【Webあるある】問合せ先として個人のメアドを記載→その人が退職→修正で大騒ぎに
今日は、実際にあった事例から「Webあるある」を。Webサイトなどに問い合わせ先メールアドレスとして個人メールアドレスを記載するのはNGです。必ず共有アドレスを用意し、それを使うようにしましょう。
御社では、問い合わせメールアドレスとして、個人のメールアドレスをWebサイトに記載してしまっていませんか?
問い合わせメールアドレスとしては、個人メールアドレスではなく、共有メールボックスなどを使い、担当が変わっても問題なく引き継げるようにしましょう。
実際にあった「問い合わせメアドの人が退職して大騒ぎ」
実際にあったこととして、こんな感じの話を、最近聞きました。
20人程度の出版社で、昔から営業として活躍していた人が、諸般の事情により退職することに。
調べてみると、その人の個人メールアドレスが問い合わせ先として記載されているところが、Webサイトにも出版物にも販促物にも膨大に。
Webサイトで個人メールアドレスが記載されているところを調査して、一般の問い合わせ対応メールアドレスに変更したが、出版物に関しては数が多すぎて対応しきれない。
仕方がないので、その人の個人メールアドレスを当面は共有メールボックスとして運用することになってしまった。
この人は創業メンバーの1人で、会社の中心人物としてコミュニティからも信望が厚く、営業面の責任者ですから、その人のメールアドレスが問い合わせ先として記載されていることには違和感はありません。
また、言ってみれば、実質の社長のようなものだと言ってもいい側面もあり、周囲からは「まさか、あの人が辞めるとは」という人だったんですね。
でも、社内のいろんな事情で退職せざるを得なくなり、前述のような騒ぎに。
最初から問い合わせ先として記載するのは共有アドレスにしていれば、こんなバタバタにはならなかったのですが……。
顧客対応窓口は「1つの点」にしてはいけない
問い合わせ先として個人のメールアドレスではなく共有アドレスにするべき理由は、退職以外にもあります。
それは、顧客コミュニケーションが1人に任せっきりになってしまう点です。
少し話題は変わりますが、情報システムの世界で「Single Point of Failure(SPOF)」という考え方があります。要は、「その場所で問題が発生すると、システム全体が止まってしまう」ようなポイントのことです。
たとえば、Webサイトの耐障害性を考えるとします。
まず、Webサーバーを複数置いてロードバランサーで分散させますよね。それで、Webサーバーが1台や2台止まっても大丈夫です。次に、データベースサーバーもクラスタ構成にして障害に備えましょう。
でも、インターネット接続が必ず1つのルーターを通るようになっていて、そのルーターが多重化されていなければ、どうでしょう。そのルーターが故障したら、だれもWebサイトにはアクセスできなくなってしまいます。この場合、ルーターがSPOFです。
システム構築時には、さまざまな点で冗長化や障害対策を行い、そうしたSPOFを可能な限り減らします。「システムはいつどこでトラブルが起きるかわからない」前提で、それでもシステム全体としては問題なく動き続けられるようにするんですね。
問い合わせメールアドレスとして個人のメールアドレスを記載するのは、顧客とのコミュニケーションにおいて、その人が「Single Point of Failure(SPOF)」になるということです。
その人が体調を崩したり、ハードディスクのトラブルで受信したメールが全部消えたり、そうしたことで顧客からの問い合わせへの対応が遅延または継続できなくなってしまう可能性があるのです。
また、SPOFとは違いますが、場合によっては、その人にとって都合の悪い問い合わせをこっそりもみ消したり、社長が把握しておくべきことが知らされなかったり、という可能性もあるでしょう。
Webサイトにおいて、問い合わせ対応には個人メールアドレスではなく、必ず共有メールボックスを使いましょう。そして、その共有メールボックスの内容は、複数の人間がチェックするようにしましょう。
もちろん、それでだれが問い合わせに対応するのか、曖昧になってしまっては意味がありませんから、必ず対応状況を把握して、対応漏れがないようにするのは大切なことですね。
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