SNSの利用は幅広い年齢層へ広がり、特に若年層では友達や社会とつながる重要なコミュニケーションツールとなっています。ソーシャルメディアは生活者の価値観や世相を色濃く反映しており、ソーシャル上でのユーザーの発信傾向をウォッチ・分析することで、ユーザーの価値観変化やトレンドの動向をつかむことができるのではないでしょうか。
この記事ではBACKYARD編集部の活動の中で集まった、ソーシャルのユーザー動向、若者トレンド研究、最新のデジタルマーケティング情報などを元に、ユーザーの価値観変化や行動変化を分析し、4つのユーザートレンド傾向としてまとめました。
【SNSから見えてくる4つのユーザートレンド傾向】
傾向①:「盛り」から「ナチュラル」へシフト
傾向②: “キラキラ”リア充から、 “こなれ”リア充へ。
傾向③:SNS複数使いは当たり前。ユーザーのSNSごとの投稿使い分けが進む。
傾向④:リアルとバーチャルの境目が曖昧になってきている。
それでは、順番にみていきましょう。
【トレンド傾向①】「盛り」から「ナチュラル」へシフト
アーリーアダプター層の間では、2018年の夏頃を境にして、いわゆる“インスタ映え”と言われている非日常のキラキラ感や完璧な美しさを追い求める傾向から、ナチュラルがかっこいいという傾向に変化しだしています。
Instagramの投稿傾向をみてみると、写真の色合いはミレニアルピンクなどのフォトジェニックな色合いから、彩度暗めのブルー系や無彩色、ダークな色合いの写真へと変化。
投稿内容の傾向としても、非日常なイベントごとのハレ投稿から、飾っていない日常の何気ない投稿が増えつつあり、自然体でナチュラルな方向へシフトしつつあるようです。
【トレンド傾向②】 “キラキラ”リア充から、 “こなれ”リア充へ。
Instagramから見てとれる若者のリア充像が、「オシャレで充実しているリア充な私」から、「自然体で仲間を大切にしているリア充な私」に変化してきています。
自分を中心として写していた写真から、仲間と楽しんでいる自分を写すなど、トレンド傾向①でも少し触れましたが、傾向として「キラキラとした非日常のイベントを楽しんで充実している私」から、「仲間を大切にして充実している私の日常」にシフトしている様子が見えてきます。
この傾向は、Instagramの投稿だけではなく、日常での消費行動の変化も生み、若者のリア充像そのものが変化しつつあるのではないかと推測されます。
ストーリーズが若者のリアル友達との居場所となった結果、不特定多数の価値観の合う人たちからのいいね集めから、より身近なリアル友達・交友範囲からのいいねを気にする傾向にシフトしているのではないでしょうか。
若者のリア充トレンドの変化について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
【トレンド傾向③】SNS複数使いは当たり前。ユーザーのSNSごとの投稿使い分けが進む。
InstagramにTwitterたまにFacebook……など、複数のSNSを使い分けている人は多くいると思われますが、最近の使い分けの傾向として同一人物の同じテーマの投稿でも、SNSによって誰に向けての発信か、投稿の目的や内容、投稿タイミングが違っている傾向が見られるようになってきています。
同じテーマでも投稿の目的が違う
🔥アジアカップ⚽️決勝戦🔥
— 吉田 豊(ゆってぃ)ぴっぷアキンドサポーター (@yuxttchi) February 1, 2019
南野 キターーーーッ
ナイスゴール‼️‼️
🇯🇵日本1️⃣ - 2️⃣カタール 🇶🇦
🔥4年に1度のアジア最強国決定戦🔥#王座奪還 #柴崎岳 #南野拓実 #原口元気 #大迫勇也 #吉田麻也 #長友佑都 #サッカー日本代表 #asiancup2019 #カタール戦 #森保ジャパン pic.twitter.com/XlfejoL5Ot
例えば、サッカー観戦をテーマにした投稿を、同一人物が複数のSNSに投稿する場合では、Instagramではサッカー観戦を楽しんでいる“私”が投稿の中心ですが、Twitterではリアルタイムで観戦の興奮を伝える“気持ちの共有”が話題の中心、TikTokでは サッカーイベントへの“気分を盛り上げる”動画が投稿の中心といった使い分けがされているようです。
ほかにも、グルメテーマでの投稿であれば、Instagramでは食事を楽しんでいる“私”が投稿の中心ですが、Twitterでは話題の商品を試した感想といった“自分の意見”を投稿し、TikTokでは同じような話題の商品でも、“動画映え”するグルメを中心に投稿しているといった具合に、使い分けされている傾向がうかがえます。
Instagramはいつもの居場所。Twitterは社会とつながる場所。
前述のような同一テーマでの投稿内容や目的の違いなどから、各SNSの使い分けや役割を分類してみました。ユーザーにとって各SNSがどのような場所なのかを意識することで、企業のユーザーコミュニケーションはよりスムーズになるのではないでしょうか。
【トレンド傾向④】リアルとバーチャルの境目が曖昧になってきている。
AR、VTuber、バーチャルインスタグラマーなど、VR/AR系コンテンツが多数出現し、2019年はリアルとバーチャルが双方向に混じり合う新しい体験やサービスが次々と生まれています。バーチャルリアリティ技術の向上により、実現できるクオリティが格段に向上し、実証実験やリリースが活発化しています。
【アプリAR、WebAR、 AR広告】
AR技術の精度が格段に向上。2018年にはWebブラウザ上でARが動くWebARも実装され、一般に広がる下地が整ったことで、企業のAR活用事例が急激に増えています。
YouTube「AR Beauty Try-On」
米Google公式より引用。リンク先に動きのある画面サンプルあり:
https://blog.google/products/marketingplatform/360/immersive-branded-experiences-youtube-and-display-ads/
アプリでのAR機能のビジネス活用について、最新の事例とともに解説しています。こちらもご参照ください。
【VTuber・VRライブの盛り上がり】
2次元アニメ系キャラが主流のVTuberですが、2018年から2019年にかけ企業系VTuberが数多くデビュー。現実にいる芸能人をVTuber化したジャニーズバーチャルプロジェクトや、ファッショナブルなバーチャルインスタグラマーなども話題になりました。
また、VRゴーグルを着用しバーチャル世界でライブ体験できるVRライブは、VRライブ用のプラットフォームも登場し、VTuberによるVRライブイベントが行われるように。企業事例では日清焼そばU.F.O.がバーチャル記者会見を開くなど、企業でも活用される事例が出始めています。
本日は21時30分頃から #苺谷星空、22時15分頃から #海堂飛鳥 がそれぞれのルームで配信いたします!
— バーチャルジャニーズプロジェクト公式 (@vjpofficial) July 21, 2019
今日は2人の通知表の結果発表と飛鳥画伯の絵の解説をします!
大物発掘✨
星空ルーム:https://t.co/jGkORgkLzD
飛鳥ルーム:https://t.co/nVO8nl8OVu pic.twitter.com/lmWA98DVhl
企業でのVTuber活用事例については、こちらの記事もご参照ください。
【アバター活用】
アバターは自身に似せたキャラクターをデジタル上で再現させたものですが、2018年後半から2019年前半にかけてZEPETOアプリのアバターを使ったインスタ投稿が増えるなど、アバターが若者の間で流行しました。
若者のアバターの使い方、投稿事例などの詳細はこちらの記事をご参照ください。
多様化するユーザー動向を把握し、新しい顧客体験を考えるには、 ソーシャルメディアでのトレンド動向を押さえることはとても重要です。SNSの普及により、ユーザートレンドの移り変わりのスピードは年々激しくなっています。今回レポートしたトレンド傾向もどんどん変化していくでしょう。
今後も継続的にユーザー動向をウォッチし、レポートしていきます!
SNSトレンドを探る。こちらの記事もどうぞ!
>>5大SNS動向と新機能まとめ_Instagram、Facebook、Twitter、LINE、TikTok【2019年上半期】
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