算数が苦手なマーケター向け「算数基礎講座」

【場合の数】何通りの計算方法は? 順列の公式や樹形図をやさしく解説

「7人から3人選ぶとき、何通り?」にパッと答えられますか? 場合の数を樹形図や順列の計算ができない方に易しく解説していきます。樹形図を頭の中に思い浮かべることができれば、𝑛𝑃𝑟のような公式は覚えなくてもよい! という、算数の苦手な人にとっては目からうろこのような記事です。

昔から、算数も数学も苦手なアユムは、希望が叶ってマーケティング部門に異動してきました。Web担で見るような「すごいマーケターになりたい!」と胸を躍らせていたが、配属後、理想と現実のギャップに苛まれることに。データ、数字、%、小数。うわぁーん、どうしたら、数字に強くなれるのでしょうか……。

この記事を読むべき人:場合の数を樹形図や順列の計算ですぐにできない方
この記事を読む必要がない人:樹形図がかける方、順列の計算をできる方
この記事でわかること:場合の数における樹形図と順列の考え方と計算方法

先輩

次の学生向けの企業説明会で、アユムさんの同期から3人に会社の先輩としてのスピーチをお願いしたいんだけど。

アユム

スピーチ! 緊張しますね。1曲歌ったほうがいいですか?

先輩

歌う必要ないよ。ところで、アユムさんの同期は何人だっけ?

アユム

7人です。

先輩

ということは、スピーチの順番まで考えると、全部で210通りだね。

アユム

(えっ)210通り…?(どこからその数字が出てきた!? 高速で数えたの⁉)

そこに現れたのが、大人向け数学教室「大人塾」を運営し、数学苦手な社会人に対して指導をしているモリさん。

アユム

モリさん! 早く数える方法を早く教えてください!

モリ

何をそんなに早く数えたいんですか。

アユム

7人の同期から選抜された3人が順番にスピーチをするんです。その際の順番が何通りか、先輩がすぐに出したんです。先輩が手にしている野鳥の会並みの数えるスピードを、自分も手に入れたいです!

モリ

なるほど、順列の問題ですね。

アユム

ジュンレツ…という歌手がいますね? その話?

モリ

違います。純烈ではありません。漢字も違います。「順番に列に並ぶ」の「順列」です。

アユム

その順列、マスターしたら高速計測ができるんですね! 早く教えてください!

まずは樹形図をかいてみよう

モリ

順列の考え方を理解するために、人数を少なくして考えましょうか。

アユム

7人ではなく、4人にしましょう。純烈は4人組なので。

モリ

ひっぱりますね(笑)。それでは、その4人の並び順について考えてみましょう。仮にその4人をA、B、C、Dとしましょう。まず、「A」をかいてください。

アユム

かきました!

モリ

それでは、横に枝をかきます。
Aの次に来るのはBかCかDですね。枝を3本かき、その先に、B、C、Dとかいてください。

アユム

こんな感じですか?

モリ

Bの後ろにくるのは、CかDですね。同様に、C、Dの後に並ぶのは残りの2人ですね。それをあらわしてみましょう。

アユム

できました!

モリ

これでAさんが最初に並んだ場合、何通りになりますか?

アユム

6通りです。

モリ

ということは、Bさん、Cさん、Dさん、それぞれが1番のときはすべてで何通りになりますか?

アユム

それぞれ6通りなので、同じような樹形図が4つできるということですね。つまり、6×4=24通り……ということですね!

モリ

このように枝分かれした図をかきながら、並び順を数え上げる方法を樹形図をかくといいます。
かくときのポイントは

  • 条件を漏れなく順番に
  • 考えすぎずに、端から丁寧に

です。

順列の公式を使って解いてみよう

アユム

でも、樹形図をかいていると時間が無くなりませんか? 先輩みたいに秒で数えあげたいです。

モリ

わかりました。早く数えあげるには、目を鍛えるか、公式を覚えるかがいいでしょう。ここでは公式を使って解く方法を覚えます。ただし、公式を覚える前にもう一度樹形図を確認しましょう。

アユム

(…目を鍛えるという選択肢があるの?)

モリ

それぞれ、何本に枝分かれしたのかを確認しましょう。

Aから出ている枝は、B、C、Dの3通りですね。つぎに、3番目にいるのは、2通りです。最後に並ぶのは、残り1人しかいないから1通りですね。

アユム

1番目はどうなりますか?

モリ

1番目は、A、B、C、Dの4候補いるので、4通りです。

アユム

ということは……?

モリ

それぞれ次の順番に並ぶ候補は、残りの人の分あるということです。ということは、掛け算をすればいいのです。この場合だと、4×3×2×1=24(通り)です。

アユム

さっきと同じ答えになった!

モリ

このように、順位や役職など順番があるもの(A→BとB→Aの違いに意味があるもの)を順列といいます。順列の計算方法は「最初の候補数 × 次の候補数 ×……」と次々とかけていきます。

アユム

なるほどぉ。樹形図をかかなくても計算できるんですね!

モリ

公式では 𝑛𝑃𝑟 と表します。異なる𝑛個のものから異なる𝑟個のものを順に取り出すという意味です。この場合は 4𝑃4=4×3×2×1=24 です。

アユム

あ、この𝑃とかなんとか見た覚えが…。すっかり忘れてました。ちなみに、𝑃ってどういう意味でしたっけ?

モリ

英語の “permutation” (パーミュテーション)の略ですね。日本語では「順列、整列、並べ替え」など、並ぶ順番に意味がある言葉です。

アユム

では、4人から2人だけ並んでもらう場合はどうなるのですか?

モリ

4人から2人を順に並べるので、4𝑃2となり、4×3=12通りになります。

先輩の問題を解いてみよう

アユム

順列の公式はわかりました。あとは、先輩の問題ですね。

モリ

それでは解いてみましょうか。再確認ですが、話す人たちの順番を決める必要がありますよね?

アユム

あります。たとえば「1番浅井さん、2番井上さん、3番上田さん」と「1番井上さん、2番上田さん、3番浅井さん」の組は違うものとして数えたいです。

モリ

それならば順列ですね。全部で何人なんでしたっけ?

アユム

7人です。ということは、異なる7人なので、𝑛=7ですね。

モリ

何人話すんでしたっけ?

アユム

3人です。つまり、3人を順に並べるということですね。

モリ

公式にあてはめると…?

アユム

7𝑃3=7×6×5=210(通り)! 先輩はこれを使ったのですね!

モリ

先輩が猛烈に数えるのが早いのでなければそうだと思います。

樹形図でも確認しよう

モリ

公式を覚えると、解くのは速くなりますが、樹形図もしっかりかけるようにしておきましょう。

アユム

こんな感じですか?

モリ

いいですね!イメージをきちんと持てれば、公式を忘れたとしても計算できますよ。

樹形図でいろいろな問題について考える

アユム

〇通りという計算、楽しいですね。今まで、たくさんあって数えられない! と思っていたものがすぐに計算できるのは気持ちいいです。

モリ

例えば洋服を決めるときとかにも使えますよ。シャツを5枚、ズボンを3枚持っているときの組み合わせは…?

アユム

シャツから2枚選ぶわけではないから、さきほどの𝑃の公式では解けないじゃないですか!

モリ

そういうときこそ、樹形図に戻りましょう。ズボンをA、B、C、シャツをP、Q、R、S、Tとして、樹形図をかいてみましょう

アユム

ズボンAのときの組み合わせはこんな感じですね。ズボンAにつき5通りです。

モリ

となると、ズボンとシャツの組み合わせは…?

アユム

ズボンが3種類だから 3×5=15通りですね!

モリ

それでは次の問題です。部内で一人コントをするとしましょう。

アユム

一人コント⁉(ハードル高い~!)

モリ

10人の部署で2回一人コントをするイベントを催します。同じ人が2回舞台に立ってもいいとすると、その順番は何通りですか?

アユム

あれ? 同じ人がもう一度出てもいいってことは、次の候補の人数が減らないということですよね。

モリ

そういうことです。樹形図にしてみましょうか。

アユム

ということは、最初の候補は10人、次の候補も10人だから、10×10=100通り ですね!

モリ

その通りです。〇通りと聞かれた場合は、質問の内容をしっかり理解しましょう。

アユム

今まで公式を覚えるばかりで、どういう計算なのかをすぐに忘れてしまっていたのですが、樹形図を通じたイメージがあれば使いこなせそうです! 瞬時に〇通りが計算できれば、いろいろ悩まなくて済みますね。

モリ

はい、この場合の数は、確率をだすときにも必須の考え方なので、しっかり理解しておきましょう。

ポイント

  • 樹形図とは、木の枝のように場合分けをあらわしたもの。
  • 順列は、異なる𝑛個のものから異なる𝑟個のものを順列で取り出すという意味。
  • 公式だと「𝑛𝑃𝑟」。
  • 樹形図を頭の中に思い浮かべることができれば、公式は覚えなくてもよい。
  • 質問の内容をしっかりと理解する。
  • 複数の種類や重複があって公式「𝑛𝑃𝑟」が使えない場合は、樹形図をかいて規則性を見つけて計算する。

今日の問題をおさらい

Q1. 7人の同期から選抜された3人が順番にスピーチをするんです。その際の順番は何通りですか。

7𝑃3=7×6×5=210
答え:210通り

Q2. 4人が順番に並ぶとき、その並び順は何通りですか。

4𝑃4=4×3×2×1=24
答え:24通り

Q3. 3枚のズボンと5枚のシャツ、組み合わせは何通り?

3×5=15
答え:15通り

Q4. 10人の部署で2回、一人コントをするイベントを催します。同じ人が2回舞台に立ってもいいとすると、その順番は何通り?

10×10=100
答え:100通り

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