ネットショップ担当者フォーラム

クラシコムの「北欧、暮らしの道具店」、段ボールを含むテープや書類ケースなどの梱包資材一式を新デザイン

2ヶ月 ago

「北欧、暮らしの道具店」を展開するクラシコムは9月16日、段ボールを含むテープや書類ケースなどの梱包(こんぽう)資材一式を新デザインにリニューアルした。

SNSやアプリで情報を発信し、ECサイトで商品を販売する「北欧、暮らしの道具店」にとって、梱包資材は顧客との最初のリアルな接点という。そのため、梱包資材は顧客との関係性を深めるための大切なコミュニケーションツールと位置付ける。 梱包資材は重要な存在であることから、数年おきに現在の店のムードやめざしたいテイストを顧客と共有するために、デザインリニューアルを重ねてきた。

サイト開設20周年を2026年に控えた「北欧、暮らしの道具店」は現在、顧客層を広げながら、商品やコンテンツのカテゴリを拡大。こうした現在のサービスの雰囲気を顧客と共有するため、4年ぶりの梱包資材のリニューアルを実施することにしたという。

イラストを担当したのは「北欧、暮らしの道具店」のカレンダーなどを手がけるイラストレーターのmiltata氏。「暮らしの道具」をモチーフに食器やかごなど、身近な暮らしの道具を古書の挿絵のようにリアルで味わいのあるタッチで表現。「華やかさがありつつもシックで大人っぽい上質さを感じていただけるデザイン」をめざしたという。

「北欧、暮らしの道具店」を展開するクラシコムは9月16日、段ボールを含むテープや書類ケースなどの梱包(こんぽう)資材一式を新デザインにリニューアル
リニューアルした梱包資材一式
鳥栖 剛

EC商品の翌日配送非対応で、購買意欲は「下がらない」が75%、「気にならない」が65%。「土日・祝日発送」は6割が「重要でない」

2ヶ月 ago

EC物流代行サービス「ウルロジ」などを展開するディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」によると、EC商品の翌日配送に対応していなくても購買意欲は「下がらない」と回答した割合は75%、「気にならない」が65%だった。また「土日・祝日発送」は6割が「重要でない」と回答した。

「翌日配送」対応の有無による購買意欲の変化

「翌日配送」に対応していない場合、購買意欲がどの程度下がるか聞いた。「全く下がらない」(24.4%)、「あまり下がらない」(51.2%)を合わせて、75.6%が「購買意欲は下がらない」と回答した。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
EC商品の翌日配送に対応していなくても購買意欲は「下がらない」が7割強(ウルロジ調べ)

EC・通販で購入する場合、どの購入経路が「翌日配送」に対応していないことに不信感を抱くか聞いたところ、AmazonなどのECモール、自社ECサイトという購入チャネルによる意識の差はほとんど見られなかった。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
6割強が翌日配送にこだわらないと回答した(ウルロジ調べ)

土日祝発送の重要度

土日・祝日も発送していること(365日発送)の重要度については、「あまり重要ではない」は39.6%、「全く重要ではない」は16.9%。約6割のユーザーが「重要ではない」と考えていることがわかった。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
土日祝の発送は約6割が重要でないと回答(ウルロジ調べ)

送料に対する意識

送料を払って商品を購入することへの違和感について聞いたところ、「とても感じる」は25.2%、「少し感じる」47.3%で、72.5%の消費者が送料の有料化にネガティブな印象を持っている。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
7割が有料の送料にネガティブな印象(ウルロジ調べ)

送料無料化のラインは2000〜3000円程度が半数、5000円以下が8割以上を占めた。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
送料無料化のラインは5000円以下が8割以上を占めた(ウルロジ調べ)

梱包(こんぽう)に対する意識

どのような梱包(こんぽう)だと満足度が高いかという質問では、「過剰すぎない最適サイズ」が55.8%でトップ、「開封・後処理がしやすい」が47.9%で続いた。一方、「ブランドイメージが体現されている」は8.1%だった。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
「過剰すぎない最適サイズ」が満足度高く(ウルロジ調べ)

丁寧な梱包(こんぽう)やメッセージカードが、発送の遅さや有料の送料を補うほどの価値があるか聞いたところ、「十分価値があると思う」(8.7%)、「ある程度価値があると思う」(34.7%)を合わせ、43.4%が価値を感じると回答した。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
丁寧な梱包(こんぽう)やメッセージカードに4割強が「価値がある」と回答(ウルロジ調べ)

送料や配達日によるカゴ落ち

購入手続きの最終画面で、想定外の送料や配達日が表示されたことで購入をやめた経験があるか聞いたところ、「よくある」(13.2%)、「時々ある」(43.7%)を合わせ、54.5%が「カゴ落ち」経験がある。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
送料や配達日によって半数がカゴ落ち経験あり(ウルロジ調べ)

カゴ落ちの具体的な理由は、「送料が高かった/有料だった」が49.7%で1位、「お届け日が遅かった」(36.9%)と続いた。

ディーエムソリューションズが実施した「EC・通販の発送に関する消費者意識調査」
カゴ落ちの具体的な理由としては、「送料が高かった/有料だった」が1位(ウルロジ調べ)

調査概要

  • 調査対象:20~70歳代の男女1000人
  • 調査条件:日常的にECを利用するECヘビーユーザー
  • 調査対象エリア:全国
  • 調査期間:2025年8月29日~9月4日
  • 調査方法:インターネット調査
鳥栖 剛

アンドエスティ、国内約1300店舗+ECサイト「and ST」で「and STポイント」「dポイント」「楽天ポイント」の同時付与・使用を実現

2ヶ月 ago

アンドエスティHDグループでモール&メディア事業などを手がけるアンドエスティは9月16日、楽天ペイメントの共通ポイントサービスと連携し、アンドエスティグループの国内約1300店舗とECサイト「and ST」で、「and STポイント」「dポイント」「楽天ポイント」を同時に付与・使用できるようにした。

「and STポイント」「dポイント」「楽天ポイント」のトリプルポイント付与の実装により、「楽天ポイント」が200円(税抜)で1ポイント、「dポイント」が200円(税抜)で1ポイント、「and STポイント」が会員ランクに応じたポイント付与となっており、買い物額200円ごとに最大累計16ポイントが貯まるという。

アンドエスティHDグループでモール&メディア事業などを手がけるアンドエスティは9月16日、楽天ペイメントの共通ポイントサービスと連携し、アンドエスティグループの国内約1300店舗とECサイト「and ST」で、「and STポイント」「dポイント」「楽天ポイント」を同時に付与・使用できるようにした
200円の買い物で最大16ポイント貯まる

「and STポイント」は2014年にスタート、NTTドコモが提供する「dポイント」は2018年に連携、新たに「楽天ポイント」が加わった。アンドエスティによるとアパレル業界では初めてポイントサービス大手2社を含む3社のポイントの同時付与・使用を実現したという。

アンドエスティグループは、「and ST」をECプラットフォーマーとして、ユーザーに利便性のある経済圏の構築をめざしている。「and STポイント」の利用範囲の拡大に向けて決済方法の分析をしたところ、クレジットカード決済が最も高く、全体の7割程度を占めていることが判明。その内訳を見ると、さまざまなカードがある中で、楽天カードのシェアが圧倒的に高いということがわかったという。 アンドエスティグループの売上拡大、事業拡大への期待、多くの親和性から、楽天ペイメントの共通ポイントサービス連携を決めた。

9月16日から30日までの期間、楽天ポイント導入キャンペーンも実施する。期間中に、and ST会員IDと、楽天IDを連携して買い物した人の中から抽選で1000人に楽天ポイント1000ポイントを進呈する。

鳥栖 剛

楽天、政府が創設めざす「ふるさと住民登録制度」の社会実装に向け「ふるさと住民応援コンソーシアム」を設立

2ヶ月 ago

楽天グループは9月14日、政府が創設をめざす「ふるさと住民登録制度」の社会実装に向けた「ふるさと住民応援コンソーシアム」を設立した。

「ふるさと住民登録制度」は、実際に居住していなくても、任意で継続的に関わりたい地域を選び登録できる仕組み。居住地以外の自治体に「ふるさと住民」として登録すると、その地域の情報提供や行政サービスなどを受けられることが検討されている。

「ふるさと住民登録制度」は、実際に居住していなくても、任意で継続的に関わりたい地域を選び登録できる仕組み
「ふるさと住民登録制度」の概要(画像は総務省の公表資料から編集部がキャプチャ)

楽天は「ふるさと住民応援コンソーシアム」の事務局として、「ふるさと住民登録制度」の推進に取り組む。「ふるさと住民登録制度」の社会実装により、地域の活性化と持続可能な発展に寄与し、多様な人々が地域と豊かな関係を築ける社会を実現するため、自治体が「ふるさと住民登録制度」を活用して地域を活性化するための施策の検討や意見交換を行う。

具体的には、自治体、官公庁、企業、教育機関、個人などを対象に、総会、座談会、セミナーなどの機会を提供。ふるさと住民が地域に貢献し、地域が活性化するプロセスを体験できる楽天が制作したカードゲーム型のツール「ふるさと住民応援カードゲーム」などを活用し、「ふるさと住民登録制度」に関する理解を深めるための取り組みを実施するという。

鳥栖 剛

「売れる」には理由がある! 「メルカリ」でも学べる、マーケティングの基礎【ネッ担まとめ】 | 新・ネットショップ担当者が知っておくべきニュースのまとめ

2ヶ月 ago
ネットショップ担当者が読んでおくべき2025年9月1日~9月14日のニュース

ECビジネスに限らず、大成功をおさめたネット系の経営者が、実は「CtoC」から商売をスタートしたケースって多いですよね。私の時代だと「ヤフオク」から商売をスタートさせた人がたくさんいました。商売の規模は小さくても、いや、商売の規模が小さいだけに、頭を使った細かい工夫が散らばっているものです。そこに「気づく」か、が勝負のポイント。

本気で売り上げを伸ばしたいと思ったら、「気づく」

メルカリで不用品を売っていたら、いつの間にか“マーケティング脳”が鍛えられていた話 | ANAGRAMS
https://anagrams.jp/blog/mercari-selling-items-marketing-skills/

当時、私が出品していた商品は、有名なブランドの古着でした。「アイテム自体にポテンシャルはあるのになぜ売れないのか」と感じていました。

そんな時、ノーブランドの古着に「〇〇な着こなしが好きな方におすすめ!」と一言添えられただけの出品が、自分のブランド古着よりも高値で売れているのを目にして私は衝撃を受けました。

(中略)

「確かに、商品のポテンシャルがきちんと活かされた説明文だ」と納得したことを鮮明に覚えています。アイテムが売れる理由はスペックだけではないということを感じとった瞬間だったのです。

大切なのは「気づく」こと、なんですよね。自分と同じように商品を出品している競合を調べた。競合は高値で売れていた。競合が行っているちょっとした「工夫」に気づいた。

今回の「メルカリ」での販売、そして「説明文」というポイントに限らず、マーケティングというのはこの繰り返しだと言えます。クリティカルなポイントに「気づく」と、大きく飛躍しますよね。

いいねした商品にコメントがつくと、「いいね」済みのユーザーに通知が飛びます。(ユーザー設定によってはOFFになっていることもあります)

これら機能を活かし、いいねが多数ついている商品にコメントをすることによる「リマインド」を行っていました。リマインドは、「いいね」による検討で止まっているユーザーに有効です。筆者の場合、以下のような内容のコメントでリマインドをしていました。

(中略)

単に商品を思い出してもらうために通知を送るのではなく、セール価格である旨や「値引き交渉も可能」など購入ハードルを下げる一言も添えると、より効果があります。

プラットフォームやショップが用意している「機能」を「本来の目的ではない方法」として生かす。少し難易度は高めですが、これもマーケティングの重要なポイントです。

私はネットショップ運営者時代、競合ショップが「人気(ひとけ)」演出のために設置している「注文カウンター」で、競合ショップのデイリー売上をチェックしていました。

ECCさんに「そんなことしているの石田さんだけですよ!」とツッコまれましたが(笑)

要チェック記事

B向けEC担当者必見。BtoBビジネスを成功に導くサイト内検索の最適化戦略 | ネットショップ担当者フォーラム
https://netshop.impress.co.jp/node/14703

「ECサイトで商品を探す」ことについて、根本的な課題やテクノロジーを生かした解決策を提示している良記事です。

市場分析のフレームワークはどの順番で使う?初めてでも迷わない、結果が変わる「フレームワークの使用順序」 | ALTENAS
https://altenas.jp/blog/process-of-market-analysis

フレームワークって「順番を間違えると逆に混乱してしまう」んですよね。道具は使いどころが大事です。

会社の業績に寄与しない仕事は極力排除すべし 業務効率化に必要な視点 | ITmedia ビジネスオンライン
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2509/10/news021.html

実施する意味があるのか、他の手段で代替できないかを「考える、議論する時間」を定期的に作りましょう。

楽天市場の売上が落ちたときの原因と対策|売上減少を防ぐ改善チェックリスト | プロテーナム
https://proteinum.co.jp/blog/rakuten-salesdown-sol/

ポイントが網羅されていて、社内勉強会の資料としても使えそうです。あと「落ちた」と気づく仕組みも大切ですよね。

西武ライオンズが挑むデータドリブンマーケティング 顧客理解によるファン拡大戦略 | medix
https://www.medix-inc.co.jp/case/detail/5179/

プロスポーツ界でも「データ分析とCRM」の活用が進んできていますね。ライオンズは地元のチームなので応援しています。

一度、180度の理想を掲げて発想の広げる【no.2223】 | ECマーケティング人財育成
https://www.ecmj.co.jp/no2223/

「そもそもどうやったら商売が楽になるか」を考えることが大事。積み重ねだけだと視界が狭まってしまいます。

今週の名言

「お客様に選ばれない」と悩む前に。ファンケルの体験価値担当に聞く、顧客戦略の革新 | Web担当者Forum
https://webtan.impress.co.jp/e/2025/08/29/49947

お客様が喜ぶのは味だけでなく、食材の組み合わせや盛り付け、料理のネーミングなどもそうです。それなら私にも工夫できると思い、週一で新たなレシピづくりに取り組んでいました。同じ料理でもネーミングを変えることで名物料理になったものもありました。何度かネーミングを変えてお客様の反応を見ながらチューニングしていました。今思えばA/Bテストをしていたのかもしれません。工夫した結果がすぐに返ってくることが自分を動かしていました。

どうやったらお客さまに喜んでもらえるか。限られた予算と時間のなかで、真摯に考え続けること、それが大事だと改めて感じました。

ECでも、「スペックや値段」は簡単に変えられないですが、「ネーミング・言い回し」を変えることで、成果が大きく上がることもあります。

工夫したものに即レスポンスが返ってくるECという「場」は、自分の感性を磨くのにも最高の環境ですね。

ECマーケティング人財育成は「EC事業の内製化」を支援するコンサルティング会社です。ECMJコンサルタントが社内のECチームに伴走し、EC事業を進めながらEC運営ノウハウをインプットしていきます。詳しくはECMJのホームページをご覧ください。

UdemyでECマーケティング動画を配信中です。こちらもあわせてご覧下さい。

ユウキノインは寄り添い伴走しながら中小企業・ECサイトのSEOからコンテンツマーケティング、プレスリリースやクラウドファンディングなど集客・販促・広報をお手伝いする会社です。詳しくはユウキノインのホームページをご覧ください。

Designequationは何かに特化したサポートではなく、モール・ベンダー選定や広告・CSなど各企業に合わせたカスタマイズ型の運用サポートを行っています。

石田 麻琴

「LINEギフト」ビューティーカテゴリーが急伸。3年で流通額5倍を生んだ“ギフトならでは”の仕掛けとは

2ヶ月 ago
ソーシャルギフト市場が拡大するなか、「LINEギフト」も伸長している。特にビューティーカテゴリーは「名入れ」などのサービスが人気を博し、3年で売上高5倍を達成。成功につながる具体的な施策を聞いた

2015年4月の提供開始から10年、現在は累計ユーザーが3500万人突破、年間利用者数は約2000万人(2024年2月1日~2025年1月31日までに贈った・もらった利用者数)に成長したソーシャルギフトサービス「LINEギフト」。住所や氏名を知らない相手にも贈れる利便性に加え、名入れ機能やギフト専用の特別パッケージなど若年層の需要にマッチしたことでニーズが拡大しているようだ。なかでも「ビューティー」カテゴリーの成長は顕著で、流通額は直近3年で約5倍になった。成長を牽引する具体的な施策をLINEヤフー ビューティーカテゴリー マーチャンダイジング責任者の赤木広美氏に聞いた。

住所や氏名を知らなくても“気軽”に贈れる

スマートフォンやSNSの普及と共に拡大した「ソーシャルギフト(eギフト)サービス」。オンラインで贈れるのが最大の特長で、ギフトを選んで指定のURLを相手に送るだけで、電子チケットやアイテムが相手に届く仕組みだ。住所や氏名を知らない間柄でも贈れるとして、人気を集めている。そうしたソーシャルギフトサービスのなかでも、「LINEギフトはLINEアプリのなかで使える導線が強み」だと赤木氏は話す。

ソーシャルギフトには多くのサービスが存在しますが、基本的にサイト内での会員登録が必要です。一方、LINEギフトは、LINEユーザーであれば会員登録なしで使えます。ギフトと贈る友だちを選ぶと、すぐに購入手続きに移行するスムーズな体験設計が特長です。通常のECサイトにある「カート機能」もありません。日常のコミュニケーションの延長で気軽に使ってもらえるよう工夫しました。(赤木氏)

LINEギフト LINEのホームから「LINEギフト」を選んで利用できる。写真はLINEギフトのサービストップ(左)と利用イメージ
LINEのホームから「LINEギフト」を選んで利用できる。写真はLINEギフトのサービストップ(左)と利用イメージ(画像提供:LINEヤフー)
LINEギフト 利用の流れは、上図の通り。商品と贈り先、メッセージカードを選び、メッセージを添えて贈る仕様だ
利用の流れは、上図の通り。商品と贈り先、メッセージカードを選び、メッセージを添えて贈る仕様だ(画像提供:LINEヤフー)

平均単価は2000~3000円。20~30代女性が市場を牽引

LINEギフトには、「eギフト」「グルメ」「ビューティー」「酒・ドリンク」「結婚・出産祝い」などのカテゴリーがあるが、年間を通して最も流通額が多いのが「eギフト」だ。次いで「ビューティー」「スイーツ」が続く。「あれもこれも何でも選べて品ぞろえが豊富である」ことよりも、「喜ばれるギフトを厳選する」ことを重視しているという。

LINEヤフーでビューティーカテゴリー マーチャンダイジング責任者を務める赤木広美氏
LINEヤフーでビューティーカテゴリー マーチャンダイジング責任者を務める赤木広美氏(画像提供:LINEヤフー)

ギフト特化のプラットフォームとして、“迷わずに買える体験”を提供したいと考えています。カテゴリーによって出店基準は異なりますが、知名度が高く、実績のあるブランド、あるいは多くの方に喜ばれる定番品が中心です。一方で、近年人気が急上昇している新規性のあるブランドも取り入れ、トレンドを重視したい方々のニーズも満たせるようにしています。(赤木氏)

利用者のボリューム層はSNSとの親和性が高い若年層で、20代が34%、30代が23%となる。男女比は男性が38%、女性が62%。1回の平均利用額は2000~3000円だ。

LINEギフト 20~30代の女性を中心に、幅広い層にソーシャルギフトが浸透している
20~30代の女性を中心に、幅広い層にソーシャルギフトが浸透している(画像提供:LINEヤフー)

コアユーザーは若年層ですが、直近では40~50代の層が拡大傾向にあります。たとえば、子どもからの贈り物を受け取ったことを機にソーシャルギフトサービスを知り、自身が送り主として利用することもあるようです。単価は関係性やシーンによって変わり、同僚であれば500円のカフェチケット、「母の日」や「父の日」、友人などの誕生日、結婚・出産祝いであれば5000円、1万円の商品など、かなり振れ幅があります。(赤木氏)

年間で最もLINEギフトが使われるのが「母の日」だ。その他に、「クリスマス」や「父の日」、「バレンタインデー」「ホワイトデー」も大きく伸びるという。

近年は、若年層を中心にオンラインでギフトを贈り合う文化が活発化しているため、通年にわたって流通額が伸びるようになっています。ただ、それでも季節ごとのイベントでは流通額が著しく上昇します。LINEギフトでは、イベントごとに特集を打ち出しており、すでに購入意欲の高い方々の目的にぴったり一致する商品を訴求することで購入率の向上につなげています。(赤木氏)

LINEギフト 今まさに需要があるカテゴリーを「特集」で押し出す。8月現在は「サマーギフト」を展開中だ
今まさに需要があるカテゴリーを「特集」で押し出す。8月には「サマーギフト」を展開した(画像提供:LINEヤフー)

「ソーシャルギフト市場」はコロナ禍で急激に拡大

矢野経済研究所によると、お中元やお歳暮といったフォーマルなギフト市場は縮小傾向にある。一方、ギフト市場全体では、2024年に11兆1880億円(前年比102.7%)を見込んでおり、コロナ禍前の水準を超えて拡大傾向だという。なかでも、より気軽に贈り物ができる「ソーシャルギフト」は、顕著な伸びが見られるようだ(参考:矢野経理研究所「ギフト市場に関する調査を実施(2024年)」)

LINEギフト ギフト市場はコロナ禍前の水準を超え、拡大傾向にある
ギフト市場はコロナ禍前の水準を超え、拡大傾向にある

LINEギフトは2020年からのコロナ禍で急激に利用者が増えました。直接会わなくても、住所を知らなくても、誕生日や結婚・出産、母の日・父の日といったお祝いの際に気軽にギフトを贈れる利便性が、時代のニーズにマッチしたのだと思います。(赤木氏)

ソーシャルギフトサービスの顕著な成長は、他社でも見られている。たとえば、AnyReach(エニーリーチ)が2022年4月にリリースしたeギフトサービス「AnyGift(エニーギフト)」では、2025年の「母の日」当日の流通取引総額が前年比2倍以上を記録、注文数も前年比3倍以上となり、利用者数は過去最多となった。特に、ランチチケットやエステチケット、宿泊チケットなどの体験型ギフトの需要が大きく伸びたという(参考:eギフトサービス「AnyGift」、母の日eギフト流通額が前年比2倍以上に増加 注文数は前年度比の3倍以上、体験型ギフトの需要も拡大

3年で約5倍、2年で約2.5倍。ビューティー領域が伸長するワケ

LINEギフトの好調を牽引するのが「ビューティー」カテゴリーだ。2024年の年間流通額は、2021年度比で約5倍、2022年度比で約2.5倍と大幅に成長しているという。1回の平均単価は約4000円と、他カテゴリーより高い特長もある。

コアターゲットである20~30代の女性と親和性の高いカテゴリーであることに加え、新規出店数が多く、品ぞろえが充実していることも売上成長に寄与しています。さらに、ビューティーと相性のいい機能として、「名入れ」や「LINEギフトオリジナルの商品・パッケージ」「もらった相手が色や香りを選び直せる」といった仕組みを取り入れており、大変好評です。(赤木氏)

同カテゴリー内で近年注力しているのが、「ラグジュアリーブランド」と「韓国コスメブランド」の拡充だ。前者では、イヴ・サンローラン・ボーテ、エスティ ローダーなどが出店しており、2025年夏秋に大型ラグジュアリーブランドが出店を控えている。

後者では、ソーシャルギフト市場で先行する韓国で一定の実績を積んだブランドが、日本市場へ進出するケースが増加。韓国コスメブランドは、華やかなラッピングやメッセージカードなどギフトシーンを意識した工夫を施している。また、手頃な価格帯の商品が多く、購入者の予算条件に合致しやすい点も魅力だ。LINEギフト限定のセット商品も展開しており、ユーザーから好評を得ている。

ギフトならではの特別感を演出する「名入れ機能」も売上増につながっている。たとえば、2024年4月の同サービス開始時に、先んじて導入した「AVEDA(アヴェダ)」の「パドルブラシ」(5060円、ミニ パドルブラシは4400円)は、この施策によって売り上げを大きく伸ばしたという。そのほか、「イヴ・サンローラン・ボーテ」の「YSL ラブシャイン キャンディ グロウ バーム」(5770円)も高い人気を誇る。

LINEギフト 名入れで人気が拡大した「パドルブラシ」(左)と「ラブシャイン キャンディ グロウ バーム」
名入れで人気が拡大した「パドルブラシ」(左)と「ラブシャイン キャンディ グロウ バーム」(画像提供:LINEヤフー)

また、蓋に「Happy Birthday」という文字がデザインされた、化粧品ブランド「キールズ」の定番人気商品「キールズ クリーム UFC」(3520円)のオリジナルパッケージも売れ行きが良いという。

LINEギフト 特別仕様のパッケージが売上増につながった「キールズ クリーム UFC」
特別仕様のパッケージが売上増につながった「キールズ クリーム UFC」(画像提供:LINEヤフー)

ギフトを贈られた相手が色や香りを選び直せる機能も好評で、贈り主の購入ハードルを下げることにつながっているようだ。

名入れをする機材の導入や名入れ作業、独自商品・パッケージの制作などブランド側の負担は増えますが、それでも導入するブランドが増えています。色や香りを選び直せる機能については、実際に選び直す方はそれほど多くないようです。ただ、ビューティーカテゴリーの2025年上半期の人気商品を見ると、約半数に同機能が付いています。贈り主にとって選びやすいことは間違いありません。(赤木氏)

LINEギフトでは、2028年度までに年率3割以上の成長、今後1、2年以内に1000億円以上の取扱高をめざしているという。

市場やサービスの伸びしろがある分、出店ブランドや取扱商品が勢いよく増えています。しかし、利用者や利用回数を増やせなければ、出店ブランドがパイを奪い合う事態になってしまいます。そのため、40~50代や男性など幅広い属性の利用者を増やす、あるいは既存ユーザーの利用回数を増やすための取り組みが必要です。「住所や氏名を知らない相手に贈れる」「店舗展開が少なく、手に入りにくい人気ブランドも扱っている」といった利便性の周知や、さらなる機能拡充を検討しています。(赤木氏)

市場全体が勢いづいているソーシャルギフト。ビューティーやグルメを中心に、各社がギフト需要を押し上げようと試行錯誤しており、さらなる伸びが予想される。

小林 香織

マックハウス、ニッセンと業務提携を締結。全国の店舗網でOMOを加速、ターゲットは30~50代の働く女性

2ヶ月 ago

マックハウスとニッセンはこのほど、30~50歳代の働く女性をターゲットにしたショップインショップの展開に向け、業務提携契約を締結すると発表した。

実店舗での体験価値とECの利便性を一体化したOMO戦略を重視しているマックハウスとニッセンの強みを生かし、レディースカテゴリーの成長につなげる。顧客ロイヤリティの向上と新規顧客層の開拓をめざす。

業務提携で、マックハウスの全国規模の店舗ネットワークと、ニッセンのEC運営力、プライベートブランド開発力、会員基盤を掛け合わせる。

マックハウスによると、昨今、30~50代の働く女性のライフスタイルは多様化し、幅広いシーンで使える上質なデイリーウェアへの需要が高まっている。「仕事にもプライベートにも使える」「自分らしく着こなせる」アパレルと雑貨を組み合わせたライフスタイル提案への関心が特に強いという。

マックハウスとニッセンの強みを生かし、多様化する働く女性のライフスタイルニーズに対応する
マックハウスとニッセンの強みを生かし、多様化する働く女性のライフスタイルニーズに対応する
大嶋 喜子

ラクスル、法人向け総合EC「ラクスルビジネスモール」を開設。オフィス事務用品から小売店舗まで、資材・消耗品を60万点展開

2ヶ月 ago

印刷通販などを手がけるラクスルはこのほど、事務用品やパソコン周辺機器、オフィス家具といった中小企業の事業運営に必要な各種資材・消耗品を販売する法人向けの総合BtoB-ECサイト「ラクスルビジネスモール」を開設した。幅広い品ぞろえで、業界や業種を問わず短納期・低価格・小ロットでの調達に幅広く対応する。

オフィス、飲食店、小売りなど幅広いニーズに対応

「ラクスルビジネスモール」は、オフィスに必要な事務用品やパソコン周辺機器、日用品、介護、看護、飲食店などの現場で必要となる消耗品を60万点以上を取りそろえる。商品点数は今後3年間で約1500万点まで拡大することを見込む。

中小企業の多くが人手不足や物価高騰などの経営課題に直面している現在、生産性向上やコスト削減のニーズが高まっている。こうした背景を踏まえ、ラクスルは資材調達EC「ラクスル 店舗用品・包装資材」を先行サービスとして2024年6月に開始。この取り組みを生かして「ラクスルビジネスモール」を開設した。

ラクスルが運営する印刷ECサイト「ラクスル」とID連携し、顧客の資材調達・請求管理の効率化を図る。ラクスルは既存の顧客基盤を活用して集客コストを抑制。これにより価格競争力を担保する。

「ラクスルビジネスモール」で展開する主な商品カテゴリは次の通り。

オフィス向け事務用品

付箋(ふせん)、マーカー、コピー用紙、オフィスチェア、モニターなど

オフィス向け事務用品の例
オフィス向け事務用品の例

飲食店向け用品

のぼり旗、洗剤、テイクアウト用容器、調理器具など

飲食店向け用品の例
飲食店向け用品の例

小売店・アパレル向け用品

伝票用紙、袋類、ラッピング用品、POP用品、電子レジスターなど

小売店・アパレル向け用品の例
小売店・アパレル向け用品の例

クリニック・サロン向け衛生用品

マスク、消毒液、手袋、防護グラス、スクラブなど

クリニック・サロン向け衛生用品の例
クリニック・サロン向け衛生用品の例

汎用(はんよう)機器・備品・消耗品

飲料、清掃用品、ティッシュ、家電など

汎用機器・備品・消耗品の例
汎用機器・備品・消耗品の例

開設記念の期間限定キャンペーン

9月30日までの期間限定で、「ラクスルビジネスモール」の購入金額の10%をポイント還元するキャンペーンを実施している。進呈の上限数は最大1万ポイント。ユーザーは「1ポイント=1円」として利用できる。

期間限定で購入金額の10%をポイント還元するキャンペーンを開催
期間限定で購入金額の10%をポイント還元するキャンペーンを開催
大嶋 喜子

オイシックスとシダックスが高齢者施設向けの新しい給食運営モデル「元気ごはん with Oisix」を開発

2ヶ月 ago

オイシックス・ラ・大地は9月10日、全国の病院・高齢者施設、保育園・幼稚園・こども園などで食事提供業務を行うシダックスフードサ ービスは共同で高齢者施設向けの新しい給食運営モデル「元気ごはん with Oisix」を開発したと発表した。

全国で食事提供業務を受託運営する高齢者施設を対象に、栄養不足・人手不足解消、さまざまな食形態の高齢者の心と身体の栄養サポートが可能な新たな高齢者向けの食として、2025年度内に順次導入・提供。2030年3月期までに、「BtoBサブスク(BtoB向け給食事業)」全体で契約施設数3000か所をめざす。

オイシックス・ラ・大地は9月10日、全国の病院・高齢者施設、保育園・幼稚園・こども園などで食事提供業務を手がけるシダックスフードサービスと共同で、高齢者施設向けの新しい給食運営モデル「元気ごはん with Oisix」を開発したと発表
「元気ごはん with Oisix」の提供イメージ

「元気ごはん with Oisix」は「完全調理済み食品」。施設での調理が不要、温め直すだけで提供できるため、省人化につながる。メニューは45日サイクルで提供。どの食形態でも45日分の献立をローテーションする仕組みを取り入れ、喫食者様が飽きない献立を提供する。

高齢者施設の食事では、人手不足や人件費・食材費の高騰に加え、噛む力や飲み込む力が弱っている人向けに食形態を個別に変更する必要があり、人手と調理時間がかかるという業界全体の課題があるという。そこで、人手不足解消や提供する料理の付加価値提供などを安定的に実現する目的で、「元気ごはん with Oisix」を開発した。

「元気ごはん with Oisix」は、①どんな方にも対応できる3種類の食形態のシニア食②少量でも栄養が摂れる「すごカロ」シリーズを商品とした新しい給食運営モデル。シダックスの65年以上に渡る給食運営の専門的なノウハウ、オイシックスの一般ユーザー向けに商品開発をしてきた「調理の手間の削減と、提供メニューの付加価値向上」のノウハウを生かし、「安心・安全」で、どんな方が食べても美味しいシニア食をめざすとしている。

「元気ごはん with Oisix」の提供は11月からを予定。提供するのはシダックスが食事提供業務を受託運営する全国の高齢者施設および新規受託先、外販での導入契約をした高齢者施設。導入価格は1550円〜/1人あたり(1日)。70床以上の施設を想定している。

鳥栖 剛

モノタロウ、インドにIT開発拠点を設置。開発体制の強化+エンジニア確保+技術の蓄積が目的

2ヶ月 ago

間接資材のECサイト「モノタロウ」を運営するMonotaROは、4月にインドのチェンナイ市に初めて設立したテックセンターを、9月12日に新会社「MonotaRO TECHNOLOGIES INDIA PRIVATE LIMITED」として稼働した。

テックセンターの開設は、自社システムの開発体制の強化と優秀なエンジニアの確保、技術知見の蓄積が目的。

インドは初等教育から高等教育まで一貫して科学‧技術‧工学‧数学(STEM)分野の教育を推進し、世界のテクノロジー企業で活躍するITエンジニアを多数輩出、多くのグローバル企業がIT開発拠点を構えている。チェンナイ市は、インド有数の工科大学であるIIT Madras(インド工科大学マドラス校)などIT関連の教育機関が集積。優秀なIT人材が豊富で、知見の共有とチームワークを重視したIT開発拠点として最適と判断したとしている。

今後、テックセンターでは人員を大幅に拡充していく予定。稼働によりMonotaROと連結子会社のマーケティング領域、自社システムの開発体制の強化を進めていく。

なお、MonotaROは「資材調達ネットワークを変革する」をミッションに掲げ、日本をはじめ韓国、インドネシア、インドで間接資材のBtoB通販事業を展開。2023年から、マーケティング施策を強化するため、Webサイト、アプリ、メール、カタログなどを連携し、一貫性のあるメッセージや適切な商品提案を提供する統合マーケティング基盤の開発などを進めている。

鳥栖 剛

コメ兵子会社K-ブランドオフ、自社ECをリニューアル。刷新のポイントは「ナビゲーション機能」「買いやすさ」「レコメンド」など

2ヶ月 ago

コメ兵ホールディングスグループの傘下で、中古ブランド品のバッグや時計などの小売・買取・卸売事業を展開するK-ブランドオフは9月11日、自社ECサイト「BRAND OFF Online Store」をリニューアルした。

ユーザーが目的の商品により早く、より快適にたどり着けるようサイト構造を全面的に見直し。特にナビゲーション機能を大幅に改善、デザインは黒を基調として刷新した。

リニューアルオープンした「BRAND OFF Online Store」サイトトップ
リニューアルオープンした「BRAND OFF Online Store」サイトトップ

リニューアルの主なポイントは次の通り。

スムーズなナビゲーション

ユーザーがページをスクロールしても常にナビゲーションを追従表示し、常に探したいカテゴリへの移動やキーワード検索ができるようにしている。関連キーワードも表示し、ユーザーのインスピレーションを刺激して新たな商品との出会いにつなげる。

購入しやすい動線設計

価格や購入ボタンを画面下部に常に固定表示し、購入までの動線をわかりやすくしている。商品詳細ページでは虫眼鏡機能やスライド表示により、商品のコンディションを細部まで確認できるようにしている。

商品の価格や購入ボタンを画面下部に固定で表示。商品詳細ページでは商品の細部まで拡大表示できるようにしている(画像はサイトから編集部がキャプチャ)
商品の価格や購入ボタンを画面下部に固定で表示。商品詳細ページでは商品の細部まで拡大表示できるようにしている(画像はサイトから編集部がキャプチャ)

セレンディピティ新機能

ユーザーの閲覧履歴などに基づいたレコメンド機能を拡充し、トップページでおすすめ商品を提案。ブランドの歴史や豆知識、トレンド情報などを発信するコラム「Topics」を新たに掲載し、読み物としても充実したコンテンツとなっている。

◇◇◇

リニューアルを記念し、全品送料無料、税込5万円以上の買い物で3900円割引クーポンの進呈、EC会員限定でポイント2倍のキャンペーンを9月30日までの期間限定で開催している。

大嶋 喜子

ラクスル、デジタルサイネージ事業に参入。全国30万面超を一元管理・販売する「ラクスルサイネージ」を提供開始

2ヶ月 ago

印刷通販などを手がけるラクスルはこのほど、デジタルサイネージ事業に本格参入することを発表し、9月11日から全国30万面超のサイネージを一元管理・販売できる新プラットフォーム「ラクスルサイネージ」の提供を開始した。「認知と購買の中間を担うブリッジ広告」と位置づけ、購買行動を後押しするマーケティング手段として提供する。

「ラクスルサイネージ」の提供に当たり、位置情報ビッグデータ、生成AI技術による人流データ活用プラットフォームを開発するクロスロケーションズと業務提携を締結。オンオフ統合のマーケティングをめざし、サイネージ広告とスマホ広告をセットで提供する。

「ラクスルサイネージ」の概要

「ラクスルサイネージ」は、全国にあるサイネージの情報を地図上にマッピングし、広告主がさまざまなサイネージを一括で比較検討・発注できるプラットフォーム。広告主は従来時間がかかっていたサイネージ広告の検討・活用の機会を大幅に増加できるという。主な特長は次の通り。

全国30万面超の小型サイネージを集約

マンション、コンビニ、映画館、商業施設などのさまざまなサイネージをプラットフォームに集約している。

一元管理・一括買付

広告主はカートで購入するように広告枠を選択できる。

目的に合わせた販売

広告主がリーチしたい属性や目的ごとに最適なサイネージの組み合わせを提供。指定したエリアの範囲内のサイネージについてまとめて問い合わせを受け付ける。

24時間施策の検討が可能

広告主はオンライン上のデータで即座に施策を検討できる。

効果の可視化

アンケート調査や人流データと連携し、広告効果を数値でレポートする。

コスト面のメリット

広告主の出稿は2万円から可能。従来高額だった媒体も最適な価格で提供するという。

サイネージ情報のマッピングイメージ
サイネージ情報のマッピングイメージ

デジタルサイネージ市場は拡大を続ける一方で、広告効果の可視化や標準化が十分に進んでおらず、「効果がわかりにくい」という課題があった。ラクスルは「成果を見える化しながらPDCAを回せる環境を提供することで、日本におけるオフライン広告市場の成長をリードしていく」と言う。

クロスロケーションズと業務提携

クロスロケーションズとの業務提携により、今回のサイネージ広告の効果測定やターゲティング精度を高めたサービスの提供を開始。今後はさらなる高度化に向けた新サービスの共同開発にも取り組む。なお、今回の提携にあたり、ラクスルはクロスロケーションズの既存株の取得と増資を引き受けた。

提携による主な取り組みは次の通り。

人流データ連携

全国約30万面のサイネージ媒体ごとの視聴可能性人数をデイリーで可視化。広告主に対して「どのような人が広告を見ているのか」という情報を提供する。

オン・オフ統合広告

人流データを活用し、オフライン・オンラインを連動させたターゲティング広告を配信。デジタルサイネージを視認可能なロケーションにいるユーザーを特定し、スマホを通じてリアルタイムに情報を届ける。

たとえば、駅やオフィス街のサイネージで新商品を訴求し、その後、広告に接触した通勤者のスマートフォンへ詳細情報をリマインド配信する。

効果測定レポート

来店計測データを活用し、広告接触者の実際の行動変容を可視化。広告効果を定量的に把握できる仕組みを提供する。

広告媒体価値の向上

広告主にとって出稿の効果がわかる仕組みを提供することで、サイネージ事業者の販売機会拡大につなげる。

サイネージ広告とジオターゲティング広告を統合販売する
サイネージ広告とジオターゲティング広告を統合販売する
大嶋 喜子

オールアバウトライフマーケティングがサンプリングサイト「サンプル百貨店」にレビュー・口コミ・Q&Aエンジン 「ZETA VOICE」を導入

2ヶ月 ago

オールアバウトライフマーケティングは、サンプリングサイト「サンプル百貨店」のWebサイトとアプリに、レビュー・口コミ・Q&Aエンジン「ZETA VOICE」を導入した。

レビューの並び替え機能、評価グラフ表示を実装し、UX向上などにつなげる

「サンプル百貨店」は、約420万人が利用するサンプリングサイト。食品、飲料、日用品、化粧品など幅広い商品の体験機会をユーザーに提供し、そこから得られるリアルな声を企業へフィードバックすることで、効率的なマーケティング活動を支援している。

オールアバウトライフマーケティング サンプル百貨店
サンプルサイト「サンプル百貨店」(画像はサイトからキャプチャ)

全商品のレビュー項目に共通して設けている「お試し後の感想を教えてください」「商品の感想を教えてください」への回答を評価グラフで表示するようにした。「リピートしたい」「お得感がある」といった評価を視覚的にわかりやすくすることで、ユーザーの購入意欲向上につなげる。

オールアバウトライフマーケティング サンプル百貨店 レビューの評価グラフ表示で購入意欲向上につなげる
レビューの評価グラフ表示で購入意欲向上につなげる

各商品に投稿されているレビューを並び替えて閲覧できる機能を実装。ユーザーが自身のニーズに合わせて投稿コメントを「新しい順」や「トップ評価順」で表示できるようにすることで、より快適で満足度の高い購買体験を提供するという。

オールアバウトライフマーケティング サンプル百貨店 レビューの並び替え機能によりUX向上をめざす
レビューの並び替え機能によりUX向上をめざす

「ZETA VOICE」とは

サイト内にレビューコンテンツを実装できるサービス。ユーザーのレビューを複数の評価軸で収集し、さまざまなUIで表示する仕組みを簡単に導入することができる。

ZETA VOICE 基本機能
「ZETA VOICE」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

EC担当者はぜったい知っておくべき商品画像・説明と著作権。違反事例+リスクを知って未然にトラブルを防ごう! | 現役弁理士が解説する通販・ECのための“わかる”「商標権」「意匠権」

2ヶ月 ago
 商品画像やレシピなどに含まれる他人の独自の表現を無断で使用してしまうと、著作権侵害による深刻なトラブルを招きかねません。解説する判例(商品画像の無断使用)や「クックパッド」の問題(レシピの無断転載)から著作権を意識し、トラブルを回避するための知識を身に付けましょう。

ECサイトでは商品画像や説明文、イラスト、動画など多様なコンテンツを扱うため、著作権が発生している素材が 少なくありません。そのため、コンテンツを正当に利用できるかどうか権利関係の所在や権利者からの許諾を得ておかなければ、著作権侵害に該当するリスクが高まります。たとえば、他社の画像を流用、説明文を複製したといった場合、使用の差止や損害賠償請求を受ける可能性があります。実際の事例を参考にしながら、EC運営者がどのように著作権を意識し、トラブルを回避できるかを考えてみましょう。

【ケース1】商品画像の無断使用(東京地方裁判所 令和4年11月4日判決)

▼Point
  • 無断で商品画像を使用(サーバーへアップし、不特定多数の利用者が閲覧できるようにすること)は、「送信可能化権」を侵害する可能性
  • 利用期間が短く、閲覧数が少なくても損害賠償が認められることも

健康器具の企画・製造・販売を手がけるA社(原告会社)が、建設業・リフォーム業のB社(被告会社)を相手取り、商品画像の無断使用をめぐり著作権侵害の成否、その損害賠償が争われた判決事例です。

原告のA社は2014年にSoSoft社と契約し、加圧ベルトなどの健康器具の販売を委託。しかし被告のB社は、原告A会社の許可なく、オンラインストアに原告A 会社が作成した商品画像を掲載し、約2週間にわたって無断使用状態が続いたとされています。

東京地裁は、被告B会社がサーバーへ無断で画像をアップロードし、不特定多数の利用者が閲覧できるようにしていた点を著作権の1つである「送信可能化権」(著作物をインターネットなどを通じて不特定多数がアクセス可能な状態にする権利)を侵害したと認定。そして、利用期間の短さや閲覧数の少なさなどを考慮しつつも、最終的に5万円の損害賠償を認めています。短期間であっても商品画像を無断使用する行為が著作権侵害に該当することを明示した裁判例と言えます。

著作権の主な内容
著作権の主な内容(画像は公益社団法人映像文化制作者連盟のサイトから編集部がキャプチャ)

【ケース2】クックパッドの「レシピ無断転載」問題

料理レシピサイト「クックパッド」は、ユーザーが材料や手順だけではなく、独自の文章や写真を投稿しています。レシピそのものは著作権が発生しないアイデアとして扱われやすいのですが、独自表現や写真には著作権が発生する可能性が高いです。

「クックパッド」に掲載されたレシピについては、一部のレシピまとめサイトや個人ブログがこのレシピをそのままコピーまたはわずかに改変して掲載し、それにより広告収益を得ていたケースが報告されています。

こうした無断転載行為は、「クックパッド」の運営会社が警告や削除を依頼し、相手方のサイトが記事を削除して解決する場合が多いようです。しかし、転載量が多い場合や悪質性が高い場合は、損害賠償請求に発展する可能性も否定できません

EC運営者が押さえておきたい「著作権」の基礎と注意点

著作権法では、事実やアイデアそのものに対しては権利を認めにくいとされており、レシピの材料や分量といったデータは保護対象外になりやすいです。しかし、創作的な文章や写真、イラストなどは独自の表現がある限り著作物として扱われるため、無断使用は侵害リスクを伴います

さらに、ECサイトに画像や文章をアップロードすると、法的には著作権のうち「送信可能化権」の侵害にあたる場合があります。そのため、勝手に他社の写真や説明文を利用すれば、先程の東京地方裁判所の判例のように権利侵害を問われる恐れがあります

著作物の種類
  • 言語の著作物
    • 小説、脚本、論文、講演そのほかの言語の著作物
  • 音楽の著作物
    • 楽曲および楽曲を伴う歌詞
  • 舞踊または無言劇の著作物
    • 日本舞踊、バレエ、ダンスなどの舞踊やパントマイムの振り付け
  • 絵画、版画、彫刻そのほかの美術の著作物
    • 絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置など(美術工芸品も含む)
  • 建築の著作物
    • 芸術的な建造物(設計図は図形の著作物)
  • 地図または学術的な図面、図表、模型そのほかの図形の著作物
    • 地図と学術的な図面、図表、模型など
  • 写真の著作物
    • 写真、グラビアなど
  • 映画の著作物
    • 劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、アニメ、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなど
  • プログラムの著作物
    • コンピュータ・プログラム

アップロードが発覚すると、まず権利者からの警告や削除依頼が行われます。これに対し、すぐにコンテンツを削除や修正すれば裁判に至らないことも多いですが、悪質性が高いと示談や損害賠償請求へと発展することも考えられます。

トラブルを未然に防ぐには

このようなトラブルを避けるためには、できるだけオリジナルコンテンツを用意し、他者の著作物を使わないようにすることが重要です。オリジナルコンテンツは検索エンジンからの評価も得やすく、長期運用でのメリットが見込めます

メーカーや仕入れ先から素材が提供されている場合は、使用許諾範囲やライセンス条件を必ず確認しましょう。また、引用するときは著作権法で定める引用要件を満たすよう、本文に対して引用部分を従たるものとすること、および引用部分の出典を明記することを徹底する必要があります

また、自社において定期的なモニタリングを行い、自社が他者の権利を侵害していないか、逆に自社コンテンツが盗用(無断使用)されていないかをチェックすることも大切です

盗用(無断使用)をされた場合は、まず証拠保全のうえ、相手側に侵害の警告や削除の依頼をして、これに応じない場合は損害賠償請求や差止請求に踏み切る選択肢があります。一方、もし自分が誤って無断使用してしまったと気づいた場合は、すぐに削除や修正をし、必要に応じて権利者との和解や許諾交渉を行うのが賢明です。

まとめ:安心・安全なEC運営のために

ECサイトは魅力的な商品・コンテンツを用意することで、多くのユーザーを集客できます。しかし、商品画像やレシピなどに含まれる他人の独自の表現を無断で使用してしまうと、著作権侵害による深刻なトラブルを招きかねません。今回ご紹介した判例(商品画像の無断使用)や「クックパッド」の問題(レシピの無断転載)は、まさにそうしたリスクを示しています。

オリジナルの素材や正規の許諾を得たコンテンツを使い、問題が起きた場合には速やかに対処するこうした基本的な姿勢を保つことが自社のブランドやコンテンツを守り、長期的に安定したEC運営を続けることができます。著作権に関する知識をアップデートしながら、安心・安全なサイト運営を心がけていきましょう。

山本 英彦
株式会社How to Use

Google検索で「AIモード」を日本語で開始、今後予想されるショッピング機能とは

2ヶ月 ago

Googleは9月9日、Google検索で「AIモード」の提供を日本語でも開始したと公式ブログ上で発表した。日本語のほか、インドネシア語、韓国語、ヒンディー語、ポルトガル語(ブラジル)での提供も順次開始するという。

「AIモード」はGoogle検索の結果ページに表示されるタブから、PCとモバイルのブラウザ、AndroidとiOSのGoogleアプリで利用できる。

「AIモード」は、「Gemini2.5」のカスタムバージョンを使用、複数回の検索が必要だったような長く複雑な質問に一回の検索で回答する。探索的な質問や、地域のお薦めを探したり、旅行の計画を立てたり、複雑な手順を理解したりするといった複雑なタスクで特に役立つとしている。なお、「AIモード」の初期のユーザーは、従来の検索クエリの2倍から3倍の長さの質問をしているという。

Googleは9月9日、Google検索における「AIモード」を同日から日本語でも提供開始したと公式ブログ上で発表した。日本語のほか、インドネシア語、韓国語、ヒンディー語、ポルトガル語 ( ブラジル ) での提供も順次開始するという
「AIモード」の表示例

本格的なマルチモーダル体験ができるように設計。テキスト、音声、カメラなどを使い質問できる。たとえば、スペイン語のメニューの写真を撮り「このメニューが何かわからないんだけど、どれがベジタリアン向けか教えて」と質問すると、ベジタリアンでも食べられるメニューの料理の内容を回答する。

「AIモード」は、Googleの品質およびランキングシステムに基づいており、事実性を向上させるための新しいアプローチを採用しているという。可能な限りAIによる回答を表示することをめざす一方、信頼性が低いと判断される場合には、一連のWeb検索の結果が表示される。

「AIモード」については米国時間の5月20日に実施した年次開発者会議「Google I/O 2025」においてショッピング関連の機能についても発表している。

対話型AIによる商品検索結果のパーソナライズ化、自分自身の写真をアップロードすることで、オンライン上の画像とコラージュするという仮想試着体験機能や新しいエージェント型チェックアウト機能を開発。

対話型AI検索でパーソナライズされた商品情報を提案(動画はGoogleのブログから編集部が追加)

欲しい商品の価格が変動した際に通知を受け取り、「Google Pay」で購入できる仕組みを開発している。これらの機能も今後日本でも提供されることが予想される。

自分自身の写真をアップロードすることでオンライン上の画像とコラージュした仮想試着ができる(画像はGoogleのブログから編集部がキャプチャ)
鳥栖 剛

越境ECを始めるために準備すべきことや気を付けることは? 成功につながるポイントも解説します! | 今日から試せるネットショップ運営ノウハウ powered by カラーミーショップ

2ヶ月 ago
「越境ECに興味はあるけれど、なにから始めたらいいかわからない」といったEC事業者さんに向けて、新しい販路獲得のためにもぜひ活用したい越境ECの方法やポイントを難易度別に紹介します

新しい市場として注目されている「越境EC」。世界の企業だけでなく、近年は日本の企業や事業者も新しい販路開拓の魅力的な手段として活用し始めています。ですが、「実際に越境ECをやってみたいけど、どうやって始めていいのかわからない」という人もいるのではないでしょうか。

越境ECの始め方には、主に下記の6つの方法・パターンがあります。

  1. 日本国内に独自の越境BtoC-ECサイトを構築する
  2. 日本国内にある海外対応BtoC-ECプラットフォーム・モールに出店する
  3. 進出先国のCtoC-ECまたはBtoC-ECプラットフォームに出店する
  4. 保税区活用型出店(出品)をしてECサイトを出店する
  5. 一般貿易型EC販売をする
  6. 進出先国で独自のBtoC-ECサイトを構築する

今回は、この6つの始め方や越境ECを成功させるためのポイントなどについて紹介します。

よむよむカラーミー ツクルくん ツクルくん

越境ECってどうやって始めたらいいんだろう?

よむよむカラーミー カラミちゃん カラミちゃん

安心してください。これから、越境ECの始め方の説明と、準備・成功させる上で押さえておきたいポイントを紹介します。

知っておきたい越境ECの市場規模や成長性

経済産業省が発表した「令和5年度電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、2021年時点で、世界の越境EC市場は7850億米ドル程度とされており、それが2030年には7兆9380億米ドルと約10倍にまで拡大すると見込まれています。

よむよむカラーミー 越境EC 世界の越境EC市場規模の拡大予測
「令和5年度電子商取引に関する市場調査 報告書」より引用

実際、同資料の「日本から海外への越境EC販売」の実績を見てみると、令和5年は日本から米国向けが前年比13.3%増の1兆4798億円、中国向けが前年比7.7%増の2兆4301億円という結果となっています。

このようにデータを見る限り、今後も越境EC市場は着実に成長していくと考えられています。

越境ECにおすすめの重点市場

越境ECを始めるなら、より成長が見込まれる市場へ参入したいところです。どの市場を狙うべきか、引き続き「令和5年度電子商取引に関する市場調査」の「世界のインターネット購買者人口」のデータを見ると、効果的な市場の選択が見えてきます。

まず注目すべきは中国市場です。2023年のオンラインショッピングの人口は日本が8237万人なのに対し、中国は8億8765万人と日本の約11倍という圧倒的な規模を誇ります。

中国のほうが人口が多いだけでなく、中国市場の購買力とデジタル決済の浸透率は越境ECに参入する日本の事業者とって、魅力的な市場といえるでしょう。

次に注目したいのが東南アジア市場です。Googleら3社が発表した「e-Conomy SEA 2024」によると、東南アジア6か国のEC市場は2024年に前年比15%成長という高い伸び率を記録しています。特にインドネシアは、先ほどの「世界のインターネット購買者人口」でも世界第5位と、6位の日本を上回る利用者数となっており、今後の成長が期待できる重点市場といえます

難易度別! 越境ECを始める6つの方法

さて、そんなチャンスと可能性を秘めた越境ECですが、実際に越境ECを行うためには、どのような方法があるのでしょうか。

具体的に、越境ECを始めるには下記の6つのパターンがありますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

  1. 日本国内に独自の越境BtoC-ECサイトを構築する
  2. 日本国内にある海外対応BtoC-ECプラットフォーム・モールに出店する
  3. 進出先国のCtoC-ECまたはBtoC-ECプラットフォームに出店する
  4. 保税区活用型出店(出品)をしてECサイトを出店する
  5. 一般貿易型EC販売をする
  6. 進出先国で独自のBtoC-ECサイトを構築する

【難易度★】日本国内に独自の越境BtoC-ECサイトを構築する

よむよむカラーミー 越境EC 日本国内に独自の越境BtoC-ECサイトを構築する

日本国内に越境ECの自社サイトを構える事業モデルです。もともと日本語で提供している自社ECサイトを、外国からのアクセスでも不自由なく閲覧できるように多言語化することで、越境ECに対応するケースです。

もしすでに自社ECサイトがある場合、新規で越境EC用のサイトを構築する必要はないので、手軽に始められるのが魅力です。

たとえば、「カラーミーショップ」で構築した自社ECの場合、アプリストアで「ZenLink for カラーミーショップ」や「Buyee Connect」といった越境EC機能をオプションで追加すれば、海外販売が可能になります。

このような越境ECサービスを導入すると、海外ユーザーが決済できるようになるほか、海外への配送や顧客対応も代行してもらえます。

国内の自社ECサイトで海外から注文を受けた場合でも、社内における販売後のフローは通常の国内販売とあまり変わらない場合も多いので、運営面でも社内負担を抑えつつ越境ECが始められるでしょう。

【難易度★】日本国内にある海外対応BtoC-ECプラットフォーム・モールに出店する

よむよむカラーミー 越境EC 日本国内にある海外対応BtoC-ECプラットフォーム・モールに出店する

日本国内で越境ECに対応したモールなど(「Amazon」「Qoo10」など)へ出店する事業モデルです。6つの方法のなかでも難易度が低く、初心者におすすめの方法です。

もともと国内ユーザーを対象としてショップを出店していた延長線として、海外の消費者に向けて販売ページを用意するケースとなります。

具体的には、モール内で海外販売機能を申請すれば、日本語版ページから機械翻訳で「外国語版の商品掲載ページ」を自動生成する機能が利用できたり、出店モールの海外サイトに出店されたりするなど、手軽にショップを越境EC対応できることがメリットになります。

【難易度★★】進出先国のCtoC-ECまたはBtoC-ECプラットフォームに出店する

よむよむカラーミー 越境EC 進出先国のCtoC-ECまたはBtoC-EC プラットフォームに出店する

進出したい海外のECモールやECサイトサービスで出店(出品)する事業モデルです。出店(出品)に際しては、現地のECモール、ECサイト運営事業との交渉が発生したり、現地での法的な手続きも必要となったりするため、ハードルが高いところも特長です。

ノウハウがない場合は、専用の代行会社によるサポートを得るケースが多いです。

中国でいうとCtoC-EC(「淘宝網(taobao)」など)やBtoC-ECプラットフォーム(「天猫(Tmall)」など)に出店するのがオーソドックスな方法になります。

【難易度★★★】保税区活用型出店(出品) をしてECサイトを出店する

よむよむカラーミー 越境EC 保税区活用型出店(出品) をしてECサイトを出店する

保税区に指定された地域の倉庫にあらかじめ販売したい商品を輸送しておき、受注後に保税倉庫から配送する越境ECの事業モデルです。

特に中国向け越境ECでよく活用されています。通常の越境ECと違い販売国からの発送ではなく、購入者のいる進出先の国からの発送であるため、消費者が負担する輸送費が少なくて済む、直送と比較し国内郵便のため配送期間が短くて済む、といったメリットがあるのが特長です。

保税区とは:関税が課されたのちに許可を受け通関を完了するまで、関税の徴収を留保された商品などが、一時的に保管するための倉庫がある地域のこと。この保税ができる地域は事前に決められており、主に港湾・空港の近くに設けられます。

【難易度★★★】一般貿易型EC販売

よむよむカラーミー 越境EC 一般貿易型EC販売

一般的な貿易と同様に、国内の輸出者と相手国の側輸入者との間で貿易手続きを行い、相手国側のECモールやECサイトで商品を販売する事業モデル。

一般的なBtoB型貿易において販売チャネルとしてECを活用するスタイルです。

【難易度★★★】進出先国で独自のBtoC-ECサイトを構築する

よむよむカラーミー 越境EC 進出先国で独自のBtoC-ECサイトを構築する

相手国側で自社サイトを構築する事業モデルです。

既に相手国において自社商品が浸透し、かつECサイトの運営を自社でコントロールできる体制を整えていれば取り組みやすいでしょう。ですが、基本的にはノウハウや大きなリソースを割くため、資本やリソースが豊富にある国際的に有名な日本企業などが行うケースが多いです。

また、進出した海外でのサイト構築なので、すべて現地に合わせる必要があり、そこでの集客もしなくてはなりませんし、その国でのルールや手続きを踏まなければならないため、難易度はかなり高めになります。

初めての人は難易度の低い方法がおすすめ

越境ECの方法は6パターンありますが、初めての人は難易度の低い下記の2つがおすすめです。

  1. 日本国内に独自の越境BtoC-ECサイトを構築する
  2. 日本国内にある海外対応BtoC-ECプラットフォーム・モールに出店する

他の方法の場合、越境ECを行うにあたり多くの知識・ノウハウを必要としリスクもあるため、初心者の人はまず国内でショップを開設し、海外販売に慣れていくのがベターです。

越境ECに必要な準備(商材選びや関税・海外発送について)を知ろう

越境ECで成功するには、事前の準備や下調べが重要です。まずは、越境ECにおすすめの商品を見ていきましょう。

越境ECにおすすめの商品

越境ECで売り上げを伸ばすためには、海外で人気の売れやすい日本の商品を販売するのが1つの方法です。ではどんな商品が越境ECで人気なのでしょうか。

越境ECサービス「Buyee(バイイー)」を運営するBEENOSが発表した「BEENOS 越境EC×ランキング発表会2024」によると、2024年に越境ECで最も購入件数の多かった商品は「トレーディングカード」で、北米・ヨーロッパ、東南アジア地域などで1位となっています。

次いで2位はプラモデルや模型といった「おもちゃ・ホビー・グッズ」、3位はファッションという結果でした。1位~3位は、自国では特に買えない、日本の文化やカルチャーを象徴した商品が人気のようです。

また、「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、オンラインショッピングの利用者が圧倒的に多い中国における「日本で購入したい商品」の調査結果は「1位美容コスメ、2位アパレル・衣料、3位食料品・アルコール」でした。

このように、一定の人気がある商品ジャンルを販売すれば、越境ECでも購入されやすいといえます。

関税や海外発送・海外のルールも把握しよう

越境ECを行う上で必ずと言っていいほど把握しておかなくてはいけないのが、関税や海外配送、販売国でのルールです。

販売しようと決めた商材や国内の自社ECで扱っている商品が、そもそもその国で販売可能なのか、海外発送可能なのかどうかを知る必要があります。

各国の輸出入に関してのルールなどは「日本貿易振興機構(JETRO)」のページで確認できますので、ぜひチェックしてみてください。

日本貿易振興機構(JETRO)のページはこちら

また、海外発送可能かに関しては、越境ECでよく利用される日本郵便のEMSのページを確認してみてくださいね。

日本郵便EMSのページはこちら

さらに、海外発送にするうえで関税についても把握しておく必要があります。個人輸入者の関心が高いとされている代表的な品目の関税率が、税関のサイトに載っているのでチェックしてみてください。

主な商品の関税率の目安のページはこちら

これからの越境ECはSNSとAI活用がトレンド

越境ECにおいて、SNSを通じて商品を発見・購入する「ソーシャルコマース」が急速に拡大しています。

これまでのネット検索や広告に代わり、SNS上での体験共有やレビューを重視して購買する流れが、特にZ世代やミレニアル世代を中心に加速しています。

この傾向は中国で顕著で、「令和4年度 電子商取引に関する市場調査」によると、中国の越境EC利用者が商品を発見する方法として「SNSやSNS広告」が65.0%と最多で、「家族・友人のすすめ」55.0%、「検索」53.0%を上回りました。

中国では偽レビューや過剰広告が多いため、「誰が」「どのように」紹介するかが重視され、SNSでのリアルな声が購買に直結するとされています。

爆発的な拡散力があることも踏まえると、SNSは越境ECの販促において必須のチャネルといえるでしょう。

SNSにおけるビデオコマースも注目されている

ソーシャルコマースの流行と共に、SNS上で動画を活用した「ビデオコマース」も急速に注目を集めています。

先ほどの「e-Conomy SEAレポート2024」によると、特に東南アジアでは、ビデオコマースがEC流通総額の20%を占めており、これは2022年の約4倍の数値です。

ビデオコマースは商品の使い方やリアルな雰囲気が伝わり、体験や共感を得やすいため、購入を後押しするとされています。

またライブコマース(ライブ配信)では質問にリアルタイムで回答がもらえるなど、商品への安心感や納得感につながりやすいのです。

日本でも2025年6月にTikTokを活用した「TikTok Shop」がリリースされています。

越境ECにおいても、従来の検索型や広告型の販促に加え、SNS動画を活用したビデオコマース(ライブコマース)が今後の成長を支える要となるでしょう。

AIを活用すれば越境EC運営はスムーズになる

越境ECでは、言語や文化、消費行動の違いなどに対応しなければならないため、国内EC以上に準備や運営の難易度が上がります。そこで力を発揮するのがAIの活用です。

2022年に「ChatGPT」がリリースされて以来、日常や業務に使えるさまざまなAIが登場しています。たとえば、顧客データをもとに購買傾向や関心を分析するAIを使えば、現地のトレンドに合った商品展開やキャンペーン設計ができるようになります。

また、リサーチ特化型AIであれば、事前の市場調査も手軽に行えます。進出先国の法規制や通関ルール、商習慣などを効率よく調査でき、現地での戦略も立てやすくなるでしょう。

さらに、多言語対応の翻訳AIや、顧客対応を支援するチャットボット型AIなども越境EC運営をサポートします。

このように、さまざまなAIをうまく組み合わせることで、少人数の体制でも効率的な越境EC運営が実現できるでしょう。

越境ECで成功するための確認ポイントと改善のヒント

準備をしっかりし、いざ始めるとしても越境ECはさまざまな課題を持っています。

そこで、ここでは始める前に確認しておきたいポイントや改善のためのヒントをカテゴリー別に紹介していきますので、1つずつチェックしていきましょう。

①ビジネスモデル・戦略に関する確認ポイント・改善のヒント

価格戦略 ・進出国のニーズや市場に応じた価格で挑戦するのか
・また価格の一貫性をとるのか
為替変動のリスク ・為替変動により売り上げが左右することを把握しているか
プロダクト戦略 ・マーケットイン型(顧客や市場のニーズや意見をベースに商品開発を行うスタイル)にするのか、プロダクトアウト型(企業の理念や計画を優先して商品開発を行うスタイル)なのか
チャネル戦略 ・販売モデルは選択できているか
・チャネル間でカニバリゼーション(奪い合い)は起きないか
マーケティング戦略 ・海外EC事情やマーケット基礎を把握、キャッチアップできているか
・認知度向上のためのプロモーション施策や売れる要素の見極めはできているか
体制 ・越境ECを行う上で社内体制は整備されているか
・自社で行わない場合は外部パートナーの見極めができているか
収支 ・採算性・全般的なコスト管理はできているか
・資金調達はどこから行うか

②法律や制度、習慣・言語・文化に関する確認ポイント・改善のヒント

認証取得 ・進出国における商品認証などの取得が必要か、または取得しているか
・原材料表示、原産国表示はできているか
法律や制度 ・越境ECを行う前に、事前の法制度対応はできているか
・裁判や法の適用は現地か第三国かの把握ができているか
言語対応 ・進出国のネイティブから見て不自然のない翻訳ができているか
・そのための体制が作れているか
商習慣・文化などの相違 ・進出国ごとの商習慣や文化・慣習の相違を把握し、対応できているか

③物流・お客さま対応に関する確認ポイント・改善のヒント

事業モデル選択 ・物流視点での事業モデルの選択ができているか(相手国での在庫なのか、直送モデルなのか)
品質管理 ・商品の品質維持や破損対策はできているか
・商品によっては必要な温度管理もできているか
輸送コスト ・輸送にかかるコストを把握し、いかに最適化するか
所要日数 ・顧客に届くまでのリードタイムを短縮化できるか
返品時の対応 ・キャンセルポリシー、返送業務の対策はできているか
顧客被害時の対策 ・購入者に被害・トラブルがあった場合の対応策やマニュアルができているか

④税関に関する確認ポイント・改善のヒント

禁止物品 ・国に応じて輸入禁止品の把握ができているか
税関対応の不均一性 ・通関での対応のバラツキを把握し、対応できるか
不正対策 ・仕入れ先からのアンダーバリュー(輸入金額への過少申告)につながりかねない要請の回避

⑤決済に関する確認ポイント・改善のヒント

決済手段 ・多彩な決済手段の提供(例:中国の場合「支付宝(Alipay)」や「銀聯カード」など、中国人に広く使用されている決済手段を用意しているか)
決済のセキュリティ ・クレジットカード不正利用への対策は万全か
為替 ・日本円通貨の変換サービスの提供はできているか

越境ECサービスを利用すれば、自社で対応しなくて良い項目もあります。そのため越境ECを行うにあたり上記のすべての項目をチェックする必要はありませんが、該当しそうな点についてはチェックしておきましょう。

国内向け自社サイトで越境ECに成功した事例

福井県の老舗箸メーカー・兵左衛門は、「カラーミーショップ」で自社ECサイトを立ち上げ、運営しています。

箸という日本独自の商品は海外でも人気が高く、外国語での問い合わせも多く寄せられていました。そこで同社は、越境ECの機能を自社ECに導入。

以前は、海外特有の決済方法に対応できず、やむを得ず注文を断ることもありましたが、越境EC機能を追加することで、スムーズに海外からの受注が可能になりました。

このように、「カラーミーショップ」などの自社ECは機能をカスタマイズできるので、新たに海外向けのECサイトを構築しなくても、既存の自社ECサイトを使いながら越境ECを始めることができます。

まとめ:越境ECを始めるならまずはこの2つの方法がおすすめ

いかがでしたでしょうか。今回は、越境ECの始め方、市場規模や準備すること、そして成功させる上で押さえておきたいポイントなどを紹介しました。

越境ECの始め方としては、下記の2つがおすすめです。

  1. 日本国内に独自の越境BtoC-ECサイトを構築する
  2. 日本国内にある海外対応BtoC-ECプラットフォーム・モールに出店する

海外向けに販売することは多くの知識・ノウハウを必要とし、リスクもあります。そのため国内の自社サイトで越境ECサービスを利用したり、すでに越境ECに対応したECモールなどに出店したりするほうが、自社の負担は抑えられ、手軽に始められるでしょう。

また、今回は越境ECを始めるうえで、事前に準備することや気を付けるポイントや課題に関しても紹介しましたので、ぜひ参考にして役立ててくださいね。

この記事はカラーミーショップの公式Webメディア『よむよむカラーミー by GMOペパボ』の記事を、ネットショップ担当者フォーラム用に再編集したものです。

よむよむカラーミー

ジャパネット、消費者庁の措置命令に対して「有利誤認には該当しない」と反論。その根拠とは?

2ヶ月 ago

消費者庁は9月12日、ジャパネットたかたに対して景品表示法に基づく措置命令を出した。おせちの販売において実態のない将来価格を表示していたとして景表法における有利誤認を認定。これに対しジャパネットたかたは「有利誤認」には該当しないと反論している。

消費者庁の違反認定

措置命令の対象になった表示は、2024年10月8日から11月23日まで、ジャパネットたかたが自社ECで「【2025】特大和洋おせち2段重」について。

「1万円値引き 7/22 ~11/23」「値引き後価格19,980円(税込)」「~大人気おせちが今ならお得!~早期予約キャンペーン」と表示。「ジャパネット通常価格29,980円」はセール期間経過後に適用される将来の販売価格で、「値引き後価格」の販売価格が将来価格に対して安いかのように表示していた。

消費者庁は、セール期間経過後に将来価格で販売するための合理的かつ確実に実施される販売計画はなかったと指摘。将来価格として十分な根拠のあるものとは認められないとして違反認定した。

違反認定を受けたジャパネットたかたの表示(画像は消費者庁の公表資料から編集部がキャプチャ)
違反認定を受けたジャパネットたかたの表示(画像は消費者庁の公表資料から編集部がキャプチャ)

ジャパネットの反論

ジャパネットたかたは9月12日、公式サイト上で措置命令に対して反論。2022年と2023年ではキャンペーン終了後に通常価格での販売実績があり、「過去に販売した価格」は比較対照に用いることが認められている。そのため、キャンペーン直前まで「通常価格29,980円」で販売し、表示に適切な根拠があったと認識しているとした。

違反認定を受けた表示の2024年についても同様の販売計画だったが、期間内に完売した時点で販売を終了。ジャパネットたかたは「お客様に安くご購入いただける機会を公平に設けており、表示の正当性を失うものではないと考えている。また、早期予約キャンペーンの企画において、キャンペーン終了後に購入できなかったという事実は企画の趣旨に沿ったもので、お客様に誤解を与えてはいないと考えている」と説明している。

ジャパネットたかたは、一括大量仕入れによって在庫リスクを負い、メーカーと企業努力を重ねることで、高品質な商品を安価に提供することを基本方針としていると説明。今回のおせちも「本来2万9980円で十分自信をもっておすすめできる商品を、43万個という規模の仕入れにより1万9980円の価格で提供した」とし、企業努力で値引きを実現したという。

今回の消費者庁の指摘に関して、「本当にお客様のことを考えた判断であると到底思えない」と反論。また、「おせちは時期を過ぎると廃棄につながりやすい特性がある。早期にご予約いただくことで需要を正確に予測し、売れ残りによる廃棄をなくすことは、食品ロス削減に向けた企業の社会的責任であると考えている」とした。

ジャパネットたかたは今後、法的な手続きの場で正当性を主張することも含め、適切に対応していくとしている。

鳥栖 剛

高校生のキャシュレス決済率は62.1%、親は91%。QRコード決済利用率は高校生が50.8%、親が61%【高校生と高校生の子どもがいる親のキャッシュレス決済調査】

2ヶ月 ago

MMDLaboが運営するMMD研究所が実施した「高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査」によると、直近半年のキャッシュレス利用率は、高校生が62.1%、高校生の子どもがいる親が91.0%だった。

予備調査対象は通信契約しているスマホを所持している15歳~18歳の高校生1114人と、通信契約しているスマホを所持していて、高校生の子どもがいる30歳~69歳の親1681人。期間は2025年7月18日~7月23日。

高校生の直近半年のキャッシュレス決済利用率は62.1%。QRコード決済は50.8%

高校生に直近半年に利用した決済方法を聞いたところ、「現金」(92.1%)が最も多く、次いで「QRコード決済」(50.8%)「カード式の非接触の電子マネー」(17.8%)で、キャッシュレス利用の割合は62.1%だった。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生が直近半年に利用した決済方法
高校生が直近半年に利用した決済方法(n=1114/複数回答可、出典:MMD研究所)
MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の直近半年のキャッシュレス利用率
高校生の直近半年のキャッシュレス利用率(n=1114、出典:MMD研究所)

高校生の子どもがいる親の直近半年のキャッシュレス決済利用率は91.0%。QRコード決済は61.0%

高校生の子どもがいる親に、直近半年に利用した決済方法を聞いたところ、最多は「現金」(78.0%)で、次いで「クレジットカード(サイン、暗証番号決済)」(68.2%)「QRコード決済」(61.0%)で、キャッシュレス利用の割合は91.0%だった。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の子どもがいる親が直近半年に利用した決済方法
高校生の子どもがいる親が直近半年に利用した決済方法(n=1681/複数回答可、出典:MMD研究所)
MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の子どもがいる親の直近半年のキャッシュレス利用率
高校生の子どもがいる親の直近半年のキャッシュレス利用率(n=1681、出典:MMD研究所)

高校生のQRコード決済での送金経験は34.7%

QRコード決済を利用している高校生に、利用しているQRコード決済での送金機能の経験について聞いたところ、34.7%が「送金経験がある」と回答した。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生が利用しているQRコード決済での送金経験の有無
高校生が利用しているQRコード決済での送金経験の有無(n=300、出典:MMD研究所)

直近半年で送金機能を利用した高校生に、直近半年での家族間送金について聞いたところ、74.7%が「家族間送金をした」と回答した。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の利用しているQRコード決済による、直近半年の家族間送金の経験
高校生の利用しているQRコード決済による、直近半年の家族間送金の経験(n=99、出典:MMD研究所)

高校生の子どもがいる親のQRコード決済での送金経験は51.0%

高校生の子どもがいる親でQRコード決済を利用しているユーザーに、直近半年の送金機能の利用経験を聞いたところ、51.0%が「送金経験がある」と回答した。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の子どもがいる親のQRコード決済での送金経験の有無
高校生の子どもがいる親のQRコード決済での送金経験の有無(n=1026、出典:MMD研究所)

「送金経験がある」と回答したユーザーに、直近半年の家族間送金利用経験を聞いたところ、82.5%が「家族間送金をした」と回答した。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の子どもがいる親の、QRコード決済による直近半年の家族間送金の経験
高校生の子どもがいる親の、QRコード決済による直近半年の家族間送金の経験
(n=524、出典:MMD研究所)

高校生の子どもがいる親が最も意識している経済圏のトップは「楽天経済圏」

高校生の子どもがいる親に経済圏を意識しているか聞いたところ、「意識している」は73.4%、「意識していない」が26.6%だった。

ポイント経済圏を意識しているユーザーに最も意識している経済圏を聞いたところ、トップは「楽天経済圏」(36.8%)で、次いで「PayPay経済圏」(23.5%)「ドコモ経済圏」(19.1%)だった。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の子どもがいる親が最も意識しているポイント経済圏
高校生の子どもがいる親が最も意識しているポイント経済圏(n=1235、出典:MMD研究所)

現在活用している共通ポイントと、そのなかで最も活用している共通ポイントを聞いたところ、現在活用している共通ポイントでは「楽天ポイント」(65.3%)が最も多く、次いで「PayPayポイント」(53.2%)「dポイント」(48.3%)だった。

最も活用している共通ポイントでは、最多が「楽天ポイント」(34.5%)で、「PayPayポイント」(20.6%)「dポイント」(17.5%)と続いた。

MMD研究所 高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査 高校生の子どもがいる親が現在活用しているポイントと、最も活用しているポイント
高校生の子どもがいる親が現在活用しているポイントと、最も活用しているポイント
(n=1681/上位5位を抜粋、出典:MMD研究所)
調査実施概要
  • 調査タイトル「高校生と高校生の子を持つ親のキャッシュレスに関する実態調査」
    • 高校生
      • 調査期間:2025年7月18~23日
      • 調査方法:インターネット調査
      • 調査対象:<予備調査>通信契約しているスマートフォン所有の15歳~18歳の高校生 <本調査>QRコード決済を利用している高校生
      • 有効回答:<予備調査>1114人<本調査>300人
      • 設問数:<予備調査>6問<本調査>4問
    • 高校生の子がいる親
      • 調査期間:2025年7月18~23日
      • 調査方法:インターネット調査
      • 調査対象:30~69歳の通信契約しているスマートフォン所有かつ高校生の子どもがいる親
      • 有効回答数:1681人
      • 設問数:10問
藤田遥

「くまもと風土」のローカル、千葉県勝浦市と「企業立地及び地域貢献に関する協定」を締結

2ヶ月 1 週間 ago

食品EC「くまもと風土」を運営するローカルは9月2日、千葉県勝浦市と地域経済の活性化や雇用機会の拡大を目的とした「企業立地及び地域貢献に関する協定」を締結した。

ローカルは今年8月に、勝浦市内に精米工場を設置、ふるさと納税の返礼品提供事業者として米を提供している。今後、勝浦市はローカルと協働し、ふるさと納税をはじめ、まちづくり、地元産品の生産・流通の促進や地産地消、地元雇用の創出、防犯対策や地域防災への協力、環境保全や省エネルギー対策などに取り組んでいく。
 
「企業立地及び地域貢献に関する協定」の内容は次の通り。

  • 地域との連携
  • 生産者などとの連携
  • 地元雇用の確保
  • 防犯・防災対策
  • 環境保全及び省エネルギー対策などの推進
鳥栖 剛

「3COINS」などのパル、購入後の体験「ポストパーチェス」を強化。「返品・交換」「注文キャンセル」「配送追跡」を導入

2ヶ月 1 週間 ago

「3COINS」や「CIAOPANIC TYPY」など雑貨・アパレル製品を展開するパルが、購入後の体験「ポストパーチェス」を強化している。公式ECサイト「PAL CLOSET」に、Recustomerが提供する購入体験プラットフォーム「Recustomer」の「返品・交換」「注文キャンセル」「配送追跡」機能を導入し成果を出している。

返品関連業務の約7割を自動化し、返品・交換リードタイムを1〜2日短縮。サポート人員を約30%削減し、効率的で迅速な対応体制を整えた。さらに、配送追跡ページを新たな顧客接点として活用することで、月間数百件規模の二次購買を創出、購入後体験の改善と顧客満足度の向上を実現した。

パルはEC売上が10年間で約10倍に拡大するなか、返品時の利便性やスピードに課題があった。返品申請やステータス管理をアナログで運用していたため、情報更新の遅れや非効率を招き、カスタマーサポートの生産性の低下や顧客体験改善を進める上での課題となっていた。 こうした課題を解消するため、運用のデジタル化を検討し、カスタマーサポート部門とソリューション部門が連携して業務改善プロジェクトを推進。そのなかで、他システムとの連携のしやすさ、業務効率化と顧客満足度向上を両立できる「Recustomer」を導入した。

今後、返品業務で倉庫側の処理の簡略化や紙の戻り伝票の廃止を検討。返品フローで収集したデータを商品開発やECサイト改善に活用していく。配送追跡では、ステータス変化に応じたアプリのプッシュ通知機能、より高度にパーソナライズしたレコメンド表示を実装し、購入後の顧客体験向上とLTV最大化をめざすとしている。

「Recustomer」の導入で業務効率化とスピード向上の両面で確実に前進できた。こうした改善の積み重ねで、これまで2度にわたり返品ポリシーを緩和することが可能になり、件数が増えても安定して対応できる体制を整えることができた。業務の自動化と可視化によって、顧客体験の向上と現場の生産性向上を同時に実現できたことは大きな成果。(パル 取締役 専務執行役員 堀田覚氏)

鳥栖 剛
確認済み
59 分 25 秒 ago
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