ネットショップ担当者フォーラム

日本郵便、米国向けの小包・EMSの引受停止。トランプ政権による米国関税および規制変更を受け

2ヶ月 3 週間 ago

日本郵便は8月27日、米国宛て郵便物の一部について引き受けを一時停止すると発表した。

米国政府は7月30日、「すべての国に対する免税措置(デミニミス)待遇の停止」と題する米国宛て郵便物に対する大統領令を発表。大統領令では、消費目的のために輸入される物品を内容とする郵便物(課税対象郵便物)は8月29日以降、免税措置を停止し、関税が課されることになった。 米国通関・国境警備局(CBP)は8月15日、CBPへの関税保証金の納付、通関申告書の作成などを運送事業者などが負うことを内容とする「デミニミス撤廃に関する新たなガイドライン」を発表したものの、運送事業者、これに対応する各国郵便事業体などが実施すべき手続きが不明確でのため、運用が極めて困難な状況にあるという。

そのため、日本郵便は8月27日から「個人間の贈答品で内容品価格が100ドルを超えるもの」「消費を目的とする販売品」を内容品として含有する米国宛て郵便物(小形包装物、小包およびEMS(物品))について、他の各国郵便事業体と同様、引き受けを一時停止した。

なお、書状、はがき、印刷物、EMS(書類)のほか、個人間の贈答品で内容品価格が100ドル以下のものを含有する郵便物(小形包装物、小包およびEMS(物品))は引き受けを継続する。

引受停止の代替手段としては、国際宅配便であるUGX(ゆうグローバルエクスプレス)は、米国税関の規制に対応した取り扱いができるとしている。

鳥栖 剛

【2024年のCtoC-EC市場まとめ】市場規模は1.8%増の約2.5兆円

2ヶ月 3 週間 ago

経済産業省が8月26日に発表した「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2024年のCtoC-EC市場規模は推計で前年比1.82%増の2兆5269億円だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 【2024年のCtoC-EC市場まとめ】市場規模は1.8%増の約2.5兆円
CtoC-EC推定市場規模(画像は経産省の報告書から編集部がキャプチャ)

2024年のCtoC-EC市場について

2020~2021年は新型コロナウイルスの感染症拡大の影響でCtoC-ECの利用者が拡大、市場規模が増加した。2022年には消費者の実店舗回帰もあって需要が一服。2023年も同様の状況が続き、比較的緩やかな伸びとなった。2024年は、プラットフォーム事業者によっては利用者数の伸びが鈍化しているものの、販促施策や利便性向上策が奏功し、取引額は増加した。

主要プラットフォーム事業者では、出品済みの商品情報に対する改善提案、簡単に出品できるサービス、真贋鑑定などを主な取り組みとしてピックアップ。利便性向上策を通じて利用者がより手軽に、より安心に売買できる取引基盤が整備されつつあるという。 また、AI活用も浸透。物流業界の負荷軽減のため、非対面で発送し、受取は置き配のみという新配送サービスなども導入された。また、越境取引も好調で、各フリマアプリは海外向けの販売機能の拡充を進めているとしている。

調査では商品カテゴリーの売れ筋については、構成比では大きく変化がない状況が続いているがエンタメ・ホビー用品の取引が最も多く、本やゲーム、おもちゃ、トレ ーディングカードなどの他、キャラクターグッズ、アイドルグッズなどの「推し活」に関したアイテムも取引上位アイテムとなっている。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 【2024年のCtoC-EC市場まとめ】市場規模は1.8%増の約2.5兆円
CtoC-ECのカテゴリー別構成比は大きく変化しなかった(画像は経産省の報告書から編集部がキャプチャ)

CtoC市場がBtoCのリユース市場に与える影響

CtoC市場はスマホをベースとするECが主体で手軽に売買できる利便性に対し、商品査定の厳格さを重要と考える利用者はBtoCのリユース市場を重要視するニーズの違いがあると説明。リユース市場におけるCtoC市場とBtoC市場は「利用者層や利用目的、売買される商品の違いによって異なるニーズを満たし、好影響を与えながら共存していくことが想定される」(報告書)とまとめた。

一次流通と二次流通の関係性についても言及。二次流通を入口とするブランドの認知拡大、若年層を中心にリセールバリューを意識した新品購入という購買行動が広がりつつあり、二次流通が新品への需要を創出していると見ることもできるとした。

また二次流通事業者と一次流通事業者が相互に保有するデータを連携する動きもあると説明。二次流通事業者が保有する利用者の行動データを一次流通事業者と連携し、一次流通事業者側で中古市場で売ることを前提とした消費者の購買行動に対応した値付けや販売戦略立案に生かすといった事例もある。また、二次流通事業者側が、一次流通事業者が保有する商品カタログデータなどを入手することで、利用者が出品する際の商品情報入力を省き、出品を促進する動きを推進しているケースもあるという。

そのほか大手百貨店が二次流通事業者と組んで不用品の買い取りや引き取りサービスを手がける例もあるとし、「両者が相互補完の関係を築き、双方の市場規模が拡大していくことが期待されている」(報告書)とまとめている。

偽ブランド品など不正出品の対策

プラットフォーマーは安心・安全、健全な取引環境を提供するため、未然に不正出品を徹底的に防止する取り組みを継続的に進めている。ほかには、顧客のサポート体制強化や補償拡大などに取り組んでいるとした。

CtoC-ECの大手プラットフォーム事業者が加盟する「インターネット知的財産権侵害品流通防止協議会(CIPP)」では、プラットフォーム事業者間の情報交換や権利侵害商品の抑止対策の検討、ガイドラインの策定などに取り組んでいる。そのほか、プラットフォーム事業者自身の強化策として出品基準やルールの厳格化を進めている。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 【2024年のCtoC-EC市場まとめ】市場規模は1.8%増の約2.5兆円
CtoCのプラットフォーマーが進める不正対策の取り組みについても言及(画像は経産省の報告書から編集部がキャプチャ)
鳥栖 剛

中国・米国向け越境EC市場は4.2兆円で8.3%増。中国向けは約2.6兆円、米国向けが約1.6兆円【2024年の海外向けEC規模】

2ヶ月 3 週間 ago

経済産業省が8月26日に発表した「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2024年の中国・米国向け越境EC市場は前年比8.3%増の4兆2350億円だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 中国・米国向け越境EC市場は4.2兆円で8.3%増。中国向けは約2.6兆円、米国向けが約1.6兆円【2024年の海外向けEC規模】
日本・米国・中国3か国間の越境EC市場規模(推計値)

内訳は米国向け越境ECが同8.0%増の1兆5978億円、中国向けが同8.5%増の2兆6372億円。

消費国としての米国の越境BtoC-EC(日本・中国からの購入)の総市場規模は2兆7144億円で同7.3%増。このうち、日本からの購入額規模は1兆5978億円、中国経由は1兆1166億円(同6.3%増)。

消費国としての中国の越境BtoC-EC(日本・米国からの購入)の総市場規模は5兆7769億円で同7.2%増。このうち、日本からの購入額規模は2兆6372億円、米国経由は3兆1397億円(同6.0%増)。

消費国としての日本の越境BtoC-EC(中国・米国からの購入)の総市場規模は4410億円で同4.8%増。このうち、中国からの購入額規模は466億円(同5.8%増)、米国経由は3945億円(同4.7%増)。

なお、世界の越境EC市場規模についてExpert Market Researchの発表データを掲載。2024年は1兆100億ドルで、2034年には6兆7200億ドルにまで拡大すると予測されている。その間の年平均成長率は約23.1%と推計し、越境ECの市場規模は拡大し続けていくとしている。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 中国・米国向け越境EC市場は4.2兆円で8.3%増。中国向けは約2.6兆円、米国向けが約1.6兆円【2024年の海外向けEC規模】
世界の越境EC市場規模の拡大予測
鳥栖 剛

インターファクトリーのクラウドECプラットフォーム「EBISUMART」、ecbeingグループのレビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo」と連携

2ヶ月 3 週間 ago

インターファクトリーは8月26日、クラウドコマースプラットフォーム「EBISUMART(エビスマート)」が、ecbeingグループのReviCoが提供するレビューマーケティングプラットフォーム「ReviCo(レビコ)」と連携を開始したと発表した。

「EBISUMART」でECサイトを構築・運用する事業者は、「ReviCo」に商品情報を連携できるようになる。レビューは商品購入を後押しする効果があり、ECサイトのCVR向上につながるとしている。

「ReviCo」は、350以上のECサイトが導入するレビューマーケティングプラットフォーム。ECサイト・実店舗を問わず商品やサービスを体験した消費者からレビューを収集し、サイト内に掲載。データを分析しマーケティングに活用することでコンバージョン率の向上やユーザーコミュニケーションを促進できる。

「ReviCo」が費用・抽選・発送を負担し実施するプレゼントキャンペーン付きレビュー依頼メールの配信、最短1ステップで投稿が完了する簡易な投稿フローで、継続的にレビューを獲得できるようになるのが特長。収集したレビューは「ReviCo」が用意するタグを設置するだけでECサイトに表示ができ、高評価レビューランキングや画像一覧、スタッフレビューなど豊富なコンテンツ生成ができる。

「ReviCo」の特長と導入効果は次の通り。

レビュー投稿の促進

簡単にレビュー投稿ができるインターフェースによる投稿ハードルの低下、ReviCoが実施するレビュー投稿キャンペーンの活用で、レビュー投稿数の増加が期待できる。レビュー数の増加は、ユーザーの購入意欲を高め、CVRの向上に寄与する。

レビューの分析・活用

レビューを分析、データとして活用することで、事業者は商品やサービスの改善点を明確化。顧客満足度も向上し、リピーターの増加や新規顧客の獲得につながる。

ECと実店舗の垣根を超えた活用

実店舗でもQRコードを利用したレビューの収集・表示が可能。実店舗でのレビュー収集で、ユーザーの生の声を迅速に販売戦略に反映し、サービスの質向上に役立つほか、店舗の集客力向上や顧客満足度の向上が期待できる。

EC運営の業務効率化

投稿されたレビューに対しての返信を自動生成。EC運営の業務を効率化することで、事業者はより戦略的な業務に集中できるようになり、対応品質の向上による顧客満足度の向上やリピーターの増加が期待できるとしている。今後も生成AIを活用した、さらなるレビュー業務の効率化を実現する。

先行事例として、「EBISUMART」ユーザーである山善が運営するBtoB-ECサイト「山善ビズコム」で「ReviCo」を先行導入。ECサイト上でのレビュー投稿が約11倍に増加し、ユーザーの購買意欲を高めることに成功したという。

鳥栖 剛

2025年におせちを食べた人は77%。購入先で最も多いのは「ネットショップ」で45.1%

2ヶ月 3 週間 ago

千趣会がベルメゾン会員に実施した「おせちに関するアンケート」によると、2025年度におせちを食べたユーザーは77.0%で、購入先1位はネットショップだった。調査対象は全国のベルメゾン会員1236人、調査期間は5月26日~6月2日。

約5割がおせちを購入。購入先1位は「ネットショップ」

2025年度におせちを食べたか聞いたところ、77.0%が「食べた」と回答し、その内51.7%が「おせちを購入した」と答えた。購入先のトップは「ネットショップ」(45.1%)で、次いで「その他」(24.2%)「百貨店」(14.6%)だった。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート おせちを食べたか
2024-2025シーズンにおせちを食べたか(n=1236、出典:千趣会)
千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート おせちを購入したか
2024-2025シーズンにおせちを購入したか(n=952、出典:千趣会)
千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート おせちを購入した場所
おせちを購入した場所(n=492/複数回答可、出典:千趣会)

購入理由は「忙しくて準備をする時間がない」がトップ

おせちを購入した理由は、トップが「忙しくて準備をする時間がないから」(39.2%)で、次いで「気に入ったおせちがあったから」(37.4%)「購入した方がコスパがいいから」(31.1%)だった。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート おせちを購入した理由
おせちを購入した理由(n=492/複数回答可、出典:千趣会)

おせちを購入時に重要視する点は、「料理内容」(71.1%)がトップで、「美味しいかどうか」(58.3%)「価格」(56.5%)と続いた。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート おせち購入時に重要視する点
おせち購入時に重視するポイント(n=492/複数回答可、出典:千趣会)

購入した価格帯の最多は「1万円以上2万円未満」

購入した価格帯の最多は「1万円以上2万円未満」(48.8%)で、次いで「2万円以上3万円未満」(24.4%)「5000円以上1万円未満」(12.4%)だった。理想のおせちの価格についても聞いたところ、「1万円以上2万円未満」(50.4%)が最も多かった。

市販のおせちは、1万円未満の商品から3~5万円以上の高級おせちまで幅広く展開されているが、高級志向よりもコストと満足感のバランスを重視している傾向がある。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 購入したおせちの値段
購入したおせちの値段(n=492、出典:千趣会)
千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 理想のおせちの値段
理想のおせちの値段(n=492、出典:千趣会)

冷凍おせちの購入経験ありは34.7%。「満足した」は76.7%

冷凍おせちの購入経験を聞いたところ、34.7%が「購入したことがある」と回答した。購入した冷凍おせちへの満足度では、「満足した」と「おおむね満足した」を合わせた76.7%が「満足した」と答えた。その理由では「手軽で便利だった」(64.7%)が最多で、次いで「美味しかった」(50.2%)「価格と内容のバランスがよかった」(35.3%)だった。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 冷凍おせちの購入経験の有無
冷凍おせちを購入したことがあるか(n=1236、出典:千趣会)
千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 購入した冷凍おせちの満足度
購入した冷凍おせちに満足したか(n=429、出典:千趣会)
千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 冷凍おせちに満足した点
冷凍おせちのどのような点に満足したか(n=329/複数回答可、出典:千趣会)

冷凍おせちを購入したことがあるユーザー、購入したことがないユーザーに冷凍おせちへの印象を聞いた。その結果、購入経験のないユーザーの方が「上手に解凍できるか不安」「美味しくなさそう」「解凍が手間」といったネガティブな印象を持つユーザーが多かった。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 冷凍おせちの印象
冷凍おせちの印象(複数回答可、出典:千趣会)

おせちを食べた人数、「1~3人」と「4人以上」がほぼ半数ずつ

おせちを一緒に食べた人数を聞いたところ、「1~3人」が47.4%(1人、2人、3人の合計)、「4人以上」が52.5%(4人、5人、6人以上の合計)で、ほぼ半数となった。

親戚や家族が集まり大人数で食べるイメージが強かったが、近年では核家族化の進行などを背景に少人数で楽しむスタイルが定着しつつあることが伺える。千趣会は「1~2人前や少人数向けのサイズ展開が、おせち購入を検討する際の重要なポイントになっている」とコメントした。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート おせちを何人で食べたか
おせちを何人で食べたか(n=952、出典:千趣会)

「キャラクターおせち」の購入経験は7.7%

「キャラクターおせち」の購入経験を聞いたところ、7.7%が「ある」と回答した。購入した理由では、「子どもが喜ぶから」(46.3%)が最多で、次いで「自分が好きなキャラクターだったから」(42.1%)「子どもが好きなキャラクターだったから」(41.1%)だった。この結果から、大人もキャラクターおせちを楽しんでいる実態が明らかになった。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 「キャラクターおせち」の購入経験
「キャラクターおせち」を購入したことがあるか(n=1236、出典:千趣会)
千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 「キャラクターおせち」を購入した理由
「キャラクターおせち」を購入した理由(n=95/複数回答可、出典:千趣会)

「キャラクターおせち」未購入のユーザーに「キャラクターおせち」の印象を聞いたところ、最多は「価格が高くなりそう」(61.3%)で、次いで「子ども向け」(56.3%)「かわいい」(47.9%)だった。

千趣会 ベルメゾン おせちに関するアンケート 「キャラクターおせち」の印象
「キャラクターおせち」未購入ユーザーの「キャラクターおせち」への印象
(n=1141/複数回答可、出典:千趣会)
調査実施概要
  • 調査タイトル:「おせちに関するアンケート」
  • 調査方法:インターネット調査(ベルメゾンのコミュニケーションサイト「ベルメゾンデッセ」)
  • 調査期間:2025年5月26日~6月2日
  • 有効回答:1236人(全国のベルメゾン会員)
藤田遥

クレームが多い上位10業種、1位はECをはじめとする「無店舗小売業」。目立つ不満は「注文後に連絡が取れない」「返信が遅い」といった対応面

2ヶ月 3 週間 ago

アラームボックスが1万1230社を対象に調査した「2025年上半期 インターネット上で悪評・クレームが多い上位10業種」によると、悪評・クレームの投稿が最も多い業種は通販・EC事業が該当する「無店舗小売業」だった。不満は「注文後に連絡が取れない」「返信が遅い」「返品・交換がスムーズに進まない」といった“対応面”に関する内容が特に多いという。

2025年上半期にSNSなどのインターネット上で投稿された各企業に関連する口コミや評判のなかから、悪評・クレームを抽出し、取りまとめた。悪評・クレームが多い業種の順位は次の通り。

  • 1位:無店舗小売業(EC)
  • 2位:通信業(携帯キャリア、ネット回線サービス、プロバイダ代理販売店など)
  • 3位:各種商品小売業(EC/小売)
  • 4位:医療業
  • 5位:飲食店
  • 6位:宿泊業
  • 7位:放送業
  • 8位:その他の小売業(書店、ホビー販売店、スポーツ用品、化粧品、インテリア用品などのEC/小売)
  • 9位:飲食料品小売業(コンビニ、健康食品販売、食品スーパーなどのEC/小売)
  • 10位:持ち帰り・配達飲食サービス業
悪評・クレームの業種別ランキング
悪評・クレームの業種別ランキング

通販企業に多い不満は対応面

通販事業を主とする無店舗小売業の1社あたりの平均悪評・クレーム数は7.33件。配送の遅延、返品・交換対応の遅さ、問い合わせへの未返信など、対応面への不満が多く見られたという。「注文後に連絡が取れない」「返信が遅い」「返品・交換がスムーズに進まない」など、注文後の状況が把握できないことへの不安や不信感が、悪評・クレームとして投稿される傾向が強くなっているという。

商品に対する不満は、「傷や汚れ」「不良品」「説明と異なる素材やサイズ感」の指摘が多く、品質や表示への信頼を損ねる内容が多いとしている。

通販事業の悪評・クレームにおける頻出単語
通販事業の悪評・クレームにおける頻出単語

各種商品小売業で多いのは“接客対応”に関する悪評・クレーム

各種商品小売業では、1社あたりの平均悪評・クレーム数は4.63件だった。

実店舗に対しては「店員が高圧的だった」など、百貨店や総合スーパーの接客対応に関する悪評・クレーム、店員の態度や言動に対する不満が多く見られた。商品に関しては「包装が雑」「箱がつぶれていた」「思っていた品質ではなかった」といった声があがっており、特にギフト対応や百貨店ブランドに対する期待とのギャップが悪評・クレームにつながっているという。

実店舗とECの両方を運営する小売事業者も多い。ECサイトに対し「問い合わせに返答がない」「指定した配達日に届かない」といった、対応の煩雑さに関する指摘も複数確認されたという。

各種商品小売業の悪評・クレームにおける頻出単語
各種商品小売業の悪評・クレームにおける頻出単語

「その他の小売業」ではECと実店舗それぞれに特徴的なクレーム

書店、ホビー販売店、スポーツ用品、化粧品、インテリア用品などの小売店が主となる「その他の小売業」では、1社あたりの平均悪評・クレーム数は3.55件だった。ECと実店舗それぞれに特徴的なクレームが寄せられた。

ECでは「不良品が届いた」「商品の状態が記載と異なる」といった商品品質について、特に中古商品や化粧品など、商品の状態が重要となる商材に対しての不満が目立った。「梱包が簡素すぎる」「返品対応が遅い」といった、対応面への不満も確認された。

実店舗においては「説明があいまいだった」「態度が冷たい」といったスタッフの接客態度や商品知識に関する投稿が複数寄せられた。

アラームボックスは「専門店が多い業種であることから、商品への理解や丁寧な接客を期待する顧客との間にギャップが生じ、悪評・クレームにつながっている」と考察している。

その他の小売業の悪評・クレームにおける頻出単語
その他の小売業の悪評・クレームにおける頻出単語

飲食料品小売業では連絡・対応面への不満、接客態度に対する指摘が目立つ

飲食料品小売業1社あたりの平均悪評・クレーム数は3.45件で、ECと実店舗でクレームの内容に違いが見られた。EC系企業では「商品が写真と違う」「品質が悪い」といった商品面の不満に加え「発送連絡がない」「返品対応が遅い」といった、連絡・対応面への不満が多数寄せられた。

飲食料品小売業の悪評・クレームにおける頻出単語
飲食料品小売業の悪評・クレームにおける頻出単語

調査概要

  • 調査期間:2025年1月1日〜6月30日
  • 対象企業:アラームボックスでモニタリングしていた企業のうち1万1230社
  • 対象データ:インターネット上に投稿された口コミのうち、アラームボックスが「悪評・クレーム」と分類したもの
大嶋 喜子

I-ne、ヒットを再現する独自ブランドマネジメントシステム「IPTOS」にAIエージェントを実装。狙いは意思決定の質・速度アップ

2ヶ月 3 週間 ago

I-neは8月22日、企業のAI活用支援などを手がけるフィックスターズと、マーケティング領域における先進AI活用の共同研究契約を締結したと発表した。

I-neが独自運用するブランドマネジメントシステム「IPTOS(イプトス)」に、次世代AIエージェントを統合・実装。生成AIや量子アニーリング(量子力学の原理を利用して最適化を探索する手法)を含む先端計算技術を駆使し、リサーチ・構想・仮説検証といった「IPTOS」の初期工程を再構築する。

「IPTOS」は、KPI設置、成功・失敗の体験データ蓄積、迅速なPDCAサイクルの運用などが特長。市場にブランドを展開する際のリスク抑制、ヒットの再現性アップ、需要の予測精度アップなどにつなげてきた。

I-neの独自ブランドマネジメントシステム「IPTOS」(画像はI-neのIR資料から追加)
I-neの独自ブランドマネジメントシステム「IPTOS」(画像はI-neのIR資料から追加)

共同研究では、フィックスターズはI-neに次の技術や知見などを提供する。

  • ソフトウェア高速化技術
  • 計算リソースに対するアルゴリズムを最適化させるパフォーマンスエンジニアリングのノウハウ
  • 量子アニーリング技術の知見 
  • 最新のAIをローカル環境で活用するためのワークステーション「Fixstars AIStation」

共同研究にはフィックスターズの子会社であるFixstars Investmentの最高投資責任者(CIO)を務める奥田遼介氏がアドバイザーとして参画。グローバルなAI研究動向を踏まえた、技術戦略面での助言を受ける。

AIエージェントは、社内実務への段階的導入を経て、マーケティング戦略立案から商品開発初期プロセスまでを包括的に支援。人間の思考速度を凌駕(りょうが)するような意思決定の支援をめざすという。

「IPTOS」にAIエージェントを実装し、質と速度をアップさせる
「IPTOS」にAIエージェントを実装し、質と速度をアップさせる

将来的には、量子アニーリングを活用したマーケティング判断モデルの実用化を視野に入れており、実証と検証を並行して進めていく。

独自に構築してきた「IPTOS」に次世代AIエージェントを統合することで、質とスピードを兼ね備えた意思決定で、持続的な成長を実現する。AIを“共に考えるパートナー”としてマーケティングに組み込むこの共同研究は、その未来像を現実のものにする大きな一歩と考えている。(I-ne 大西社長)

大嶋 喜子

生成AI経由のトラフィックが激増、AIで変わる消費トレンド。滞在時間32%増、閲覧ページ数10%増、直帰率27%減、CVRには課題 | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

2ヶ月 3 週間 ago
消費者による生成AIの活用が進むなか、生成AI経由によるECサイトへの流入が大きく増え、ユーザーの購買行動にも変化が見られます。Adobeの調査結果をベースに、生成AIにEC市場にもたらしている影響を見ていきます

アナリストたちは、生成AI(人工知能)が消費者の購買習慣を変えており、ECサイト間の価格や購入オプションの比較検討に役立っていると見ています。生成AIによるECサイトへのトラフィック大幅増などがわかったAdobeの調査結果から、生成AIが小売EC市場に与えている影響を解説します。

オンラインショッピングで生成AIを用いる人が激増

Adobeが発表したデータによると、2025年の初頭から7月にかけて、消費者が自身の買い物をアシストしてもらうために生成AIを利用する傾向が高まっています

2025年7月は前年同期比4700%増

7月に計測した生成AIソースからの小売ECサイトへのトラフィックは、前年同期比で4700%増加しました。これは、以前にAdobeが発表した「Amazon『プライムデー』に関連してAIツールが米国の小売・ECサイトのアクセスを前年比3300%増加させた」という調査と同じ傾向です。

「プライムデー」開催期間中の1日あたりの平均訪問数の増加率 (「プライムデー」以前の21日間との比較。出典:Similarweb、チャート作成:Digital Commerce 360)
「プライムデー」開催期間中の1日あたりの平均訪問数の増加率 (「プライムデー」以前の21日間との比較。出典:Similarweb、チャート作成:Digital Commerce 360)

Adobeは、AIツールが消費者の情報収集をサポートしていると分析。アナリストたちは「AIツールは、消費者が商品を探したり、購入を検討しているときに、自分に最も合う小売EC事業者だけに絞ってECサイトにアクセスするのを手助けしている」と分析しています。

Adobeはこのインサイトを、米国の小売ECサイトへの1兆回以上のアクセスデータから取得。5000人以上の米国消費者を対象とした付帯調査の結果も考慮に入れています。Adobeによると、この付帯調査の結果が「消費者がオンラインショッピングにおいてAIをどのように活用しているか」について、より詳細な動向を示しているそうです。

生成AIがもたらす小売ECサイトへのトラフィック拡大

2024年のホリデーショッピングシーズン中、消費者がオンラインショッピングの際に生成AIを活用することを受け入れつつあることを、Adobeのデータは示しました。

Adobeは、ショッピングアシスタントとして機能する生成AI搭載のチャットボットが、小売ECサイトへのトラフィックを前年比で1300%増加させたことを確認。このデータは、Adobeが11月1日から12月31日までと定義するホリデーショッピングシーズン全体が対象です。 特にECサイトの大規模セールが行われた「サイバーマンデー」には、小売ECサイトへの生成AIトラフィックは前年比で1950%増加していました。

2025年は顕著に増加

Adobeは、新しいデータが、生成AIソースからの小売ECサイトへのトラフィックが「最近数か月で大幅に成長した」ことを示しており、7月には前年同期比で4700%増加したと見解を示しています。

生成AI経由のECサイトのトラフィック成長率(出典:Adobe Digital Insights, 2024年7月~2025年7月)
生成AI経由のECサイトのトラフィック成長率(出典:Adobe Digital Insights, 2024年7月~2025年7月)

2024年のホリデーショッピングシーズンの後、2025年の年明け後も成長率は堅調に推移しました。生成AI経由のトラフィックは、2024年7月と比較すると2025年1月に1100%増加し、2025年4月には同3100%増加しています。(Adobe)

なお、2024年7月よりも前は、生成AIトラフィックがECサイトのトラフィックのベースラインとして機能するには数値が少なすぎるそうです。

52%が2025年中に「生成AIを利用予定」

Adobeの調査データによると、消費者の38%がオンラインショッピングで生成AIを使用したことがあり、52%が2025年中に使用する予定です。

消費者がオンラインショッピングの際に生成AIを使用しているシーンは次の通りです。

  • 商品のリサーチ(回答者の53%)
  • 自分にお薦めの商品を探す(レコメンデーション)(40%)
  • お得な情報を探す(36%)
  • 買い物リストの作成(30%)
  • ギフトとして贈る物を探す(30%)
  • ユニークな商品を見つける(29%)
  • アパレル商品のバーチャル試着(26%)

生成AIトラフィックがECサイトに与える影響

エンゲージメントは10%増

Adobeのデータによると、生成AIからのトラフィックは、小売事業者のKPIにますます影響を与えています。 生成AIソースから小売ECサイトに流入した消費者は、AI以外のソースから到着した消費者と比較してエンゲージメントが10%高いことを示しました。

滞在時間32%増、閲覧ページ数10%増

具体的には、生成AIソースから小売ECサイトに流入した消費者、流入先の小売ECサイトをより多く回遊しており、他のユーザーよりもサイトに滞在する時間は32%長く、1訪問あたりの閲覧ページ数は10%多くなっています

直帰率+購入体験改善

さらに、彼らはすぐにサイトを離脱する可能性が低く、直帰率は27%と低くなっています。 Adobeの調査データによると、オンラインショッピングで生成AIを使用した人のうち、85%が「購入体験が改善された」と回答。さらに、73%が生成AIを商品をリサーチする際の主要な情報源としてあげています。その上、83%が「より高額、または煩雑な買い物をするときに生成AIを使用する可能性が高い」と回答しています。

生成AI経由はコンバージョン率に課題も、改善傾向

一方で、AI経由でサイトに流入したユーザーのコンバージョン率は、AI以外のきっかけで流入したユーザーのコンバージョン率と比べると遅れをとっています。しかし、Adobeは「その差が縮まっている」と指摘しています。

2025年7月の調査では、生成AIを通じて小売サイトを訪問した消費者は、コンバージョンする可能性が23%低いことがわかりました。しかしこの数値は、2025年1月の49%、2025年4月の38%から改善しています。

Adobe Digital Insightsのマネージャーであるヴィヴェク・パンディア氏は2025年の年初に、「このコンバージョンの差は、消費者が『購入ボタン』を押す準備をする前の、リサーチと検討の段階でAIが利用されていることを裏付けています」と説明しています。

AI流入と非AI流入のコンバージョン率の差が縮まっていることは、消費者がAIを活用してからすぐオンライン上で買い物を完了することにますます抵抗がなくなっていることを示しています。(パンディア氏)

その結果、Adobeによると、生成AIがもたらしたトラフィックの訪問あたりの収益(Revenue Per Visit)は、ここ数か月で成長しています。Adobeのデータによると、2025年1月から2025年7月にかけて84%増加しました。

Adobeは衝動買いが増える可能性を指摘

Adobeは、より多くの消費者がモバイルデバイスで生成AIツールを使用するにつれて、訪問あたりの収益が増加すると予想しています。Adobeは、モバイルデバイスでは「衝動買いが増える傾向がある」と説明。

2025年7月、生成AIソースからのトラフィックの26%がモバイルデバイス経由であり、残りはデスクトップ経由でした。これは1月の18%と比較して増加しています。

生成AIが商品の検索方法を変革

「Google Zero」がもたらす参照トラフィックの変化

ECの利用者が欲しい商品や好みの小売EC事業者を見つける方法をオンライン上で変えるにつれて、小売・ECを含むWebサイト運営者は、EC市場にとって「Google Zero」――すなわち、Googleの検索エンジンに頼らず、商品リストやWebページへのオーガニックな参照トラフィックをAIによって獲得できるようになった事象が何を意味するのか、理解を深めています。

AI経由の流入拡大に取り組む米国小売事例

米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』は「バッテリー商品の通販を運営するBatteries Plusの最高執行責任者であるジョン・シカ氏が、Batteries PlusがAIツールからの流入を増やすためにいくつかの方法を採っている」と報じました。

シカ氏は、Batteries PlusではAI経由のトラフィックを増やすために社内で情報を整理していると説明。AIが生成した自社に関連する結果や商品を見かけた際、それがどの情報源に基づいているのかを調べて原因を特定しているそうです。「多くの場合、参照元が明記されているため特定できます」(シカ氏)

シカ氏によると、現在、Batteries Plusのトラフィックの約1%はソースがAIです。シカ氏のチームは、Batteries Plusについて言及するAIの回答について、AIの回答の引用元となっている情報源を細かく確認することで、AIがBatteries Plusに言及する機会を増やすための施策を講じることができています。

Batteries PlusのECサイトトップページ(画像はサイトから追加)
Batteries PlusのECサイトトップページ(画像はサイトから追加)

大規模言語モデル(LLM)、その他の生成AI技術など、AIツールが台頭したことは、消費者がECサイト間で価格を比較し、利用可能なオプションを評価する際の選択肢が増えたことを意味します。また、Googleなどの検索エンジンが、検索結果を表示する際にAIの要約結果を優先する場合、その下に表示されるECサイトへのリンクをクリックする消費者が減ることも意味します。 

「AI Overviews」のイメージ。要約が表示されると、ECサイトへのリンクが減少する傾向が見られる
「AI Overviews」のイメージ。要約が表示されると、ECサイトへのリンクが減少する傾向が見られる

従来の検索エンジンは、現在、移り変わっていく消費者行動に対応するために変化しています。年齢層が若い消費者は、ソーシャルメディアや生成AIプラットフォームを使用してWeb検索を開始する傾向が強まっています。

一方、AI検索は、Google、Amazon、ChatGPT、Perplexityといった主要プレーヤーが、消費者の買い物をサポートする「エージェントコマース」の計画を策定するきっかけとなっています。

エージェントコマースとは、AIを活用し、ECの購買体験を向上させる仕組みです。AIが自律的に意思決定とアクションを実行するショッピングを指します。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

【2024年のBtoB-EC市場】法人向け市場規模は514兆で10.6%増。EC化率は43.1%に

2ヶ月 3 週間 ago

経済産業省が8月26日に発表した「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2024年のBtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模は前年比10.6%増の514兆4069億円で、EC化率は43.1%で同3.1ポイント増だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 2024年のBtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模
BtoB-EC市場規模の推移

BtoB-EC市場規模の業種別内訳を見ると、市場規模が最も大きいのは「卸売」で128兆8684億円(前年比6.3%増)。「輸送用機械」が83兆3263億円(同13.3%増)、「電気・情報関連機器」が50兆4055億円(11.7%増)「繊維・日用品・化学」が49兆7193億円(同10.1%増)で続いた。

「その他」を除いた前年比の伸び率では、「運輸」が前年比20.1%増。「建設・不動産業」が同18.2%増、「食品」が同17.0%増で続いている。

EC化率で見ると、最も大きいのは「輸送用機械」の88.6%。「食品」が81.3%、「電気・情報関連機器」が76.6%だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 2024年のBtoB-EC(企業間電子商取引)の市場規模
BtoB-EC市場規模の業種別内訳
鳥栖 剛

【2024年のBtoC-EC】市場規模は26.1兆円で5.1%増。物販系は15.2兆円で3.7%増、EC化率は9.78%

2ヶ月 3 週間 ago

経済産業省が8月26日に発表した「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2024年のBtoC-EC市場規模は26兆1225億円で前年比5.1%増だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 2024年のBtoC-EC市場規模は26兆1225億円で前年比5.1%増
BtoC-EC市場規模の経年推移(単位は億円)

内訳を見ると、物販系分野は15兆2194億円で同3.7%増、EC化率は9.78%だった。サービス系分野は8兆2256億円で同9.43%増、デジタル系分野は2兆6776億円で1.02%増だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野は15兆2194億円で同3.7%増、EC化率は9.78%だった。サービス系分野は8兆2256億円で同9.43%増、デジタル系分野は2兆6776億円で1.02%増
物販系分野のBtoC-EC市場規模及びEC化率の経年推移(単位は億円)
経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野は15兆2194億円で同3.7%増、EC化率は9.78%だった。サービス系分野は8兆2256億円で同9.43%増、デジタル系分野は2兆6776億円で1.02%増
サービス系、デジタル系分野のBtoC-EC市場規模の経年推移(単位は億円)

スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模とスマートフォン比率に関する推移も調査した。スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模は9兆3904億円で同8.96%増。物販BtoC-EC市場規模に占めるスマートフォン比率は61.7%だった。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」
スマートフォン経由の物販のBtoC-EC市場規模の推移

物販系分野における商品ジャンルごとのBtoC-EC市場規模では、「書籍、映像・音楽ソフト」以外の全ジャンルで2023年の市場規模を上回った。市場規模が大きいのは「食品、飲料、酒類」「衣類・服装雑貨等」「生活家電、AV機器、PC、周辺機器等」「生活雑貨、家具、インテリア」「書籍、映像・音楽ソフト」。このうち4カテゴリでそれぞれ2兆円を突破、4カテゴリ合計で物販系分野の約74%を占めている。

経済産業省「令和6年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」 物販系分野における商品ジャンルごとのBtoC-EC市場規模
物販系分野における商品ジャンルごとのBtoC-EC市場規模
鳥栖 剛

アイスタイルの成長戦略は? 2026年6月期は830億円の売上目標。サプリメントやフェムテック領域にも進出

2ヶ月 3 週間 ago

アイスタイルは2026年6月期に売上高を前期比20.7%増の830億円、営業利益は同20.1%増の38億円、経常利益は同14.8%増の38億円、当期純利益は同13.9%増の26億5000万円を目標に掲げている。

中長期成長の基盤形成を進めるため、次の4点を注力事項として掲げた。

  1. ユーザーアクションを増やす
  2. ユーザーアクションの場を広げる
  3. ユーザーアクションを価値化する
  4. 現在の化粧品領域から、より幅広いBEAUTY領域に広げる

ユーザーアクションの増加は、MAU(マンスリーアクティブユーザー)は外部要因で増減するものの、事業成長の源泉となるユーザーアクション数はプラットフォームの成長と共に順調に拡大しているという。

アイスタイルの成長戦略は? 2026年6月期は830億円の売上目標。サプリメントやフェムテック領域にも進出
ユーザーアクション総数の月次推移(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ユーザーアクションの拡大は、ユーザーとブランド間のユーザーアクションを増やすために、イベント、AIエージェント、SNSなど「@cosme」外での接点拡大を図る。

アイスタイルの成長戦略は? 2026年6月期は830億円の売上目標。サプリメントやフェムテック領域にも進出
イベント・AIエージェント・SNSなど@cosme外での接点拡大を図る(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

ユーザーアクションの価値化は、ユーザーアクションによって得られたデータからインサイトを導き、データコンサルティングの確立など収益機会につなげる。

アイスタイルの成長戦略は? 2026年6月期は830億円の売上目標。サプリメントやフェムテック領域にも進出
データからインサイトを導き収益機会につなげる(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

BEAUTY領域の拡大は、中長期でウェルビーイング領域(サプリメント・健康食品)、エイジングケア・フェムテックなどにも進出、新しい可能性を模索する。サプリメントでは7月1日からインナーケアブランド「@cosme+」をローンチしている。

アイスタイルの成長戦略は? 2026年6月期は830億円の売上目標。サプリメントやフェムテック領域にも進出
サプリメントやフェムテックにも進出する(画像はIR資料から編集部がキャプチャ)

アイスタイルの2025年6月期業績は売上高が前期比22.6%増の687億6800万円。営業利益は同63.1%増の31億6400万円、経常利益は同92.3%増の33億1000万円、当期純利益は同91.6%増の23億2700万円だった。マーケティング支援やリテールなどの国内事業が増収・増益を牽引したという。

鳥栖 剛

「楽天市場」による防災の意識とグッズの調査。4割超が意識の高まりを実感、人気グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」

2ヶ月 3 週間 ago

楽天グループが「楽天市場」を使う10代から70代までの男女1200人を対象に実施した「防災意識と防災グッズに関するアンケート調査」によると、4割以上が「防災意識が年々向上している」と答えた。2024年以降の人気防災グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」だった。

備蓄品を日常的に消費しながら補充していく「ローリングストック」を実践している割合は3割以上。そのほか、日常と非常時の区別なく使えるものや考え方を指す「フェーズフリー」は約7割が知らない一方で、半数近くが「防災グッズに取り入れたい」と回答した。

防災意識の変遷

「防災意識は年々向上していると感じますか?」という問いに対し、「変わらない」と回答した割合は41.6%。一方で、「向上した」「どちらかといえば向上した」と答えた割合は42.9%だった。

「楽天市場」による防災の意識とグッズの調査。4割超が意識の高まりを実感、人気グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」
約4割強が防災意識が向上していると回答

2024年以降に購入した防災グッズ

「水」「非常食」「モバイルバッテリー・乾電池」「マスク・ウェットティッシュ」「非常用トイレ」が上位にあがった。

「楽天市場」による防災の意識とグッズの調査。4割超が意識の高まりを実感、人気グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」
「水」「非常食」「モバイルバッテリー・乾電池」が上位に

購入時に意識することは、価格やコストパフォーマンスよりも「長期保存が可能か(食料、水、電池など)」「必要なものが一通り揃っているか」「日常使いもできるか」がトップ3だった。

「楽天市場」による防災の意識とグッズの調査。4割超が意識の高まりを実感、人気グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」
価格やコストパフォーマンスよりも「長期保存が可能か」などが上位に

「ローリングストック」の認知

備蓄品を日常的に消費しながら補充していく「ローリングストック」について聞いたところ、34.2%が「知っていて実践している」または「知らないが実践している」と回答した。一方で、「知らない」と回答した割合は39.2%、「知っているが実践していない」は全体の26.7%だった。

また、期限が近くなった非常食の使い道を聞いたところ、「そのまま消費する」という回答が最も多く、無意識に「ローリングストック」を実践していることがわかった。「フードバンクに寄付する」といった回答も見られ、食品ロス削減や社会貢献への意識が芽生えつつあることも示唆された。

「楽天市場」による防災の意識とグッズの調査。4割超が意識の高まりを実感、人気グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」
「ローリングストック」は34.2%が実践

「フェーズフリー」の認知

日常と非常時の区別なく使えるものや考え方を指す「フェーズフリー」についても聞いたところ、全体の67.2%が「知らない」と回答。実践している割合(「知っていて実践している」「知らないが実践している」の合計)は23.2%。 「非常時だけでなく日常使いと併用できる防災グッズがあったら購入したいか」という問いに対しては、46.0%が「購入したい」と回答しており、防災専門ではなく日常生活でも使える防災グッズの需要が高いことがわかった。

「楽天市場」による防災の意識とグッズの調査。4割超が意識の高まりを実感、人気グッズ上位は「水」「非常食」「モバイルバッテリー」
「フェーズフリー」は全体の67.2%が「知らない」と回答

楽天グループでは同調査の結果から、防災意識の着実な高まりとともに、従来の「災害時のみの備え」から、「日常生活の中で取り入れる防災」「持続可能な防災」へと意識が変化していることが明らかになったとしている。特に「フェーズフリー」への潜在的なニーズは高いとし、「楽天市場」の防災グッズ特集ページ「備えて安心!防災グッズ」においても関連商品を掲載している。

調査概要

  • 調査対象: 全国15歳~80歳の男女1200人
  • 調査期間: 2025年8月1日(金)
  • 調査方法: インターネット調査
  • 調査機関: 楽天グループ
  • 調査実施機関: 「Freeasy」
鳥栖 剛

「JALふるさと納税」にリテールメディアを導入+検索機能を拡充で利便性向上を実現

2ヶ月 3 週間 ago

日本航空(JAL)グループのJALUXは8月21日、「JALふるさと納税」ポータルサイトにリテールメディア機能を実装したと発表した。

検索連動型広告表示や画像付きサジェスト、ランキング機能のほか、比較機能やホットワードの自動表示、返礼品特性による絞り込みといった機能を実装した。「JALふるさと納税」を利用するユーザーの利便性を向上し、1人ひとりにパーソナライズされた返礼品を提案。効率的かつ高精度な、自治体と寄付者の出会いを創出するとしている。

ふるさと納税制度は、返礼品数の増加で、寄付者の興味に沿った返礼品の発見が難しいという声がある。そこで「JALふるさと納税」は、ユーザーの興味関心に応じた地域や産品との新たな出会いを創出するため機能を拡充した。

「JALふるさと納税」にリテールメディアを導入+検索機能を拡充で利便性向上を実現
検索連動型広告表示と画像付きサジェストの画面サンプル

こうした機能拡充は、マーケティングソリューションを開発・提供するジーニーが提供するリテールメディア「GENIEE RMP」と「GENIEE SEARCH」の導入で実現した。

「GENIEE RMP」は、小売・EC事業者が持つECサイトを手軽に広告メニュー化し、販売するアドプラットフォーム。消費者の購買・行動データを活用したより効果的な広告メニューの構築や、誰でも使いこなしやすい管理画面の提供で、最短3分、4ステップで簡易な広告出稿・管理を実現するという。

「GENIEE SEARCH」は、ECサイト・企業サイト向けのサイト内検索ツール。検索されたキーワードはシステム内で集計・分析し、検索結果の改善に活用できる。

JALグループでは、「ふるさと割」や「JALふるさとプロジェクト」などを通じ、自治体や地域の発展、経済活動の活性化に取り組んでいる。その一環として、2020年11月に「JALふるさと納税」を立ち上げた。現在全国727自治体(8月1日時点)が参画している。

鳥栖 剛

アマゾンのID決済「Amazon Pay」の支払いに「メルぺイ」を追加

2ヶ月 3 週間 ago

アマゾンジャパンは、AmazonのID決済サービス「Amazon Pay」の支払い方法に、フリマアプリ「メルカリ」内のスマホ決済サービス「メルペイ」のネット決済を追加した。

「Amazon Pay」は「Amazon.co.jp」以外の10万サイト以上が導入しているID決済サービス。Amazonアカウントに保存している住所や支払い情報を使い、自社ECサイトで商品やサービスの支払いができる。

クレジットカード、デビットカード・プリペイドカード、Amazonギフトカード、あと払い、パートナーポイントといったこれまでの「Amazon Pay」の支払い方法に、「メルペイ」を追加した。「メルペイ」のネット決済(メルペイ残高・ポイント、メルペイのあと払い)で支払いができるようになる。

なお、「Amazon Pay」にコード決済サービス事業者が提供するサービスを導入するのは「メルペイ」が初という。

鳥栖 剛

「眼鏡市場」のメガネトップ、ECサイトとブランドサイトを統合するリニューアルを実施

2ヶ月 3 週間 ago

メガネトップはこのほど、「眼鏡市場」のECサイトとブランドサイトを統合するリニューアルを実施した。ユーザーがスムーズに情報収集から購入まで進め、利便性を向上させた。

統合リニューアルにはecbeingが提供するEC構築プラットフォーム「ecbeing」を採用。メガネという度数やレンズの組み合わせパターンが多種多様な商材をユーザーがより快適で安全に購入できるような買い物環境を実現するために、フルカスタマイズできる「ecbeing」を活用した。

店舗で購入した度数情報をECでも利用可能に

リニューアルにより、「眼鏡市場」店舗でメガネを購入したことがあるユーザーは、初回ログイン時に「店舗のご利用がある方」を選び、「お客様No.」と氏名、生年月日または電話番号を入力してから会員登録すると、店舗で購入した時の度数情報を自動でECに反映する。

初めてECサイトで購入する場合は、最初に度数情報を登録すると、2回目以降はマイページに情報を保持。これにより、より便利に「いつもの度数」でオンライン購入が可能になる。

メガネトップはこのほど、「眼鏡市場」のECサイトとブランドサイトを統合するリニューアルを実施
店舗で購入したときの度数情報が自動でオンラインショップにも反映される

さまざまなパターンのフレームとレンズの組み合わせの価格を比較しながら検討できる「あとで買う」機能

メガネの購入には、フレーム、レンズをそれぞれ選ぶ必要があり、その組み合わせによって価格が変動する。そこで、予算を考慮しながらさまざまな組み合わせのメガネを比較検討したいというユーザーに向け、「あとで買う」機能を実装。ユーザーが選択したフレームと度数やレンズの情報をカート画面でキープでき、さまざまなパターンのフレームとレンズの組み合わせ価格を比較検討しながら買い物できるようにした。

メガネトップはこのほど、「眼鏡市場」のECサイトとブランドサイトを統合するリニューアルを実施
カート内の「あとで買う」機能

「雰囲気がわかりにくい」を解決する機能を実装

また、ECサイトでメガネを購入する際、「実際にメガネをかけたときの雰囲気が分かりにくい」という課題もある。カラーレンズの場合は「レンズを通して見える景色の色味や雰囲気をイメージしにくい」といった声もあるという。リニューアルでは、カラーレンズのメガネをかけたモデルの写真、カラーレンズを通して見える景色を確認できる機能を実装した。

メガネトップはこのほど、「眼鏡市場」のECサイトとブランドサイトを統合するリニューアルを実施
レンズ選択画面

リアル店舗での体験価値の最大化を追求する一方で、オンライン上の購買体験には長らく課題を感じていた。また、ブランドサイトとECサイトを別々に運用することで、業務負荷の増大やコスト管理の煩雑さといった問題も抱えていた。今後も、システム・デザインの両面でアップデートを重ね、より見やすく、使いやすいサイトをめざすとともに、眼鏡市場ならではの商品やサービスの魅力を、オンラインを通じてさらに多くのお客さまへお届けできるよう努めていく。(眼鏡市場 担当者)

近年、ファッション系企業を中心にブランドサイトとECサイトを統合する動きが広がっている。ブランドに関する情報発信とショッピング機能の提供を一体的に行うことで、買い物体験の向上を図っている。

鳥栖 剛

理解とCVRを劇的に引き上げるスワイプ型LP、知ってますか? LPは読む時代へのWebマーケティング新常識

2ヶ月 3 週間 ago
スワイプをLPに活用するのは「スワイプ型LP」と言われ、画面が1ステップごとに区切り、各情報が1画面に収まる設計になっているのが特長です。そのため、ユーザーは“読み飛ばす”ことができず、情報を順番通りに受け取る構造になっています。

「スワイプ型LP」という言葉を、ECを手がける読者の皆さんは聞いたことがありますか? 広告業界がテレビや紙媒体からインターネットへと本格シフトして久しい今、CPA(顧客獲得単価)を下げる施策は、どの広告主にとっても最優先の課題になっています。にもかかわらず、コンバージョンに直結するランディングページ(LP)はなぜか、いまだ“縦スクロール型”が常識として使い続けられているのです。それはなぜか? それを今のスマートフォンユーザーに求められるUI・UXを提供する方法はあるのか? 解説します。

スマホ時代に残されたPC時代の負の遺産

インターネットの主戦場がPCからスマホに移り変わるなかで、縦スクロール型のLPは「PC時代の負の遺産」とも言える存在になっている――と、筆者は感じています。

かつてPCが主流だった時代には、マウスでじっくりと読み進めるという行動が一般的。また、「商品を実際に手に取って確認できない」というECの特性上、商品説明などで”じっくりと説明する”――といった運営側の対応により、縦スクロール型のECサイトのページが普及、縦長LPもその流れを受けてEC事業者に利用されるようになりました。

しかし、スマホでは“スクロール”という行為が直感的に行えるようになり、情報が「読み飛ばされる」ことが当たり前になっていきました。その代替策として普及していったのが、スワイプ型のページ作りです。

縦スクロール型LPのイメージ

ユーザー行動に合わせて進化したUIがスワイプ型LPという新しい選択肢、一方で取り残されたLP

この変化へ対応するように、InstagramやTikTok、楽天市場、Amazonといったサービスでは、ユーザーが自然と「止まりながら読み進める」ことができるUI──すなわち「スワイプ」が主流。そのサービスを利用するユーザーにとって、スワイプで確認するという行為は日常行為となっています。

こうした変化に追いついていないのが、LPの世界。いまだに広告などから誘導されたLPは縦スクロール型のまま。動画を入れたり、UGCを追加したり、アニメーションを駆使したりと、「どうにかして止まってもらおう」と工夫を凝らす一方で、UIそのものを変える発想があまり広まっていませんでした。

スワイプ型を採用する大手ECモールなど

読ませる構造としてのスワイプ型LP

このようにUI・UXが変わるなか、スワイプをLPに活用する企業が出てきました。

スワイプをLPに活用するのは「スワイプ型LP」と言われ、画面が1ステップごとに区切り、各情報が1画面に収まる設計になっているのが特長です。そのため、ユーザーは“読み飛ばす”ことができず、情報を順番通りに受け取る構造になっています。

雑誌のように気になる部分だけ拾い読みするスクロール型LPに対して、スワイプ型は漫画や電子書籍のように「順序に従って読む」という体験をすることになります。

スワイプ型LP

縦スクロール型では「最後までざっと見てから戻って読み直す」という行動がよく見られますが、スワイプ型LPでは前のステップに戻るユーザーが10%未満というデータがあります。これは、スワイプ型が“読み飛ばし”を防ぎ、読み進める体験を設計として実現できていることを示しています。

CVRが上がる?──誤解とその本質

当初、スワイプ型LPは「読まれるからCVRが上がる!」と過剰に期待されることがありました。しかし、本質はそこではありません。スワイプ型LPはユーザーに順を追って理解を促すシナリオ設計が求められ、その内容がCVRに影響するというのが浸透していったのです。

実際、良いシナリオ構成のスワイプ型LPは縦スクロール型以上に高いCVRを記録し、一方で伝わりにくい・順序の悪いシナリオは、CVRが下がるという現象も確認されています。

女性用下着メーカーのLPでは、訴求内容を変えず、スワイプ型LPで前後のつながりを作ったことで最終ステップ到達率が従前比で10ポイント向上、CVRは1.3倍に。大手化粧品メーカーのLPも同様に訴求内容を変えず、構成の見直しにより最終ステップ到達率が改善、CVRが2.5倍以上にアップしました。

スクロール型LPとスワイプ型LP

LP改善は、いま本質的な転換期にある

広告運用におけるテストは、バナーやクリエイティブなど「入口部分」の調整ばかりで、最終的な成果を左右するLPそのものは後回しにされがちです。その背景には、LP改修にかかるコストやリソースの問題、そして何より「良し悪し」がヒートマップなど定性的な指標でしか把握できない、という根本的な課題があるからです。

スワイプ型LPは、その課題を解決できる可能性があります。

画面ごとの到達率、滞在時間、離脱率、CTAクリック率などを定量的に取得でき、ユーザーの反応をステップ単位で可視化・評価することが可能。これにより、構成全体を俯瞰しながら「必要なところだけを改修する」という、効率的かつ本質的な改善アプローチが実現できるのです。

購入ステップごとの各種数値の例

さらに、ユーザーのニーズが多様化している今、1本のLPで“全体最適”をめざす時代は終わりを迎えつつあります。これからは、ユーザーセグメントごとに複数のLPを展開し、それぞれの行動に合わせて柔軟にコンテンツを最適化していくことが求められます。

スワイプ型LPは、まさにその実現に最適な仕組みと言えます。定量データに基づいて、柔軟かつスピーディに改善が可能であり、従来よりも少ないコストとリソースで、効果的なLPOを実行できます。つまり、スワイプ型LPは「今の時代にこそ求められる、変化対応力の高いLP設計」と言えるのです。

UIではなく、マーケティングの思想そのもの

スワイプ型LPは、今のスマホ時代にあわせて登場した“進化系UI”であり、単なるUIの違いにとどまりません。むしろその本質は、「ユーザーがどう判断し、どう行動するのか」というマーケティングの根本的な思想に問いを投げかける存在です。

私たちが信じてきた「良いクリエイティブ」や「最適な構成」は、果たして本当に“ユーザーの反応”を捉えてきたのでしょうか?

スワイプ型LPは、その問いに対して、新しい測り方と考え方を提示してくれます。

◇◇◇

次回後編では、ユーザーの意思決定を支配する“システム1とシステム2”の視点から、スワイプ型LPがどのように「心が動いた瞬間」を定量化し、マーケティングの分析手法そのものを進化させていくのかを掘り下げていきます。

島川将

ミスミグループのECサイト、問い合わせ対応に生成AI活用のチャットボットを導入。回答時間97%削減

2ヶ月 3 週間 ago

ミスミグループ本社は8月26日、ECサイト「MISUMI」での問い合わせ対応に生成AIを活用したチャットボットを本格導入した。

チャットボットは3000万点以上の膨大な商品に関する仕様確認・商品選定相談といった技術サポート、注文ごとにキャンセル・変更・返品の可否を判定するカスタマーサービスの2つの機能を持つ。 24時間利用でき、回答までの待ち時間は従来のオペレーター対応と比べて、平均97~98%削減。ユーザーが必要な情報を迅速かつスムーズに得られる体験を提供する。

ミスミグループ本社は8月26日、ECサイト「MISUMI」での問い合わせ対応に生成AIを活用したチャットボットを本格導入
ミスミのAIチャットボットの仕組み

技術サポートでのAIチャットボット活用

ミスミの商品点数は他社ブランドも含めて3000万点以上。扱う部品は自動化装置や設備に組み込まれるため、1つでも納期に間に合わなければ生産工程に大きな影響を与えてしまうという。部品調達プロセスでは、選定や購買業務も専門性が求められるため、商品問い合わせが欠かせず、その件数は、技術サポート関係だけで年間約10万件にのぼる。

電話、メール、問い合わせフォームから質問を受けてオペレーターが対応していたが、回答まで平均1時間を要していたという。そのため、ユーザーにとって煩雑で待ち時間が多く、バリューチェーンにおける生産性低下の一因になっていた。待ち時間が発生する要因には、質問を受けるミスミ側のオペレーターの対応時間や対応人数の制約があり、ユーザーからは「毎回の問い合わせが面倒」「営業時間外でも問い合わせしたい」「一般のWeb検索で商品情報を収集しようにも、情報量が多すぎる」といった不満の声があがっていた。

既存のFAQでは全ての商品仕様などに関する質問に対応できなかったことから、AIチャットボットによる技術サポートに関する問い合わせ対応を2024年11月に先行導入した。

AIチャットボットには、ミスミが保有する商品データベースを活用。ユーザーがチャットで質問すると、情報収集AIがオペレーターに代わり、社内の商品データベース(過去問い合わせ、製品情報、仕様情報、カタログなど)に必要な情報を探しに行き特定。収集した情報から生成AIが回答を返す。平均回答スピード40秒と98%の削減につながった。

カスタマーサービスでのAIチャットボット活用

カスタマーサービスに関する問い合わせへのAIチャットボットは8月26日に本格導入した。

商品注文後のキャンセル・変更・返品は、商品や注文ステータスに応じた条件があり、これまでは一律の顧客対応が難しかった。また、電話での問い合わせでは、オペレーターが個別に状況を確認して回答することに加え電話がつながりにくい時間も発生。対応完了までの平均時間は321秒かかっていた。

AIチャットボットでは、受けた質問からキャンセル・変更などができるかどうか判定し、操作方法を案内。改善効果として平均回答スピード10秒で97%の削減につながった。

今後は、対応領域を拡大し、納期や出荷・配送状況についても回答できるようにするほか、チャット上での処理完結などサービスの拡充を進めていくという。

鳥栖 剛

eBay Japan、社会貢献活動「MOVE」の一環で一般社団法人I&Othersと連携

2ヶ月 3 週間 ago

ECモール「Qoo10」を運営するeBay Japanは8月22日、一般社団法人I&Others(アイ・アンド・アザーズ)と連携し、社会貢献活動を実施すると発表した。

2025年7月に設立された一般社団法人「I&Others」
2025年7月に設立した一般社団法人「I&Others」

eBay Japanはこれまで、I&Othersの前身である一般社団法人若草プロジェクトの支援を通じて、若年女性の支援を手がけてきた。若草プロジェクトがこのほど、事業分割で新たにI&Othersを設立。eBay JapanはI&Othersとの連携を決めた。

I&Othersの支援対象は、若年女性や女性だけでなく、子どもや若者、高齢者など。eBay Japanは「一過性の支援ではなく、継続的に伴走するパートナーとして、4年目の支援を継続し『お互いが支えあえる社会の実現』をめざして応援の循環を広める」という。

eBay Japanの社会貢献活動/h3>

eBay Japanは、「Qoo10」を母体とするファッションECモール「MOVE by Qoo10」のローンチにあわせて、2022年からさまざまな社会課題の解決を進めるプロジェクト「MOVE」を始動した。

衣料品支援はのべ95施設に合計1400種類以上を寄贈、3年間で総額900万円の寄付を実施してきた。このほか、高校生・学生対象のEC体験イベントの実施、寄付講座の機会提供、女性の意識や体験に関する共同調査などを実施。支援の現場と企業を結ぶ社会貢献モデルを構築してきた。

一般社団法人I&Othersの事業概要

賛同する企業・団体と共に「社会の中に大きな応援団」を立ち上げ、その趣旨と活動を発信。企業・団体・個人が連携し、それぞれの強みを生かして支援活動を展開できるネットワークと基盤づくりに取り組む。

また、若者・女性向け支援プラットフォームの運営や、関係機関との連携による女性支援に関する研修などを手がける。

大嶋 喜子

yutori、韓国人気ブランド「SATUR」の日本直販ECサイトを9/1から運用開始

2ヶ月 3 週間 ago

東証グロース上場企業でアパレルやコスメのECを手がけるyutoriは、販売特約店契約を締結している韓国ブランド「SATUR(セター)」の日本公式ECサイト運用を9月1日から開始すると発表した。

9月1日から運用を見込む「SATUR」日本公式ECサイト(画像は編集部が追加)
9月1日から運用を見込む「SATUR」日本公式ECサイト(画像は編集部が追加)

消費者はこれまで入手困難だった「SATUR」のアイテムを日本国内で手軽に購入できるようになる。取扱カテゴリーはアウター、トップス、デニム、アウター、アクセサリーなど。今後は韓国で展開している最新コレクション、日本限定アイテムの展開、特別キャンペーンの実施を予定している。

「SATUR」で展開するアイテムのイメージ
「SATUR」で展開するアイテムのイメージ

「SATUR」は韓国企業のRECIPE GROUPが2020年に立ち上げたブランド。ブランド名は「土曜日」に由来し、土曜日のリラックスした穏やかな感性を表現するスタイルを意識しているという。

「Happy Saturday to you」というスローガンを掲げる「SATUR」
「Happy Saturday to you」というスローガンを掲げる「SATUR」

yutoriは2025年6月、伊藤忠商事を通じて「SATUR」の日本市場における販売特約店契約を締結したことを発表。これまで、ストリートファッションを中心にインフルエンサーを活用したマーケティング手法で事業を推進してきたが、ECでさらなる事業拡大をめざす。

9月1日から開始する直販ECサイトの運営に加え、2025年中に東京で旗艦店の開店を見込んでいる。

大嶋 喜子

ロイヤルティプログラムをよく利用する理由、最多は「ポイントが貯まりやすいから」【ロイヤルティプログラムに関する調査】

2ヶ月 3 週間 ago

ZETAが実施した「ロイヤルティプログラム」に関するアンケート調査によると、ロイヤルティプログラムの利用理由トップは、全世代で「ポイントが貯まりやすいから」だった。調査対象は日本全国の20~59歳の男女500人、調査時期は2025年7月。

ロイヤルティプログラムの魅力、「現金や電子マネーに換金できるポイント」が最多

ロイヤルティプログラムについて魅力に感じている点を聞いたところ、最多は「現金や電子マネーに換金できるポイント」で、次いで「限定割引やクーポン」「会員ランクアップやステータス制度」だった。ロイヤルティプログラムに対して「お得さ」が魅力だと感じているユーザーが多い。

ZETA ロイヤルティプログラムに関するアンケート調査 魅力に感じている点
ロイヤルティプログラムで魅力に感じている点(n=500/3つまで選択可、出典:ZETA)

最も利用頻度が高いジャンルは「ドラッグストア」

最も頻繁に利用しているロイヤルティプログラムの商品・サービスについては、「ドラッグストア」(23.4%)が最多で、次いで「スーパー」(19.0%)「予約サイト」(14.2%)だった。

日常生活に密着した業態に加え、嗜好性の高い分野も上位に入っていることから、ロイヤルティプログラムが「お得さ」だけではなく、「ブランドを選ぶ理由」としても浸透しているようだ。

ZETA ロイヤルティプログラムに関するアンケート調査 最も頻繁に利用しているロイヤルティプログラムの商品・サービス
最も頻繁に利用しているロイヤルティプログラムの商品・サービス(n=500、出典:ZETA)

利用する理由、全年代で「ポイントが貯まりやすい」がトップ

特定のロイヤルティプログラムを月1回以上利用するユーザーに、よく利用している理由を聞いたところ、全年代で「ポイントが貯まりやすいから」がトップだった。

20代はお得感に加えて、待遇、愛着といった感情的価値も重視する一方で、50代は実利的なお得感を重視する傾向が見られた。

ZETA ロイヤルティプログラムに関するアンケート調査 ロイヤルティプログラムをよく利用している理由
ロイヤルティプログラムをよく利用している理由(n=500、出典:ZETA)

ZETAは、アンケートにおいて設問を掛け合わせた多角的な調査も実施。その結果、ロイヤルティプログラムで重視するポイントはジャンルやターゲット層によって異なることに加え、ロイヤルティプログラムの有無に関わらず、サイトの利便性、愛着の高さがユーザーの継続利用に影響を及ぼす可能性があることが示唆されたという。

藤田遥
確認済み
26 分 4 秒 ago
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