事業者はこの点も考慮する必要があることに注意してください。

「パーソナライズされた体験のうち、Webサイトで購入する可能性が高いものは何か」の質問に対する回答(複数回答可)
「パーソナライズされた体験のうち、Webサイトで購入する可能性が高いものは何か」の質問に対する回答(複数回答可)

オムニチャネルは商品の入手しやすさと利便性がポイントに

店舗での受け取りを希望する場合、商品の在庫があることが条件となります。在庫の有無は47%でトップ、次いで店舗に近いこと(43%)となっています。また、駐車場の有無は12%にとどまり、購入の決め手にはなっていません。

注文を受け取るために消費者が店舗を利用するメリットを与えることは、購入を後押しすると考えられています。42%の消費者が、店舗での買い物をする場合の割引を高く評価しています。

小売業は、注文を迅速に処理する能力が重要です。41% が注文した商品受け取りまでの時間を挙げ、25%が在庫を持つ店舗数を挙げています。小売事業者とのコミュニケーションも大切です。19%は、店舗に向かうことを通知するオプションを高く評価し、12%は、近くにいることを検知するジオロケーション技術を挙げています。

小売店でのポジティブな体験の重要性に関して、30%の回答者がそのことを強調し、16%が小売店のアプリの洗練度を挙げました。このように、オムニチャネル利用者の購買にも影響を与えます。

「店舗受け取り(店頭・カーブサイドピックアップ)の注文をする際、購入の可能性を左右する要素は次のうちどれか」の質問に対する回答(回答は5つまで)
「店舗受け取り(店頭・カーブサイドピックアップ)の注文をする際、購入の可能性を左右する要素は次のうちどれか」の質問に対する回答(回答は5つまで)

価格、配送などの基本をおさえることが肝心

小売事業者は、経済やインフレによる物価高をコントロールすることはできません。しかし、デスクトップからモバイルデバイスまで多岐にわたって最適化された購買行動で、高いコンバージョン率を達成するためには、地道な努力が必要であることはわかっています。

それにあたって、価格を意識し、商品、在庫、配送などの基本をチェックする必要があります。これらがうまく機能すれば、消費者はユーザーエクスペリエンスから配達時間まで、迅速なプロセスを期待し続けるでしょう。

そして、無料のサービスはいつでも消費者に喜ばれるものです。際限のない仕事ですが、その分、しっかり取り組めば利益がもたらされます。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

産直アプリ「ポケットマルシェ」がサブスクサービス「季節を味わう 旬のお野菜定期便」を提供開始

3 years 3ヶ月 ago

産直アプリ「ポケットマルシェ」を運営する雨風太陽は、旬の野菜と定番野菜をセットにしたサブスクサービス「季節を味わう 旬のお野菜定期便」を開始した。

旬野菜1品+定番野菜5品のセット

「季節を味わう 旬のお野菜定期便」は、月額2980円(税込、送料込)で旬の野菜1品と定番野菜5品が毎月1回届くサブスクサービス。1週間程度で使い切れる分量で販売するという。

産直アプリ「ポケットマルシェ」 サブスクサービス 季節を味わう旬のお野菜定期便
サブスクサービス「季節を味わう 旬のお野菜定期便」
(画像は「ポケットマルシェ」サイトからキャプチャ)

初回配送は3月で、配送日時の指定はできないが、毎月第2週、第3週、第4週から選択できる。定番野菜のラインナップは毎月変更する。

産直アプリ「ポケットマルシェ」 サブスクサービス 季節を味わう旬のお野菜定期便 3月の旬野菜 新たまねぎ
3月の旬野菜は兵庫県南あわじ市の生産者の新玉ねぎ(画像は「ポケットマルシェ」サイトからキャプチャ)
産直アプリ「ポケットマルシェ」 サブスクサービス 季節を味わう旬のお野菜定期便 3月の定番野菜
3月の定番野菜5種類(画像は「ポケットマルシェ」サイトからキャプチャ)

「気になる商品があっても、量が多い」というユーザーの声を受けてスタート

雨風太陽は、「ポケットマルシェ」登録ユーザーにアンケート調査を実施。生産者が出品する定期便を注文したことがないユーザーの3割が、「気になる商品はあったが、定期便を購入するとなると量が多い」ことを注文に至らない理由にあげた。

野菜セットの購入を希望するユーザーからは、「食べ方がわからない野菜があり、冷蔵庫で余ってしまう」「特定の野菜だけ貯まってしまう」「旬の野菜が毎月届けば、季節が感じられるので嬉しい」といった声が寄せられたという。

「ポケットマルシェ」ユーザーのなかで、食べ切れる分量の定期便に需要があること、セット商品では使いやすい品目の幅広いラインナップが求められていること、旬の食材のニーズが高いことを受け、サブスクサービス提供に至った。

アンケート概要
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2022年6月17日~7月10日
  • 調査対象:2022年1月1日~2022年6月16日の期間中、1回以上購入経験のある「ポケットマルシェ」登録ユーザー
  • 回答人数:1148人
藤田遥

DIY用品ECの大都が法人向けEC「トラノテ」を開設、ダイナミックミックプライシングやメーカー直送などで展開

3 years 3ヶ月 ago

DIY用品のECサイト「DIY FACTORY」を運営する大都は2月1日、事業者向けのBtoB-ECサイト「トラノテ」の運用を始めた。路面店で買い回りをしている事業者の不便さを、オンラインの「トラノテ」で解消につなげる。

売価は、商品の需要と供給のバランスに応じて動的に価格が変更するダイナミックミックプライシング(変動料金制)を採用。取引先のメーカーに在庫を置いて直接購入者に配送する。こうした仕組みを採用することでコストを抑制、最適価格で販売する。

約245万点超の商材を展開

「トラノテ」は、約245万点超の商材をラインアップする。そのうち約18万点は当日出荷に対応。顧客の購買に関するコスト削減や時間短縮をサポートする。

「トラノテ」では、ビジネスの現場で定期的に必要とされる養生テープ、ウエス、シリコンシーラント、軍手、ラッカースプレーなどの消耗品の売場を強化していく。

大都によると、EC化率の上昇とともに、ビジネスでDIY用品を「DIY FACTORY」で買い求める法人・官公庁・自営業・個人事業主は増えているという。「年に1回しか使わない資材や、毎日使うのに在庫を切らせてしまった資材が『いま必要だ』という声が日々寄せられていた」(大都)

「トラノテ」は税込3000円以上の購入を対象に送料無料とする。このほか、「見積もり発行機能」「請求書払い(後払い決済)」にも対応。対象商品を割引購入できる「お買い得クーポン」も提供している。

「トラノテ」の特徴は次の通り。

  • 自社開発のプライシングエンジンによって、売価の調整はダイナミックミックプライシングを採用。他社との優位性を常に保つ。システム開発からコンテンツ制作まで、システム開発をメインとした子会社(DAITO VIETNAM)が担い、コストを抑える。
  • 取引先のメーカーに在庫を置くため、倉庫に大きなコストがかからない。その分を売価に反映する。
  • 事業者が会員登録をする際、あらかじめ200業種に細分化した業種の登録を実施。登録された業種情報をベースに、顧客に最適化された商品の検索結果・周辺商材のおすすめが抽出されるようにアルゴリズムの開発を進める。顧客の買いやすさ向上に努めていく。
  • 顧客となるメーカーに配慮し、「トラノテ」はプライベートブランドをつくらない。
「トラノテ」トップページ。豊富な商品展開を誇る
「トラノテ」トップページ。豊富な商品展開を誇る

取り扱いは工具から調理用品まで多種対応

「トラノテ」の取り扱い商品カテゴリは以下の通り。

  • 電動工具・空圧工具
  • 作業工具
  • 切削工具・研磨材
  • 測定・計測用品
  • 安全用品・保護具
  • 物流・保管・梱包用品・機械部品
  • 塗料・塗装内装用品・接着補修材・テープ
  • はんだ・溶接用品・静電気対策・スプレー・オイル
  • ねじ・釘・ボルト・素材
  • 建築金物・建材・住宅設備
  • 空調電設資材・照明器具、水まわり部材・配管・空圧油圧機器
  • ガーデニング用品・園芸資材、オフィス家具・家電・季節用品
  • 事務用品・文房具・PC用品
  • 清掃用品
  • 日用品・サニタリー用品・調理用品

代表取締役の山田岳人氏は次のようにコメントを発表している。

創業1937年当時から工具の産地大阪で利器工匠具(大工道具)の卸問屋として事業者向けのビジネスを行ってきた。

現場で必要とされる商品は多岐にわたり、当社が運営する通販サイトでは事業者向けの工具やDIY向けの塗料を含む約245万点の商品の販売を行っている。

現在は卸売業は行っていないが、仕入先である工具や塗料メーカーなどの取引先は創業当時から変わっていない。「トラノテ」を始め、今後も革新を続け、より多くの取引先や顧客とともにDIY・工具業界の未来を創造していく。

大都 代表取締役 山田岳人氏
 大都 代表取締役 山田岳人氏
高野 真維

【EC決済の後払い利用調査】中高年・シニア層で高い利用率。支払い時の安心感が後押し

3 years 3ヶ月 ago

ニッセンの子会社で後払い決済事業のSCORE(スコア)と、デジタルガレージの子会社で決済事業を手がけるDGフィナンシャルテクノロジーは、全国20~90代の男女を対象に後払いに関するアンケート調査を実施した。

中高年・シニア層のECサイトにおける後払い決済サービスの利用動向を明らかにする目的。中高年・シニア層は「支払い時の安心感」を重視して後払いを選択する傾向がある一方で、後払い手数料に対しては抵抗感が強い一面も持っているようだ。

調査結果のサマリー
  • 年代を問わず約4割の人がECサイトで後払いの利用経験あり
  • 後払いを選ぶ理由は、全年代で「届いた商品を確認してから支払いたい」が1位。中高年・シニア層ほど、支払い時の安心感を重視する傾向
  • 後払いを利用しない理由は、全年代で「他の決済方法を利用している」が圧倒的。若い年代は後払いの手間を避ける傾向も
  • 後払いの利用意向は1000円から1万円未満の商品購入時に高い    
  • 後払い利用層は300円を上限に手数料を許容する傾向が見られるが、年代が上がるほど手数料への抵抗感が強い
  • ECサイトでの支払い方法TOP3はクレジットカード、ID決済、後払い。後払いも主要な支払い方法として定着
  • 分割型の後払い(BNPL)は78%が知らない。知っていても、利用したい消費者は3割強に留まる

年代問わず約4割がECで後払い経験あり

ECサイトの支払い方法として後払いの利用経験を確認したところ、各年代で大きな差はなく、43.9%が「利用したことがある」と回答した。

年代別では40~50代の中高年層の割合が高く、60代以上は38.6%と他の年代と比較して4割を切ったものの、中高年・シニア層にも後払いが利用されていることがわかった。

ECサイトでの後払いの利用経験に対する年代別の調査結果
ECサイトでの後払いの利用経験に対する年代別の調査結果

年代が上がるほど支払い時の安心感を重視

後払いを選ぶ理由は、全年代で「届いた商品を確認してから支払いたい」が1位だった。この傾向は年代が上がるほど顕著に現れ、60代以上では55%と半数以上が選択している。

50代以上の年代ではクレジットカードのセキュリティを懸念する理由が2位となっており、中高年・シニア層ほど、ECサイトなど非対面取引での支払いに安心感を重視する傾向が見られる。

中高年になるほど後払い決済の理由に「商品を確認してから支払いたい」をあげる人が多い結果に
中高年になるほど後払い決済の理由に「商品を確認してから支払いたい」をあげる人が多い結果に

後払いを利用しない理由「他の決済方法を利用している」が最多

後払いを利用しない理由は、全年代で「他の決済方法を利用している」が最も多かった。各年代ともに他の回答に大きく差をつけている。

クレジットカード保有率の高い50代、シニア層は8割以上が「他の決済方法を利用している」を選択。一方で、20~30代は他の年代と比較して67.7%と低く、クレジットカードを持たない若い年代が後払いを選択するケースが多いことがわかる。

20~30代は「支払いを忘れてしまうから」「現金で払わないといけないから」「払込票をなくすかもしれないから」という理由の割合が40代以上の年代と比較して高い。3位には「コンビニ・郵便局に支払いに行くのが面倒」がランクインしていることも含め、支払い時の手間を避けたいという意向がうかがえる。

後払いを利用しない理由には手数料がかかることや「支払いが面倒」という意向もみられた
後払いを利用しない理由には手数料がかかることや「支払いが面倒」という意向もみられた

後払い利用率が高い商品価格帯は「1000円~1万円未満」

後払いの利用意向は「1000円~1万円未満」の価格帯の商品購入時に高く、年代による大きな差異は見られなかった。後払いで購入したことがある商品・サービスは、各年代ともに「ファッション」「化粧品・美容用品」「健康食品・サプリ」がトップ3を占めた。後払い利用率が高い価格帯は、これらの商品が影響しているものと推測される。

後払いの利用はいずれの年代も100円~1万円未満の価格帯の商品が多い
後払いの利用はいずれの年代も100円~1万円未満の価格帯の商品が多い
ファッション、化粧品・美容用品、健康食品・サプリの購入時に後払いを利用する人が多いと想像できる
ファッション、化粧品・美容用品、健康食品・サプリの購入時に後払いを利用する人が多いと想像できる

手数料への抵抗感は年代が上がるほど強い結果に

後払いの利用層、非利用層の双方に、許容できる後払いの手数料額を質問したところ、非利用層は9割が「手数料が発生するなら利用しない」を選択した。この一方、利用層は300円を上限に手数料を許容する傾向が見られた。

20~30代の後払い利用者は52.9%が手数料を支払うことを許容しているが、年代が上がるほど割合は低下。購入金額以外のコストが発生することに抵抗感を覚える様子がうかがえる。

手数量の許容範囲は中高年のほうがシビアな意見をもっていることがうかがえる
手数量の許容範囲は中高年のほうがシビアな意見をもっていることがうかがえる

ECの支払い方法に後払いも定着

ECサイトでよく利用する支払い方法のTOP3は、全年代ともに「クレジットカード」「ID決済」「後払い」となった。

中高年・シニア層はクレジットカードの利用比率が高いが、後払いも各年代で16~21%の割合で利用されている。ECサイトでの主要な支払い方法として定着していることがわかる。

2位となった、PayPayや楽天ペイなどのID決済は、実店舗でのQRコード決済の普及や各種Pay事業者のプロモーションによる利用者の増加に伴い、ユーザーがECサイトでも使い慣れた支払い方法として利用しているためと考えられる。

後払いはECの支払い方法で主要な手段の1つになっている
後払いはECの支払い方法で主要な手段の1つになっている

分割型の後払いは78%が「知らない」。

分割型の後払い(BNPL)は海外を中心に注目を集めている。BNPLは「Buy Now Pay Later」の略称。この調査では、手数料がかからず購入代金を分割払いにできる後払いとして定義している。

調査結果によると、BNPLは対象者の78.1%が「知らない」と回答した。メディアで取り上げられる機会が多いものの、一般消費者の認知度は日本ではまだ低いようだ。

BNPLを知っていても、「利用してみたい」という回答者は32.5%に留まった。「他の支払い方法での支払いに慣れている」「支払いを先延ばしするのが嫌」などが理由にあげられた。

BNPLは「知らない」「利用したくない」が大半。支払い方法として定着するのは時間がかかるとみられる
BNPLは「知らない」「利用したくない」が大半。支払い方法として定着するのは時間がかかるとみられる

調査概要

  • 調査内容:ECサイトでの支払い方法に関するアンケート調査
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:全国20代~90代の男女
  • 有効回答数:4401人
  • 調査期間:2022年10月5日〜同年10月9日
高野 真維

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】 | 大手ECモールの業績&取り組み&戦略まとめ

3 years 3ヶ月 ago
楽天グループ・三木谷浩史会長兼社長の講演によると、2022年における楽天グループの国内EC流通総額は約5兆6000億円で前期比11.2%増

「今年(2023年)のテーマはモバイル!! モバイル!! モバイル!! モバイル!!」。楽天グループが1月26日に実施した「新春カンファレンス」に登壇した三木谷浩史会長兼社長は、2023年はモバイルに注力すると宣言。「楽天市場」出店者に対して、楽天モバイルの成長が流通総額の拡大に貢献すると強調した。「次は10兆円」と目標に掲げる流通総額をどのように拡大させるのか。三木谷社長が語った楽天グループの方針をまとめた。

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】

2022年の国内EC流通総額は5.6兆円、次の目標は10兆円超え

三木谷社長の講演によると、2022年における楽天グループの国内EC流通総額は約5兆6000億円で前期比11.2%増。

2021年度(2021年1~12月期)は前期比10.4%増の5兆118億円、2020年度(2020年1~12月期)は同19.9%増の4兆4510億円で、順調に流通総額は拡大している。

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】 2022年
国内EC流通総額の推移

その要因にあげられるのが楽天モバイル。三木谷社長は「楽天モバイルが『楽天市場』の購買額増に大きく貢献している」と説明する。

2022年1月~2022年12月のMNO契約者(1年以上の利用者)を見てみると、MNO契約後における契約ユーザー1人あたりの「楽天市場」流通総額額は49%増えている。

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】
楽天モバイルユーザーの「楽天市場」への貢献度

また、楽天モバイルユーザーのクロスユース成長率では、楽天モバイル契約時に使用している楽天グループのサービスは平均4.46個だが、契約後1年で平均2.58個の増加。2022年12月時点のMNOユーザーのサービス利用率は「楽天市場」が86%に達している。

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】
楽天モバイルユーザーのクロスユース成長率

楽天モバイルに契約すると、平均4.5個だった使用サービスが1年後に7個になる。楽天モバイルの契約者数が1500万人、2000万人に増えれば流通総額は最低でも50%上がると考えている。モバイルユーザーが2000万人加入で累計流通総額は2兆5000億円アップの効果がある。(2022年度の流通総額)5.6兆円に、(モバイルユーザー拡大効果の)2.5兆円で8兆1000億円。(出店者の)皆さんの力であと1兆9000億円を伸ばせば流通総額は10兆円に達する。(三木谷社長)

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】
モバイルユーザー拡大の効果

三木谷社長がモバイルに注力する理由

楽天モバイルは、ソフトバンクさん、auさん(KDDI)、NTTドコモさんのような携帯会社を始めようということではない。楽天エコシステムにもう1つ巨大なプラットフォームを作るというのが基本的な発想だ。このエコシステムによって、(出店者の)皆さんの流通総額を増やして行くことがベースになる。(三木谷社長)

三木谷社長は巨大なエコシステムを構築することによって、祖業である「楽天市場」のさらなる流通総額拡大、出店者の業績アップにつなげようと考えている。

楽天モバイルがミッションとして掲げるのが「携帯市場の民主化」。今後の5G・IoT時代に求められる「大容量」「低価格」「高品質」なサービスを提供することで、楽天モバイルユーザーを拡大。三木谷社長は、ユーザー数の増加が流通総額の増加につながり、「楽天市場」に好循環をもたらすと強く考えている。

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】
成長サイクルについて

楽天モバイルが成功成功すれば、楽天モバイルのお客さまはもっともっと「楽天市場」で商品を購入する。楽天モバイルの加盟者が増えれば増えるほど流通総額は自動的に上がっていく。(三木谷社長)

こうした考えを踏まえて、三木谷社長は出店者にこう訴えた。

(出店者の)皆さんは、「楽天市場」の経営と楽天モバイルは切り離して考えているかもしれない。流通総額10兆円計画の大きな柱の1つが楽天モバイル。楽天モバイルユーザーのどのような人が、「アマゾンで買ってるのか」「Netflixをどのくらい見てるのか」「そのようなサービスとどんな相関関係があるのか」――といったデータをを分析することもできるようになる。こうしたデータ分析を通じて「楽天市場」のAI(人工知能)もどんどん進化させていく。これによって「楽天市場」の流通総額を上げていく。

楽天・三木谷社長が語った「モバイルに注力」「国内EC流通総額10兆円計画」【2023年新春カンファレンス講演要旨】
楽天エコシステムについて
瀧川 正実

バックヤードでECや店舗を支えるチーム・人を表彰するアイルの取り組みとは?「業務の効率化や売上のためだけではなく、顧客を思うLOVEがある」

3 years 3ヶ月 ago

アイルは、企業・ネットショップ・実店舗のバックヤードに従事するスタッフ・チームを表彰する「BACKYARD AWARD(バックヤードアワード)」を、バックヤードプラットフォーム「BACKYARD(バックヤード)」のサイトで公開した。

バックヤードを表彰。ECは業界初

「BACKYARD AWARD」は、アイルが店舗のバックヤードのスタッフ・チームを表彰するアワード。「バックヤードの人々は、日々地道に努力し、顧客を思った対応や創意工夫をしながら、企業やショップを裏側から支えている」(アイル)とし、アワードは一緒に働くスタッフからの推薦によって贈られる。

今回のアワードの名称は「BACKYARD AWARD 2020-2021」。コロナ禍でネットショップが市場全体の購買インフラとなり、これまでと違った対応を求められた時期であり、大変な時期を支えたバックヤードに携わるスタッフを表彰した。

アイルがこうしたアワードと感謝の場を設けるのは、バックヤードがクリエイティブでポジティブな場所であることの認知を向上させるため。次回は「BACKYARD AWARD 2022-2023」の実施を予定している。

受賞者掲載のオリジナル冊子を贈呈

「BACKYARD AWARD」では、オリジナルケース、オリジナルトロフィー、受賞者が掲載されているオリジナル冊子「AWARD BOOK」をセットにして贈呈する。「AWARD BOOK」は、各受賞者が表紙を飾る。

オリジナルケースに冊子やトロフィーを入れたセットを受賞者に贈呈
オリジナルケースに冊子やトロフィーを入れたセットを受賞者に贈呈
各受賞者が表紙のオリジナルブック「AWARD BOOK」を各受賞に贈る
各受賞者が表紙のオリジナルブック「AWARD BOOK」を各受賞に贈る

「AWARD BOOK」は、チーム賞と個人賞で構成する。

TEAM AWARD(チーム賞)掲載イメージ :ヤッホーブルーイング
TEAM AWARD(チーム賞)掲載イメージ :ヤッホーブルーイング
INDIVIDUAL AWARD(個人賞)掲載イメージ:じゅうたす
INDIVIDUAL AWARD(個人賞)掲載イメージ:じゅうたす

AWARD贈呈を一緒に働く人への感謝の機会に

アイルは「BACKYARD AWARD」を2014年に立ち上げた。社長や店長、同僚やフロントスタッフ、パートナー企業や仕入先、時には夫婦間で「いつも支えてくれてありがとう」と日頃の感謝を伝える機会にしてほしいという思いからという。

画像は淡路島で実家の家業を継ぎ、タマネギを栽培・販売しているケンちゃんファームの代表 天野倫子さんと夫の純一さん
画像は淡路島で実家の家業を継ぎ、タマネギを栽培・販売しているケンちゃんファームの代表 天野倫子さんと夫の純一さん

たとえば、ケンちゃんファームの天野さんは、平日は会社員、土日は農業、平日の夜はバックヤード業務を行っている夫・純一さんへ「BACKYARD AWARD」を贈呈した。

「純一さんの顧客との日頃の丁寧なやりとりが信頼につながり、そのおかげで会社が前に進めている。いつもありがとう」――。そんな感謝の気持ちを、AWARDの贈呈とともにメッセージで伝えているという。

「BACKYARD AWARD」の表彰にあたり、アイルは次のようにコメントを発表している(編集部が抜粋)。

バックヤードの姿からその企業・ショップらしさを感じることができる。その背景には、業務の効率化や売り上げのためだけではなく、(顧客を思う)ありのままのLOVEがある。

日々の業務を重ねていくことで世の中へ“らしさ”として伝わり、顧客と深いつながりが生まれる。この“らしさ”を表彰する活動が「BACKYARD AWARD」。直接対面する機会が少なくなるこれからのオンライン時代こそ、バックヤードのLOVEから生まれる“らしさ”に光があたる時代になると信じている。

ECのバックヤードを表彰するコンテンツの公開は国内で初(2023年1月時点、アイル調べ)。

バックヤードプラットフォーム「BACKYARD」とは

業務の効率化だけにとどまらず、バックヤードによる風土文化や価値観である“らしさ” の創造、“らしさ”に共感するファンの創造を、クラウドサービス、イベント、アワードといったコンテンツで複合的に支援するプラットフォーム。バックサイドから変革につなげる BX(バックサイドトランスフォーメーション)を実現をサポートする。

高野 真維

老舗通販「ディノス」とスタートアップ「KANADEMONO」に共通する課題とは? ECプラットフォーム「Shopify」と語る

3 years 3ヶ月 ago
創業50年超の「ディノス」と創業間もない「KANADEMONO(カナデモノ)」。両社に携わる石川森生氏が、顧客との関わり方、マーケティングのあり方を語る
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創業1971年のDINOS CORPORATIONが手がける通販ブランド「ディノス」と、6年前に創業しオーダー家具をネットで販売するD2Cブランド「KANADEMONO」。DINOS CORPORATIONのCECO(Chief e-Commerce Officer)を務めながら数多くのEC事業に携わり成果を出してきた石川森生氏は、「KANADEMONO」を運営するbydesignの取締役社長も務めている。松本好司氏はbydesignでマーケティングチームとコンテンツチームの両方を管理しているゼネラルマネージャーという立場だ。

老舗通販とスタートアップ企業、まったくフェーズは異なるが、共通する課題は「パーソナルかつ長期的な顧客体験」を築き上げることだという。Shopify Japanの伊田聡輔氏をモデレーターに語り合った。

D2Cを半世紀続ける「ディノス」

「ディノス」に関してはD2Cという言葉が存在する前から、本質的にはD2Cと言われる形態でビジネスを行っている。現在では何かしら独自のサービスや商品がないと選ばれ続けることはない。選ばれるためのコミュニケーションやサービス設計こそがD2Cの本質だと考えている。そういう意味では「ディノス」がやってきたことはD2Cそのもの。(石川氏)

情報の量や質、伝える手段などは時代と共に変化する。テレビショッピングから出発し、カタログ、DMといった媒体を通じてコミュニケーションも取る「ディノス」だが、当然デジタルでのコミュニケーションも重視している。

dinos(ディノス) 
DINOS CORPORATIONが運営するECサイト「dinos(ディノス)

一方で、インターネットでは他社の情報も取得しやすく、すぐに比較検討されてしまうため、独自性が出しにくいという欠点もある。差別化や優位性を出せるという意味では、以前からノウハウが蓄えられている紙やテレビによるコミュニケーションも堅持していかなくてはいけないという。

これまでのようにカタログ数百万部を一斉に送付するというやり方だけでは、多様化するニーズに追い付けない。我々が得意としているアナログのコミュニケーションを今の時代にどう最適化していくか、デジタルを活用して体験をいかにリッチにしていくかといった方向性に振っていきたい。(石川氏)

DINOS CORPORATION CECO、bydesign 取締役社長 石川森生氏
DINOS CORPORATION CECO、bydesign 取締役社長 石川森生氏

カタログ通販は「オワコン」か?

現在も「ディノス」の集客、認知、リテンションの喚起といったメイン媒体はネットではなくテレビや紙のカタログだ。

世の中のイメージとして「カタログ通販ってオワコンだよね」と思っている人は多いし、実際カタログを見ながら家で買い物をする習慣はそんなにないと思われているが、実はその習慣が好きな方は今もたくさんいらっしゃる。(石川氏)

「ディノス」のカタログ
「ディノス」が発行しているカタログの一例

「『ディノス』のカタログを見る時間がエンタメとして楽しい」という昔ながらの顧客層に対しては、「ディノス」のMDが厳選した商品をきちんと伝える紙やテレビのコンテンツを引き続き守る必要がある。しかし、それには膨大なコストがかかる。一般的な事業者なら、CPA(Cost Per Acquisition)が安いネットのチャネルに顧客を誘導することを目標にするはずだ。

もちろんCPAの議論はするが、CPA自体はすごく断片的なKPIでしかない。安いコストで会員を獲得できたらゴールかというとそうではない。その後ろにつながるLTV(Life Time Value)まで含めて評価をしなければ意味がない。(石川氏)

たとえば「初回無料」にすればCPAを抑えつつ顧客を獲得できるが、そこで獲得した顧客が継続してそのサービスを利用しなければ事業全体としては効果が高いとは言えない。もちろん「ディノス」も長期間利用してもらうための施策を打っているが、効果が高いのはカタログやハガキのDMだという。

WebでCPC(Cost Per Click)を抑えながら顧客を獲得し、それだけではLTVが伸ないことがわかっているので、そこに我々なりの接客やCRMを噛ませていく。そのなかにカタログやハガキも混ぜることで全体のLTVが押し上げられ、CPA効率が良くなるという戦略をとっている。(石川氏)

「KANADEMONO」の課題はチームビルディング

一方、2016年に創業した「KANADEMONO」が感じる課題やチャレンジはどのようなものだろうか。

「KANADEMONO」はテーブルや棚のサイズオーダーが無料という独自性で急速に成長してきた。スタート時は少数精鋭で駆け抜けてきたが、サービスが大きくなるにつれてメンバーも増え、組織的な見直しが必要なフェーズに入ってきているという。

KANADEMONO(カナデモノ)
bydesignが運営するECサイト「KANADEMONO(カナデモノ)

これまでは走れるメンバーが走ることで事業が成り立ってきたが、それぞれが持っているスキルセットもポテンシャルも暗黙知になっているものがほとんどのため、それを言語化、形式化してチームに浸透させ、チームを広げていくというチームビルディングのようなところが次の課題。(松本氏)

逆に「ディノス」はそういったチームビルディング的なフェーズははるか昔に越えており、それよりはこれまで築いてきた運用フローをどう崩して進化させるかということに執心しているという。「フェーズは全然違うのに、悩んでいるところが実は似ているというおもしろい状態」と石川氏。

このような変化のなか、マーケティング部門を取り仕切る立場である松本氏の仕事内容も変わっていったのだろうか。松本氏は「社内の組織作りも広い意味でマーケティングに含まれる」と主張する。

一般的にマーケティングの仕事と言われている施策を打ったり広告を打ったり数値を分析したりといったことはもちろん大事だが、実は組織をどう運営していくかということも大事。ここも含めてのマーケティング。(松本氏)

bydesignマーケティング・コンテンツチームゼネラルマネージャー 松本好司氏
bydesignマーケティング・コンテンツチームゼネラルマネージャー 松本好司氏

顧客との良好な関係を築くために必要なこと

ここからは顧客との良好な関係を築くために必要な3つのポイントについて語る。

①「顧客へのアプローチは点ではなく面で」

マーケティングの現場では、「この広告からトランザクションが何%発生した」というように、施策の結果を単発的な「点」で捉えがちだが、「お客さまの生涯で何年付き合ってくれるのか」というように、「面」で捉えるのが重要だと石川氏は語る。

「ディノス」が得意とするハガキやカタログによるコミュニケーションは、競合が進出しにくく、ある意味ブルーオーシャンだという。デジタルのチャネルも押さえつつ、アナログの有力なチャネルも持っているという利点を活かし、両面から顧客にアプローチしている。

②「初期にはタッチポイントを増やすことが大事」

多種多様な商品を扱う「ディノス」に対し、「KANADEMONO」はネット専業のオーダー家具販売が主業だ。顧客獲得やブランディングはどのように行なっているのだろうか。松本氏はタッチポイントの「量」を大事にしていると言う。

もちろん長期的な関係性やブランディングという意味では質も大事だが、接点がなくなってしまったら元も子もない。配信の量を担保することでタッチポイントを持ち続けることを意識している。

配信するのはサイトのコンテンツや広告、メルマガなどはもちろん、InstagramやTwitter、PinterestといったSNSも含まれる。ECサイト内だけですべてをやり切ると言うよりは、それぞれのタッチポイントに意味を持たせて、その場所でやるべきことをきちんと発信していくのが関係性を続ける重要なポイントだと考えている。(松本氏)

半世紀の歴史を持ち多くの顧客を獲得している「ディノス」は、紙媒体を活用して顧客に定期的なプッシュ・コミュニケーションが行えるだけのビジネス資産を有している。だが、「KANADEMONO」はまだ既存顧客とのコミュニケーションから継続的な利益回収ができるほどの顧客リストを保有しているわけではないので、SNSなども含め発信量は増やす必要があるが、無闇に増やしても効率は上がらない

「もしかしたらそこには世界観の存在が必要条件かもしれませんね」と石川氏は語る。「量は出すが、あからさまに売りに行くという感じではなく、ブランドの世界観がわかるコンテンツをきちんと置いておき、それが好きな方たちに来てもらうという感覚に近い」と石川氏は解説する。

マーケティングでは「コンテンツを売りに行く」とか「当てに行く」といった表現があるが、そうではなく、ふと気が向いたときに自分に好みにぴったりな家具が見つかるように「置いておく」という戦略だ。

③「紙とディスプレイの違いを理解し相互に補完させる」

石川氏は紙とネットが果たす役割について、「脳科学では、同じ情報でも紙を見たときとディスプレイを見たときでは脳の受け取り方が違う」と語る。紙は反射光という暗闇では見えない光、ディスプレイは透過光という自らが発している光に分類されるが、人間の脳は反射光の方がキャッチしやすいという実験結果が出ているという。

大昔は電気などなかったので人間は暗闇で情報をキャッチすることが苦手だったが、今でもその傾向はあるようだ。このことから、今の若い世代も紙に忌避感は持っていないのではないかと考えた。お客さまが意思決定する際、デジタルだけではなく紙でアプローチできるのは、実は我々の強みと考える。そういう意味でデジタルと紙の役割や機能はまったく違うため、紙がなくなることはまずない。(石川氏)

驚異的なShopifyの開発スピード

「KANADEMONO」が利用するECプラットフォーム「Shopify」は、EC事業者の成長に必要な機能をワンストップで提供するプラットフォームだ。亀田製菓、Francfranc、Ankerなどが導入しており、導入企業の売上規模は世界で100万米ドルから5億米ドルまでさまざまだ。

「Shopify」のサービス概要
「Shopify」のサービス概要

「Shopify」について、Shopify Japan シニア セールスリードの伊田聡輔氏は「Shopifyは決して自社ECサイトだけを作るためだけのツールではない。SNSを含めいろいろなチャネルで事業主が届けたい情報を届けられるプラットフォームでありたいと思っている」と話す。

Shopify Japan シニア セールスリード 伊田聡輔氏
Shopify Japan シニア セールスリード 伊田聡輔氏

「Shopifyが創業当初から発信しているヘッドレスコマースという概念に共感している」と語るのは石川氏。「ディノス」はインターネット以前からビジネスを行なっているため、データベースがインターネットに最適化されておらず、EC側で新しいことをやろうとすると基幹システムを改造する必要が出てくるのだという。

一方で、ヘッドとなるチャネルはどんどん増えていくため、基幹システムの柔軟性がないということが足かせになってしまっている。

「Shopify」はコマースのパッケージではなくデータベースそのものだと思っている。今後はいろいろなヘッドに対してAPIで柔軟にデータベースをつなぎ込んでくれる、そういう方向性のソリューションを期待したい。(石川氏)

基幹システムを作り変えるとなると大変だが、「Shopify」側にデータを渡しておけば、ありとあらゆるチャネルで顧客とのリレーションが構築できるソリューションだと考えると可能性が広がりそうだ。

また、「Shopify」の開発スピードについて、石川氏は「スクラッチで作っている我々からすると本当に驚異的。機能拡張プラットフォームとしても素晴らしい」と絶賛。

最近だと脱酸素やカーボンニュートラルの動きが世界的に出てきているが、そういうトピックに素早く対応しようと探してみると、すでに「Shopify」に関連アプリが実装されていた。このあたりのスピード感は引き続き担保してもらえるとありがたい。(松本氏)

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田口和裕

メイン利用しているECサービスの1位、Webは「楽天市場」、アプリは「Amazon」

3 years 3ヶ月 ago

MMDLaboが運営するMMD研究所が実施した「ECサイトとアプリに関する利用実態調査」によると、メイン利用しているECサービスは、Web利用者とアプリ利用者ともに「楽天市場」「Amazon」が上位にあがった。

予備調査は18歳~69歳の男女7000人、本調査はメイン利用がECアプリのみの人127人。期間は2023年1月1日~1月5日。

メイン利用しているECサービストップ、Webとアプリいずれも「楽天市場」「Amazon」

ECを利用している人に、Webとアプリそれぞれでメイン利用しているECサービスを聞いた。Webでは、Webのみ利用者は「楽天市場」(41.9%)、併用利用者は「Amazon」(31.7%)がそれぞれトップだった。

アプリでは、アプリのみ利用者は「Amazon」(44.0%)、併用利用者は「楽天市場」(32.2%)がそれぞれトップだった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 EC利用者のWebとアプリの利用状況
メイン利用しているECサービス(利用状況別、上位5位抜粋、出典:MMD研究所)

ECサイト利用者、とWebとアプリ併用は69.9%

予備調査対象者にECのWebとアプリの利用について聞いたところ、「WEBのみ」が16.9%、「アプリのみ」が7.8%、「WEBとアプリを併用」が57.3%、「両方利用していない」が18.0%となった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 ECにおけるWebとアプリの利用について
ECにおけるWebとアプリの利用について(n=7000、出典:MMD研究所)

次に、ECを利用している人のWebとアプリの利用状況を見てみると、「Webのみ」は60代(33.5%)、「アプリのみ」は10代(16.0%)、「Webとアプリを併用」は20代(76.9%)がそれぞれトップだった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 EC利用者のWebとアプリの利用状況
ECにおけるWebとアプリの利用率(年代別、n=5737、出典:MMD研究所)

月1回以上のECサイト利用、Webのみは53.0%、アプリのみは63.0%

ECサイトをメイン利用している人に、メイン利用しているECサイトの利用頻度を聞いたところ、月1回以上の割合はWebのみ利用者が53.0%、Webとアプリ併用利用者が66.2%だった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 メイン利用しているECサイトの利用頻度
メイン利用しているECサイトの利用頻度(利用状況別、出典:MMD研究所)

ECアプリをメイン利用している人に、メイン利用しているECアプリの利用頻度を聞いたところ、月1回以上の割合はアプリのみ利用者が63.0%、Webとアプリ併用利用者が70.2%だった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 メイン利用しているECアプリの利用頻度
メイン利用しているECアプリの利用頻度(利用状況別、出典:MMD研究所)

ECサイトメイン利用者、アプリ利用しない理由トップは「Webで十分」

メイン利用がECサイトのみの人にECアプリを利用しない理由を聞いたところ、最多は「Webで十分だから」(42.8%)で、次いで「Webの方が使いやすいから」(39.9%)「アプリの画面が見にくいから」(21.7%)だった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 メインがECサイト利用者がアプリを使わない理由
メインがECサイトのみ利用者がECアプリを使わない理由(n=1583/複数回答可、出典:MMD研究所)

「ECアプリを利用しない理由がある」と回答した人に、ECアプリを利用しない理由が解決できればアプリを利用したいか聞いたところ、Webのみ利用者は「とても利用したいと思う」が3.9%、「やや利用したいと思う」が22.8%で、合わせて26.7%が「利用したいと思う」と回答した。

メインがWebのみのWebとアプリ併用利用者が「とても利用したいと思う」が6.4%、「やや利用したいと思う」が40.9%で、合わせて47.3%が「利用したいと思う」と回答した。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 ECアプリを利用しない理由が解決できればアプリを利用したいか
ECアプリを利用しない理由が解決できれば利用したいと思うか(利用状況別、出典:MMD研究所)

ECアプリメイン利用者、Web利用しない理由トップは「アプリの方が使いやすい」

メイン利用がアプリのみの人にECサイトを利用しない理由を聞いたところ、最多は「アプリの方が使いやすいから」(37.8%)で、次いで「アプリで十分だから」(29.1%)「アプリの方がお得だから」(18.9%)だった。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 メインがアプリ利用者がECサイトを使わない理由
ECアプリのみ利用者、メインがECアプリのみの併用利用者が、ECサイトを使わない理由
(n=127/複数回答可、出典:MMD研究所)

メイン利用しているECアプリの満足度を聞いたところ、「とても満足している」が30.7%、「満足している」が55.9%で、合わせて86.6%が「満足している」と回答した。

MMD研究所 ECサイトとアプリに関する調査 メイン利用しているECアプリの満足度
メイン利用しているECアプリの満足度(n=127、出典:MMD研究所)
調査実施概要
  • 調査タイトル「ECサイトとアプリに関する利用実態調査」
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査期間:2023年1月1日~1月5日
  • 調査対象:【予備調査】18歳~69歳の男女、【本調査】メインがECアプリのみの利用者
  • 有効回答:【予備調査】7000人、【本調査】127人
  • 設問数:【予備調査】8問、【本調査】4問
藤田遥

倉庫内を見学&売り上げアップの戦略を学べるセミナー「物流セミナー&倉庫見学会」【2/22開催】

3 years 3ヶ月 ago

スクロール360は2月22日(水)、EC通販事業者向けに「売上100億円に迫るナチュラムの戦略と物流を大公開 物流セミナー&倉庫見学会」をオフラインで開催する。

▼「売上100億円に迫るナチュラムの戦略と物流を大公開 物流セミナー&倉庫見学会」(2/22開催)

セミナー 物流 倉庫見学会 スクロール360 ナチュラム

スクロール360の物流現場を実際に見学しながら学べるセミナー。セミナーには、ナチュラム 取締役の橋本英浩氏、スクロール360 常務取締役の高山隆司氏が登壇し、「ECで100億円に迫る売上アップの秘訣」「絶好調のナチュラムを支えるバックヤード」について解説する。倉庫見学会では、在庫管理から梱包、出荷業務などの各工程を見学できる。

こんな方にオススメ

  • どのような在庫管理を行っているのか、実際に見てみたい
  • 保管効率や作業効率を高める施策を、自分の目で確かめたい
  • EC通販の売り上げアップに悩んでいる
  • 具体的な成功事例を知りたい

開催概要

  • イベント名:売上100億円に迫るナチュラムの戦略と物流を大公開「物流セミナー&倉庫見学会」
  • 日時:2月22日(水)15:30~18:00
  • 会場:スクロールロジスティクスセンター関西2(SLC関西2)(大阪府大阪市住之江区南港中1丁目4-140)
  • 参加費:無料(事前申し込み必要)
  • 定員:先着10名(1社につき2名まで)
  • 主催:スクロール360
  • 申込期限:2月17日(金)17:30まで
  • 詳細と申し込みhttps://www.scroll360.jp/topics/20230130-6962/
藤田遥

TOKYO PRO Market市場に上場したアウトドア用品「Orange」運営のEC企業「ミモナ」とは

3 years 3ヶ月 ago

アウトドア用品のEC事業やアウトドアショップ「Orange」を運営するミモナは1月26日、東京証券取引所が運営するプロ向け株式市場「TOKYO PRO Market」へ株式を上場した。

事業はミモナ、連結子会社であるエストレードの2社で構成。EC・店舗運営・卸売の「アウトドアスポーツ事業」、エストレードの「工業用製品事業」の2事業を手がけている。

アウトドア用品のEC事業やアウトドアショップ「Orange」を運営するミモナは1月26日、東京証券取引所が運営するプロ向け株式市場「TOKYO PRO Market」へ株式を上場
ECサイトの「Orange」(画像は特定証券情報から編集部がキャプチャ)

主力事業は「アウトドアスポーツ事業」で、アウトドア商品をEC、店舗、卸売のチャネルで販売。有名ブランドとのコラボレーション商品を展開し、日本全国に商圏を広げている。

自社で立案・企画を手がけ、アウトドア商品のプライベートブランド「MIKAN」を販売。厚生労働省の除去用医薬部外品承認済みの蚊取り線香「ザ・パンチ」、スプレータイプでヤブ蚊・マダニか ら体を守る「ザ・ディフェンダー」、アウトドアでも家でも使えるIH対応のホーローダッチオーブン、「置く、吊るす、くっつける」を実現した3wayランタンなどの商品をそろえている。

万能調味料「アウトドアスパイスほりにし」はキャンパーに人気のヒット商品。20種類以上のスパイスや調味料をブレンドしたオールインワンスパイスで、アウトドア業界では定番の調味料としてシリーズ累計販売本数200万本を突破している。

アウトドア用品のEC事業やアウトドアショップ「Orange」を運営するミモナは1月26日、東京証券取引所が運営するプロ向け株式市場「TOKYO PRO Market」へ株式を上場
人気商品の「ほりにし」(画像は特定証券情報から編集部がキャプチャ)

直近決算となる2022年5月期の売上高は、前期比20.8%増の31億6300万円、経常利益は同369.5%増の4億4200万円、当期純利益は同358.5%増となる2億9800万円。連結売上高は35億8300万円。

セグメント別の売上高は、アウトドアスポーツ事業におけるECが18億2400万円、同事業による店舗運営が7億7500万円、同事業による卸売りが7億2600万円、工業用製品事業による卸売りが1億7800万円など。なお、グループ売上高の約50.9%をECが占めている。

アウトドア用品のEC事業やアウトドアショップ「Orange」を運営するミモナは1月26日、東京証券取引所が運営するプロ向け株式市場「TOKYO PRO Market」へ株式を上場
直近業績(画像は特定証券情報から編集部がキャプチャ)

ミモナは2006年、現在の代表取締役である池田道夫氏が和歌山県伊都郡かつらぎ町に「株式会社ミモナ」を設立。スノーボード、スポーツ用品のネット販売からスタートした。現在はECモール店と自社ECの全7店舗を運営している。

2011年12月に現在の所在地である和歌山県伊都郡かつらぎ町新田に本社を移転。主力販売商品を切り替え、2014年には実店舗「アウトドアショップ Orange」をオープンした。現在、和歌山県のほか、大阪府、茨城県、神奈川県、三重県に事業を拡大している。

アウトドア用品のEC事業やアウトドアショップ「Orange」を運営するミモナは1月26日、東京証券取引所が運営するプロ向け株式市場「TOKYO PRO Market」へ株式を上場
事業系統図(画像は特定証券情報から編集部がキャプチャ)

 

石居 岳

わかさ生活が基本給アップ、社員は平均15%給与増。ベア実施で従業員の生活を支援

3 years 3ヶ月 ago

わかさ生活は2月、基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)を実施する。

世界情勢の悪化に伴う物価高騰など、不安定な経済状況が続いていることに対応する。

わかさ生活はこれまで、全従業員を対象に複数回の生活応援手当を支給してきた。従業員が経済的に安心して勤務できるよう、一時的な支援ではないベアの実施を決めた。

社員は平均15%の給与増額になるという。また、給与改定はパートスタッフも対象にしている。

中小企業である弊社にとって本件は難しい判断だったが、共に働く仲間の不安を取り除き、心が豊かになる環境を整えることが、会社成長の基盤になると考えている。わかさ生活は目の総合健康企業のパイオニアとして、これからも世界中の目で悩んでいる方の未来を明るく照らす活動を続けていく。(わかさ生活)

瀧川 正実

「楽天市場」で購入した商品を「楽天ラクマ」に簡易出品できる「持ち物リスト」機能とは

3 years 3ヶ月 ago

楽天グループは1月23日、過去に「楽天市場」で購入した商品をフリマアプリ「楽天ラクマ」へ簡単に出品できる機能の提供を開始した。

名称は「持ち物リスト」で、「楽天ラクマ」に機能追加。「楽天市場」で購入した商品履歴の情報を「楽天ラクマ」と連携することで実現した。

「楽天ラクマ」のマイページ内にある「持ち物リスト」ページの上部に表示される連携画面から楽天IDとパスワードを入力して連携。「楽天市場」と「楽天ラクマ」で過去に購入した商品履歴を、各商品の売却相場価格とともにリストで閲覧することができる。

商品履歴は食品カテゴリーに分類される商品、「楽天ラクマ」で出品が禁止されている商品など、一部商品は「持ち物リスト」に反映されない。売却相場価格は、「楽天ラクマ」で過去に行われた取り引き実績をもとに算出した価格となる。

リストに表示されている商品は「出品する」ボタンを押すことで、出品手続きに必要な一部の入力項目(商品名、商品説明、カテゴリー名、ブランド名など)が自動入力され、簡単に出品できる。

「持ち物リスト」機能は、「楽天エコシステム(経済圏)」における循環型経済の創造を目的とした戦略「サーキュレーション・ストラテジー」の一環として提供する。

一次流通を主とする「楽天市場」と、二次流通を主とする「楽天ラクマ」の連携を強化することで、消費プロセスにおいて、不用になったものを捨てるのではなく、手軽に次に必要とする人へとつなぐことで物を循環する。

さらに不用品を売ることで得られた売上金を、次に必要とする物やサービスを購入する際に利用できるようにし、「捨てない消費スタイル」の定着を促し、「楽天エコシステム」の成長を図っていく。

「楽天ラクマ」は2012年7月、サービスを開始した日本初のフリマアプリ「フリル」と、楽天で運営している「ラクマ」が2018年2月に統合した。2022年5月時点で「楽天ラクマ」のアプリは3500万ダウンロードを突破している。

石居 岳

楽天が「配送品質向上制度」導入を発表。その前にSKU対応も必要で忙しくなりそう【ネッ担まとめ】 | ネットショップ担当者が 知っておくべきニュースのまとめ

3 years 3ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2023年1月23日~1月29日のニュース

楽天の新春カンファレンス2023で「配送品質向上制度」導入が発表されました。「楽天スーパーロジスティクス」などを使えば対応できるようですが、「使えない場合はどうする?」となりますよね。時間はあるのでよく考えましょう。

「配送品質向上制度」では土日の出荷も必須に

「楽天市場」、「配送認定ラベル」を2024年導入 配送日で商品を選びたい顧客ニーズに対応 | 日本ネット経済新聞
https://netkeizai.com/articles/detail/7959

楽天グループ(楽天)は1月26日、「楽天新春カンファレンス2023」の「2023年上期戦略共有会」において、2024年4‐6月期(第2四半期)には「配送品質向上制度」を導入し、配送品質の高い商品に「配送認定ラベル(仮称)」を付与する施策を発表した。その前段として、2023年6月には、精緻な最短指定可能日を検索や商品ページ上に表示できるようになる「お届け日表」機能をリリースする。

「Yahoo!ショッピング」が導入している「優良配送」のような制度が導入されることになりました。個人的には「Yahoo!ショッピング」に対抗するのではなく、「楽天市場」全体で「Amazon」並みに早い配送を実現しようとしているのだと思います。

配送認定ラベル獲得のためには、まずSKU単位での商品登録・データ保持を可能にする「SKU」に対応する必要がある。さらに、配送日時指定が可能な商品について、楽天サーチ・商品ページに最短指定可能日を表示する「お届け日表示機能」に対応しなくてはならない。加えて2024年に店舗と商品の認定基準をそれぞれクリアする必要がある。

SKU単位での商品登録は「Amazon」に対抗するものです。それに対応しないと配送認定ラベルが獲得できませんので、ここは要注意です。SKUに対応しようとすると画像も増えますし、手間もどんどん増えていきますので、業務の効率化ができていないと、忙しいわりには儲からないことになってきそうです。

「店舗基準」の案では、①納期遵守率96%以上 ②6日以内お届け件数比率80%以上 ③出荷件数が月100件以上 ④共通の送料込みラインの導入――などの基準を検討している

「商品基準」の案では、「午前の注文」について365日いつでも「翌日お届け」を指定できるようにすること、「午後の注文」について365日いつでも「翌々日お届け」を指定できるようにすること、を求める見通しだ。

気になってくるのは「365日いつでも」です。土日をお休みにしていたショップでも配送せざるを得ません。「楽天スーパーロジスティクス」を使うという選択肢もありますが、少人数のショップほど大変になってきそうです。

モールにおいては買う側は便利になる一方で、ショップ側のレベルアップが求められるようになってきています。自社ECで自分たちのルールで頑張るのか、モールの販売力が必要なのでモールのルールに合わせるのか。早急な判断が求められます。

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今週の要チェック記事

発送方法を考えないとバックオフィスが大変になりますという話 | アプロ総研
https://www.apro-soken.co.jp/column/order/post-14.html

メール便とは?送り方や郵便・宅配便との違い、各社の料金比較、注意点を紹介! | よむよむCOLOR ME
https://shop-pro.jp/yomyom-colorme/90400

前述の記事に関連して配送の記事を2つ。バックオフィス業務の大変さを実感してから販売計画を。

【楽天SOY2022】総合グランプリはアルペン、2位はサンドラッグ、3位は「サプリ専門SHOPシードコムス」 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10573

2017年からの受賞店舗も掲載されています。どんな変化があったのか見ておきましょう。

2023年、楽天市場進出・売上拡大を目指すメーカー担当者へ 注目アップデートと方針策定のコツを紹介 | ECzine
https://eczine.jp/article/detail/12197

配送の前にSKUですよね。2023年は楽天のアップデートについていける組織力を身につけましょう。

品質評価ガイドラインで”Experience”はどう語られたか | JADE
https://blog.ja.dev/entry/blog/2023/01/20/experience-in-general-guideline

ページの評価指標「EAT」が「EEAT」に!「経験」追加の影響や対策を解説 | マナミナ
https://manamina.valuesccg.com/articles/2206

SEOの記事を2つ。昔のようにハック的なSEOは終わっています。最新の情報にアップデートを。

【景表法検討会の報告書】「確約」「確約手続き」「悪質事業者への課徴金の割増し」「直罰規定の導入」など法改正の方向性は? | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/10562

「デジタルプラットフォーマーに対するECモールへの規制強化、電話受注の際に行う通販の『アップセル』『クロスセル』の販売手法を規制する特商法の改正案などと並び、景表法改正の流れは通販業界にインパクトを与えることになりそう。」ネッ担メルマガより

Shopifyの2023年のプラン価格改定について | Shopify 日本
https://www.shopify.com/jp/blog/pricing-updates-2023

Shopifyの料金プラン オンラインストアの設定と開設 | Shopify 日本
https://www.shopify.com/jp/pricing

「Shopify」も値上げです。ベーシックは月払いだと33ドルに。

今週の名言

世界で四半期の売上120億円「Duolingo」の日本展開の裏側。ユーザー理解を起点にテレビCMを成功させた方法、テスト受講率を2倍に改善したABテスト。 | アプリマーケティング研究所
https://markelabo.com/n/n45e72486c49f

戦略や施策を考えるとき、なんか考えがまとまらない瞬間って、結局のところ「ユーザー理解が乏しいとき」だなと思うんですね。

わからないこと・知らないことについて、必死に考えてもなにも出てこないですよね。現場に出たりユーザーの声を聴いたりしてわかることがたくさんあります。

筆者出版情報

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アーバンリサーチの動画再生回数が9か月で23.5倍に伸びた理由とは? ECユーザーの購買意欲を高める動画を量産する裏側を公開

3 years 3ヶ月 ago
CRI・ミドルウェアのソリューションを導入して良質なコンテンツを量産しているアーバンリサーチ。顧客のニーズに合った購買体験を提供して、コンバージョン率のアップにつなげている
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アパレル大手のアーバンリサーチは、運営するECサイト「URBAN RESEARCH ONLINE STORE」で良質な画像を豊富に掲載するほか、動画の活用にも注力している。新型コロナウイルス感染症の影響で始めたライブコマースに加え、商品ページ内で動画の埋め込みも実施。動画を配信するチームの体制を強化し、コンテンツの量産につなげている。

商品ページの動画は配信開始から9か月で再生回数が23.5倍と驚異的な伸びを記録。画像と動画の運用におけるアーバンリサーチの取り組みについて、デジタル営業部マネージャーの尻江高昭氏が解説する。

アーバンリサーチ デジタル営業部 マネージャー 尻江高昭氏
アーバンリサーチ デジタル営業部 マネージャー 尻江高昭氏

コロナ禍に始めたスタッフ主導のコンテンツが購買促進に効果

アーバンリサーチは自社ECサイト「URBAN RESEARCH ONLINE STORE(アーバンリサーチオンラインストア)」を展開。顧客層は35歳前後の女性が中心だが、アウトドア商品など男性をターゲットにした商品も展開し、男性顧客の開拓も進めている。

モバイルでのアクセスが90%を超えており、スマートフォンでの閲覧がメイン。購入頻度、購入額などの分析データ、サイト内の行動データなどをもとに、その時々で顧客のステージに合わせて適切なコミュニケーションを実施している。

アーバンリサーチではECサイトを展開していくなかで、コンテンツメディアの活用にも力を入れている。5年ほど前から店舗スタッフ主導のコンテンツとして、「スタッフスタイリング」を開始。さまざまなスタイリングをアーバンリサーチのスタッフが披露するというもので、「スタッフスタイリング」経由での流入を促進するのが狙いだ。

「スタッフスタイリング」
URBAN RESEARCH ONLINE STORE」のスタッフ主導コンテンツ「スタッフスタイリング」

同じく店舗スタッフが主導して展開するメディアとして、2021年4月から始めたのがライブコマースの「UR LIVE」だ。

新型コロナウイルス感染症の影響で実店舗の休業や業務縮小を余儀なくされるなか、来店できないお客さまに対して以前のような接客をお届けしたいという思いから、このライブコマースを始めた。(尻江氏)

ライブコマース「UR LIVE」を展開
ライブコマース「UR LIVE」を展開

ライブ中に顧客とコミュニケーションが生まれるなど、ライブコマース「UR LIVE」は顧客接点としての機能を果たし始めた。コマースという意味でも、ライブ中だけでなくアーカイブ動画を通じて顧客の購買意欲を高める効果が見られるなど、一定の手応えがあった

店舗スタッフとしても、店が閉まっている時期に「UR LIVE」の配信をすることで、店舗再開時に顧客との距離が離れることなく、円滑にコミュニケーションが進んだというメリットがあったという。

お客さまから店舗スタッフに対して「UR LIVEに出ていましたよね」といった声をかけてもらうこともあり、その意味ではお客さまとのコミュニケーションのきっかけになったと言える。(尻江氏)

ECサイト内で仕掛ける静止画投稿の「スタッフスタイリング」と、ライブコマースの「UR LIVE」は店舗スタッフの間でも浸透し、静止画が良いのかライブ動画で訴求するのが良いのか、商品や伝えたい内容に合わせて、スタッフ自身が手段を選んで積極的に運用しているという。

メディアサイトでユーザーを呼び込み、商品ページへ誘導

アーバンリサーチはECサイトとは別に、「URBAN RESEARCH MEDIA(アーバンリサーチメディア)」というメディアサイトも運営している。同サイトは、ブランドごとに発信していた情報を集約して顧客に届ける狙いから始まった。

2019年にサイトを立ち上げてから、紙媒体でプレスを担当していたスタッフを中心に編集チームを構成し、社内の体制を強化してきた。「URBAN RESEARCH MEDIA」に関わるスタッフを徐々に増強したことで企画の幅が広がり、コンテンツのバリエーションが豊かになっていった。

また、公開する記事の本数も増えていき、それがSEO施策としても有効に機能し、結果的に自然検索による流入も伸びていったという。今ではECサイト「URBAN RESEARCH ONLINE STORE」で掲載する特集コンテンツについても、「URBAN RESEARCH MEDIA」の編集部がディレクションするといった取り組みも進めている。

メディアサイト「URBAN RESEARCH MEDIA」
各ブランドの情報を発信するメディアサイト「URBAN RESEARCH MEDIA

「URBAN RESEARCH MEDIA」では子育て中の店員などスタッフにフォーカスした企画や、外部のスタイリストが同社の商品を選んでコーディネートを提案する企画など、それぞれをシリーズ化して発信。スタッフにフォーカスした企画では、第三者の目線から記事を作成することで、スタッフ自身による投稿とはまた違った、新たな切り口でのコンテンツを生み出している。

このように、アーバンリサーチではコンテンツを盛り上げてユーザーを呼び込み、それらのコンテンツからECサイトの商品ページへ誘導。こうして誘導したユーザーを購買につなげる「最後の一押し」として、商品ページの見せ方にも力を入れている。

商品ページでは画像とテキストにこだわって「接客」体験を演出

メディアサイト「URBAN RESEARCH MEDIA」で商品の魅力を発信し、そこからECサイト「URBAN RESEARCH ONLINE STORE」の商品ページへと導く。購買の受け皿となる商品ページでは、上質な画像とテキストで商品の特徴を伝え、ブランドごとに異なる世界観を表現している。

加えて、商品ページの動画やライブコマースのアーカイブなどを通じて顧客との距離を縮め、「接客を受けたような気分になってもらう」(尻江氏)。それでも不安であれば、同社のスタイリストにチャットで相談することも可能だ。

ECサイトでは、購入に至るまでのお客さま体験の向上が最重要課題。お客さまのニーズに合ったオンラインでの体験を提供することにこだわっている。実物との差異をなくすために上質な画質を使うこともその一環。(尻江氏)

「URBAN RESEARCH ONLINE STORE」の商品ページ
「URBAN RESEARCH ONLINE STORE」の商品ページ

アーバンリサーチのECサイト「URBAN RESEARCH ONLINE STORE」の商品ページでは、情報の量と質を大事にしている。ただ、数多くの写真や動画を掲載しようとした場合、サイト全体が重くなり、表示に時間がかかるというリスクがある。

この課題を解消する目的で、アーバンリサーチはCRI・ミドルウェアが提供する画像軽量化ソリューション「SmartJPEG(スマートジェイペグ)」を導入した。これによって、商品画像の軽量化が可能となり、情報量が多くてもサイトのパフォーマンスを落とすことなく、快適なユーザー体験の提供を実現している。

「SmartJPEG」を使った画像の軽量化の一例
「SmartJPEG」を使った画像の軽量化の一例

商品ページ内に埋め込む動画を強化するため、「CRI LiveAct」を導入

さらにアーバンリサーチでは、2022年2月から商品ページに動画の埋め込みを始めた。最初の数か月はYouTube動画を配信した。このYouTube動画と、すでに始めていたライブコマースの「UR LIVE」を通じて、動画配信がECの売り上げに一定の効果があることがわかってきたという。

アーバンリサーチによるとECサイト平均のコンバージョンレートを1%とした場合、「スタッフスタイリング」の写真を見たセッションのコンバージョンレートは2.4%。さらに商品ページの動画を閲覧したセッションは、コンバージョンレートが3.3%まで伸びた。

商品ページで動画を再生するとコンバージョン率が高くなる

こうした成果を踏まえ、商品ページ用の動画を量産し「商品ページの2割を動画コンテンツで埋めてみる」という方針が定まった。動画の運用を強化していくため、2022年7月にアップロードが簡単にできるCRI・ミドルウェアのウェブ動画ソリューション「CRI LiveAct」を導入した。アーバンリサーチの動画活用が本格化していく。

4種類の動画を20人体制で量産

アーバンリサーチが商品ページ内に埋め込む動画は、大きく次の4種類に分類できる。「大枠はこの4パターンである程度のひな型を作り、動画を量産できる体制にしている」と尻江氏は言う。

①コーディネートや素材感のイメージ訴求

コーディネートや素材感といったイメージが伝わるような動画を作成する。

②接客シーン

実際店頭に立っているスタッフがスタジオに来て、そこで実店舗での接客時と同様に振る舞ってもらう。

③身長別の着用感

身長が異なるスタッフが並んで着用している様子を動画で見せることで、身長別にどのような着用感になるのかを伝える。

身長別の着用感を動画で発信

④機能紹介

「このバッグにノートPCは入るか」「A4の書類は入るか」といった問い合わせがあるため、どのようなアイテムが収納できるかなどの機能や使用感を動画で紹介する。

 

動画活用に乗り出した当初は、静止画撮影のカメラマン2人が動画の編集も兼任し、商品ページ用の静止画を撮影するタイミングで、同時に動画も撮影して編集していた。その後、チーム編成を強化し、今ではライブコマース担当者や営業スタッフ、ささげ(撮影・採寸・原稿作成)の担当者も加わって、およそ20人の体制で運営している。

YouTubeから「CRI LiveAct」に移行して再生数は23.5倍に

アーバンリサーチが2022年2月にYouTube動画の埋め込みを開始した当初、動画の再生数は2万弱だった。そこから再生数は徐々に増加し、夏物のピークを迎える6月には6万再生を突破。そして秋物が立ち上がる7月に「CRI LiveAct」に移行し、再生数は13万(7月)、15.8万(8月)、32.9万(9月)、44.8万(10月)と、大幅に伸びていった。開始時に比べると、9か月で実に23.5倍という驚異的な伸び方だ

アーバンリサーチの商品ページにおける動画再生数の推移

再生数が順調に伸びた背景として、「CRI LiveAct」の自動再生機能の影響は大きいと尻江氏は分析する。ユーザーがスマホ画面をスクロールして動画が表示されると自動的に再生が始まり、再生ボタンをタップする必要がないため、動画視聴につながりやすいからだ。なお、アーバンリサーチでは接客動画など音声があるものに関しては、タップしないと再生されないように設定しているという。

「CRI LiveAct」は分析機能を搭載しており、動画別の再生数だけでなく、ユーザーが1つの動画をどのくらい視聴し続けたかという「視聴維持率」も確認できる。これにより、内容の良し悪しを深掘りし、よりよいコンテンツづくりにつなげている。

アーバンリサーチがめざす今後の動画活用

アーバンリサーチでは、「CRI LiveAct」を使って動画を埋め込む際に、ECサイトの世界観に合わせてUIをカスタイマイズしている。「CRI LiveAct」にはそうした機能もあるため、ECサイトになじむよう動画を配置することができる

CRI・ミドルウェアの三上夏代氏によると、上記以外にも「CRI LiveAct」では「360度スワイプ動画」がおすすめだという。「360度スワイプ動画」なら、たとえば靴を見せる場合に360度どこからでも動画で表現できる。ユーザーはスマホを使って靴のソール部分など、通常は写真で確認できない細かい部分までチェックできるため、購入につながる可能性が高まると言えそうだ。

CRI・ミドルウェア 三上夏代氏
CRI・ミドルウェア 三上夏代氏

アーバンリサーチでは今後、商品ページ以外での動画活用を検討している。

「CRI LiveAct」を使ってECサイトのトップページのキービジュアルや、メディアサイトの記事のサムネイルなどに動画を使ってみたい。(尻江氏)

アーバンリサーチではECサイトを運営する上で「お客さまのニーズを常に意識すること」を大切にしているが、それは動画活用においても同様。「動画を使った施策についても、お客さまの気持ちになって考えることを重視している」と尻江氏。今後も顧客目線での動画活用を推進していく方針だ。

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キヨハラサトル

ZETAがハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」提供技術における特許を取得

3 years 3ヶ月 ago

ZETAは、ハッシュタグ活用エンジン「ZETA HASHTAG」の提供技術における特許を取得した。

ZETAが取得した特許は、検索の絞り込み条件から自動的にハッシュタグを取得し、商品情報との紐づけを行うとともに、ハッシュタグを組み合わせたWebページを生成することにより、商品購入機会を増やす「ZETA HASHTAG」の機能に関するもの。

内容は次の通り。

  • 発明の名称:ページ生成装置、ウェブページの生産方法、およびプログラム
  • 特許番号:特許第7203398号
  • 登録日:令和5年1月4日

「ZETA HASHTAG」とは

主にECサイトなどWebサイトのなかの説明文やカスタマーレビューのようなテキスト情報をAIで解析し、関連するキーワードを抽出してLP(ランディングページ)を自動生成するソリューション。ECサイトでは、商品の見た目の形状、使い方などに関連するテキストタグを活用して商品検索ができる。

ZETA HASHTAG 特許取得
「ZETA HASHATAG」について(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

佐川急便、送料を値上げへ。「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃改定

3 years 3ヶ月 ago

SGホールディングスグループの佐川急便は4月1日、「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を改定する。宅配便のインフラとその品質を維持・向上が目的。

「飛脚宅配便」は、3辺の合計が60センチ以内の「60サイズ」が880円から970円に。同80サイズは1155円を1280円に値上げする。サイズによって異なるが、値上げ率は7%台から10%台の値上げとなる。

SGホールディングスグループの佐川急便は4月1日、「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を改定
飛脚宅配便の改定料金(関東から関西の例)

「飛脚クール便」の付加料金は、140サイズの20キログラム以内が715円から880円、140サイズの30キログラム以内を935円から1100円に値上げする。

SGホールディングスグループの佐川急便は4月1日、「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を改定 飛脚クール便付加料金(改定は140サイズ(20kg・30kg)のみ)
飛脚クール便付加料金(改定は140サイズ(20kg・30kg)のみ)
SGホールディングスグループの佐川急便は4月1日、「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を改定 飛脚特定信書便の改定料金(関東から関西の例)
飛脚特定信書便の改定料金(関東から関西の例)
SGホールディングスグループの佐川急便は4月1日、「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を改定 飛脚ラージサイズ宅配便の改定料金(関東から関西の例)
飛脚ラージサイズ宅配便の改定料金(関東から関西の例)

佐川急便は2017年の価格改定以降、燃料価格や人件費などのコスト上昇に対し、ITを活用した生産性の向上や輸送ネットワークへの投資、効率化などさまざまな対策を講じてきた。

一方で、昨今は「エネルギーや施設・車両などの価格高騰および労働コストの上昇」「物流の2024年問題に対応した従業員とパートナー企業の労働環境改善」「顧客ニーズに対応したサービス品質の維持・向上」といった環境の変化が生じている。

こうした状況下、将来的に継続して安全で安定した物流を提供し続けるため、2017年以降未改定だった「飛脚宅配便(飛脚クール便含む)」「飛脚特定信書便」「飛脚ラージサイズ宅配便」の運賃を改定することにした。

石居 岳

「3Sセキュア2.0」が抱える課題とは? 導入メリットを最大限生かすために押さえておきたいポイント | EC事業者が知っておきたいセキュリティ対策

3 years 3ヶ月 ago
国内の全EC加盟店に導入義務化検討の方針が発表された「3Dセキュア2.0」。「3Dセキュア2.0」導入メリットを得るために、把握しておきたい課題を解説

VisaとMastercardは2022年10月で、レガシー認証(ユーザーIDとパスワードで認証を行う方式)プロトコルである「3Dセキュア1.0」とすべての関連サポートを終了。同時期に、経済産業省は国内の全EC加盟店に「3Dセキュア2.0」導入義務化の検討を発表しました。

前編では、セキュリティに関する規制環境の変化と「3Dセキュア2.0」のメリットについて解説。後編では「3Dセキュア2.0」を導入する上で確認しておくべき課題をお伝えします。

「3Dセキュア2.0」は万能ツールではない

「3Dセキュア2.0」は、加盟店にとってチャージバックの債務責任とリスクの軽減、規制の遵守に役立つ一方、課題も残っています。

課題①:イシュア(カード発行会社)によるオーソリ承認率の低下

有効期限や利用限度額などカードの有効性を確認するオーソリと3Dセキュア認証は、2種類の異なるステップで構成されます。

通常、3Dセキュア認証が失敗した場合、取引がオーソリに進むことはありません。しかし、3Dセキュア認証が成功した場合でも、オーソリに失敗する場合があります。

3Dセキュア2.0の仕組み クレジットカード決済 EMV 3-D
「3Dセキュア2.0(EMV3Dセキュア)」の仕組み(画像は一般社団法人日本クレジット協会の「EMV 3-Dセキュア導入ガイド」からキャプチャ)

「3Dセキュア2.0」は、イシュアがチャージバックの債務責任を負います。そのため、イシュアは3Dセキュア取引の承認について、これまで以上に慎重な姿勢を取るようになりました。その結果、3Dセキュアの認証が成功しても、イシュアのオーソリ段階で拒否されるケースが増えています

これは、3Dセキュア認証、あるいは「フリクションレス3Dセキュア(認証なし3Dセキュア)」が成功したにも関わらず承認が否決されてしまい、加盟店にしてみれば取引と収益を失う結果になってしまいます。

米国では、加盟店が「3Dセキュア2.0」を適用した際、承認の否決が原因でコンバージョンが最大10%低下している例があります。

たとえば一般的な1万円の取引で、3Dセキュア(フリクションレス含む)が成功し、イシュアに取引が届いたとします。その後、イシュア自身の不正フィルタを通り与信なども通過、取引が成功し取引完了したとします。本取引成功によるイシュアが得られる手数料の粗利は約1%(約100円)ではないかと推測します(経産省キャッシュレスビジョン参照)。

一方、取引がチャージバックになった場合、イシュアは取引全額(1万円)の損害を被ることになります。以前は債務責任を加盟店が負っていましたが、ライアビリティシフト(責任の移転)によってイシュアが全額負担しなければなりません。

そのため、「3Dセキュア2.0」取引のイシュア判定は、以前と比べてよりリスクを回避する方向で取引を判定することになります。これが、3Dセキュア取引が成功してもイシュアでの承認段階での拒否が増える理由です。

3Dセキュア2.0と3Dセキュア1.0の違い クレジットカード決済 EMV 3-D
「3Dセキュア1.0」と「3Dセキュア2.0」の違い(画像は経済産業省「第3回 クレジットカード決済システムのセキュリティ対策強化検討会」からキャプチャ)

課題②:3Dセキュアプロセス中のカゴ落ち

3Dセキュア認証に失敗する割合は、平均して欧州で30%、米国では50%です(Forter調べ)。

欧州の加盟店がすべての取引に「3Dセキュア2.0」を使用した場合、ライアビリティシフトが適用されるほか、必要に応じて「欧州決済サービス指令第2版(PSD2)」の遵守も可能になります。一方で、多くの取引で3Dセキュアのデメリットに悩まされることにもなります。

それは、認証ステップの摩擦による「カゴ落ち」です。追加認証によりUX(顧客体験)が毀損され、パスワード忘れ・間違いなどでカゴ落ちが発生してしまいます。「3Dセキュア2.0」により本人(チャレンジ)認証の実施は取引の数%に抑えられると言われていますが、「数%でも大きい」と感じる加盟店もいます。

また、海外で「3Dセキュア2.0」を導入している加盟店を見ると、約3割の取引でチャレンジ認証が実行されています

「3Dセキュア2.0(EMV3Dセキュア)」と「3Dセキュア1.0」の認証フローの違い クレジットカード セキュリティ対策
「3Dセキュア2.0(EMV3Dセキュア)」と「3Dセキュア1.0」は認証フローが異なるため、カゴ落ちが発生する(画像は一般社団法人日本クレジット協会の「EMV 3-Dセキュア導入ガイド」からキャプチャ)

この理由は上述と同じく、イシュアが3Dセキュア取引について今まで以上に慎重な姿勢を取るようになっているのが原因です。「3Dセキュア2.0」取引をフリクションレスにするか、本人認証を必要とするか(どの認証方法にするか)は、イシュアが判断します。

慎重な姿勢を取っているイシュアにとって、より多くの取引に認証をかけたくなるのは当然の流れかもしれません。

また、「3Dセキュア2.0」がバックグラウンドで実施している複雑な認証や承認プロセスにより発生する技術的エラーにより、UXが毀損されカゴ落ちが発生しています。これらの要因は、いずれも全体的なコンバージョンを低下させ、売り上げや収益性に悪影響を及ぼします。

「3Dセキュア2.0」導入だけで終わりではない

「3Dセキュア2.0」は、イシュアが債務責任を負い、不正取引が発生した場合に加盟店のビジネスを守ります。しかし、「3Dセキュア2.0」は有益な面がある一方で先述のような課題もあります。

仮に「3Dセキュア2.0」を義務化すると、犯罪者がそれに合わせた対策を行う可能性があるため、不正対策ソリューションを含めた多面的な対策が必要になります。カスタマージャーニー全体を通して摩擦のない、より優れた体験を提供する包括的な不正対策ソリューションを見つけるべきです。

「3Dセキュア2.0」は不正対策ソリューションではなく、あくまで必要に応じて追加認証を実施し、本人であることをより確実にするツールの1つです。

取引が正規か不正かの判断が付きにくいグレーな取引に対して、「3Dセキュア2.0(追加認証)」を通すことで、より高精度で取引の真偽を検証することができます。仮に不正取引だった場合でも、ライアビリティシフトにより加盟店は損失リスクが回避される為、加盟店にとっては非常に有益なツールとなります。

「3Dセキュア2.0」を最大限に活用するためには、消費者をそれぞれのリスクレベルや行動に基づいて高精度なリスク判定を行い、最も摩擦の少ない決済パスにルーティングすることが大切です。

「3Dセキュア2.0」のメリットを得てコンバージョンを最大化するには

信頼できる顧客に対しては「3Dセキュア2.0」の不便を与えずコンバージョンを保ち、怪しいグレーな取引に対しては「3Dセキュア2.0」を適用することで損失リスクを軽減することができます。繰り返しになりますが、「3Dセキュア2.0」を取引に適用するかどうかは加盟店が判断します。

高精度判定およびルーティングが実施可能な高度な不正対策ソリューションを用いれば、「3Dセキュア2.0」のメリットを最大限享受できることになります。これはより多くの取引を承認し、債務責任をイシュアに移転し、コンバージョンを最大化するということです。

これらのことをすべて実践した時、「3Dセキュア2.0」が真の事業成長を実現する上で最高のツールであるかどうかがわかるはずです。

野田 陽介

約半数が「値上げの影響を受け、ECで食品を買うことが増えた」。“お得に買いたい”ニーズの上昇でECの引き合い増加

3 years 3ヶ月 ago

フードロス削減に向けたECサイト「Kuradashi(クラダシ)」を運営するクラダシが実施した「物価高騰の影響によるライフスタイルの変化に関する調査」によると、昨今相次いでいる食品の値上げを受け、少しでもお得に購入するためにECで購入する人が増加していることがわかった。

2022年はさまざまな要因で原価高騰やそれに伴う価格転嫁が続いた。食品は2万品目以上で価格が上昇。2023年1月から4月で値上げが決定している食品は7000品目にのぼる。

こうした環境を受け、ECで購入する機会が「とても増えた」または「まあ増えた」と回答した人は半数近くにのぼっている。

調査結果のポイント
  • 食品の中で特に値上げされていると感じるものは「卵・乳製品」が最も多く38.4%
  • 値上げが理由で購入を控えるようになった食品は「パン」が最も多く19.2%
  • お酒の値上げに対して「より安く購入できる場所を探す」と回答した人が36.4%
  • 自宅でお酒を飲む頻度は「週に5日以上」が最も多く26.4%、次いで「全く飲まない」が20.3%
  • ガス代や電気代の値上げを受けて、冷凍食品等の利用頻度が増えたと回答した人は12.7%
  • 食品の値上げを受けて、セカンド冷凍庫や冷蔵庫を購入したと回答した人は12.6%

回答者の約2人に1人が「ECで食品を買う機会が増えた」

「昨今の食品の値上げを受けて、インターネットで食品を購入する機会はどのように変化したか」という質問に、12.3%が「とても増えた」、38.4%が「まあ増えた」と答えた。

「昨今の食品の値上げを受けて、インターネットで食品を購入する機会はどのように変化したか」という質問の回答
「昨今の食品の値上げを受けて、インターネットで食品を購入する機会はどのように変化したか」という質問の回答

「日頃、食品を購入する際に意識していること何か」という質問では、「より価格の安いものを購入すること」が58.5%で最多。「できるだけ国産の商品を購入すること」が40.3%で続いた。その他を除いて最も少なかった回答は「有名なメーカーの商品を購入すること」で6.6%。次いで「オンラインではなく実店舗で自分の目で見て商品を選ぶこと」で6.8%だった。

「日頃、食品を購入する際に意識していること何か」という質問への回答(回答者が3つまで選択)
「日頃、食品を購入する際に意識していること何か」という質問への回答(回答者が3つまで選択)

88%が「値上げは家計に影響」

「昨今の食品の値上げは、家計にどの程度の影響があるか」という質問の回答は、「とても影響がある」が41.0%、「やや影響がある」が46.9%。回答者全体の87.9%が家計への影響を感じている。

「昨今の食品の値上げは、家計にどの程度の影響があるか」という質問の回答
「昨今の食品の値上げは、家計にどの程度の影響があるか」という質問の回答

「昨今の食品の値上げを受けて、よりお得に食品を購入したいと思うようになったか」聞いたところ、「とても思う」が67.9%、「まあ思う」が29.5%だった。回答者全体の97.4%がよりお得に食品を購入したいと考えている。

「昨今の食品の値上げを受けて、よりお得に食品を購入したいと思うようになったか」という質問の回答
「昨今の食品の値上げを受けて、よりお得に食品を購入したいと思うようになったか」という質問の回答

食生活は“よりお得”を求める消費者傾向に

「昨今の食品の値上げを受けて、食生活はどのように変化したか」という質問では、「よりお得に購入できる方法や場所で食品を購入するようになった」との回答が60.7%で最多。「明らかに価格が高騰した食材を購入する頻度を減らした」が51.3%、「節約できる食材を使った料理を作る頻度が増えた」が33.3%で続いた。

「昨今の食品の値上げを受けて、食生活はどのように変化したか」という質問の回答
「昨今の食品の値上げを受けて、食生活はどのように変化したか」という質問の回答

「食品の中で特に値上げされていると感じるものは何か」という質問では、特に値上げされていると感じる食品で「卵・乳製品」が最多の38.4%。「パン」で38.3%、「肉・肉加工品」が36.3%で続いた。

「食品の中で特に値上げされていると感じるものは何か」という質問への回答(回答者が3つまで選択)
「食品の中で特に値上げされていると感じるものは何か」という質問への回答(回答者が3つまで選択)

“購入控え”は年代が上がるほど増加

「値上げされたことが理由で購入を控えるようになった食品は何か」という質問では、「購入を控えるようになったものはない」という回答が最多の39.7%。「パン」や「お菓子」、「インスタント・レトルト食品」は20%弱が購入を控えるようになったようだ。

「値上げされたことが理由で購入を控えるようになった食品は何か」という質問への回答
「値上げされたことが理由で購入を控えるようになった食品は何か」という質問への回答

年代別では、「購入を控えるようになったものはない」と回答した割合は、20歳~29歳では29.0%、60歳~69歳では45.5%。年代が上がると割合が増加する傾向がある。

値上げが理由で購入を控えるようになった食品についての年代別回答
値上げが理由で購入を控えるようになった食品についての年代別回答

「購入を控えるようになった」と回答した割合が20%を超えた食品のカテゴリー、それにひもづく年代は次の通り。

  • 20歳~29歳:「卵・乳製品」
  • 40歳~49歳:「インスタント・レトルト食品」
  • 50歳~59歳:「パン」
  • 70歳以上:「肉・肉加工品」「水産物・水産加工品」

酒は値上げも、飲む量や頻度は減らさない人多い結果に

2023年2月には約1400品目にわたる酒・飲料の値上げが決まっている。こ「酒・飲料の値上げに際して、どのように対応しようと思うか」を聞いたところ、「より安く購入できる場所を探す」が最多で36.4%。次いで「よく飲むお酒・飲料を値上げ前に買いだめする」が22.2%で続いた。

一方、「1回あたりの飲む量を減らす」が12.5%、「自宅でお酒を飲む頻度を減らす」は11.0%にとどまった。クラダシは「飲む量や頻度を減らすことなく、工夫してお酒を楽しもうという方が多いことが読み取れる」と分析している。

「酒・飲料の値上げに際して、どのように対応しようと思うか」という質問への回答
「酒・飲料の値上げに際して、どのように対応しようと思うか」という質問への回答

年代別では、20歳~29歳では「特に何もしない」という回答が26.1%で最も多かったが、他の年代では「より安く購入できる場所を探す」が最多となった。

酒・飲料の値上げへの対応について、年代別の回答
酒・飲料の値上げへの対応について、年代別の回答

年代が上がるほど飲酒する人が多い傾向に

「普段自宅でお酒をどのくらいの頻度で飲むか」を聞いたところ、26.4%が「週に5日以上」と回答。一方、「全く飲まない」は20.3%、「ほぼ飲まない」は17.0%だった。

「普段自宅でお酒をどのくらいの頻度で飲むか」という質問への回答
「普段自宅でお酒をどのくらいの頻度で飲むか」という質問への回答

年代別の結果では、19歳以下とその他を除くと、「週に5日以上」の割合は、70歳以上が最も多く31.2%。年代が下がると割合は減少し、20歳~29歳が最も少なく4.3%となった。20歳~29歳で「ほぼ飲まない」と回答したのは31.9%。他の年代と10ポイント以上の差があることから、若者の酒離れが進んでいると見られる。

自宅でお酒を飲む頻度の年代別回答
自宅でお酒を飲む頻度の年代別回答

冷凍食品やインスタント食品の利用頻度は「変わらない」

「ガス代や電気代の値上げを受けて、値上げ以前と比べて冷凍食品やインスタント食品の利用頻度は増えたか」を聞いたところ、「変わらない」が最も多く82.3%だった。「増えた」は12.7%、「減った」は5.0%だった。

「ガス代や電気代の値上げを受けて、値上げ以前と比べて冷凍食品やインスタント食品の利用頻度は増えたか」という質問への回答
「ガス代や電気代の値上げを受けて、値上げ以前と比べて冷凍食品やインスタント食品の利用頻度は増えたか」という質問への回答

年代別の結果では、70歳以上で「増えた」が19.4%で、他の世代と比較するとやや多い。

冷凍食品やインスタント食品の利用頻度は増えたかという質問への年代別回答
冷凍食品やインスタント食品の利用頻度は増えたかという質問への年代別回答

セカンド冷凍庫/冷蔵庫は30%が“必要性を感じている”

「昨今の食品の値上げを受けて、食品を保管するためのセカンド冷凍庫や冷蔵庫を新たに購入したか」という質問では、「購入していないし、購入する予定もない」が71.9%で多数を占めた。

その一方で、「購入した」は12.6%、「購入していないが、今後購入しようと思っている」は15.5%。回答者全体の約30%はセカンド冷凍庫や冷蔵庫の必要性を感じていることがわかった。

「昨今の食品の値上げを受けて、食品を保管するためのセカンド冷凍庫や冷蔵庫を新たに購入したか」という質問への回答
「昨今の食品の値上げを受けて、食品を保管するためのセカンド冷凍庫や冷蔵庫を新たに購入したか」という質問への回答

年代別では、「購入した」「購入していないが、今後購入しようと思っている」を合計した割合が最も多いのは30歳~39歳で32.5%。19歳以下を除いて「購入した」「購入していないが、今後購入しようと思っている」を合計した割合が20%を下回ったのは20歳~29歳だった。

調査概要

  • 調査名:「物価高騰の影響によるライフスタイルの変化」に関するアンケート
  • 調査方法:インターネット調査
  • 有効回答数:「Kuradashi」利用者5705人
  • 調査期間:2023年1月9日(月)~2023年1月15日(日)
  • アンケート回答者の属性
    • 年齢:19歳以下 0.0%、20歳~29歳 1.2%、30歳~39歳 6.7%、40歳~49歳 23.8%、50歳~59歳 37.6%、60歳~69歳 22.5%、70歳以上 8.0%、その他 0.1%
    • 性別:男性 31.3%、女性:68.1%、その他 0.6%
      ※百分率(%)は小数第二位で四捨五入し、小数点第一位までを算出。百分率の合計値が100%とならない場合がある。
高野 真維

元・桃源郷社長の武田和也氏が語る! ECの“売上をアップさせる”チームの作り方とは? | 「ECタイムズ」ダイジェスト

3 years 3ヶ月 ago
かつて楽天の黎明期にその名を馳せたECショップ・桃源郷。元社長・武田和也氏に、ECの売り上げを向上させるチームづくりのポイントを聞いた

WUUZY(ウージー)が運営する、EC事業者のためのメディア「ECタイムズ」。今回は、EC専業の桃源郷でカスタマーサポート、システム構築、海外直輸入、人事統括、EC事業統括、M&A担当、代表取締役社長まであらゆる役職を経験し、ECの黎明期を駆け抜けた武田和也さんにインタビューしました

武田さんは、多数のEC事業をマネジメントしてきた経験をもとに、EC事業社向けコンサルタントとして活躍されている方です。そんな武田さんに、「EC事業での人の課題」について聞きました。

武田和也さん

アルバイトが「桃源郷」の社長に!?

まずは武田さんと桃源郷の出会いについてお伺いしたいです。最初はアルバイトから入られたというのは本当ですか?

2005年当時、楽天市場に出店しているのがまだ3000店ほどだった頃、僕はユーザーとして利用していて、「面白い仕組みが始まったな」とは思っていました。

ある日、アルバイトを探すために求人雑誌を開いたんですよ。すると「ネットショップの運営の仕事」という文字が飛び込んできました。当時はそんな募集してるのは1社だけでしたよ。元々ユーザー側としても利用していて、面白そうだと思って短期のつもりで応募しました。

ユーザーだったところから入っていった形だったんですね。短期のつもりだったのが、結果的には長年続けられたわけですよね?

そうですね。2005年9月にアルバイト入社をして、2006年の年明けに「今年から社員だからよろしくね」と言われて、勝手に社員にされてたんですよ(笑)

じゃあもう、本当に成り行きだったんですね(笑)

完全に成り行きです(笑)

元・桃源郷社長の武田和也氏。現在はEC事業社向けコンサルタントとして活躍している
元・桃源郷社長の武田和也氏。現在はEC事業社向けコンサルタントとして活躍している

最初はそういった動機で入られたとのことですが、お聞きしたところによるとアルバイト時代からCS用のオペレーションシステムを作っていたとか。働いているうちに熱意が上がってきたという感じですか?

僕は、自分の役割や職責を越えて割と何でも好き勝手やってしまうタイプなんです。

当時はまだ顧客対応みたいなバックヤード部分はシステム化されてなくて全くアナログだったんです。事業が急激に伸びる中でミスが色々と発生していましたね。

会社全体の基幹システムが「filemaker(ファイルメーカー)」というソフトで作られていまして、僕が学生の時に少し「filemaker」を触ったことがあったので、自分で作っちゃおうと思って、CS向けツールを自作しました。今でも稼働してるんじゃないですかね?

すごいですね! こういうことができそうだと思ったらどんどんやってしまう武田さんのお人柄が、桃源郷の発展に生かされているんですね!

販促費“爆増”からの立て直し施策とは?

武田さんが桃源郷の取締役に就任された後、2011年には東日本大震災がありましたよね。危機的状況もあったかと思いますが、武田さんもその時に焦りはありましたか?

そうですね。それまでは楽天のオークション事業が絶好調だったんですけど、震災を契機にして、それまで無料だったメルマガ送信が有料化されたんですよね。

無料無制限だった頃はメルマガを月に1億通(!)も送っていたんですよ。それが有料となったことで販促費が爆増してしまって「この事業終わったな」と気が遠くなりました。

なるほどなるほど。そこからの立て直しの施策が専門店事業?

そうですね。オークション一本足打法では駄目だよねという危機感は2009年のリーマンショックの頃からあったんですよね。そこで次の事業として専門店事業を立ち上げ始めました。

震災当時には3、4店舗持っていたかな。それまでは実験的に細々という形でしたが、震災を機に、ここにしっかりフォーカスしてやっていこうと意思決定しました。

それまで検証していたものを、アクセルを踏んで乗せていったんですね!

2011年には多くの専門店がオープンした(画像出典:lifeit)
2011年には多くの専門店がオープンした(画像出典:lifeit

事業者が抱える「人」の悩み

その専門店事業により代表就任後3年でV字回復を遂げ、黒字化を達成したと伺いました。正直その3年間が相当大変だったんじゃないかなと思うのですが、紆余曲折ありという感じだったんでしょうか?

紆余曲折というか、もういろいろありすぎてほとんど記憶が無いですね(笑)。とにかく採用、採用、採用ですよ。当時30人弱だったスタッフを、その3年で50人超まで増やしました。

とにかく成長シナリオ、V字回復シナリオを現実化するために必死でしたね。クォーターごとにバイヤーとWebデザイナーを4、5人程度ずつ採用して、急ピッチで新店舗を立ち上げるものの、うまくいくのは半分くらいで、あとの半分は作っては潰して、人が辞めて……で、それを繰り返すみたいな。そんなぐちゃぐちゃな3年間でした。

もうとにかくがむしゃらに動いて、気が付いたら黒字化達成ができていたと。

そうですね。1年目、2年目はとにかく店舗を増やしまくって、その間にオークション事業は潰しました。

3年目になって売上拡大をいったん止めて、利益を出す方向にハンドルを切って、ある程度黒字を確実なものにしていった形ですね。

なるほど。そしてそれを見届けて退任されたという流れでしょうか。

そうですね。黒字化を達成して、色々と体制も整えたので、よいタイミングかな、と。

僕は仕事としてはCSから入って、その後は中国に行って物を作ったり、向こうで物流拠点を作ったりもしましたね。

あとは店舗統括だとか採用統括だとかM&A担当だとか、結構ありとあらゆる職種をやってきたと思います。

社長になってからは毎年株主が変わっていたのでそれに伴って社長へのリクエストも毎年変わりましたし、本当に翻弄されましたね。でも総じて、そうした経験が今はすごく役に立っています。

最初にアルバイトで入られてから退任されるまで、12年半も桃源郷でECの黎明期を駆け抜けられたんですね。

問われる「マネジメント」と「人材」

ECの上流から下流まであらゆるセクションを経験された武田さんがキーだと思われたことが人材育成、組織開発だというところがちょっと面白いなと思いました。これは退任後に気付かれたことですか?

事業者としての現役時代は、結構めちゃくちゃだったな、と思っています(笑)。今振り返ると、ずいぶん不出来な社長だったなあ、と(苦笑)。人材育成という観点はあまりなかったですね。

退任後、友人知人に頼まれて色々な事業のお手伝いをしている中で、お金をいただく以上は、一番レバレッジが効く貢献は何だろうとやっぱり考えますよね。

正直、業務改善といったような仕事は、多少業務効率が改善する程度で、ビジネスそのものの成長にはさほどレバレッジは無いです。

でも、人が成長するとき、特に組織が単なるメンバーの集まりからしっかりとチームになった時に売り上げがぐっと上がるのを何度か目の当たりにして、事業にとって一番レバレッジが効くのはやっぱり人とかチームにテコをかけることだと確信するようになりました。

なるほどです。では「チームにテコをかける」ことについてもう少し詳しくお伺いしてもいいですか? どういった問題に、どういった方法でアプローチするのかをお聞きしたいです!

まず、EC事業のチームに関わる問題は「マネジメントの問題」と「メンバーの問題」の大きく2つに分けられると思います。

事業者側でもその2つを切り分けることがまずは大事だと思います。

マネジメントの問題とは?

問題①:メンバーが自走できていない

僕のところに相談に来るEC事業者で多いのはマイクロマネジメントというか、社長が個別に業務だけを指示しているケースですね。社長自らがECで起業したスーパープレイヤーである場合によく見られます。

メンバーがいつも社長の指示待ちをしている状態で、自走していないし、モティベーションも低い状態です。これはメンバーの問題というよりも、マネジメントの問題なんです。

この状態だと、メンバーの人数が増えるにつれて、チームのパフォーマンスの低下を招きがちです。月の売上予算すら持っていないケースも多いんですよ。

面白いことに、こうしたケースでは、月の売上予算をメンバーに共有するだけで売上が1割くらい伸びるんです。

さらにきちんと目標を設定して役割を決めて、チームとして動かしていけば15%とか20%とか普通に伸びる。そんな感じなんですよ。予算や目標がチームを自走させる原動力として働くんですね。

へぇー! そうなんですね!

問題②:EC事業を管理できる上司がいない

逆にメーカーのD2Cパターンだと、そもそもECに知見のある上司がいないケースが多いです。

メンバーはなんとなくオペレーションはこなしているものの、EC事業全体を俯瞰で見れる人材がいないので、適切な課題設定ができず、EC事業が伸び悩んでしまいます。

こうしたマネジメントの問題というのが、EC事業の成長にとってはかなり重い部分だと考えています。

我々もご相談いただくことが結構ありますね。マネジメントをする人を教育してほしいだとか、PM的な立場でメンバーをまとめてくれる人がいませんか、だとか。

ここが僕のメイン領域と言えます。経営者・マネジャーにEC運営にふさわしいマネジメント手法をレクチャー・トレーニングしながら、一緒にチームを作っていくという形でお手伝いしています。

マネジャーにECの知見がない場合には、ECの知識のレクチャーも併せて行います。

このような取り組みを続けると、経営者やマネジャーはマネジメントの仕事が楽になって、かつ事業の売り上げも伸びて、ということが起きてきます。

マネジメントの問題では、モチベーションの維持や上席のマネジメント力などが問われるケースが多い
マネジメントの問題では、モチベーションの維持や上席のマネジメント力などが問われるケースが多い

人材(メンバー)の問題とは?

問題③:メンバーの知見が不足している

新規参入をされる事業者がつまづいているケースとしてよくあるのは、“人数として人はいるんだけれど全員未経験”というパターンですね。

経営者の方も年配でECのことがわからないので、数人のメンバーが見よう見まねの独学でやるのですが、やはりスキル的に不十分なせいで成果がなかなか出ないということが起きています。

ECの管理画面で一定の操作ができることと、効果的にECのマーケティングができることは全く違うことなんですね。未経験から独力でビジネス・マーケティングの知識を身につけていくのはけっこう大変です。

さまざまなノウハウ記事をWebで読むことができますが、中には情報が古く、もはや有効ではない情報もあるので注意が必要です。ノウハウはすぐ使える代わりに、すぐに使えなくなるものだという認識が必要です。

やはりビジネスやマーケティングのきちんとした知識を身につけていくことは大事で、これには書籍を読むことが有効です。でも、中小企業の社員は自ら学ぶ習慣に乏しいので、経営者が「勉強しろ」と言ってもなかなか実行されないですね。そういう場合には漫画なんかを使って学んでもらえたらいいなと思います。今は有名な書籍はほとんど漫画化されていますので。

学習機会を与えるよりも、ECマーケティングに習熟した外部人材と一緒に働かせる方が、事業推進と人材育成を同時に達成することができて効果的なんじゃないかな、とは最近思っていることです。

問題④:メンバーの人数が足りていない

あとはやっぱりそもそも人数が足りていないというケースですよね。

社内にECをやれる人もいないし、リソースも割けない。1年間人材採用広告を出しているのに誰も来ないみたいなこと、本当にあるんですよ。

まず一般求人での採用は確率が低いです。そもそも優秀なEC人材は求人市場にはまず出てこないんですよね。

社内にEC運営人材がいるなら、若い未経験者を採用して教育する方法でいいんですけど、やっぱり初期の教育コストがかかりますから。EC担当者の手が回らなくなって、売上もモティベーションも下がってしまうということが起きます。元気だった既存社員が一気にゾンビ化するので注意が必要です。

こういう場合もやっぱり、副業人材やフリーランスを上手く活用すればよいのではと思います。

すごくわかりやすいです…ありがとうございます!

メンバーの問題としては、知見の不足や人数不足といった課題が多くみられる
メンバーの問題としては、知見の不足や人数不足といった課題が多くみられる

外部人材の導入で“社内を育てる”

外部人材の活用は効果的だというお話があったと思います。我々も色々なECの事業とお話する中で、「まずは社内でやってみよう」「採用は正社員採用だけでいこう」というこだわりのある方がいらっしゃいます。‍武田さんはこういったこだわりについてどう思われますか?

僕がお手伝いする社長さんにも、今いる人材を大事にして会社の成長と人の成長を同時に達成したいんだというという方が多いですし、僕もそれには共感できます。

じゃあそれと外部人材の活用って矛盾するんじゃないかと思われるかもしれませんけど、そうではなくて、あくまでも教育面での活用だと思うんですよね。

僕も外部人材にあたるわけですけど、コンサルに入る時は経営者からメンバーまでの縦ラインの全ての層についてコーチングやトレーニングを行って、会社全体にレバレッジをかけるというお手伝いをしています。

なるほど。

人とかお金とかモノとか情報とか、色々な経営資源がありますけど、いちばん大事な経営資源って「時間」だと思ってるんですよ。時間だけが、貯めておけないし借りてくることもできない唯一無二の資源です。

たとえば「売り上げを倍にしよう」という目標も、時間が無限に使えるならば、いつかはほぼ確実に達成できるわけです。50年後とか100年後とかに。でもそれじゃ嫌じゃないですか。寿命が先に尽きちゃいます(笑)。

ポイントは“時間あたりのパフォーマンス”をいかに最適化するか

必ず来期とか3年後、という期限が決められたところに、目標とかビジョンとかがあるわけですよ。とすれば、いかに時間あたりのパフォーマンスやレバレッジを最大化するかがポイントだと思うんですよね。

そうなるとやっぱり内製で試行錯誤していると、追加費用はかからないかもしれないけれど、成長に時間がかかり、結果、費用対効果が悪いということになります。

外部人材なり外部ソリューションを活用して事業の成長を推進しつつ、丸投げではなく、彼らと協働することによってメンバーのスキルアップも達成する、という方法が一番時間効率に優れたやり方かなと思います。

具体的には外部人材をリーダーとして迎えて、メンバーは手を動かすという協働スタイルを組むのが最良かなと考えています。

いちばん大事な経営資源は「時間」という言葉がグサッときました…。確かに、そう考えると「正社員採用にこだわりたい」ことと「外部人材を活用する」ことは全く矛盾しないですね。

外部人材との協働で社内メンバーのスキルアップを図ることもできる
外部人材との協働で社内メンバーのスキルアップを図ることもできる

武田氏「たくさんの人の成長に貢献していきたい」

最後に、今後の武田さんについてお伺いしたいです。武田さんはこれから何を仕掛けていくんでしょうか?

2018年に前職の代表を退任してから色々な事業をお手伝いしていく中で、コンサルタントとして社会に貢献できている実感も得られ、楽しい仕事だなと思うようになりました。それでようやく2023年1月に法人化しました。

仕事をする上で僕を駆動しているフォーカスが2つあって、

1つ目は「日本が豊かであり続けることに貢献する」ということ。
2つ目は「働くのが楽しい社会の実現に貢献する」ということ。

その2つを達成していくために、もっとたくさんの人の成長に貢献していきたいなという想いが強くなってきています。

その中では、フリーランスのEC人材が活躍できるための支援というものを始めています。彼らにクライアントを紹介したり、チームで定期的に勉強会を開いたり、ECの分析ツールを作ってシェアしたりとかしていますね。

まさに先ほど仰った、外部人材の活用で多くの人が成長することにつながっていくんですね。今後の武田さんにも目が離せません!

おわりに

限りある時間の中でどうやって事業目標を達成するのか。外部人材を迎え入れるだけではなく、協働することで社内のチームを育てていくことが成功のカギとなりそうです!

ECタイムズ
確認済み
35 分 38 秒 ago
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