ネットショップ担当者フォーラム

消費者の4割が買い物中に意識。コスパ、タイパの次にくる「コミュパ」とは?購入行動への影響は?【消費者調査まとめ】

3ヶ月 ago

パロニムが実施した「Tig LIVEコミュパ意識調査」によると、費やしたコミュニケーション量に応じた効果や満足度――すなわち「交流対効果」を指す「コミュパ」(コミュニケーションパフォーマンス)について、約6割が「今後重要になる」と考えている。買い物中に「コミュパ」を重視する割合は4割以上だった。

調査対象は全国の20歳〜69歳の男女500人。実施期間は2025年4月。

2人に1人以上が「コミュパという概念が今後重要になると思う」と回答

コミュニケーションにおけるやり取りの回数(量)と、伝え方の工夫(質)、どちらを大切にしているかを聞いたところ、最も多かったのは「伝え方の工夫(質)」が49.8%、続いて「どちらも同じくらい」が38.4%、「やり取りの回数(量)」が11.8%だった。

少ないコミュニケーションで大きな効果を得られる場合、それを良いコミュニケーションだと思うかを聞いたところ、「非常にそう思う」が21%、「ある程度そう思う」が56%だった。合計すると77%が、少ないコミュニケーションでも効果があればそれを良いと感じることがわかった。

コミュニケーションにおけるやり取りの回数(量)と、伝え方の工夫(質)、どちらを大切にしているか(左)、少ないコミュニケーションで大きな効果を得られる場合、それを良いコミュニケーションだと思うか(右)
コミュニケーションにおけるやり取りの回数(量)と、伝え方の工夫(質)、どちらを大切にしているか(左)、少ないコミュニケーションで大きな効果を得られる場合、それを良いコミュニケーションだと思うか(右)

「コミュパ」という概念が、今後のコミュニケーションにおいて重要になると思うかを聞いたところ、全体では「コミュパという概念が重要となると思う」が58.6%、「コミュパという概念が重要となると思わない」が41.4%だった。

世代別に見ると、20代、30代、50代、60代は約60%が「重要になる」と回答。40代で「重要になる」と回答したのは53%だった。

“コミュパ”という概念が、今後のコミュニケーションにおいて重要になると思うか
“コミュパ”という概念が、今後のコミュニケーションにおいて重要になると思うか

「コスパ」「タイパ」の意識層は「コミュパ」も重視

普段の生活の中で「コミュパ」、「コスパ」(費用効率)、「タイパ」(時間効率)をどの程度意識したことがあるかを聞いたところ、コスパの意識があると回答した割合はコミュパの「意識あり」が91.6%、同「意識なし」が41.2%だった。

タイパの意識があると答えた回答者のなかでは、コミュパの「意識あり」が84.0%、同「意識なし」が41.2%だった。

「コミュパ」を意識している回答者ほど「コスパ」「タイパ」を意識している割合が高いことがわかった。

普段の生活の中でコミュパ、コスパ(費用効率)、タイパ(時間効率)をどの程度意識したことがあるか(右)
普段の生活の中でコミュパ、コスパ(費用効率)、タイパ(時間効率)をどの程度意識したことがあるか(右)

買い物中に「コミュパ」を意識するは41%

普段の買い物の中で「コミュパ」をどの程度意識したことがあるかを聞いたところ、「常に意識する」が9.2%、「時々意識する」が32%で、合計41.2%が買い物中にコミュパを重視していることがわかった。

買い物をする際に、どのような体験や感情を求めることが多いかを聞いたところ、「コミュパ」の意識がある割合は「お得に購入したい」が最も多い42.0%、続いて「欲しかったものを手に入れて満足したい」が35.6%、「信頼できる商品・店で、安心して買い物をしたい」が34.8%だった。いずれの項目の回答率も、「コミュパ」を重視しない割合を上回っている。

普段の買い物の中でコミュパ(交流効率)をどの程度意識したことがあるか(左)、買い物をする際に、どのような体験や感情を求めることが多いか(右)
普段の買い物の中でコミュパ(交流効率)をどの程度意識したことがあるか(左)、買い物をする際に、どのような体験や感情を求めることが多いか(右)

口コミやレビューを参考にする割合がコミュパ層では7割超

購入判断にあたり、商品のインターネット上のクチコミやレビューを参考にする割合は、「コミュパ意識あり」と答えた割合が75.2%、「コミュパ意識なし」は47.2%だった。

商品のインターネット上のクチコミやレビューは、購入判断にどの程度影響するか(左)、店舗での買い物において、店員や販売者とのコミュニケーションをどの程度重視するか(右)
商品のインターネット上のクチコミやレビューは、購入判断にどの程度影響するか(左)、店舗での買い物において、店員や販売者とのコミュニケーションをどの程度重視するか(右)

「コミュパ」層の半数以上がライブコマースを認知

ライブコマースについて聞いたことがあるかは、「コミュパ意識あり」と回答した全世代の52.8%が「知っている」と回答した一方、「コミュパ意識なし」と回答した全世代で「知っている」と回答したのは21.6%だった。

これまでにライブコマースを使ったことがあるかを聞いたところ、「コミュパ意識あり」の割合は全世代の28.4%が「視聴経験あり」、12.4%が「購入経験あり」と回答した。「購入経験あり」は特に20代では26.0%、30代では24.0%となっており、突出して高くなっている。

「コミュパ意識なし」の回答者は、全世代では12.8%が「視聴経験あり」、2.0%が「購入経験あり」と回答した。「コミュパ意識あり」の回答者と比べるとライブコマースの視聴・購入経験がある割合は大きく下回っている。

ライブコマースについて聞いたことがあるか(左)、これまでにライブコマースを使ったことがあるか(右)
ライブコマースについて聞いたことがあるか(左)、これまでにライブコマースを使ったことがあるか(右)

コミュパ層の約半数「配信者とのやりとりが購買意欲に影響する」

ライブコマースで配信者とのコミュニケーションが購買意欲に影響するかを聞いたところ、「コミュパ意識あり」の割合は全世代の48.8%が「影響する」と回答した。20代、30代は特に高く、購買意欲に影響する割合は両世代ともに60%となっている。

ライブコマースのどの要素が魅力的だと思うかは、「コミュパ意識あり」の回答者では「お得な情報が得られる」が最多の30.4%、続いて「普段聞けないような質問ができる」が29.6%、「商品の詳細な情報が得られる」が26.8%だった。

「コミュパ意識なし」の回答者においては、「その他」を除き、最多が「お得な情報が得られる」で24.4%、続いて「新しい商品やサービスに出会える」が16.8%、「商品の詳細な情報が得られる」が16.4%だった。

ライブコマースで配信者とのコミュニケーションは、購買意欲に影響するか(左)、ライブコマースのどの要素が魅力的だと思うか(右)

調査概要

  • 実施期間:2025年4月
  • 実施方法:インターネット調査
  • 調査対象:全国の20歳〜69歳の男女500人(年代均等に100人ずつ、「コミュパ」意識可否均等に250人ずつ)
  • 調査手法:インターネットリサーチ
  • 調査元:パロニム
大嶋 喜子

ネット書店「漫画全巻ドットコム」のTORICO、暗号資産・ブロックチェーンなどWeb3領域での新規事業創出に向け幻冬舎と業務提携

3ヶ月 ago

漫画のECサイト「漫画全巻ドットコム」などを運営するTORICOは8月20日、幻冬舎と暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーンなどWeb3領域における新規事業の創出に向け、業務提携すると発表した。

TORICOはネット書店「漫画全巻ドットコム」「まんが王」「ホーリンラブブックス」「トレオタ」、国内外での各種エンタメIPのイベント企画運営、商品企画販売事業「マンガ展」などを運営している。 7月には新たな事業として「暗号資産投資事業」への参入を発表。今後の成長戦略の一環として、拡大する暗号資産市場を中長期的な視点で捉え、デジタルアセット領域への取り組みを段階的に強化している。

幻冬舎は書籍出版事業に加え、暗号資産やブロックチェーンなどのWeb3領域の専門メディア「あたらしい経済」の運営、法人向けのWeb3 事業コンサルティング、セミナー・コミュニティ運営などの事業を展開している。

業務提携で、幻冬舎の専門メディア運営やコンサルティングを通じて培ってきたWeb3領域における経験とノウハウを生かし、TORICOの暗号資産・ブロックチェーンの既存事業への活用支援、新規事業の創出を図る。同じ出版・コンテンツ業界の企業というシナジーを生かし、Web3関連の共同事業の実施もめざすとしている。

鳥栖 剛

CRMは「眠った後の対策から、眠る前の予防へ」。トリノリンクスが始めたCRM分析サービス「休眠対策ダブル」とは

3ヶ月 ago

通販コンサルティングなどを手がけるトリノリンクスは8月20日、D2C事業の休眠対策を「眠った後の対策から、眠る前の予防へ」とパラダイムシフトするCRM分析サービス「休眠対策ダブル」の提供を開始した。

「休眠対策ダブル」は、休眠前のアクティブ客に継続購入を促す「休眠予防」施策。休眠状態になる前のアプローチは、施策の経費効率改善だけでなく事業の成長を持続させ、顧客との関係性を維持し、LTVの拡大にもつながるなどさまざまな効果が期待できるとしている。

「休眠対策ダブル」は購買実績データを使い、2つの休眠対策アクションを実行する。

休眠予防のCRM

休眠前のアクティブ顧客が「休眠化する兆候」を、継続時の利用貢献度が高い順に特定。休眠前の購入促進(=休眠予防のCRM)を実行する。D2C事業者は、高い費用対効果と、D2C事業の持続的な成長を加速することができるという。

経費効率の高い休眠客の掘り起こし

すでに休眠してしまった顧客のなかから、掘り起こしやすい顧客を特定(=再購入しにくい顧客を除外)することで、費用対効果の高い「休眠掘り起こしのCRM」を実行。新規客獲得への投資配分を軽減でき、事業効率を改善できる。

「休眠対策ダブル」は独自の分析技術「Anothersky」により、顧客の継続力と購買力を同時に識別。D2C事業で一般的に用いられているRFM分析では考慮しない「購入間隔」などを評価に加え、6か月先の購買予測から顧客を識別する。

「休眠対策ダブル」の納品物は、「分析結果レポート(PDF形式)」「ターゲット顧客番号データ(CSV形式)」「納品時の説明(同社コンサルタントが対面あるいはオンラインで分析結果を説明する)。

「休眠対策ダブル」を活用するのに必要なデータは①購買実績データ②商品マスターデータ③媒体マスターデータ④顧客マスターデータ――をCSV形式で用意する必要がある。顧客マスターデータに登録されている個人情報は不要。

利用料金は分析データ量(前年の年商)に応じた設計。前年度の年商が50億円未満の場合は初回料金が28万円(税別)、2回目以降が18万円(税別)。100億円未満の場合は初回料金が48万円、2回目以降が28万円(税別)。100億円以上は個別見積り。

通常料金の半額で本番と同じCRM分析を実施し、期待できる成果を事前にシミュレーションできる「プレビュープラン」も用意。通常サービスとの違いは、休眠対策を実行する際に利用する「ターゲット顧客番号データ」が含まれない。「休眠対策ダブル」を申し込む前に想定効果を確認できる。「プレビュープラン」の利用料金は年商50億円未満が14万円、100億円未満が24万円、100億円以上が別途見積り。「プレビュープラン」の利用後14日以内に「休眠対策ダブル」を申し込むと、「プレビュープラン」相当額を割引するとしている。

鳥栖 剛

LINEヤフーと出前館の「Yahoo!クイックマート」終了へ。スタート1年で最短30分で届く即配サービスから撤退

3ヶ月 ago

LINEヤフーと出前館はこのほど、生鮮食品や日用品などを最短20分で届けるクイックコマースサービス「Yahoo!クイックマート」を8月31日で終了すると発表した。

サービス終了日程は、注文受付終了日時が8月30日(土)23時59分、サービス提供終了日時は2025年8月31日(日)23時59分。

LINEヤフーと出前館はこのほど、生鮮食品や日用品などを最短20分で届けるクイックコマースサービス「Yahoo!クイックマート」を8月31日で終了すると発表
「Yahoo!クイックマート」について(画像はお知らせから編集部がキャプチャ)

「Yahoo!クイックマート」は、生鮮食品や日用品などを最短20分で届けるサービスで、「Yahoo!ショッピング」内から利用できる。ユーザーは、配達希望場所の対象エリア内にある店舗(コンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアなど)で販売されている商品を選択し、注文・決済すると「出前館」の配達員がストアで該当商品をピックアップして配達する仕組み。

「Yahoo!クイックマート」は2024年8月にLINEヤフーと出前館がサービスをスタート、2025年4月時点で全国45都道府県での配達に対応していた。

鳥栖 剛

DM事業などのディーエムエス、商品情報などをわかりやすく紹介するAI自動生成サービス「PAGE CAST」

3ヶ月 ago

ダイレクトメールや物流サービスなどを手がけるディーエムエスは8月18日、ECサイトの商品情報などをAIが分析し、わかりやすく魅力的な音声コンテンツを自動生成する「PAGE CAST(ページキャスト)」をリリースした。

「PAGE CAST」は、ECサイトに専用のタグを埋め込むだけで、AIが掲載情報を読み取り、ポッドキャスト番組のようなトーク形式で、音声コンテンツを自動生成できるサービス。

ディーエムエスの「PAGE CAST」は、ECサイトに専用のタグを埋め込むだけで、AIが掲載情報を読み取り、ポッドキャスト番組のようなトーク形式で、音声コンテンツを自動生成できるサービス
音声コンテンツの生成の流れ

音声は、文字情報よりも親近感を与えて記憶に残りやすいという特長があるという。その特長を生かし、商品やサービスのイメージUPや認知理解の促進を図り、コンバージョン向上をサポートする。

ディーエムエスの「PAGE CAST」は、ECサイトに専用のタグを埋め込むだけで、AIが掲載情報を読み取り、ポッドキャスト番組のようなトーク形式で、音声コンテンツを自動生成できるサービス
「PAGE CAST」活用のイメージ

今後は、多種多様な企業のオンラインプロモーションの支援、行政・自治体、教育・医療機関など公的分野のWebサイトも対象に用途の拡大を進めるとしている。

また、Webサイトなどのオンライン領域だけでなく、紙媒体や屋外広告などのオフライン領域でも、音声コンテンツ自動生成の機能を活用してサービスを拡張するとしている。

「PAGE CAST」の特長は次の通り。

  • 親近感を醸成して購買意欲を促進
    • 専門家や友人が語りかけるような自然なおしゃべりトークを自動生成。声のトーンや会話の抑揚などを設定して、感情豊かな表現を加えることもできる。音声を視聴することで自然とページ滞在時間が延びるとともに、ページからの離脱率低下にもつながるという。
  • 視覚に依存しないアクセシビリティの向上
    • 視覚に頼らず情報を得られる音声コンテンツは、高齢者や視覚障がい者、マルチタスク中のユーザーなど誰にでもわかりやすく情報を提供できる。
  • 多言語音声対応で越境EC拡大に貢献
    • 多言語音声対応で、外国人や異文化背景を持つユーザーにも正確で親しみやすい情報を提供でき、サイトの利便性と包括性が大きく向上する。
宮本和弥

クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」がLINEミニアプリと連携

3ヶ月 ago

エートゥジェイは8月20日、クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」がLINEミニアプリと連携したと発表した。

「メルカート」がLINEミニアプリとの連携機能を標準搭載。「メルカート」を導入している企業は、実店舗・EC・LINE公式アカウントを横断したシームレスな顧客体験を、追加開発なしで実現できるようになる。ノーコードでの設定管理により、短期間かつ低コストでアプリを活用できる。

また、LINEユーザーがLINEミニアプリ上で商品を閲覧・購入し、会員証やポイント情報も一元管理できるため、実店舗を有するEC事業者のLTV最大化と運用効率の両立を支援するとしている。

LINEミニアプリとの連携で実現できることは次の通り。

店舗チェックイン機能

来店ユーザーがLINEミニアプリ上でチェックインすることで、店舗訪問履歴を記録。チェックインに応じたポイント付与や特典表示、LINEでの来店フォロー配信など、店舗と連動した販促施策に活用が可能。

LINE公式アカウントの友だち追加

ユーザーがLINEミニアプリを追加すると同時に企業側は「LINE公式アカウントの友だち」の獲得やLINEのユーザー IDの取得が可能。

会員登録機能

LINEミニアプリ上で簡単にEC会員登録が可能。LINEアカウントと連携することで、会員証の提示やポイント管理、購入履歴の一元化が実現でき、スムーズな顧客体験を提供。

ECサイト購入

LINEミニアプリから商品を閲覧し、そのままECサイトでの購入に遷移可能。購入履歴はLINEアカウントと連携され、購入後のフォローメッセージやリピート促進など、CRM施策にも活用できる。

ECキャンペーン

ECで行うキャンペーンをLINE公式アカウント上でお知らせして集客し、メッセージをタップすることでLINEミニアプリ上からキャンペーンページを閲覧・キャンペーンに参加することができる。

LINEからの通知

LINE公式アカウントを「友だち追加」したユーザーに向けてEC購入や店舗チェックインなどの行動に基づき、LINE公式アカウントから自動でメッセージ配信。再来店やリピート購入を促すCRM施策に活用できる。

クーポン配布

LINEミニアプリ上でクーポンを配布・表示可能。店舗チェックイン時やEC購入後など、行動に応じたクーポン配信により、来店・購入のリピートを促進。

クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」がLINEミニアプリと連携
実店舗を有するEC事業者のLTV最大化と運用効率の両立を支援する

「LINEミニアプリ」は、店舗・企業が「LINE」上で自社サービスを提供できるアプリプラットフォーム。会員証やモバイルオーダー、予約受付などのサービスをアプリの追加ダウンロード・会員登録不要で「LINE」上で提供でき、重要なお知らせを無料で通知できる。また「LINE公式アカウント」との連携で、「友だち」をスムーズに獲得でき、「LINEミニアプリ」を通じて取得した顧客の属性情報や行動データを活用することで、効率的な販促活動を実現する。

鳥栖 剛

こども関連ビジネスの市場規模2.2%増の10.9兆円、少子化進行も共働き世帯の増加などのニーズ増で安定推移

3ヶ月 ago

矢野経済研究所が公表した国内のこども関連ビジネス市場の調査結果によると、2024年度のこども関連ビジネス市場規模(6分野34市場計)は、事業者売上高ベース(一部は興行収入ベース)で前年度比2.2%増の10兆9059億円だったと推計した。

こども関連ビジネスの市場規模は2.2%増の10.9兆円に

2024年度は、物価上昇を背景とする節約志向や支出抑制意識の高まりによるマイナスの影響を受けつつも、娯楽用品・レジャー分野の市場(9市場)と保育関連サービス分野の市場(2市場)が市場拡大をけん引したという。

こども関連ビジネス市場を構成する6分野の市場(娯楽用品・レジャー、教育サービス・学用品、食品、衣料品、こども関連用品・サービス、保育関連サービス)の動向を見ると、娯楽用品・レジャー分野、食品分野(3市場)、保育関連サービス分野は引き続き拡大。衣料品分野(3市場)は微増、教育サービス・学用品分野(10市場)は前年度の縮小から下げ止まりしたという。

こども関連ビジネス市場を構成する6分野別に見ると、規模が大きいのは保育関連サービス分野、教育サービス・学用品分野、娯楽用品・レジャー分野の市場。

「保育園市場」は少子化進行の影響や保育園新規開設ペースの鈍化などで2020年度以降、伸長率は鈍化している。ただ、少子化対策や子育て支援の拡充に向けた公的資金の継続的な投入によって堅調な推移を維持。特に2024年度は保育士の配置基準の見直し、処遇改善に向けた補助金増額などでプラス推移となった。

「学童保育市場」は学童保育の利用ニーズが年々高まっていることに加え、運営費の上昇を背景とする利用料改定など、利用児童1人あたりの単価上昇によって市場拡大をけん引した。

こども関連ビジネス市場は、少子化進行による需要層の縮小に加え、長引く物価高によるマイナスの影響を受けると予想。ただ、共働き世帯の増加に伴う預かりニーズに支えられ安定した推移が見込める保育関連サービス分野、娯楽用品・レジャー分野の市場などの拡大が期待されるとしている。2025年度のこども関連ビジネス市場規模(6分野34市場計)は、前年度比3.2%増の11兆2562億円になると予測する。

調査概要

  • 調査期間: 2025年4月~6月
  • 調査対象: 子ども向けに商品・サービスを提供する事業者など
  • 調査方法: 矢野経済研究所の専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・eメールによる取材、ならびに文献調査併用
鳥栖 剛

ECへのトラフィックが激減する「Google Zero」。AI回答時代の対策とは?脱グーグル検索事例+消費行動トレンドまとめ | 海外のEC事情・戦略・マーケティング情報ウォッチ

3ヶ月 ago
生成AIからのECサイトへのトラフィックが増加し続けている昨今、従来のSEO対策に加えて、生成エンジン最適化(GEO)も求められるようになっています。もしもGoogleからのトラフィックがゼロになったらどうしますか? 今後想定されるケースと米国小売事業者の動向を見ていきます

生成AIソースからの小売ECサイトへのトラフィックの重要性が高まるなか、EC事業者はGoogleの検索結果からのトラフィックがゼロになる(Google Zero)かどうかにかかわらず、AI経由のトラフィック獲得の対応を進めています。市況の変化に加え、AIにピックアップされやすくするための取り組みなど、米国小売企業の事例を解説します。

「Google Zero」が小売事業者にもたらす影響

オンラインで買い物をする消費者が商品を探す際に使う検索ツールの変化に伴い、「Google Zero」という考え方がEC市場に何をもたらすのか――。小売事業者もECサイト運営者もその対応に苦慮しています。

「Google Zero」は最近、一般的に用いられるようになったワードで、Googleの検索エンジンに頼らず、商品リストやWebページへのオーガニックな参照トラフィックをAIによって獲得できるようになった事象を指します。

大規模言語モデル(LLM)やその他の生成AIテクノロジーといったAIツールが台頭してきたことで、消費者が複数のECサイト間で価格を比較したり、購入時に利用できるオプションを比べたりする際に、さまざまな選択肢を得ることができるようになりました。

生成AIソースからのEC流入は増加傾向

すでに、ECにおけるAI検索の役割は拡大しています。Adobe Analyticsは7月、2025年のAmazon「プライムデー」における生成AIから米国の小売ECサイトへのトラフィックは「2024年の同期間と比較して前年比3300%増加した」と発表しました。

「プライムデー」開催期間中の1日あたりの平均訪問数の増加率 (「プライムデー」以前の21日間との比較。出典:Similarweb、チャート作成:Digital Commerce 360)
「プライムデー」開催期間中の1日あたりの平均訪問数の増加率 (「プライムデー」以前の21日間との比較。出典:Similarweb、チャート作成:Digital Commerce 360)

「ゼロクリック検索」増加による打撃

また、Googleが検索結果の上部にAIによる要約機能「AI Overviews」を追加したことは、いわゆる「ゼロクリック検索」(ユーザーが検索エンジンでキーワードを入力した際に検索結果ページ上で疑問が解決され、どのWebサイトにもクリックせずに離脱する現象)の普及を後押ししました。ユーザーは元の質問に対する十分な情報を得るために、他のWebサイトをクリックしてページを移動する必要がなくなったのです。

「AI Overviews」のイメージ
「AI Overviews」のイメージ

Googleに依存しない流入獲得が急務

顧客を獲得するチャネルとして検索に依存してきたEC事業者にとって、この傾向は事業とECサイトの運営に劇的な影響を与えます。

そのため、たとえ「Google Zero」が明日起こらなくても、あるいは近い将来に完全な形で到来しなかったとしても、小売事業者は対策のための準備を進めています。脱・Google検索からの移行を容易にすると期待される施策やソリューションを取り入れる企業が増えているのです。

「Google Zero」の語源ルーツ

「Google Zero」という言葉は、米国のVox Mediaが運営する、テクノロジー関連のニュースサイト「The Verge」のニライ・パテル編集長によって提唱されました。パテル編集長は2024年に、ECを含むWebページを運営する小売事業者が「Googleの検索結果からのトラフィックがゼロになった場合」に発生するシナリオを説明するために「Google Zero」を使いました。

SEO、GEO両軸の対策が求められる時代に

2025年8月上旬の時点では、その現象はまだ起きていません。しかし、2025年のAmazon「プライムデー」で明らかになったように、小売事業者の多くは「ChatGPT」「Gemini」「Perplexity」といったAIツールの表示結果からのECサイトへのアクセスが以前よりも増えていることに注目しています。

この傾向が進むにつれて、検索エンジン最適化(SEO)への注目は、必ずしも単純ではない生成エンジン最適化(GEO)を含むようになっています。

AI要約あり・なしそれぞれの消費者行動

米国シンクタンクのPew Researchによる2025年3月・4月の調査では、AIによる要約付きのGoogle検索結果を見たユーザーは、その下に表示されたGoogleのリンクをクリックする可能性が著しく低いことが判明しました。

2025年3月、Google検索でそれぞれのアクションにつながった割合 (出典:Pew Research Center調査、2025年3月および4月 | グラフ作成:『Digital Commerce 360』)
2025年3月、Google検索でそれぞれのアクションにつながった割合 (出典:Pew Research Center調査、2025年3月および4月 | グラフ作成:『Digital Commerce 360』)

AI要約なしのときはクリック率アップ

別のマーケティング会社Seer Interactiveによる2025年の調査では、Googleの検索結果でAIによる概要が表示された場合、Webサイトに遷移するリンクのオーガニックなクリック率は1月に前年比で1.41%から0.64%に低下したことが判明。AI要約が表示されると、Webサイトをクリックする可能性は低くなる傾向が見られました。

注目すべきは、AIによる概要が表示されなかった場合、同期間にクリック率が上昇したことが観察されたことです。

同時に、こうした消費者行動の変化に対応するための効果的な戦略がいくつか登場し始めています。

AI経由のトラフィック最適化事例

Batteries Plus:引用元となっている情報源を精査

バッテリー商品の通販を運営するBatteries Plusの最高執行責任者であるジョン・シカ氏は、米国のEC専門誌『Digital Commerce 360』に対し、AIツールからのトラフィックを増やすためにいくつかの方法を取っていると説明しました。

Batteries PlusのECサイトトップページ(画像はサイトから追加)
Batteries PlusのECサイトトップページ(画像はサイトから追加)

Batteries Plusでは、AI経由のトラフィックを増やすために社内で情報を整理しています。AIが生成した自社に関連する結果や商品を見かけた際、それがどの情報源に基づいているのかを調べて原因を特定しています。多くの場合、参照元が明記されているため特定できます。(シカ氏)

シカ氏によると、現在、Batteries Plusのトラフィックの約1%はソースがAIです。シカ氏のチームは、Batteries Plusについて言及するAIの回答について、AIの回答の引用元となっている情報源を細かく確認することで、AIがBatteries Plusに言及する機会を増やすための施策を講じることができています。

Batteries Plusは、古くなったWikipediaの掲載情報を新しくしたり、Better Business Bureau(米国とカナダで活動している非営利の民間団体)に寄せられた顧客の不満に対応したり、そのための手順をしっかり見直したりしています。米国の掲示板型ソーシャルニュースサイト「Reddit」などのコミュニティにも、ツールを使って積極的に参加しています。

今後、情報は非常に速く広まり、AIによる検索結果は、顧客がブランドについて調べるときにまず目にするものとして、ますます一般的になるでしょう。だからこそ、こうした取り組みは小売業者が今すぐ優先してやるべきです。(シカ氏)

Kendra Scott:サイトページを増やして生成エンジン最適化

ジュエリーブランドを運営する米国企業のKendra Scottは、AIに対応するためにSEO戦略を立てました。米国のニュースメディア『Digiday』が7月に報じたところによると、Kendra ScottはAIを用いた検索結果に表示されやすくなることを念頭において、1年間で自社のECサイトに8,000ページを追加しました。

Kendra ScottのECサイトトップページ。AIによるピックアップ増を意識し、サイト内のページを大幅に増やした(画像はサイトから追加)
Kendra ScottのECサイトトップページ。AIによるピックアップ増を意識し、サイト内のページを大幅に増やした(画像はサイトから追加)

Kendra ScottのデジタルおよびEコマース担当シニアバイスプレジデント兼責任者であるカマナシシュ・クンドゥ氏によると、Kendra Scottの年間Webトラフィックの5%が「Optiversal」というプラットフォームを通じて生成AIで作成されたWebページに流入しているそうです。

「Optiversal」を通じて生成AIで作成されたページでは、Kendra Scottの商品を特定のテーマに沿って紹介しています。これは、AIが自動で作る要約に合うように、その商品の使い方やコンセプトが優先して伝えられるように工夫されたものです。このやり方は、商品名や短いカテゴリー名に特化した従来の手法とは異なります。それでも、今でも27%は、Google検索の最初のページに従来の手法による検索結果が表示されています。

従来の検索による流入は現在も大切です。しかし、それだけではなく、検索エンジン最適化(SEO) と 生成AI検索最適化(GEO) の両方が、今後の戦略において小売事業者が考えるべき重要な要素になりつつあります。

この記事は今西由加さんが翻訳。世界最大級のEC専門メディア『Digital Commerce 360』(旧『Internet RETAILER』)の記事をネットショップ担当者フォーラムが、天井秀和さん白川久美さん中島郁さんの協力を得て、日本向けに編集したものです。

Digital Commerce 360

ふるさと納税のポイント付与禁止で2025年9月までに駆け込み寄付する予定は27%。急がず12月までに寄付するが34%

3ヶ月 ago

ギフト特化型のWebメディアサイト運営などを手がけるグルーヴは、2025年10月から施行予定の「ふるさと納税サイト経由でのポイント付与禁止」に関する意識調査を実施、駆け込み需要についてその結果を公表した。

それによるとポイント付与終了前の2025年9月に「駆け込み寄付をする予定」と答えた割合は3割未満にとどまった。「12月まで急がず寄付する予定」は3割強で、制度変更が注目される一方、すべての寄付者が即座に行動するわけではないことがわかった。

「その他」が38.6%で最多に

「9月までに駆け込みで寄付をする」は27.4%。「急がず12月までに寄付する」と回答したのは34.0%。「その他」は38.6%だった。

グルーヴは、これは「まだ検討中」「情報を十分に知らない」「ポイントの有無に左右されない」など、さまざまな層が含まれていると指摘。制度変更が話題になっている一方で、すべての寄付者が制度の詳細やスケジュールを把握しているとは限らない現状もあるとしている。

調査概要

  • 調査エリア:全国
  • 調査主体:はじめてのふるさと納税
  • 調査方法:インターネットリサーチ
  • 調査対象:20代~70代以上の男女1009人
  • 調査期間:2025年7月16~30日
鳥栖 剛

KDDIグループがECの買い物を“検索”から“対話”へシフト。「au PAY マーケット」に「対話型AIアシスタント」を導入

3ヶ月 ago

auコマース&ライフは8月20日から、「対話型 AIアシスタント」をKDDIと共同運営するECモール「au PAYマーケット」のコンセプトページ「favomore(ファボモア)」に先行導入した。

auコマース&ライフは8月20日から、「対話型 AIアシスタント」をKDDIと共同運営するECモール「au PAYマーケット」のコンセプトページ「favomore(ファボモア)」に先行導入
対話内容から潜在ニーズを分析して商品を提案する

「対話型 AIアシスタント」はカラクリが提供する顧客対応AIエージェント「Generative Navigator(GeN)」を活用して実現した。

「favomore」は豊富な商品のなかから、生成AIなどを活用して顧客のニーズを汲み取り、厳選した商品を紹介するコンセプトページ。

今回の取り組みでは、対話型AIアシスタントが、専属のコンシェルジュのように、ユーザー1人ひとりに寄り添い、好みやライフスタイル、悩みなどをヒアリングし、その対話内容から潜在ニーズを分析して商品を提案。「対話型AIアシスタント」の先行導入により、5つの新たな価値を提供するとしている。

  1. 潜在ニーズの発見:ユーザー自身も気付いていない「本当に欲しいもの」を対話を通じて引き出し、新しい商品との出会いを創出する。
  2. シーンに合わせたパーソナルな商品提案:ファッション、キッズ・ベビー用品、コスメなど、幅広いカテゴリから最適な商品を提案します。また、「友人の結婚式に着ていく、30 代向けのワンピースは?」といった、具体的な利用シーンに合わせたアイテムの提案も可能。
  3. お悩みに寄り添ったソリューション提案:「体型をカバーできるトップスを探している」「敏感肌でも使えるファンデーションは?」といった、ユーザーの悩みや理想のイメージに寄り添った商品を厳選して紹介する。
  4. こだわり条件によるスマート検索:ユーザーのパーソナルカラーや希望の色、サイズ、柄、デザインなどをAIに伝えるだけで、条件に合 った商品をスムーズに見つけられる。
  5. 24 時間365日の安心サポート:商品選びに迷ったり疑問が生じた際に、AI が24時間いつでも即座にサポートすることで、ストレス フリーな買い物体験を提供する。

「対話型AIアシ スタント」は「au PAY マーケット」の利用全般に関わる会話型カスタマーサポート機能としても利用できる。

auコマース&ライフとカラクリは、本取り組みを通して、対話型AIを活用したECサイトにおける新たなスタンダードの確立をめざすとともに、ユーザー1人ひとりに最適化した便利で楽しい買い物体験を提供していくとしている。

鳥栖 剛

そのペルソナ・カスタマージャーニーマップは、本当に使える? UXデザイナーが教える作成&活用術【8/26火 開催】

3ヶ月 ago

サイバーエージェント、SUBARU、キヤノンMJ、リコーなどが登壇する「デジタルマーケターズサミット 2025 Summer」を8月26日(火)にオンラインで開催します。広告主・マーケター限定のセミナーイベントで、全16講演をすべて無料で視聴できます。この記事では、【KC-1】秋野 比彩美 氏(グッドパッチ)の講演をダイジェストで紹介します。

イベントの詳細を確認する↓↓

デジタルマーケターズサミット2025Summer セミナー

そのペルソナ・カスタマージャーニー、本当に効果的? UXデザイナーが教える活用術

「ペルソナ」や「カスタマージャーニーマップ」は、顧客を深く理解するための強力なツールです。しかしせっかく作っても、いつの間にか形骸化してしまうケースは少なくありません。どのようにすれば効果的なペルソナを作れるのでしょうか。秋野氏は、3つのポイントを提示します。

  1. 課題: ユーザーがサービスや施策を通じて解決したいと思っていることは何か。
  2. 意思決定の軸: ユーザーが何を基準に意思決定をするのか。価値観や影響を受ける人、過去の経験なども含めて深掘りする。
  3. 理想の姿: ユーザーは、最終的にどうなりたいと思っているのか。

これらの要素を意識しながら、情報はできるだけシンプルに、不要な情報は削ぎ落とすことで、本当に使えるペルソナが完成します。

次に、カスタマージャーニーマップについてです。これも、陥りがちな失敗パターンがあります。単に「利用までの流れ」を可視化しただけで、肝心の「誰のどんな課題を解決したいのか」が曖昧になってしまうことや、課題と理想が混在してしまうことです。

カスタマージャーニーマップは、ユーザーの行動や心理をステージごとに整理し、課題を特定するために使うべきツールです。フレームワークに縛られず、ユーザーの行動を基に考えてみましょう。

グッドパッチ そのペルソナ・カスタマージャーニー、本当に効果的?UXデザイナーが教える活用術 セミナー
イケてないカスタマージャーニーマップのサンプル

本当に使えるペルソナやカスタマージャーニーマップを作成するには「どんなサービス・施策において、どんな意思決定をしたいのか?」を言語化することが重要です。講演では、目的を言語化するコツ、効果的に活用する3つのポイントなども解説します。

詳細は、ぜひ講演でご確認ください

そのペルソナ・カスタマージャーニー、本当に効果的?
UXデザイナーが教える活用術
8月26日(火)10:00~10:45
講師:秋野 比彩美 氏(株式会社グッドパッチ

顧客を深く理解しより良いアプローチをするために、ペルソナやカスタマージャーニーは活用されます。一方、作ったものの形骸化して「これ、本当に意味あるの?」となりがちです。この講演では、よくある誤解や失敗事例を紹介しながら、成果につながる活用法を解説します。

秋野氏のセッションの詳細を確認する↓↓

グッドパッチ そのペルソナ・カスタマージャーニー、本当に効果的?UXデザイナーが教える活用術 セミナー
名久井

「Web担当者Forum ミーティング 2024 秋 」で大好評だった講演を再放送します。おそらくこれが最後の視聴チャンスです。この機会をお見逃しなく!

他にも講演が盛りだくさんです。イベントは事前申込制ですので、お早めにお申込みください。なお、アーカイブ配信は予定しておりませんので、ぜひ当日に視聴お願いします。

※本セミナーは広告主企業、ユーザー企業のCMO、マーケティング部門、経営企画部門を対象にしております。対象提供企業以外のご参加はお断りすることがございますので、予めご了承ください。

イベントの詳細を確認する↓↓

デジタルマーケターズサミット2025Summer セミナー
名久井 梨香

物流センター、各社がDXツール導入で狙う効果は「業務生産性向上」22%、「従業員の労働環境・満足度の改善」17%。効果実感「あり」は約6割

3ヶ月 ago

KURANDOが実施した物流センターにおけるDXツールの導入効果と課題に関する調査によると、DXツール導入の主な目的は「業務生産性の向上」「従業員の労働環境・満足度の改善」「省人化・労働力不足への対応」で、導入後の効果を実感している割合は約6割だった。

調査対象は、DXツールを導入済みの物流センターに関連する業務を手がける管理職(係長・主任クラス以上)の20代~50代の男女218人。調査期間は2025年7月24~28日。

活用が多いツールは「作業生産性管理」「データ分析」「倉庫制御」

勤め先の企業が関わる物流センターで直近1年以内に導入し、最も優先的に活用しているDXツールについて聞いたところ、最も多かったのは「作業生産性管理システム」で21.6%、続いて「データ分析システム(BI)」が16.5%、「倉庫制御システム(WCS)」が16.1%だった。

勤める企業が関わる物流センターで直近1年以内に導入され、最も優先的に活用しているDXツール
勤める企業が関わる物流センターで直近1年以内に導入され、最も優先的に活用しているDXツール

目的は「生産性向上」「労働環境改善」「労働力不足のカバー」など

DXツールを導入した最も大きな目的は、「業務生産性の向上」が最多で22.9%、続いて「従業員の労働環境・満足度の改善」が17.0%、「省人化・労働力不足への対応」が15.6%だった。

DXツールを導入した最も大きな目的
DXツールを導入した最も大きな目的

約6割が効果を実感も、約4割は「期待していたほどではない」

直近1年以内に導入し最も優先的に活用しているDXツールについて、総合的にどの程度効果を実感できているかを聞いたところ、「期待通りの効果を実感している」は18.8%、「期待通りの効果を実感している」は43.1%だった。合計すると約6割が効果を実感している。

一方、「期待していたほどの効果は実感できていない」は28.9%、「まったく効果を実感できていない」は9.2%。合計すると4割近くが満足のいく効果を得られていない。

直近1年以内に導入し最も優先的に活用しているDXツールについて、総合的にどの程度効果を実感できているか
直近1年以内に導入し最も優先的に活用しているDXツールについて、総合的にどの程度効果を実感できているか

4割以上が「一部の従業員しか利用していない」

最も優先的に活用しているDXツールは社内でどの程度利用されているか聞いたところ、4割以上が「社内の一部従業員しか利用していない」または「ほとんど利用されていない」と回答している。

最も多かったのは「社内の一部(特定の拠点)の従業員が利用している」で35.3%、続いて「社内の半数以上の従業員が利用している」が33.0%、「ほぼ全ての従業員が利用している」が24.3%、「ほとんど利用されていない」が7.3%だった。

直近1年以内に導入し最も優先的に活用しているDXツールは、貴社内でどの程度利用されているか

ツール活用が広がる要因は「十分なトレーニング」「責任者・管理者の意見反映/意欲向上」「メリットの明確化」など

DXツールをほぼ全ての従業員が利用していると回答した管理職にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「導入拠点のスタッフへのトレーニングが十分だったため」と「ツール選定などに拠点の責任者・管理者の意見を反映したため」でそれぞれ28.3%。続いて、「庫内の成果が可視化され、責任者・管理者の意欲が向上したため」と「導入拠点のスタッフへのメリットが明確なため」がそれぞれ26.4%だった。

ほぼ全ての従業員にDXツールの利用を広げることができた理由(複数回答可)

調査概要

  • 調査期間:2025年7月24日~28日
  • 調査方法:インターネット調査
  • 調査対象:DXツールを導入済みの物流センターに関連する業務を行っている、管理職(係長・主任クラス以上)の20代~50代の男女218名
  • モニター提供元:RCリサーチデータ
大嶋 喜子

ギフト購入時の情報収集は「検索エンジン」「オンラインショップ」「SNS」が上位。「ChatGPT」など生成AIの利用も進む

3ヶ月 ago

Psyveが全国の男女1053人を対象に実施した、「ギフトの選び方」に関するインターネット調査によると、プレゼント探しの情報源には「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンが最も多く使われており、これらに次いでECも多く情報源とされていることがわかった。このほか、「Instagram」やYouTubeの活用も目立った。

調査期間は2025年7月25日〜8月1日。

参考にした情報源は「検索エンジン」「EC」の2強

直近1年間で購入したプレゼントの購入決定までに参考にした情報源は、最多が「GoogleやYahoo!などの検索エンジン」で35.9%、続いてAmazon、楽天市場などの「オンラインショップ」が28.6%、「Instagram」が20.9%だった。

Psyveは「検索エンジンやECサイトで商品のスペックや価格を比較・検討した後、『Instagram』などで実際の使用例や第三者のレビューといった“リアルな情報”や“魅力的なビジュアル”に触れることで、購入への確信を深めている」と考察している。

「AI(ChatGPTなど)」と回答した人は3.4%。Psyveは「パーソナルなギフト選びの相談相手としてAIが活用され始めている可能性を示唆している」と解説している。

直近1年間で購入したプレゼントの購入決定するまでに参考にした情報源(複数回答可)
直近1年間で購入したプレゼントの購入を決定するまでに参考にした情報源(複数回答可)

探しはじめるとき、最初に使う情報源も同様の傾向

直近1年間で購入したプレゼントを探しはじめる際、最初に使った情報源について聞いたところ、最も多かったのは「GoogleやYahoo!などの検索エンジン」で20.9%、続いて「特にない」が17.0%、「オンラインショップ」が16.0%だった。

Psyveは「具体的な商品を求めて検索する層だけでなく、明確な目的なくECサイトを回遊する層や、ふとした瞬間にプレゼントを探し始める層など、ギフト探しの起点が多様化していることを示している」と指摘している。

この段階では、「AI(ChatGPTなど)」と回答した割合は0.4%。購入の決定段階では3.4%となっている。

直近1年間で購入したプレゼントを探しはじめる際、最初に使った情報源
直近1年間で購入したプレゼントを探しはじめる際、最初に使った情報源

プレゼントはパーソナルな贈り物が中心

直近1年間で購入したプレゼントの目的を聞いたところ、「誕生日」が最多で72.5%、続いて「母の日・父の日」が33.7%、「クリスマス」が27.8%だった。Psyveは「季節のイベントや行事よりも、家族や友人といった個人の特別な一日を祝う『パーソナルな贈り物』が、ギフト市場の中心」と解説している。

直近1年間で購入したプレゼントの目的(複数回答可)
直近1年間で購入したプレゼントの目的(複数回答可)

64.2%が直近1年間でプレゼントを「贈った」

直近1年間でプレゼントを贈ったかを聞いたところ、「はい」が64.2%、「いいえ」が35.8%だった。「物価高など社会情勢の変化がありながらも、プレゼントを贈るという文化は人々の生活に深く根付いている」(Psyve)

直近1年間でプレゼントを贈ったか
直近1年間でプレゼントを贈ったか

調査概要

  • 調査期間:2025年7月25日〜8月1日
  • 調査対象:全国の男女1053人
  • 調査方法:インターネットリサーチ
大嶋 喜子

スマート・アイが家具通販サイト「わくわくランド」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入

3ヶ月 ago

スマート・アイは、家具通販サイト「わくわくランド」にEC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入した。

カテゴリ検索項目の充実化、サジェスト表示を実装

スマート・アイが運営する家具通販サイト「わくわくランド」では、ランドセルラック、3段ベッド、学習デスクなど子ども部屋に適した家具を取りそろえているほか、テーブル、ソファ、生活雑貨などリビング・ダイニング向けの家具も多数販売している。

スマート・アイ わくわくランド
わくわくランド(画像はサイトからキャプチャ)

「ソファ」「2段ベッド」といったカテゴリを細分化し、検索時の絞り込み項目として表示するようにした。ユーザーが求める商品の特長(サイズ/素材/使用シーンなど)から直感的に絞り込めるようにすることで、快適な購買体験の提供をめざす。絞り込み項目例は次の通り。

  • 「ソファ」の絞り込み項目 :「1人掛けソファ」「デザイナーズソファ」
  • 「2段ベッド」の絞り込み項目:「親子ベッド」「高級材ベッド」「モダンデザインベッド」
スマート・アイ わくわくランド カテゴリ検索項目の充実化でCX向上につなげる
カテゴリ検索項目の充実化でCX向上につなげる

検索窓で入力中のテキストに基づく予測キーワードをサジェストとして表示するようにした。すべてのテキストを入力する前に目的のキーワードを選択できるようにすることで、ユーザーの手間を省き利便性向上につなげる。

スマート・アイ わくわくランド 検索窓でのサジェスト表示で利便性向上につなげる
検索窓でのサジェスト表示で利便性向上につなげる

「ZETA SEARCH」とは

サイト内検索を最適化するマーケティングソリューション。高速性・処理能力とAIによる自動最適化で、サイトの利便性向上を支援する。

キーワード入力時のサジェスト機能や、事前に検索結果の該当数を表示するファセットカウント、全角・半角などの「表記揺れ」を吸収した検索結果表示など、多数の検索機能を有している。

JRE MALL ZETA SEARCH サイト内検索 EC商品検索
「ZETA SEARCH」の基本機能(画像は「ZETA CX」サイトからキャプチャ)
藤田遥

ベイクルーズの「JOURNAL STANDARD」からモンスター井上尚弥選手のTシャツを販売

3ヶ月 ago

NTTドコモとベイクルーズは8月14日、ベイクルーズのアパレルブランド「JOURNAL STANDARD(ジャーナル スタンダード)」から、特別限定アイテム「井上尚弥 × 操上和美 × JOURNAL STANDARD」を販売すると発表した。

発売日は全国の「JOURNAL STANDARD」各店で8月29日。公式ECサイトでは8月14日11時から予約販売を始めた。価格は9900円(税込)。

NTTドコモとベイクルーズは、ベイクルーズのアパレルブランド「JOURNAL STANDARD(ジャーナル スタンダード)」から、特別限定アイテム「井上尚弥 × 操上和美 × JOURNAL STANDARD」を販売
「JOURNAL STANDARD」で販売する限定Tシャツ

特別限定アイテムは、9月14日にNTTドコモの映像配信サービス「Lemino」で独占無料生配信する「NTTドコモ Presents Lemino BOXING トリプル世界タイトルマッチ 井上尚弥 vs ムロジョン・アフマダリエフ」を記念し、製品化したという。

井上尚弥選手は、プロ戦績30戦全勝無敗27KO。アジア初の2階級四団体統一王者で、その圧倒的な強さから「The Monster」と呼ばれている。2023年に操上和美氏が撮影した井上尚弥選手のポートレートをプリントしたカットソー2モデルをラインナップした。

操上和美氏は、広告界やポートレートの世界で第一線を走り続ける巨匠。繊細で力強い写真が井上尚弥選手の壮絶な戦いの精神を余すところなく表現しているという。

デザインには、ボクサーとしての井上尚弥選手の凄み、そして一瞬を切り取る写真家操上氏の視点が融合。シンプルでありながら、力強く、着る人にインスピレーションを与えるアイテムに仕上がったという。

宮本和弥

日本直販が通販から総合サービス企業へ事業転換。BtoB領域にも事業を拡大

3ヶ月 ago

日本直販は8月18日、総合通販から「エンタメ・グローバル・DX・デジタル」を軸にした総合サービスへ転換すると発表した。新コーポレートロゴとスローガンを発表し、ブランド刷新(リブランディング)を実施する。

日本直販はモノを売るだけの通販から、体験・金融・会員・旅行・保険などを束ねる総合サービスへ転換を図る。エンタメ性のあるコンテンツ発信、海外でのポップアップ連携、デジタル活用を加速させるとしている。

今後は生活者(BtoC)への価値提供に加え、B2toで培った商品開発、販促、コンテンツ制作、海外ポップアップ運用、越境EC、会員運営、保険・金融アライアンスなどのノウハウを、投資先・出資元企業や地域パートナーにも提供する。共同ブランド開発や販売プラットフォーム連携を通じ、地域から世界へ届くスケーラブルなモデルを構築するとしている。

新ロゴは、事業多角化とプラットフォーム志向を表す2形式で構成。9月1日に順次切り替える。

「日本直販」はテレビ通販やラジオ通販を中心に総合通販を展開する老舗通販ブランド。民事再生法の適用を申請した総通から通販事業をトランスコスモスが譲り受け、新設したトランスコスモスダイレクトが事業を継承。2013年1月にトランスコスモスダイレクトが社名を日本直販に変更し、2015年に日本直販をトランスコスモス本体に吸収合併した。

2022年にはギグワークスグループがトランスコスモスから日本直販事業を買収。トランスコスモスが日本直販事業を会社分割して新設した「日本直販」(2022年7月1日設立)の全株式を、ギグワークスの通販子会社である悠遊生活(老舗通販のイメンスが2022年1月に分社化して設立、ギグワークスが同年に買収した通販企業)が譲り受けた。その後、日本直販を存続会社として悠遊生活と日本直販が合併。さらにその後、2025年4月にギグワークスが日本直販をイメンスに譲渡した。イメンスは「悠悠生活」売却後はEC支援やDX支援などを手がけていた。

日本直販の2024年10月期の業績は前期比16.3%減の53億3500万円、営業利益は3億6500万円の赤字(前期は1億3600万円の赤字)、経常利益は3億7800万円の赤字(前期は1億4400万円の赤字)、当期純利益は3億7900万円の赤字(前期は2億9900万円の赤字)だった。

鳥栖 剛

Z世代の心を掴み”バズり”を生むポップアップ店設計のポイントとEC連動のコツ【現状分析+事例で解説】 | その道のプロが解説するポップアップストア出店の“いろは”

3ヶ月 ago
Z世代向けの「ポップアップストア」は、「映え」を生む体験の場に変化しています。SNS映えする空間やインフルエンサーの活用、参加型コンテンツによって共感を呼び、顧客は自己表現を楽しむZ世代の今、ポップストアを上手に展開するためのポイントを解決します。

Z世代にとって「ポップアップストア」は単なる買い物体験の場ではなく、SNSを通じた“自己肯定感の演出”の場になりつつあります。特にコスメ・ビューティー領域では、没入感のある体験空間やインフルエンサーの起用によってブランドへの共感が生まれ、共感=“可愛いのシェア”を通じ、自分自身の価値を高める自己プロデュースにつながっています。Z世代の心理を軸に、ポップアップストアがどのようにブランドとの継続的な接点を生んでいるのかを最新事例と合わせて解説します。

記事のポイント

  • Z世代にとってポップアップは、「商品を買う場」から「自分らしさを表現・共有する体験の場」へと進化
  • SNS映えする空間や参加型コンテンツが“共感”を生み、Z世代は体験の共創者としてポップアップに関与
  • ポップアップで生まれた熱量は、SNS投稿やEC展開、コミュニティ化を通じてブランドと顧客との関係を深めている

「映える」体験が自己肯定感につながるZ世代の今

1990年代後半〜2010年代初頭生まれのZ世代(一般的に1997〜2012年頃までの生まれ)は、生まれた時からインターネットやスマートフォン、SNSが身近にある「デジタルネイティブ」世代。他者からの共感や評価(“いいね”など)をリアルタイムに感じながら成長してきており、自分の体験をSNS上で共有することに大きな価値を見出します。

特にZ世代の女性は、コスメ選びにおいて商品の機能面以上に「見た目の可愛さ」やSNSで話題になっていることを重視する傾向があります。実際、eBayJapanが2025年に実施した調査でも、Z世代女性の半数以上が「SNSでバズっているコスメを購入した経験がある」と回答。可愛いパッケージのコスメや“映える”アイテムは、それ自体が彼女たちの自己表現ツールであり、SNSで共有することで得られる他者からの反応が自己肯定感を高める一助となっています。

eBay Japanが実施した「Z世代・Y世代女性のコスメの流行と消費に関する調査」
画像はeBay Japanが実施した「Z世代・Y世代女性のコスメの流行と消費に関する調査」より

こうした背景もあり、リアルな場であるポップアップストアはZ世代にとって、単に商品を買いに行く場所ではなく、「自分が好きな世界観に浸り、その空間にいる自分自身も含めて写真や動画でシェアすることで承認欲求を健全に満たす場」として機能し始めているのです。

たとえば、メイクがうまくいった瞬間や推し活(お気に入りのアイドルやキャラクターを応援する活動)を楽しんでいる様子をSNSに投稿し、その反応から満足感を得る――そんな行動パターンがInstagramやTikTok上で多く観測できます。

ポップアップストアはまさにその“映える瞬間”を演出する舞台となり、「可愛いものを買うため」以上に「可愛い自分を演出し記録するため」に足を運ぶ場所へと変化しているのです。

共感を生むポップアップの仕掛けを設計するポイント→空間デザイン・インフルエンサー・参加型コンテンツ

Z世代の心を掴むポップアップストアを設計するには、単に商品を並べるのではなく共感を生む仕掛けが重要です。具体的には、「空間デザイン」「キーパーソン(インフルエンサー)の起用」「来場者参加型コンテンツ」の3点が現在のビューティー系ポップアップの鍵と言えます。

1. SNS映えする空間デザイン(エリア設計)

コスメのポップアップでは写真映えする華やかな演出が当たり前になっています。ブランドカラーを基調にした内装や大型オブジェ、カラフルなフォトスポットなど、来場者が思わず写真を撮りたくなるフォトジェニックな空間づくりが徹底されています。

実際に、多くのブランドが「商品を買う場所」ではなく「訪れるだけで特別な体験ができる場所」としてポップアップを位置づけ、世界観を体現したインスタレーションに力を入れています。

期間限定の特別感も相まって、「今しか体験できない」場としてSNS上でも話題になりやすく、若い女性たちにとって友人とのお出かけや投稿ネタになることで自然と認知が広がる効果があります。

また、空間デザインの統一感はリアルとオンライン双方での体験をシームレスにつなぐ役割も果たします。香り・音・照明からSNS投稿用のビジュアルテンプレートに至るまでトーン&マナーをそろえることで、その場にいないファンもSNS越しに「まるで自分もそこにいるか」のような没入感を味わえます。このような世界観を貫いた演出が来場者の共感を呼び、「このブランドやコミュニティの一員である」という満足感を高めているのです。

2. インフルエンサーやキーパーソンの起用

Z世代は「誰が支持しているか」「どんな文脈があるか」を重視するため、ポップアップでもブランドの“顔”となるインフルエンサーやアーティストの存在感が重要です。

単なる広告塔としてではなく、世界観を象徴する「推し(キーパーソン)」として企画段階から関与してもらうことで、ファンとの共感温度が一気に高まります。実際に多くのビューティーブランドが、人気ヘアメイクアップアーティストやモデルをイベントに招いたり、期間限定のライブ配信などで話題喚起を図っています。

Z世代はストレートな自慢投稿を嫌う傾向がある一方で、特別なイベントに参加した事実やそこでした行動をさりげなく共有することで自己アピールする巧みさがあります。インフルエンサーとの接点はその格好のネタとなり、SNS上での話題拡散と承認欲求充足の双方に寄与するのです。

3. 来場者が参加・体験できるコンテンツ

ポップアップを“商品を売る場”から“体験を共創する場”へと昇華させている大きな要因が、来場者参加型のコンテンツです。

Z世代はイベントに対しても消費者以上に「一緒に場を作りたい」という欲求を持っていま

す。そのため、ただ来て眺めて買うだけで終わらない設計が鍵を握ります。ビューティー・コスメ領域においては、プロのメイクアップアーティストによるタッチアップ(メイクサービス)は定番で、その場で自分に似合うメイクを提案してもらい、仕上がりを写真に撮ってSNSでシェアする来場者も少なくありません。

また、肌タイプ診断、購入したコスメに名前やイニシャルを刻印できるサービスなど、パーソナライズされた特別な体験も人気です。こうした体験は「自分のためだけの特別な時間」を演出し、顧客に強い満足感を与えます。

オープン5周年を迎えた「@cosme TOKYO」も2025年3月に「もっとBEAUTYとの出会いを」をテーマにリニューアルオープン。「ミニコスメコーナー」「テスターバー」、新設のフレグランス体験ゾーンの好みの香り診断コーナーなど、参加・体験型の設計を強く反映した店舗づくりとなっています。

ビューティー・コスメのポップアップ事例3選

ケース1:韓国コスメ「2aN」──“ここでしか買えない”が自己肯定感を刺激する(2025年7月)

2025年7月、韓国発のコスメブランド「2aN(トゥーエーエヌ)」が日本初のポップアップを表参道ヒルズで開催しました。

イベントでは、日本限定色のティントやアイシャドウを先行販売。ブランドの世界観を体現した洗練されたブース設計に加え、来場者限定ノベルティなども話題を呼びました。
SNSでは「#2aNPOPUP」の投稿が多数アップされ、会場に行けなかった人々の関心も高まりました。イベント後、ECサイトではポップアップで完売した商品が再販されるなど、リアルとオンラインを連動させた動線設計が成功しています。

「2aN(トゥーエーエヌ)」のポップアップ
「2aN(トゥーエーエヌ)」のポップアップ(出展:プレスリリースより)

ケース2:rom&nd(ロムアンド)atアンノン原宿(2025年5月~7月)

2025年5月20日から7月31日まで、原宿・アンノン原宿に「rom&ndPINKOFFICE」が期間限定オープン

韓国で好評だった「コスメオタクのための遊び場」を再現したフラッグシップストアで、スウォッチ体験や限定グッズ、特典などを通じて、ユーザー自身が“遊んで学ぶ”、“試して楽しむ”体験ができる空間です。世界観を体現したピンクを基調にした内装や200種類以上の商品スウォッチエリアも用意され、まさに“自分だけの可愛い”を見つけられる仕掛けが満載。購入金額に応じた豪華特典(ミニグッズ・ガチャキーリングなど)も人気を博しました

このポップアップイベントでは、ただ試す・買うだけではなく、自分の“好き”をあらためて感じ、他者と共有できる“遊び場”としての機能が中心になっています。Z世代女性にとって、こうした体験はまさに自己肯定感の演出そのものです。

SNS投稿で「#romandPINKOFFICE」などが拡散され、まるで“推しの部室に遊びに行った”かのような共感が生まれました。

さらに、オンラインとのシームレスな導線も秀逸で、来場者はWebでの再販情報や次回のイベント招待を受け取り、SNS投稿を通じたUGC生成とEC購買が自然につながる仕組みが構築されています。

リアルでの体験がオンライン購買を後押しし、同時に拡張された自己表現空間として機能している好例です。

「rom&ndPINKOFFICE」のポップアップのイメージ
「rom&ndPINKOFFICE」のポップアップのイメージ(出展:プレスリリースより)

ケース3:nugu「SINSS×韓国ブランド」──Z世代男性層への拡張(2025年7月)

韓国のファッションECプラットフォーム「nugu」は、2025年夏にメンズ向けのポップアップを東京・原宿で開催

日本ブランド「SINSS」と韓国の人気ブランド(BROWNYARD、INSILENCEなど)が一堂に会する形で企画されました。nuguはもともとZ世代女性から支持を集めてきましたが、今回の取り組みでは男性層の開拓と、オンラインとオフラインの接点強化を目的とした戦略的展開が見られました。

会場では、nuguアプリへの登録導線や来場者限定のクーポン配布を通じて、リアルな接触体験からオンライン購買へのスムーズな移行が促されていました。

一連の設計は、ポップアップを一過性のイベントに終わらせず、継続的な顧客接点と売上への転換を生み出す“OMO型リテール戦略”の実践例として注目に値します。

「nugu」のポップアップの案内
「nugu」のポップアップの案内(出展:プレスリリースより)

ポップアップ体験をEC誘導するための3つのポイント

共感や高揚感を生むポップアップストアの体験も、ただの一時的な盛り上がりで終わらせず、オンラインへ波及・拡張させることが現代マーケティングの重要課題となっています。

幸い、デジタルネイティブ世代の行動様式とポップアップストアの親和性は高く、リアルとデジタルの好循環(フィードバックループ)を生み出すことが可能です。

1. SNSの連携

SNS活用の観点においては、ポップアップ開催時に公式ハッシュタグを設定し、来場者が撮影した写真や動画をSNSで投稿・拡散してもらうキャンペーンを準備。フォトブースで撮影した写真に「#○○ポップアップ」と付けて投稿すれば記念品がもらえる、抽選でプレゼントが当たる、といったインセンティブは多くのポップアップイベントで採用されています。

実際、ポップアップは元々、期間限定ゆえに話題性が高く、ユーザーの関心を引きやすい特性があります。その場で体験した興奮をリアルタイムにシェアした投稿は信頼性も高く、フォロワーの購買欲を刺激する強力なUGCとなります。

企業側も公式アカウントでユーザー投稿をリポストしたり、イベントの様子を積極的に配信することでSNS上の熱量を維持します。UGCを通じた波及効果は、広告にはない自然な形でブランド認知度を向上させてくれます。

2. ECへの導線設計

ECに接続するアプローチとして、ポップアップ限定商品や先行発売アイテムを用意し、それらを会場と公式EC双方で展開することで、来場できないファンやイベント後に興味を持ったユーザーにも購買機会を広げられます。

限定品や特典はSNS上でも「今ここでしか手に入らない!」という興奮とともに拡散され、来られなかったユーザーからも「欲しい」の声が上がります。

イベント終了後に公式オンラインストアやECモールで限定色の追加販売や再販を行えば、新規顧客をスムーズにオンライン購入へ導けます。事前にオンライン上での再入荷通知や販売ページを用意しておき、ポップアップ来場者には次回使える割引クーポンやフォロー誘導を行うなど、オフライン熱をオンライン購買につなげる仕掛けを用意しておくことが成功のポイントです。

3. コミュニティ形成

ポップアップ来場者限定のLINEオープンチャットやインスタライブに招待し、イベントの裏話やアフターケア情報を共有することで、ブランドと顧客の継続的な接点を作ります。

たとえば、来場者にQRコード付きカードを配布して公式LINEに登録してもらい、そこから限定コミュニティに誘導する施策は、イベント後もファン同士・ファンとブランドの交流が続く場となり、次回施策へのロイヤルティ向上につながります。

また、イベントで撮影した写真の投稿を募り、優秀作品をブランド公式サイトや店舗で展示するなど、ポップアップ発UGCを二次活用して盛り上げるケースもあります。ユーザーの声・創作物をフィードバックループに組み込むことで、ポップアップ体験が「その場限りで終わらない物語」となり、ブランドとの長期的なエンゲージメント資産となっていくのです

まとめ:Z世代の「可愛い自分」を応援する場として

コスメ・ビューティー系のポップアップストアは、商品の販売を超えてブランドの世界観を体験し共有できる場へと進化を続けています。

ポップアップストアも単に物を売る空間ではなく、「そのブランドやコミュニティの一員になれる自己表現の舞台」として設計していく必要性が高まっています。

共感と自己表現を軸に進化するポップアップの現在地は、まさに「“可愛い”をシェアし合うことで“可愛い自分”になれる場所」です。

各ブランドが工夫を凝らした体験空間を提供し続けることで、Z世代のファンとの絆はより強固になり、ひいてはそれがECを含むビジネス全体の活性化にもつながっていくでしょう。

中原 祐一郎

auコマース&ライフの「送料無料」表示見直しの取組事例、消費者庁が追加。アマゾン、楽天、LINEヤフーなど計6社の掲載に

3ヶ月 ago

auコマース&ライフが「送料無料」表示見直しの取り組みを進めている。このほど消費者庁が「送料無料」表示の見直しに関する事業者の取り組み事例として、auコマース&ライフを追加公表した。

auコマース&ライフとKDDIが運営するECモール「au PAY マーケット」のトップページ上に特設ページ「物流2024年問題への対応」のリンクを設置。ページでは商品の「送料無料」の仕組みや表示の意味の説明をしている。また、宅急便の再配達削減のための行動をユーザーに促し、商品を受け取る際に活用できる機能も紹介している。

消費者庁が公開しているその他の取り組み事例は次の通り。

アマゾンジャパン

企業情報サイトに、持続可能な配送をめざした取組内容の紹介コンテンツを追加。「送料を無料とする仕組み」についても説明している。

LINEヤフー

商品検索結果に表示される「表示情報について」をクリックすると、「送料無料=表示価格に送料が含まれる商品」という説明の表示を実施している。また、「置き配」が環境配慮につながることをPRするサイトを複数のモールで展開している。

楽天グループ

消費者に配送負荷の軽減のための行動を促すページに、「送料無料表示について」のコンテンツを追加。「その運賃は商品を購入したショップから支払われており、価格の中に適正に含まれています。ショップも、お客様によりお得な価格で提供するため様々な努力を行っています。」といった説明を加えている。

ファンケル

送料無料の表記を「送料はファンケル負担」または「送料当社負担」に5月から順次切り替え。「置き配」「おまとめ配送」にポイント付与するなどの再配達削減にも取り組んでいる。

JADMA

事業者団体としての「物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画」の中で、「『送料無料』表示の見直しや、表示する理由や仕組みを説明することに努めます。」と盛

鳥栖 剛

「カメラのキタムラ」のキタムラHD、「ピジョンメガネ」などのE2ケアホールディングスを買収

3ヶ月 ago

「カメラのキタムラ」などを展開するキタムラ・ホールディングスは8月19日、全国で約200店舗のアイウェア事業を展開するE2ケアホールディングスの全株式を取得する株式譲渡契約を締結したと発表した。

E2ケアホールディングスは、関西を地盤とする地域密着型のメガネ専門店チェーン「ビジョンメガネ」、東北・信越エリアを中心に展開する「弐萬圓堂」、都心型アイウェアセレクトショップ「POKER FACE」の3ブランドを手がける。キタムラ・ホールディングスとE2ケアホールディングスのグループの事業シナジーを最大化し、さらなる顧客価値創出をめざすとしている。

キタムラグループはこれまで、カメラ・写真関連業に加え、Apple製品の正規修理サービスやリユース事業などライフ領域の店舗事業も展開してきた。E2ケアホールディングスは「ビジョンメガネ」「弐萬圓堂」「POKER FACE」といったブランドで、メガネやコンタクトレンズ、補聴器や関連商品を取り扱う小売専門店を展開。今回、高い技術力と深い知識で地域顧客に寄り添い、社会に貢献し続けたいという思いを持つ2社の意向が合致し、E2ケアホールディングスのグループ化が決まったという。

今後はグループの強みを生かした店舗・新たな業態の開発、商品サービスの拡充を推進。親切丁寧な説明やヒアリングという顧客に寄り添った接客スタイルをさらに深化させ、より良い顧客体験を提供していくとしている。

鳥栖 剛

AI時代の検索は「GEO」に!? 「デジタルマーケターズサミット 2025 Summer」人気5講演を紹介

3ヶ月 ago

サイバーエージェント、SUBARU、キヤノンMJ、リコーなどが登壇する「デジタルマーケターズサミット 2025 Summer」を8月26日(火)にオンラインで開催します。広告主・マーケター限定のセミナーイベントで、全16講演をすべて【無料】で視聴できます。この記事では、全講演の中から集客数上位5つ※を紹介します。

※2025年8月18日までの集客数

イベントの詳細を確認する↓↓

デジタルマーケターズサミット2025Summer セミナー

1位
SEOからGEOに変化するのか? AI時代の検索の“現在地”

8月26日(火)10:00~10:45
講師:木村 賢 氏(株式会社サイバーエージェント)

AI時代の検索行動は変化している。SEOは“過去”の常識となり、AIに「選ばれる」ためのGEO(Generative Engine Optimization)になっていくのか? 検索行動の変化、GoogleのAI戦略、データベース型サイトへの影響、AI時代の検索の「現在地」と「未来」を探ります。

木村氏のセッションの詳細を確認する★

2位
SEOは終わるのか?AIで変わる新たな検索・購買体験。いま必要なGEO施策

8月26日(火)11:00~11:40
講師:月岡 克博 氏(株式会社Faber Company)

ChatGPTなどの生成AIの登場により、生活者の情報探索/購買体験も大きく変わりつつあります。デジタルでの接点もさらに多様化が進み、生成AIに向けた取り組みなども乱立する様相。
そこで本講演では、どう生活者の情報探索/購買体験が変わるのか。それに合わせた施策には何が必要なのか。いまブランドが取り組むべき生成AIに対応した施策“GEO(通称 AI SEO、LLMO)”の最新情報をお話します。

月岡氏のセッションの詳細を確認する★

3位
“見える化”から始まる変革:SUBARU Webチームが挑むWeb解析の社内浸透と企業サイト運営の工夫

8月26日(火)13:45~14:30
講師:佐藤 葉之 氏(株式会社SUBARU)、吉田 亘佑 氏(株式会社SUBARU)

企業サイトは企業の価値や姿勢を伝える重要な接点です。SUBARUではWeb解析による「見える化」を起点に、ツール活用や他部署との連携、ガイドライン整備とデザイン刷新により、運営の効率化とサイトの活性化を両立。Web担当者が抱える課題を解決してきた、現場の実践と工夫をお届けします。

佐藤氏/吉田氏のセッションの詳細を確認する★

4位
企画の成功に繋がるカスタマージャーニーを描くための、生成AIを活用した新手法(CEP発見手法)を事例を交えて解説

8月26日(火)15:40~16:20
講師:河津 龍斗 氏(株式会社ヴァリューズ)

各業界において市場が成熟し、各社がマーケティングを強化する中で、自社の顧客層を拡大していくために、「より顧客のことを理解して、マーケットインな取り組みをしたい」「消費者の隠れたインサイトを発見して他社と差別化したい」と考え、アプローチをする企業やブランドが増えています。

一方、自社顧客に対するアンケートデータ、POSデータ、GA4などのデータだけでは「新しい発見が得られない」「データを分析しても、実際の企画や施策にいかしきれていない」などというお悩みをよくお伺いします。

そんな中、ヴァリューズが保有しているWeb行動データをもとに生成AIを使いながら分析を行うと、効率よくカスタマージャーニーを理解し、商品企画やプロモーションの成功確率を高めることができます。

本セミナーでは、近年話題になっている、消費者の生活文脈に沿ったブランド想起のコンセプトである「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」の概念を用いながら、カスタマージャーニーを理解するための新手法を事例を交えてご紹介いたします。

河津氏のセッションの詳細を確認する★

5位
数字が苦手でもOK! 生成AIでデータ分析が簡単にできる

8月26日(火)16:35~17:20
講師:井水 大輔 氏(株式会社エスファクトリー)

生成AIを活用すれば、数字が苦手でもデータ分析が可能です。GA4やサーチコンソール、SNSなど「パワハラ級の大量データ」でもAIなら文句も言わず分析してくれます。数字アレルギーを克服し、データドリブンな意思決定をするための活用術を学びましょう。

井水氏のセッションの詳細を確認する★

名久井

「SEO(GEO)」「Web解析、データ分析」「生成AI活用」などに関する講演が人気ですね! これらの分野は変化が激しいので、常に最新情報をキャッチアップしておきたいところ。参加対象の方は、ぜひご参加ください!

他にも講演が盛りだくさんです。イベントは事前申込制ですので、お早めにお申込みください。なお、アーカイブ配信は予定しておりませんので、ぜひ当日に受講お願いします。

※本セミナーは広告主企業、ユーザー企業のCMO、マーケティング部門、経営企画部門を対象にしております。対象提供企業以外のご参加はお断りすることがございますので、予めご了承ください。

イベントの詳細を確認する↓↓

デジタルマーケターズサミット2025Summer セミナー
名久井 梨香
確認済み
17 分 3 秒 ago
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