新たなチャレンジをするすべてのマーケターへ。掛け算型スキルアップのすすめ
想像した以上に長期化しているこのコロナ禍。
極めて変化が激しく、予測困難な状況に直面している状況を、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取って「VUCA」と呼びますが、コロナ禍に見舞われている現在の世の中は、文字どおりの不確実性に溢れた世界となっています。
一個人のキャリアや人生に「もしも」はないのですが、「もしも今、自分が商業ディベロッパー勤務だったら」「もしも今、自分が飲料メーカー勤務だったら」という想像が頭をよぎることがあります。
――コロナ禍が終息するまで、同じ会社でがんばり続けているだろうか?
――それとも、新たな仕事や環境にチャレンジするだろうか?
そんなことを考えるきっかけになったのは、SNSに流れてきた情報や、名刺アプリのデータ更新通知でした。社外の友人が相次いで新たな「掛け算型スキルアップ」へのチャレンジに踏み切ったことを知ったのです。
スキルアップは、足し算型か、掛け算型か
私は、商業ディベロッパーに勤務していた2004~2012年の間、「足し算型」のスキルアップをしてきました。
総合職入社だったので、ジョブローテーションという名の下、2〜3年ごとの全国転勤とともに、大型商業施設の店舗運営において経理から総務、販促、改装まで、ほぼ全領域を経験してきました。多くの先輩方というロールモデルがある中で、その背中を見ながら仕事をしてきました。ある意味、安定した線路の上を走りながら、スキルアップをしていたイメージです。
ところが2012年夏、転機がやってきました。Web担当者でもなく、エンジニアでもない中堅サラリーマンが、全社のデジタル施策を牽引する部門の担当に就いたのです。それまでは趣味の範囲だったWeb・デジタルに、仕事として取り組むことになりました。
ゼロからスマホサイトを立ち上げ、O2Oやオムニチャネルに取り組みました。今で言うなら「DXへの取り組み」なんて形容されるかもしれません。
この、会社として未知の領域へのチャレンジは、私個人にとっては、「掛け算的」スキルアップへのチャレンジでした。それまでのスキルとは別の、まったく異なる、異世界・異業界の知見を身につけ、それまでに得たスキルに「掛け算」的に応用することで、加速度的にパフォーマンスを高める必要がありました。
それまで敷かれていた線路は在来線であったことに気がつき、この機に、特急に乗り換え、いや、新幹線並みの速度へギアチェンジをしたのです。
私は当時、仕事と並行してビジネススクールにも通っていたので、1日が24時間では足りないくらいの生活をしていました。これは、当然ですが、良い面と悪い面があります。
加速度的な速さでスキルアップができる反面、睡眠時間を除けばほぼすべての時間を仕事に費やしているような状態なので、心身ともに常にかなりのストレスがかかっている状態になります。
オンとオフのバランスは、大事です。リモートワークへの移行が浸透しつつある現在においても、「在宅だから」と仕事とプライベートの境目がなくなるのは危険です。オンとオフは意識して切り替えた方がいいです。
掛け算型スキルアップの選択は、可能性を大きく広げるきっかけになる
自身に負荷を与える「掛け算型」スキルアップは、激しい成長痛を伴います。「足し算型」の安定的な成長も当然選べましたが、今振り返れば、当時の選択は正解だったと思っています。その後の自分の可能性が大きく広がったからです。
ただ、当時の私が「掛け算型スキルアップ」にチャレンジできたのは、小売業を取り巻く環境が厳しくなる予兆があったとはいえ、外部環境がある程度、安定していたからでもあります。もし当時の環境が、現在のVUCAのような状況であったなら、思い切った選択ができなかったかもしれません。
ところが、この激動の1年、私の周囲には、企業都合や外部環境悪化による解雇といったネガティブな要因ではなく、自らの意志で、それまでと異なる、新たなフィールドを選択して、チャレンジしている人を多く目にしました。
この不確実性に溢れた時代に、安定的な環境ではなく、新たな環境へのチャレンジを選択できる人、動ける、変化できる人を、心から尊敬します。
同じ業界から去るチームメンバーや友人に対しては、正直なところ、寂しい、残念な気持ちもありますが、彼ら、彼女らの選択は、本当にすばらしい、すごい選択だと思っています。
負荷のかかる道かもしれませんが、こんな時代だからこそ、掛け算型の選択は、自らの能力を飛躍的に伸ばし、可能性を大きく広げるきっかけになるはずです。
今回の寄稿は、私の身近な人を想定して書いた内容ですが、きっと読者の皆さんの中にも、同じようなチャレンジをしている人がたくさんいることでしょう。
困ったときは、いつでもお声がけください。相談に乗ります。そしてそのアドバイスをウェビナーのコンテンツにして、同じ悩みを抱えている人に届けたいと思います(笑)。
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