レポートを複数人で共有して効率化! GAにユーザーを追加する方法と権限の考え方[第8回]
企業Webサイトのアクセス解析をすべて1人で行うのは大変だし、非効率的だ。企業でWebサイトを扱っているなら、多くの部署や関係者がかかわっているだろう。マネージャー層だったり、外部スタッフだったりいろいろな関係者がいると思うが、適切にレポートを共有すれば負担をぐっと減らすことができ、そのぶん、分析にじっくり時間をかけられるようになる。
Googleアナリティクスには、閲覧・編集ユーザーを追加する機能がある。「よくわかっていない人に勝手に設定を変えられると困る」と思うかもしれないが、ユーザーが持つアクセス権限には4つの種類があるので「設定変更はできず、閲覧のみ」という追加の仕方も可能だ。
ここでは、ユーザーの追加方法と、どのように権限を付与したらよいのかという考え方を解説する。
- ユーザーを追加する
- ユーザーの4つの権限の考え方を知る
- アカウント・プロパティ・ビューの権限の親子関係を理解する
「ユーザー管理」画面からユーザーを追加する
まずは「アナリティクス設定」画面から「ユーザー管理」画面を表示しよう。
- [アナリティクス設定]をクリック(図1赤枠部分)
- アカウント、プロパティ、ビューをそれぞれのプルダウンから選択(図1青枠部分)
- [ユーザー管理]をクリック(図1緑枠部分)
すると「ユーザー管理」画面(図2赤枠部分)が表示され、Googleアナリティクスのアカウントを作成したばかりであれば、画面上部には作成した自分自身のGoogleアカウント(メールアドレス)1つだけがユーザーとして表示されているはずだ(図2青枠部分)。
画面下部の「権限を付与するユーザー」のエリア(図2緑枠部分)で、新規ユーザーを設定していくという流れだ。
4種類のアクセス権限を知る
ユーザーを追加する前に理解しておくべきことがある。それは「アクセス権限」、つまりそのユーザーがレポートを見るだけなのか、設定の変更もできるのかなどの権限を決める設定だ。
「ユーザー管理」画面でユーザーを追加する際に「権限を付与するユーザー」の右側にあるプルダウン(図3赤枠部分)をクリックすると、4つの選択肢が表示される(図3青枠部分)。この4つがアクセス権限の種類だ。
自分自身(最初のユーザー、つまり管理者)には、4つすべての権限が付与されていることが確認できる(図3緑枠部分)。追加するユーザーには、これら4つの権限からふさわしいものを設定する(図3青枠部分)。
そのためには4種類のアクセス権限の内容について理解しておく必要があるので、説明していこう。
①ユーザー管理
ユーザーの追加や削除、権限レベルの設定など、Googleアナリティクスを利用するユーザーを管理できる権限。ユーザーのアクセス権限の付与をコントロールする役割を持つ。この権限だけではレポートを見ることはできない。
たとえば、人事部が社員の異動に合わせてGoogleアナリティクスを利用するユーザーの権限管理をするような場合に、人事部の担当者にこの権限を付与するとよい。
②編集
Googleアナリティクスのデータ収集や集計の各種設定(ユーザー管理を除く)が可能な権限で、③の「共有設定」の権限も含まれる。つまり、収集するデータのカスタマイズや集計レポート(ビュー)のカスタマイズ設定ができる。たとえばWebサイトを管理しているリーダーなど、データの収集と分析の全体を統括する人にこの権限を付与するとよい。
③共有設定
レポートの表示やレポート内のデータ操作ができ、個人的に作成したアセット(セグメント、メモ、マイレポートなどの一部)を他者と共有して編集し合える権限で、次の「表示と分析」の権限も含まれる。
②の権限のようにおおもとのデータ収集・集計の各種設定を編集することは認められないが、前述の限られた範囲で、他のメンバーと共有する情報を扱っても問題のない人にはこの権限を付与するとよい。
④表示と分析
レポートの表示やレポート内のデータ操作ができるが、個人的に作成したアセット(セグメント、メモ、マイレポートなど)を他者に共有することはできない権限。③のユーザーから共有してもらった情報は閲覧できるが、編集はできない。
どんな操作しても誰にも迷惑をかけることがないので、初めてGoogleアナリティクスを利用する人にはこの権限を付与するとよい。
権限を設定してユーザーを追加する
それでは、実際にユーザーを追加する方法について説明していこう。
ここでは、新しく追加するユーザーに「表示と分析」の権限を与える場合を解説しよう。入力ボックスの部分には、そのユーザーのGoogleアカウント(メールアドレス)を記入する(図4赤枠部分)。
- [権限を付与するユーザー]にGoogleアカウント(メールアドレス)を入力(図4赤枠部分)
- 権限をプルダウンから選択(図4青枠部分)
- [このユーザーにメールで通知]にチェックを付ける(図4緑枠部分)
- [追加]をクリック(図4黒枠部分)
「このユーザーにメールで通知」をチェックすると(図4緑枠部分)、そのユーザーのメールアドレスに対して「Googleアナリティクス アカウントのビューへのアクセスが許可されました」というタイトルのメールが送られる。追加したことを相手に伝えたいならここをチェックしておくとよいだろう。
追加が完了すれば、「ユーザー管理」画面上で新規ユーザーが追加されたことを確認できる(図5赤枠部分)。
なお、4種類のアクセス権限のところで説明したように、②の「編集」は③と④を含むので、「編集」にチェックを付けると、自動的に「共有設定」と「表示と分析」も選択される(図6赤枠部分)。
また、③の「共有設定」は④を含むので、「共有設定」にチェックを付けると、自動的に「表示と分析」も選択される(図7赤枠部分)。
権限の範囲を図で表すと、次のようになる。
アカウント、プロパティレベルでもユーザーを追加可能
ビューのユーザー管理は、これまでの説明で完了だ。しかし、実はアカウントとプロパティの項目にも「ユーザー管理」がある。Googleアナリティクスでは、アカウントやプロパティレベルでもユーザーを追加することが可能だ。
ここからは、少し複雑になるので中級者向けの内容となる。
もし、同じユーザーにプロパティとビューで異なる権限を与えた場合、一体どうなるのだろうか? アカウント/プロパティ/ビューの3つの階層間での設定の関係には2つのルールがある。
- ルールA: 親階層で設定した権限は、下の階層に引き継がれる([アカウント]>[プロパティ]>[ビュー]の順)。
- ルールB: ただし、子階層で設定された権限は、親階層で設定された権限よりも優先される。階層が下に進むにつれて権限を増やすことはできるが、減らすことはできない。
つまり、親階層で許可した操作を、子階層でNGにすることはできないということだ。逆に、「このビューに限って編集も可」のように、子階層で権限を追加することはできる。
アカウントの「ユーザー管理」画面ではユーザーを削除できる
アカウントの項目の「ユーザー管理」(図9黒枠部分)をクリックしたのが図10だ。
ユーザーの削除機能は、アカウントの項目の「ユーザー管理」(図10赤枠部分)にしか存在しないので、ユーザーの削除はここから行う。右端にある「削除」をクリック(図10青枠部分)すると確認画面が表示されるので、問題なければ「ユーザーを削除」をクリックすればよい。
アカウントレベルでアクセス権限を指定したければ、プルダウンで4種類の権限から指定しよう(図10緑枠部分)。ただし、たとえば先にビューレベルで「表示と分析」しか権限を与えていない場合、アカウントレベルでその上位権限である「編集」を選択することができない。前述のルールBが適用されるからだ。
アカウントやプロパティレベルで権限を指定するなら、ユーザーの全体の権限構造を一望できる画面で見直すとよい。「プロパティまたはビューレベルで割り当てられる権限」をクリックしよう(図10黒枠部分)。
すると図11のような画面が表示される。この画面で、該当ユーザーのアカウント/プロパティ/ビューのすべてのレベルの権限を指定することができる。
1つ例を出して解説しよう。たとえばプロパティのアクセス権限のプルダウンで「編集」を選択(図12赤枠部分すると、ルールAによって、該当プロパティ配下の2つのビュー(図12青枠部分)にも自動的に同じ権限が適用される(図12緑枠部分)。
次に、その状態で「標準のビュー」の権限(図13赤枠部分)に「ユーザー管理」を加えると、今度はルールBが適用され、このビューにすべての権限を付与することができた(図13青枠部分)。
このように、アカウント/プロパティ/ビューのすべてのレベルでユーザー管理の項目があり、画面も少しずつ異なるため最初は少し戸惑うかもしれない。しかし、部署やチーム単位できめ細かいユーザー管理が必要な場合は、この設定にもチャレンジしてほしい。
自分自身のアクセス権限を削除するには?
異動などで、Googleアナリティクスを見る必要がなくなった場合には、「ユーザー管理」権限をもっている人が図10の画面から該当ユーザーを削除することができることは前述した。この作業は、該当ユーザー自身でも行うことが可能だ。
「表示と分析」権限ユーザーでログインして、アカウントの項目の「ユーザー管理」(図14青枠部分)をクリックすると図15の画面が表示される。ここで「このアカウントから自分を削除」(図15赤枠部分)をクリックすればよい。最終確認画面で「OK」をクリックすれば自分のアクセス権限を自分で抹消できる。
「ユーザー管理」権限を持ったユーザーが1人は必要
それでは、すべての権限を持っているユーザーが異動などで自分自身の権限を削除する場合にはどうしたらよいのだろう。アカウントの項目の「ユーザー管理」でも、すべての権限を持っているアカウント作成者自身の削除ボタンは存在しない。
こうした場合は、「ユーザー管理」権限を持った誰かを少なくとも1人追加しておけばよい。2人以上「ユーザー管理」権限を持ったユーザーが存在(図16赤枠部分)すれば、どちらかを削除しても「ユーザー管理」権限を持つ人がいなくなる心配はなくなるので、どちらのユーザーにも削除ボタンが出現(図16青枠部分)する。
このように後任者のユーザーを先に追加しておけば、自分自身を削除することができるというわけだ。これで、引き継いだユーザーにあとは任せよう。
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