いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本(全7回)

コンバージョン最適化を仮説・実践・検証の「3層」で理解する #4

サイト全体を俯瞰してコンバージョン最適化する。「3層」からなるCROPフレームワークで自分たちが何をやっているかを見える化する。(第4回)
いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本

この記事は、書籍『いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本』の一部をWeb担向けに特別にオンラインで公開しているものです。

コンバージョンの最適化は、仮説の立案から実践、検証というプロセスをたどって行います。この一連の活動は、実はとても複雑な構造をしています。本レッスンでは、この構造を「3つの階層」として捉えることでわかりやすく解きほぐしていきたいと思います。

Chapter 3 コンバージョン最適化を「構造」から捉えよう
Lesson 12 [最適化の3つの階層]
コンバージョン最適化を「3層」で理解しよう

○「個々の要素の最適化」だけでは不十分

まず「コンバージョン最適化」が何を指すかを考えてみましょう。一般に「コンバージョン最適化」というと、ページレイアウトやバナーのABテストを行ってCTR(Click Through Rate/クリック率)の高いほうを採用したり、入力フォームを最適化したりする施策を想像するのではないでしょうか。こうしたページや画像、フォームなどの「個々の要素」(以下、コンポーネント)に対する最適化はもちろん重要ですが、第1章と第2章で解説したように、全体視点をもってこれらを行うことが大切です。

サイト全体で達成すべき目的に近づくには、第2章で解説したように「仮説と検証」のプロセスをくり返していきます。

前述した個々のコンポーネントの最適化は、このプロセスの1つに過ぎません。第1章のレッスン5で説明したように、このようなコンポーネント単位の最適化を本書では「狭義のコンバージョン最適化」と呼びます。そして仮説・検証のプロセスをくり返すことを「広義のコンバージョン最適化」もしくは単に「コンバージョン最適化」と呼ぶこととします。

コンバージョン最適化を広義に捉えると、普段のサイト運営業務も原則的にこの活動の一環として行われているはずなのです。くり返しますが、部分最適に陥って「木を見て森を見ず」という状態にならないように、広義と狭義をうまく両立させながら進めていくことがコンバージョン最適化には重要です。

「広義のコンバージョン最適化」を頭に置いておくと、第2章で説明したような失敗も避けられます。

○コンバージョン最適化を3つの階層で捉えよう

コンバージョン最適化を広義に捉えることは、日々のサイト運営業務をこなしているとなかなか難しいものです。どうしても目の前の業務に注力しがちで、その結果として狭義のコンバージョン最適化につい目がいってしまいます。

全体視点をもたずに部分最適を行っていると、「その施策を実施する意味がなかった」という結果になりかねません。例えば「バナーのCTRを上げるべくABテストをくり返していたが、そもそも遷移先ページのコンテンツがイマイチなのでCTRを上げても無駄だった」「メールの反応を良くするために配信時間をいろいろと変えて試したが、メルマガ会員自体が減少傾向にあるためLINEに切り替えるべきだった」などといったケースです。

これらは皆、狭義のコンバージョンだけを見て、広義のコンバージョン最適化に対する視点を欠いていたために発生する失敗です。そこで、広義・狭義の区別をわかりやすくするために、まずはコンバージョンの最適化を図表12-1のような3層で捉えることからスタートしましょう。第2章のレッスン11で示した「目的」「指標」「課題」「解決手法」を決めていく4つの段階は、もつべき視点の広さに応じてそれぞれ図の3つの層に当てはめられます。コンバージョン改善の「大前提」および課題の選定部分をもっとも広い視点で行う「マネジメントレイヤー」、解決手法は施策の種類によって「プロジェクトレイヤー」と「コンポーネントレイヤー」に対応し、仮説検証はこの3層をくり返すプロセスと位置づけられます。

各層の詳しい説明は第5章以降で行い、章を追うごとにこの図は精緻になっていくでしょう。以降、本書ではこの図を「CROPフレームワーク」(Conversion Rate Optimization Processフレームワーク)と呼びます。CROPフレームワークは、コンバージョン最適化のプロセスの全体像を俯瞰的に眺め、今自分たちが何をやっているかを理解して迷子にならないための地図の役割を果たします

「3つの層」からなるCROPフレームワーク [図表12-1]

○最適化の「3つの階層」を理解しよう

では図表12-1にある上中下の「3つの層」を1つずつ見ていきましょう。各層で広義のコンバージョン最適化に必要な業務を行います。層の違いは視点の違いを表しており、上が俯瞰的、下が部分的な視点での業務になります

上の層では、対処する課題を決めるところまでを行います。課題の決定はサイト運営をするうえでもっとも俯瞰的な視点で行う必要があるため、この層には「マネジメントレイヤー」という名前をつけます。

中の層では、決定した課題に対処する施策を実施します。特定の課題に対応する施策の実施ということで「プロジェクトレイヤー」と名づけます。

下の層では施策自体の最適化を行います。前述した狭義のコンバージョン最適化とは、この層で行われる施策を指しています。ここは「コンポーネントレイヤー」と名づけます。コンポーネントには、Webページそのものやバナー画像、テキストのコピー、エントリーフォームなど、施策を構成する「要素」(コンポーネント)が該当します。

○3つの階層は「仮説の階層」であることを理解しよう

この3つの層での業務を進めていくうえでは、いくつかの仮説に基づくことになります。例えば、上の層で対処する課題を「リピート購入の増加」にしたとすると、「新規購入や流入の増加よりもリピート購入に力を入れたほうが良い」という仮説を採用したこととなります。

同様に、中の層での施策決定、下の層での最適化個所の決定なども「リピート購入増にはこのやり方が最善だ」という仮説を採用したことを意味します。それぞれ、1つ上の層の仮説に基づいて次の層の仮説が立てられていることがわかると思います。

仮説の構造と関係 [図表12-2]

○「仮説の階層」を理解するのがカギ

第5章以降で詳しく説明しますが、これらの仮説はさらにいくつかの仮説から成立しています。

コンバージョン最適化の活動が複雑な構造をしていると述べた最大の要因が、この「仮説が階層構造になっている」点にあります。このあと詳しく解説していきますが、仮説の階層構造というのは大変に厄介で、捉えにくいものです。第2章で紹介した失敗事例も、この階層構造が問題を見えにくくしているために発生したと言っていいでしょう。

本書は、この「階層化された仮説」をいかに解きほぐしていくのを解説した書籍であるといっても過言ではありません。

マネジメントレイヤーの仮説と施策の関係を考える [図表12-3]

仮説ドリブンの施策に慣れていないと、ここまでの説明は、まだ難しく感じるかもしれません。でも大丈夫です。章ごとに考えるべきことや注意点を具体例と共に紹介していきます。

ワンポイント
従来の施策はほぼプロジェクトレイヤー

皆さんが日々行っている施策はほぼプロジェクトレイヤーに該当する業務です。現在取り組んでいる施策がマネジメントレイヤーのどの課題を解決するための施策なのかをはっきりと認識できないと、第2章で述べた「今取り組んでいる施策は何のためにやっているのか?」がわからなくなってしまいます。施策を実施している対象の課題がわからない場合は、マネジメントレイヤーに戻って「課題を決めるプロセス」をやり直すことをおすすめします。

  • 著者:深田 浩嗣
  • 発行:株式会社インプレス
  • ISBN:978-4-295-00015-0
  • 価格:1,780円+税

いちばんやさしいコンバージョン最適化の教本
人気講師が教える実践デジタルマーケティング

どんなサイトでも必ず改善します!

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ECサイトだけでなく、コーポレートサイトやコミュニティサイトなど、どんな種類のサイトでも必ずコンバージョンを改善するためのPDCAの考え方などを丁寧に解説しています。

KPI/KGIの適切な定め方、課題の抽出方法、施策の優先順位の付け方なども実践的に紹介しているので、本書を読めば自社サイトを改善する具体的な道筋がハッキリ見えるはずです。

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