進行する「社長の高齢化」。一方で企業業績は、社長の年齢に反比例して悪化することが判明【東京商工リサーチ調べ】

赤字企業の社長は「70代以上」が最多。増収増益企業の社長は「30代以下」が最多。

東京商工リサーチ(TSR)は、「企業業績は、社長の年齢に反比例する」という調査結果を発表した。同社は保持する企業データベース(約400万社)をもとに「社長の年齢」に関する集計を実施。2020年12月時点の代表者の年齢データを抽出・分析した。前回の調査は2020年6月。

増収増益企業の社長は「30代以下」、赤字企業の社長は「70代以上」が最多

まず、全国の社長の平均年齢は「62.49歳」(前年62.16歳)。日本全体の平均年齢も上昇しているが、社長の平均年齢も上昇し続けている。また伸び率も、調査を開始した2009年以降で2019年(0.43歳アップ)に次ぐ2番目となっている。なお全体の構成比では70代以上が31.8%と最多だった。

一方、社長の年代別に直近の企業業績をみると、「増収」だった企業は「30代以下」54.2%がもっとも多かった。「70代以上」は39.22%と全年代でもっとも少ない。「増益」も「30代以下」46.53%がもっとも多い。

逆に「利益横ばい」「赤字」「前期赤字」「連続赤字」は、すべて「70代以上」がもっとも多い。社長の年齢が高い場合、企業自体も創業が古く、産業も業態も従来型のものが多いと思われる。そのため、“社長が高齢だから業績が落ちる”とは言い切れないが、“社長の高齢化と業績不振には関連性がある”とは言えるだろう。

また、社長の平均年齢を都道府県別で見ると、最高齢は2015年以来6年連続で「高知県」64.61歳(前年64.25歳)だった。最年少は2年連続で「広島県」61.23歳(前年60.93歳)だった。なお30道府県が、全国平均の62.49歳を上回っている。

さらに、社長の平均年齢を産業別で見ると、最高齢は「不動産業」64.23歳、最低は「情報通信業」57.56歳だった。年代別の年齢分布では、「70代以上」の比率は不動産業が39.4%でもっとも高く、「30代以下」では情報通信業が6.0%と突出して高かった。業種別平均年齢では、農協や漁協など「協同組合」が最高の67.37歳だった。

なお、2020年に休廃業・解散した企業(4万9,698社)について、社長の平均年齢は70.23歳と、初めて70代に達した。生存企業の平均年齢(62.49歳)とは7.74歳差がある。なお年齢別の構成比では、70代以上が59.7%となっている。「代表者の高齢化」も休廃業・解散した背景にあると考えられる。

調査概要

  • 【調査対象】東京商工リサーチの企業データベース(約400万社)
  • 【調査方法】2020年12月時点の代表者(社長)の年齢データを抽出・分析
    ※「社長」は、代表取締役社長の他、個人事業主や理事長などを含む。
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