「お仏壇のはせがわ」がコンテンツマーケティングでセッション数前年比3.5倍に!SEO初心者が成功した3つの秘訣
TVCMを中心にしたマスマーケティングにより成長してきた老舗企業「お仏壇のはせがわ」は、コロナ禍で実店舗の休業を余儀なくされたことを機に、デジタルへの関心が高まりコンテンツマーケティングを開始。わずか1年半でサイトセッション数を前年比3.5倍へ押し上げた。SEO初心者が多数であったはせがわがどのようにして成果を上げたのか。
「Web担当者Forumミーティング 2022 秋」のセッションでは、はせがわの吉田普氏と、同社を伴走支援したFaber Company(ファベルカンパニー)の東真澄氏が、コンテンツマーケティングで成果を上げるまでの道筋や成功の背景、コンテンツマーケティングの成功の秘訣などを解説した。
業界のリーディングカンパニー/老舗企業が、コンテンツマーケティングを本格化させた理由
1929年創業の老舗企業で、仏壇・仏具業界のリーディングカンパニーである「お仏壇のはせがわ」(株式会社はせがわ)は、コロナ禍で実店舗の休業を余儀なくされ、店舗への集客が難しくなったことから、オンライン活用の重要性を再認識することとなった。
さらに、「実店舗を訪れることができるようになっても、お客様が検討のために足を運ぶ店舗数が減少している可能性がある」と吉田氏は顧客行動の変化を指摘。デジタル上での認知拡大が重要であるという機運が社内でも高まり、2021年春頃よりコンテンツマーケティングに本格的に取り組みはじめたという。
Web広告やSNSなどWebマーケの手法は多岐にわたります。そのなかでコンテンツマーケティングを選択したのは、Web広告よりもストック型のコンテンツ制作の方が中長期的にも効果が狙えるという理由です。WEB広告へ大きく予算傾斜することが社内環境的に難しかったことも背景にあります(吉田氏)。
コンテンツマーケティング成功の3つの秘訣
コンテンツマーケティングに取り組んだはせがわは、およそ1年後となる2022年6月の時点で、前年比3.5倍のセッション数を実現。2022年3月期の決算説明会資料を見ると、来店組数は前期比+7.7%、仏壇契約高は前期比+5.4億など業績も堅調だ。
しかし、はせがわにはWebマーケティングに詳しい社員は少なく、「SEOという言葉も聞いたことのない社員が多かった」(吉田氏)のだという。そうしたWEBマーケティング初心者が多いチームで、どのようにして成果をあげたのか。吉田氏は成功の秘訣として下記の3つを挙げた。
- 担当者を配置
- 顧客視点のコンテンツづくり
- セミナー・勉強会でトレーニング
ポイント ① 担当者を配置
1つ目が、コンテンツマーケティングの担当者を配置したことだ。はせがわでは当初、コンテンツマーケティングの担当者を置いておらず、メンバーを評価するうえでの目標にもコンテンツマーケティングは含まれていなかった。その結果、施策は滞りがちになっていた。
そこで担当者を2名配置するとともに、コンテンツマーケティング施策を個人の成果目標に設定し、報酬とも関係がある形にした。それまで行っていなかった進捗管理も週次で必ず実施することにした。
進捗管理のポイントは「担当者名を明記すること」だと吉田氏は強調する。企業によっては資料への名前の記入をはばかることもあるが、名前を明記することで責任の所在を明確にし、進捗に遅れが出づらい仕組みを作った。
ポイント ② 顧客視点のコンテンツづくり
成功要因の2つ目は、顧客視点でのコンテンツづくりだ。東氏によると、特に初心者はコンテンツ制作の際に「自分たちの言いたいことを言ってしまう」傾向があるそうだ。企業視点ではなく、顧客視点でのコンテンツづくりに徹したことが、アクセスアップにつながった。
顧客視点、つまり顧客のニーズを読み解くうえでは、従来の購入者アンケートや接客時の会話に加え、Googleの検索キーワードやサジェストワードが大きなヒントとなる。
Googleの検索窓に「仏壇 は」と入れると、さまざまなサジェストワードが出てくる。「仏壇 配置」「仏壇 配置 浄土真宗」などのワードからは、「仏壇の配置や置き方を知りたい」「どこの方角に置いたらいいのか」「宗派による置き方の違いがあるのか知りたい」などの顧客ニーズを推測することができる。
このニーズ調査を手作業で行うのは手間がかかる。はせがわでは、Faber Companyが提供するSEO・コンテンツマーケティング支援ツール「ミエルカSEO」を活用することで、ニーズ調査を効率化し、業務負担の軽減につなげた。ミエルカのニーズ分析機能は、どういうサジェストキーワードがあり、どういう情報が求められているのかをわかりやすい形で“見える化”してくれる。
ミエルカを活用したコンテンツ制作の流れについては後述する。
ポイント ③ セミナー・勉強会で担当者育成
成功の秘訣3つ目は、セミナー・勉強会での担当者育成だ。東氏は「ニーズ調査などでツールは有効だが、コンテンツの構成・ライティングは人が考える必要がある」と担当者のスキルアップの重要性を訴える。
そこで東氏は、担当者が作成した構成案にフィードバックを伝える機会を設けた。また、記事リライト方法、SEOやWebマーケティング全般に関する相談にも乗り、GA4といった最新トレンドのオンラインレクチャーも実施。こうしたサポートは、ミエルカユーザーなら誰でも受けられるものだ。
はせがわのご担当者の意欲はたいへん高く、8か月目には、指摘する箇所のない完璧なコンテンツを担当者だけで作成できるようになりました。トレーニングの積み重ねの結果、コンテンツマーケティング施策の計画から進行までをご担当者だけで回せるようになったのです(東氏)。
“はせがわ流”コンテンツ制作の流れ4ステップ
続いて、コンテンツマーケティングのプロである東氏が、コンテンツ制作の流れを4ステップに分けて解説した。ちなみにミエルカは、4フェーズの中の「① 検索ニーズ調査」と「③ 構成案設計」で主に活用できる。
- 検索ニーズ調査
- コンテンツリスト
- 構成案作成
- 原稿執筆・公開
ステップ ① 検索ニーズ調査
はじめに、顧客にどういったニーズがあるのかを調べるところからスタートする。ミエルカのニーズ分析機能を活用すると、たとえば「供養」に関連するニーズのまとまり具合を図式化できるようになる。円のサイズは各検索キーワードのニーズの大きさを表わしている。
注目すべきはいくつもの円が重なっているところだ。図の右上の赤枠赤箇所では、「パワーストーン 供養 神社 東京」「ぬいぐるみ 処分 供養」「人形 供養 無料」などの検索キーワードが重なっている。これらから、パワーストーンやぬいぐるみなどのモノを供養してから処分したいユーザーは、(供養したいものは違うが)知りたい情報が似ているのではないか、と推測できる。
これらの関連性の高いテーマをカバーしたコンテンツを制作することで、顧客の情報ニーズを満たしやすくなる。
ステップ ② コンテンツリスト
次に、①で分析したニーズのまとまりを基に、どんなコンテンツが必要かを洗い出し、リストアップする。この段階では、ニーズを持つ検索者のペルソナ、知りたいこと、検索時の感情など、ニーズをさらに深掘りしていく。そしてそのニーズに対して、企業としてどのような答えや解決策を提示できるかも書き込んでいく。
ステップ ③ 構成案作成
コンテンツリストができたら、ひとつひとつのコンテンツをどういった内容にするか、構成案と呼ばれるコンテンツの設計図を作っていく。
- ニーズの詳細
- 目標とする検索キーワード、月間検索数
- ニーズに該当する既存ページ一覧
- コンテンツの差別化方針
- 見出し(H2、H3)や語る内容など
「この構成作成ステップは非常に重要です」と東氏は言う。競合他社も工夫を凝らしたコンテンツをアップしている中で、自社としてどう内容を差別化し、どう独自の価値を提供して行くのか、その方針を決めなくてはならない。
ステップ ④ 原稿執筆・公開
方針が決まれば、あとは構成案に基づいて必要な情報を集め、記事のストーリーや流れを組み立てて、ライティング・校正をして公開すれば完了だ。
ミエルカのトレーニングによる担当者の成長と成果
こうした取り組みの結果、はせがわのWebサイトは、2021年春頃の取り組み開始から、2022年6月には前年比で3.5倍のセッション数を達成した。もともと3年ほどかけて到達すると想定していた数値だが、前倒しで達成することができたという。
担当者の成長により、吉田氏が実作業に関与せずともプロジェクトが回るようになったのも成果のひとつだ。吉田氏を含め、Web担当の課長職は多忙だ。SEOやWeb広告などのWebマーケティング施策はもちろん、マス広告や営業店の対応が発生することもある。コンテンツマーケティングを推進する際も、Web担当の課長職がそこに割けるリソースは限られており、みずから記事の執筆や細かな校正を行うのは非現実的だ。
そこで不可欠なのが担当者の成長でした。Webマーケティング初心者だった担当者が、東さんのトレーニングにより、「突っ込むところがなく完璧」と太鼓判を押されるほど成長したことは、何よりも大きな収穫でした。
東さんにサポートしていただいたこの1年半、私はほとんど口を出していません。『個人評価と連動した担当者を置く』『ミエルカを使い倒す』『東さんのサポートも使い倒す』。それだけでこの結果が出たと思っています(吉田氏)。
Webマーケティングをより強化するには
約1年半にわたるコンテンツマーケティング施策を踏まえ、吉田氏と東氏はこれからの展望を述べた。
経営貢献を伝える
はせがわの業績は好調だ。前述したとおり、店舗への来店数、仏壇の成約数・契約高はいずれも伸びている。
ただ現状の課題として、サイトのアクセス増が業績に与えた影響を明確に説明できる材料が揃っていない。リアル店舗での販売がメインとなる業態では、Web施策の経営貢献は計測が難しい場合も多い。吉田氏は今後の展望として「仮説や推計値に頼らない形での、経営へのインパクト計測」を挙げた。
デジタル活用をさらに拡大
もうひとつの展望は、「コンテンツを他媒体に拡大すること」だ。1年半にわたって積み上げてきたコンテンツという“資産”を、GoogleマップやSNSなど他のデジタル媒体へと横展開し、顧客とのタッチポイントを増やしていきたいという。
吉田氏は最後に、「チームメンバーが全くの初心者だったから、うまくいった可能性もあります。真っ白な状態だったので、東さんおよびFaber CompanyさんのSEOやコンテンツマーケティングの知識を素直に、貪欲に、吸収できたんだと思います」と述べ、セッションを終えた。
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