「企業内Web閲覧環境」調査2015年度版:IE 8の利用率は縮小するも、いまだ29%の企業が利用
長らく企業Webサイトを悩ませていたInternet Explorer 6(以下、IE.x)対応の有無だが、昨年のWindows XPとIE 6のサポート終了とともに、大きな転換を迎えている。先進技術を用いた情報発信は、企業内の担当者に届いているのか。Web広告研究会の9月月例セミナーでは、2005年から2年ごとに行う「企業内Web閲覧環境に関する調査」の結果をもとに最新の状況が発表された。また、後半では各企業が広告主の立場で多様化する閲覧環境に対してどのように対応するかが議論された。
- 調査方法:郵送調査(葉書による督促、および官公庁のみ電話督促あり)
- 調査期間:2015年6月22日~7月21日
- 調査対象:日本広告主協会加盟企業及びWeb広告研究会加盟企業 559社、官公庁103団体(省庁36、都道府県47、政令市20)、計662社
- 回収数:180社(うち官公庁17団体)
Windows 7の利用率が高く、Windows 10の導入はまだ進んでいない
第一部では、調査結果をまとめた日本リサーチセンターの井嶋有希氏が登壇し、「企業内Web閲覧環境に関する調査」(2015年度版)の結果から、注目すべきポイントを解説した。
企業内で最も多く利用されているOSは、Windows 7が76%で、Windows 8やMac OSは約7%程度になっている。2011年から、Windows 7は12%(2011年)、55%(2013年)、76%(2015年)と急増する一方、2014年4月にサポート終了したWindows XPは70%(2011年)、28%(2013年)、1%(2015年)と大幅に減少している。
会社規模で利用OSを比較すると、従業員数が多い企業ほどWindows 7の利用率が高い。100人未満の企業は、「陸運・サービス業」や「情報・通信業」が多いためか、Mac OSの利用率(24%)が他と比較して大きくなっている。
Windows 10の導入予定については、「予定なし」が49%でほぼ半数を占め、「検討中」は38%、「導入する」は12%となった。会社規模別に見ると、100人未満の規模の小さい企業のほうが「導入する」の割合が多く(24%)、1,000~4,999人の企業では「検討中」が半数以上を占めていた。
最新のIE 11.xの利用率は14%、IE 8.xは縮小するも29%が利用
社内で最も多く利用されているインターネットブラウザは、IE 8.xが29%、次いでGoogle Chromeが19%、最新のIE 11.xが14%となった。時系列で見ると、9%(2009年)、24%(2011年)、46%(2013年)、29%(2015年)と、2009年から前回まで大幅な増加傾向にあったIE 8.xの利用率が今回縮小した。また、Google Chromeが前回の9%(2013年)から19%(2015年)と、10ポイントほど増加している。
会社規模別に見ると、規模が大きい企業ほどIE 8.xの利用率が高く、5,000人以上の企業では約6割が利用し、規模が小さい企業ほどGoogle Chromeの利用率が高くなっている。100~999人の企業では、IE 11.x(19%)、IE 10.x(15%)と比較的新しいバージョンのブラウザの利用率が他と比較して高い。
動画/ストリーミングの閲覧許可率が上昇
Webページの閲覧制限では、61%の企業が何らかの制限を行っている。
具体的にはドメイン単位で実施(38%)、キーワード単位で実施(27%)、SSL(https)の制限(10%)の順で多くなっており、今回は2005年の調査以降、Webページ閲覧制限の実施率(61%)が最も低くなっている。
会社規模別に見ると、規模の大きい企業ほど何らかの制限を実施している比率が高く、なかでも、キーワード単位、ドメイン単位、その他の方法の比率が高い。一方、規模の小さい企業ほど制限を設けていない比率が高い。
社内で利用可能なWebサービスで、「閲覧/書き込みともに可能」が高いのはTwitterとFacebookの6割台後半だったが、約3割が何らかの制限をかけているという状況は前回(2013年)と変わっていない。一方、「閲覧/書き込みともに可能」が最も低いのは、2ちゃんねる(47%)だった。
閲覧不可が高い傾向にあるのは、Dropbox、LINE、Skype(いずれも35%以上)だった。時系列では、俯瞰すると2013年と同じような傾向だが、動画/ストリーミングは他のサービスと比べて閲覧不可の比率の減少が目立ち、特にYouTubeでは10ポイント以上減少し、29%(2013年)から18%(2015年)へ閲覧可能の比率が上がっている。会社規模別で見ると、規模が大きい企業ほど、各サービスの閲覧制限率(閲覧不可+閲覧のみ可能)が高い。
スマートフォンの利用率が高い企業の公式SNS
仕事上の目的で、企業情報をWebで取得する場合に使用する会社支給のデバイスは、企業の公式SNSを除き、いずれもパソコンが9割台を占め、スマートフォンが1~2割、タブレット端末が1割台にとどまっている。企業の公式SNSは、パソコンの利用が87%とやや低い結果を示した一方、スマートフォンでの情報取得が32%とやや高い。
会社支給ではなく、個人用のデバイスで企業情報を取得する場合、企業の公式SNSを閲覧する際には、パソコンが59%と他の項目に比べて使用率が低く、スマートフォンの比率が68%と高い。
その他の項目では、いずれもパソコンが6~7割台を占め、タブレット端末は2割台だった。スマートフォンは、製品・サービスの情報、企業の公式SNS、企業発信の読みものコンテンツ、企業発信の動画コンテンツの閲覧で6割前後利用されている一方、IR情報に関しては41%と他と比較して低い。
スマートデバイスの会社支給比率が上昇
会社としてパソコン以外に何らかのデバイスを支給している割合は、従来型の携帯電話が63%、スマートフォンが73%、タブレット端末が69%だった。時系列で見ると、2013年から比べて、従来型の携帯電話が10ポイント減少(2013年73%、2015年63%)した一方、スマートフォンが7ポイント増加(2013年66%、2015年73%)し、タブレット端末も5ポイント増加(2013年64%、2015年69%)した。
会社規模別に見ると、従業員規模の大きい企業ほど従来型の携帯電話の支給率が高く、100人未満の企業ではスマートフォンを100%支給している比率(24%)が他と比較して高いが、タブレット端末の非支給比率(34%)がやや高くなっている。
電話支給はフィーチャーフォンからスマートフォンの傾向へ
会社で支給している携帯電話やタブレット端末の今後の状況(増えるか減少するか)は、従来型の携帯電話の「どちらともいえない」が62%と最も多く、「増えると思う」は4%にとどまる。スマートフォンは「増えると思う」(49%)と「どちらともいえない」(46%)が拮抗しているが、タブレット端末では「どちらともいえない」(53%)が過半数で、「増えると思う」(44%)をやや上回っている。
時系列で見ると、従来型の携帯電話は「どちらともいえない」が前回調査から14ポイント増加し、その分「減少すると思う」が減っている。また、タブレット端末では「どちらともいえない」が9ポイント増加し、「増えると思う」が減少した。会社規模別に見ると、全般的に大きな違いはみられないものの、従来型の携帯電話については、会社規模が大きいほど「減少すると思う」の比率が高くなっている。
会社で支給している電話やタブレット端末で許可している内容は、どのデバイスも基本的にメール送受信や社外Webサイトへのアクセスが許可されている。スマートフォンやタブレット端末では、アプリダウンロードやイントラネットへのアクセスが半数で許可されており、共有ファイルサーバーへのアクセスも3割前後で許可されている。
会社規模別に見ると、スマートフォンでは、1,000人未満の企業で共有ファイルサーバーへのアクセスや、アプリダウンロードがやや高く、5,000人以上の企業ではメール送受信やイントラネットへのアクセスが高くなっている。タブレット端末では、1,000人未満の企業でアプリダウンロードが高く、5,000人以上の企業ではイントラネットへのアクセス、共有ファイルサーバーへのアクセス、基幹システムへのアクセスが高い。
Web広告研究会サイト掲載のオリジナル版はこちら:
「企業内Web閲覧環境」調査2015年度版:IE 8の利用率は縮小するも、いまだ29%の企業が利用」2015年9月29日開催 月例セミナー 第1部(2015/11/11)
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