キリン加藤美侑のデジタルマーケティングなう

氷結があの漫☆画太郎先生とコラボレーション!? 似顔絵ジェネレーター導入の背景と効果とは?

「氷結®」で行った漫☆画太郎風キャラクターを作れる似顔絵ジェネレーターのキャンペーン。その目的と成果、成功のポイントとは

最近は、さまざまな企業が「似顔絵ジェネレーター」をデジタルマーケティングに使っています。似顔絵ジェネレーターというのは、有名キャラクター風の画像を生成できるWebサービスのことです。

「氷結®」でも2016年4月に、漫☆画太郎風キャラクターを作ることができる似顔絵ジェネレーターを使ったキャンペーンを行いました。みなさんもTwitterなどで、このようなキャラクターを目にしたことがあるのではないでしょうか。

「あたらしく☆画たろう!!!」ジェネレーターで作られた画像

これは、氷結®の「あたらしく☆画たろう!!!」というジェネレーターコンテンツによって作られたものです。このビジュアルインパクトのかなり強い、ユニークな画像生成のジェネレーターコンテンツですが、

  • どのようにして漫☆画太郎先生で実施することになったのか
  • どんな効果があったのか
  • なぜ多くの人に楽しんでいただけたのか

を、今回はご紹介します。

あたらしく☆画たろう!!!とは?

「あたらしく☆画たろう!!!」は、ユーザーのみなさんが、マンガ界の革命家、あの、漫☆画太郎先生風タッチの似顔絵をスマートフォンで自由に作ることができる似顔絵ジェネレーターコンテンツです。

「あたらしく☆画たろう!!!」
「あたらしく☆画たろう!!!」サイトで見る

やり方は簡単です。「自分の画像をアップロードする」か「輪郭、目などのパーツを組み合わせる」だけで、漫☆画太郎先生風の似顔絵を作ることができます。

似顔絵を作ったら、「新しい自分に向けた宣言文」を追加して完成です。ただ単に似顔絵を生成するだけでなく、決意の一文をプラスしてもらうことで、「氷結®」がユーザーのみなさんの「あたらしくいくための宣言をさせちゃおう!」というわけです。たとえば、以下のような具合です。

「あたらしく☆画たろう!!!」ジェネレーターで作られた画像

この「あたらしくいく」というのは、今年度の「氷結®」ブランドからのメインメッセージです。ただ単に似顔絵を作ってもらうだけではなく、楽しんでもらいながらも、ちゃんとブランドメッセージを感じ取って自分ゴト化してもらえるような仕掛けにしているのです。

漫☆画太郎風似顔絵ジェネレーターは、「あたらしくいこう」を自分ゴト化してもらうためのキャンペーン

発売15周年を迎えた「氷結®」は、今年、「20代を中心とした若年層のブランド想起の回復と好意形成」を今年度の課題として、さまざまな施策に取り組んできました。

「氷結」ブランドのメインメッセージ
「氷結®」ブランドのメインメッセージ

今年度の「氷結®」ブランドからのメインメッセージである「あたらしくいこう」を軸に、これまでTVCMはもちろん、「さかなクンWeb動画施策」など、Web上でつねに話題になっているように、さまざまなPR施策を実施してきました。それらの施策は、「『氷結®』が、何かあたらしいこと・面白いことをやっているな」とお客様に感じてもらうことが共通の目標の1つです。さかなクンWeb動画施策については、この連載の前々回の記事で取り上げました。

それに続く施策である「あたらしく☆画たろう!!!」キャンペーンは、「自分も友達にあたらしい一面を見せてみよう」と思ってもらうきっかけを提供し(そして「氷結®」が好きになる)、「自分ゴト化」を促すための施策です。自分の顔がビジュアルインパクトの強い形に変わり、さらに周りに新しくなった姿とともに宣言をしてもらうことによって、より多くの方々に「氷結®」が掲げている、「あたらしくいこう」を“体験”して楽しんでもらうことが目的でした。

100万回以上の利用と100媒体以上に掲載を達成

ティザーからWebメディアへのPR、CMタレントのSNSからの拡散に加え、アイコンを変更した期間に応じてプレゼントが豪華になるキャンペーンを組み合わせて、合計100万回以上利用いただきました。

SNS上でもたくさんの人に楽しんでいただいた様子もたくさん見受けられ、いろいろな人の「あたらしく☆画たろう!!!」画像がまとめサイトにまとめられました。Webメディアでも100媒体以上に掲載いただき、話題化を促進できたと考えております。

施策成功のポイントは話題の起点を複数持てたこと

じつは、今回の似顔絵ジェネレーターコンテンツも当初、どの漫画家さんやキャラクターにするか、複数の候補がありました。その中から、チーム内で何度も話し合いを重ねたり、簡単なアンケートなどで反応を確認して、最終的に漫☆画太郎先生に決定した、という経緯があります。

ポイントとなったのは、「話題の起点を複数持てるかどうか」という視点です。漫☆画太郎先生の画風であれば、もともとの漫☆画太郎先生ファンだけでなく、おもしろネタに反応する人たちや、有名タレントの方たちを起点にして広がるのではないか、と仮説を立てました。

結果として、有名タレントの方々にシェアされたことによってそのファンに広がったり、好きなアニメキャラクターを画太郎風にしたまとめ記事からおもしろネタファンに拡散したりと、仮説どおり、話題の起点が複数ありました。その話題の起点をコアとして、ここから拡散していく流れを作れたところがポイントです。

「あたらしく☆画たろう!!!」話題の構造
複数接点を組み合わせることで相乗効果が生まれ、いろいろな人にシェアしてもらうことができた
高橋みなみさん(Twitter)
綾小路翔さん(Instagram)
小林幸子さん(Twitter)

この「話題の起点を複数持つ」というのは、予算の大/小は問わず、デジタルマーケティングにおいて重要なポイントと考えています。1つのコンテンツでいろいろな人に響くというのは、非常に効率がよいからです。

では、どうすればあるコンテンツや情報が話題の起点を複数持つようにできるのか? それは、それぞれのファンや興味がある人たちの間で、“駆け巡る情報になるか”を、しっかり考えることです。それぞれの話題に興味がある人や、コンテンツで起用したタレントさんや作家のファンの人が思わず拡散したくなるような視点をもった内容にしないと、世の中に溢れる情報に埋もれて無視されてしまいます。

SNSの世界には、おもしろくて楽しそうなコンテンツや情報があふれています。そうした中から、ユーザーに企業のコミュニケーションに興味を持っていただくというのは簡単ではありません。この視点は必ず忘れないようにすべきです。

上代晃久のワンポイントコメント
キリン株式会社CSV本部 デジタルマーケティング部主査 上代晃久
キリン株式会社CSV本部 デジタルマーケティング部主査 上代晃久

効果的なジェネレーターには、参加者の自由度を持たせること、かつブランドが伝えたい世界観を崩さないことの両立が必要です。“話題の起点を複数持つ”という狙いは、「多くの参加者の方に楽しんでもらおう」という意思で、氷結チームが企画を練りこんできた成果だと思います。

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