LINE福田氏、クレディセゾン栗田氏、ソフトバンク岩本氏の「仕事上で覚悟を決めた瞬間」
女性の活躍を推進する動きが高まっている一方、女性が仕事をしていくなかで「腹をくくるタイミング」は必ずあるだろう。
LINEが主催するマーケター向けのオフ会「LINE Marketers Meetup Ⅱ」の第2部は、ITテクノロジー領域で仕事している女性を支援する組織WITI JAPANとLINEのコラボ企画として、ソフトバンクの岩本嘉子氏、クレディセゾンの栗田宏美氏、LINEの福田とも子氏がパネリストとして登壇。モデレーターは村上佳代氏が務め、女性マーケターのキャリアについて聞いた。
ロールモデルがいないことを言い訳にしない
村上氏(以下、村上): 今日は女性のキャリア、仕事をしていくなかで腹をくくったタイミングについて聞いていきたいと思います。事前にパネリストの3人に、腹をくくったタイミングのキーワードをあげてもらいました。
福田さんが腹をくくったのは「ロールモデルがいないことを言い訳にしない」ということでした。最初は、ロールモデルを探していたということですか?
福田氏(以下、福田): はい、社会人になりたての頃は探していました。自分の同世代の人とも、「『この人のようになりたい』という人が会社にいないよね」みたいな話をしていました。誰を見て成長すればよいかがわからなくて、どんな人間になっていけばよいか、悩んでいた時期だったと思います。25歳くらいでしたね。
村上: 迷える25歳ですね(笑)。福田さんご自身は、「ロールモデルはいない」と悟ったときに、考え方が変わったということですか?
福田: 変わりました。会社の公式アカウントの開設を認めてもらって、勝手にソーシャルマーケティングを始めました。2009年頃の話です。その後、他社のソーシャルアカウント立ち上げの相談を受けるようになって、そのときに「ロールモデルを探す、というのは自分への言い訳に過ぎなかった」と、気づいたんです。
当時勤めていた会社は、インターネットに詳しい会社ではありませんでした。そこでロールモデルを探すことをやめて、自分自身が好きなことに向かっていった方が、自分にとっても会社にとってもいいんじゃないかと、気持ちが切り替わりました。新しいところで自分らしく頑張ってみよう、と。それが腹をくくったタイミングです。
村上: なりたい自分になろうと思ったときが最初の腹をくくったとき?
福田: そうですね。それまでは、なりたい自分が描けていなかったんです。
村上: 自分のオリジナルのロールモデルを作る、他人に求めるものではなくてっていうことですね。
福田: 「なりたい自分って何だろうな」と考えるところから始めてみようみたいな。ありがたいことに、「私みたいになりたい」と言ってくれる人がいるんですが、私を真似る必要はないんです。自分自身の個性とか、やりたいことを活かして、社会とか会社だけではなくて、家庭内でもやりたいことを実現していけばいいんじゃないかなと今は思います。
村上: ロールモデルなんて探さなくてもいいというので、安心したというか。地に足がついた感じですかね。
福田: そうですね。何も目指さなくていい。私自身がやりたいこと、やるべきこと、やれることを極めていこうという感じでした。
夫の海外赴任を活かす働き方を選択!
村上: 続いて、クレディセゾンの栗田さんに話を聞いていきます。栗田さんの「腹をくくったタイミング」はエッジがきいています(笑)。
栗田氏(以下、栗田): 私の「腹をくくったタイミング」は、「イスラエルに行かないという選択肢はない」というものです。背景を説明しますと、夫がいまイスラエルにいまして、3歳の息子を実母と一緒に共働きで育てています。実家が和歌山でして、ワンオペで仕事にコミットするのは難しく、当時58歳の母に東京に転職してもらいました。
夫は、昨年からイスラエルに単身赴任しています。夫の海外赴任がわかったタイミングで、私は宣伝部から今の部署に異動になることがわかっていました。「ますます仕事がおもしろくなるぞ」というときです。
村上: イスラエルの話を聞いたとき、どう思いました? これから自分の立場がおもしろくなりそうなのに、旦那さんは「ついてきて欲しい」と思っていたということでしょうか?
栗田: ついてくること前提で、「じゃ、引っ越しどうしよっか?」という感じでした(笑)。私は自分の異動がわかっていたので、「いやー、ついていけないんだよね」と言うと、夫はドン引きでした。その後家庭内ガザ地区…いえ、幾度となく話し合いを重ねて、夫は「任期は3年。最初の1年なら待てる」と、歩み寄ってくれました。そこから、私はイスラエルで働く方法を模索。会社の上司にも、「イスラエルに行って働き続けられないか」と、相談しています。
村上: イスラエルに支社があるんですか?
栗田: ありません。でも、ダメ元というか、イスラエルに行くことが意外にも会社に貢献できるんじゃないかなと思いまして(笑)。イスラエルと日本の時差は、6時間くらいですから、日本とのコミュニケーションにはそこまで支障がなさそうですし。
たとえば、弊社はベンチャーキャピタルをもっているのですが、イスラエルでは1年で600社ものスタートアップ企業がうまれています。投資先として良さそうなスタートアップを紹介したり、場合によっては協業できそうな会社があるかもしれない、と。
村上: 女性がイスラエルでもリモートワークできる、そういう環境を整えるという意味で、もし実現したらすごいと思います。クレティセゾンさんへの就職希望者が増えそうですね。
栗田: 実現できたらいいなと思います。私は、プライベートも仕事に活かすワーク・ライフ・インテグレーション的な考え方なので…ちゃんと上司も向き合って、調整してくれているので、折り合いがつけばいいなぁと願うばかりです。
村上: 実現できれば、素晴らしい会社ですね。
出産するとき「管理職になると決めた」
村上: 岩本さんはソフトバンクで課長職を務めていらっしゃいます。そんな彼女が、腹をくくったタイミングは「管理職になると決めた」ときということだそうですか、これはどういうことでしょうか?
岩本(以下、岩本氏): 私は子供が2人いますが、一人目を出産した後に、上にいきたいと真剣に考えました。出産後の育児休暇明けには、後輩が上になっていたり、時短で他の人と比べて業務量がこなせず、評価もされづらいと感じている中でした。1人の力では限界がある、チーム力でやりたい事を実現するしかない。私は「管理職にならなければ」と。それが腹をくくったタイミングですね。
そこから、まず自ら「管理職になりたいです」と上司に伝えました。そして管理職になるためには、家族にも全面的に協力してもらわないといけません。夫は元から理解がありましたが、子どもにも、「お母さん仕事頑張っていて、〇〇ちゃんも協力してくれてるからディズニーにも泊まれるんだよ」って、3歳くらいの子に言っていました(笑)。
村上: ソフトバンクでもママかつ管理職の割合はどのくらいでしょうか?
岩本氏: 正確な数字はわかりませんが、10%いないと思います。
村上: そういった状況で、自分のキャリアを積んで管理職になると覚悟したのが、岩本さんの腹をくくったタイミングということですね。
岩本: そうですね。
村上: バックグラウンドがそれぞれ違うお三方のお話から、「腹をくくったとき」について伺ってきました。もしキャリアに悩まれている方のヒントになったら、幸いです。
また、今日は男性のお客様が圧倒的に多いようでしたが、自身のパートナーや彼女がどういう思いや姿勢で仕事をしているかを考えるきっかけになれれば幸いです。
今日は、どうもありがとうございました。
最後に
女性マーケッターの本音トーク、どんな感想をもたれただろうか? 男性の読者の方は、ときには自分の奥さんをペルソナ分析して、何を望んでいるのかニーズを考えてみるのもよいかもしれない。
女性の読者の方で、「私の場合はもっと〇〇なんだ」と言いたいことが溜まった方は、ぜひ同業の友だちに吐き出してほしい。あるいは、WITI JAPANのイベントに参加してみてはいかがだろうか? 今回LINEとともに第2部の企画をしたWITIは、ITテクノロジー領域で仕事している女性を支援する組織。WITI JAPANでは、今回のように、女性が管理職になるとはどういうことか、などのイベントを企画している。
ソーシャルもやってます!