コンバージョンはどう定義すべき? ポイントは「計測可能」「サイトにとって望ましい行動」 #2
この記事は、書籍『いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開しているものです。
はじめに、コンバージョンとは何か、つまり「どのように我々はコンバージョンを捉えるべきか」を考えるところからスタートしましょう。ポイントは、「計測が可能な行動であること」「サイト運営者にとって望ましい行動であること」の2点です。
Chapter 1 間違いだらけのコンバージョンを正しく理解しよう
Lesson 02 [定義と前提]
コンバージョンとは何か、いま一度考えてみよう
○コンバージョンをどう定義するか考える
コンバージョンが「顧客への転換」を意味するのであれば、コンバージョン行動は、「計測が可能な具体的な行動であり、その行動をとれば顧客に転換したとみなしていい行動」と定義できます。そこで、まずは何がコンバージョン行動になるかを考える必要があります。
1つ注意が必要なのは、ここでいう「顧客」とは必ずしもお金を払ってくれている訪問者だけではないという点です。あくまで「サイト運営者にとって望ましいコンバージョン行動をとってくれる訪問者」を顧客と考えます。本書では、購入が発生しないタイプのサイトもコンバージョン最適化の対象としますので、このような定義づけを採用することにします。
合わせると、本書ではコンバージョン行動を「計測が可能な行動」かつ「サイト運営者がその行動をとった訪問者を顧客とみなす行動」と定義します。ただし、顧客かどうかはリピートの回数や訪問頻度などに基づいて段階的に考えるべき場合も多々あるので、個別事例でのコンバージョン行動の定義づけについては後述します。
本書では「訪問者」とはサイトにアクセスする訪問者全般のことを指し、「顧客」とはそのなかでコンバージョン行動をとった人という意味で使います。
○「計測が可能な行動」とは?
では「計測が可能」とはどのような意味でしょうか? 計測するには、何をもって「コンバージョン行動をとった」とするかを定義づけている必要があります。例えば、コンバージョン行動が購入や登録などの場合は定義には悩まないでしょう。
ただし正しく計測するには、「購入キャンセルの扱い」「仮登録と本登録のどちらを採用するか」「購入回数や金額でのランクづけの扱い」といった点にまで厳密に定義が行き届いている必要があります。
いったん定義を決めれば、コミュニティサイトのような一見コンバージョン行動がないように見えるサイトでも、コンバージョンを計測できるようになります。
計測できるようにするには、サイト運営者である皆さんが直接に計測できるデータを使ってコンバージョン行動を定義しましょう。多くは、サイト内で訪問者がとった行動になりますが、なかにはサイト外の行動でコンバージョンを定義したくなることがあります。
ただここで重要なのは、皆さんが直接計測できないデータはコンバージョン行動を定義する要素として選択しないということです。
○直接に計測できない行動は使わない
直接に計測できない行動の例として、「オフラインでの行動」が挙げられます。来店予約行動をコンバージョンとして考えたときに、「サイト内で予約行動をとった訪問者が本当に来店したのか?」は重要な問いです。ただし本当に来店したかどうかを直接計測できない場合は、来店行為をコンバージョン行動として採用してはいけません。
「直接に計測できる」とは、「その行動がとられたかどうかを正確に補足できる」かつ「計測結果を自分の好きなときに入手できる」ことを指します。これに当てはまらない行動は、コンバージョン行動として採用するにはふさわしくありません。
直接に計測できない行動をコンバージョン行動として選ぶと、最適化どころかコンバージョンの有無さえ正しく認識(信頼)できなくなります。またプロセスが見えないだけでなく、結果さえ正しく認識(信頼)できなくなります。さらに、計測結果を自分で入手できないと、数値を得たいときに得られなくなります。「数値を出してください」と都度他部門に依頼するようだと、結果的にデータに接する頻度も少なく(月1回など)なり、改善のプロセスを回すどころではなくなってしまいます。
○「望ましい行動」には段階がある
次に、「サイト運営者が訪問者を顧客とみなす行動」とは何を意味するのかを考えてみましょう。どのような行動をコンバージョン行動とするか、つまり何を望ましい行動とするかは、皆さんにとってもっとも重要な意思決定の1つです。
例えばECサイトでは、コンバージョン行動を購入行動と定義していることが多いでしょう。しかしほとんどのECサイトでは、単発の購入行動よりもリピート購入行動や定期購入行動のほうが、より望ましい行動として位置づけられます。リピート購買行動も、2回より3回、3回より4回のほうが望ましいに決まっています。
つまりコンバージョン行動には、「した」「しない」だけでなく、「段階」や「プロセス」の概念があるということです。「中間コンバージョン」という言葉がありますが、これもコンバージョン行動に段階があることを示します。コンバージョンというと「これをすればゴール! 終わり!」というニュアンスを感じるかもしれません。実はその前にも後にも「段階の異なる望ましい行動」があり、その連なりで進んでいくことで訪問者が徐々に顧客になっていくという捉え方のほうが現実的です。
購入して終わりではなく、その先にもコンバージョン行動があります。
○計測可能にするために「望ましい行動」を決める
コンバージョンに段階があることを理解できると、例えば「コミュニティサイトでの投稿行動」も、(回数が増えれば増えるほどより濃い顧客と考えられるのであれば)コンバージョン行動として採用できます。
ただし、「回数が多いほど」のままだと計測できないので、「どの段階まで至った訪問者を顧客とみなすのか」を決める必要があります。ここでは皆さん(場合によって経営者の)意思決定が求められます。
購入行動も「より多いほうがいい」に決まっていますが、それでは計測が可能になりません。計測を行うには、何回以上のリピート購入を望ましい行動とするかを決める必要があります。
ワンポイント
主な指標はしっかり理解しておこう
コンバージョンを考えるうえでは、基本的なデジタルマーケティングの指標を理解しておく必要があります。以下に主な指標をまとめたので、復習として確認してみてください。
デジタルマーケティング担当者としては、ここに挙げた指標はしっかり押さえておきたいところです。
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KPI/KGIの適切な定め方、課題の抽出方法、施策の優先順位の付け方なども実践的に紹介しているので、本書を読めば自社サイトを改善する具体的な道筋がハッキリ見えるはずです。
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