誰でも使える! アイデアを効果的にブレストする三題噺法とは?
アイデアをブレストするときに役立つ「三題噺(さんだいばなし)」を紹介します。三題噺を使って、効率良くさまざまな切り口のアイデアをブレストして、それを企画立案やコンテンツ作成に活かす方法を事例を交えて紹介します。まずは、「三題噺」から説明していきましょう。
三題噺(さんだいばなし)とは?
三題噺(さんだいばなし)とは、落語の形態の一種で、客席から3つの言葉をもらい、それを織り込んでその場で話を作るという即興演目のことです。有名なものに「酔っぱらい」「財布」「芝浜」というお題からできた落語演目で芝浜があります。コンテンツを作る場合には即興性は不要ですが、元の発想としてはこの三題噺の考え方が非常に役に立ちます。
まず、お題となる言葉を出します。1人でエディターソフトを開いてたくさんの言葉を並べてみるのも良いでしょう。ブレーンストーミング形式でいろいろな言葉を並べてみれば、1人の発想を超えるたくさんの言葉が出てきます。その言葉を出す基準を変えて何度かやってみると、アイデアが無数に生まれます。
「いつ」「どこで」「誰が」が代表的な三題噺の作り方
コンテンツには「5W1H」が不可欠であるといいますが、これを無意識に織り込んで発想するのは大変です。そこで「5W1H」の一部「いつ」「どこで」「誰が」についての言葉をそれぞれ出していき、組み合わせを見つける方法がおすすめです。
いつ 「真夜中に」「昼休みに」「宴会で」「サイクリングのときに」
いろいろ出してみましょう。これだけでもうコンテンツの風景が見えてきますね。
どこで 「学校で」「町工場で」「テレビ局で」「月面で」
ブレストの状況では、ばかばかしいと思えるようなことを言っても、それをすぐに否定するのではなく、おもしろがって乗っていくことが大切です。「月面で」というお題が出たら、「じゃあ、海の底で」と展開していけば、次第にコンテンツの姿が見えてきます。
これはホームページだけでなく、イベントやCMを作るときなど、さまざまな企画の場面で使える方式です。「月面」や「深海」が製品の耐久性を表現するのに適したシーンかもしれません。
誰が 「主婦が」「ひきこもりの大学生が」「医師が」「迷子の子猫が」
いろいろ出したら、それを全部カードにすると扱いやすいでしょう。
これを並べてみると、中途半端な物語が無数に生まれます。
- 真夜中に、町工場で、ひきこもりの大学生が
- 昼休みに、テレビ局で、主婦が
- サイクリングのときに、月面で、迷子の子猫が
このままではどれも使えそうには見えませんが、こうした風景に、コンテンツにしたい製品を追加してみると状況が変わります。仮に製品がコーヒーポットだとすると、次のような形になります。
この物語を着地させようと考えれば、その製品をどう訴求していけば良いのかが見えてきます。
1つの組み合わせから複数の結論に進んでもいいでしょう。
目的はコンテンツを考えることですから、必ずしも物語として美しいものにしなくても構いません。たとえば、ブレストを行っているメンバーと次のような形で物語を膨らませていきましょう。
このようにして、コンテンツアイデアがどんどん広がっていきます。
今の例だとイベント的な印象になっているかもしれませんが、着地点として次のような記事でも良いでしょう。
- ショートショートシリーズ「コーヒーポットのある風景」
- 体験談「コーヒーで救われたあの日」
- コーヒーが癒しに効く理由とは?
- 心を落ちつかせるコーヒーの淹れ方10のスタイル
三題噺を考えることでさまざまなコンテンツ企画が生まれてくるのです。たくさんの言葉をカード化して並べ替えながら考えていくと、無数の企画の宝庫を手にできるでしょう。
その他の三題噺の進め方
「いつ、どこで、誰が」以外の三題噺のお題の基準を並べてみると、次のようなものが考えられます。
- ターゲットとなる人の「好きなもの」や「悩み事」
主婦が困っていること、学生が好きなものなど、ずらずらと並べてみましょう。それと製品を並べてみると、より直接的に役立つシーンが見えてきます。ノウハウコンテンツなどを作成するときに役立つ方法です。
- 雑誌や書籍の見出しから任意に言葉を抜き出してみる
目に付いた言葉をどんどん抜き出してみましょう。たとえば写真週刊誌やファッション雑誌から、見出しをどんどん抜き出していきます。
「○○の本当の理由」「お気に入りを作ろう」「ランキング」など。雑誌の見出しで目にするこうした言葉を出して、それと製品の機能やルックスの接点を探していくと、アイデアが次々に生まれます。
文学作品のタイトルを並べても良いでしょう。アマゾンの書籍ランキングのタイトルから、「世界で一番美しい猫の図鑑」「まいにち、修造!」といった書名を並べてみて、それを「世界一美しいコーヒーポットの図鑑」「まいにち、コーヒーポット!」と置き換えをやっていくだけで企画が動き出します。
これはあくまで発想を広げコンテンツアイデアを生み出す方法ですから、最終的なタイトルはパクリにならないように注意してください。
良いコンテンツプランナーの「引き出し」
優れたコンテンツプランナーといわれる人は、こうした手法をいろいろと手元に用意しています。誰に何もいわれなくても、いつもこうした素材を用意して、表現すべき製品などに目新しく、興味を引く風景を与えていきます。
これからホームページもコンテンツが勝負となります。製品の「会社側として主張したいこと」だけを並べて誰も見ないようなホームページでは集客もできず問い合わせにもつながりません。だとすれば、Web担当者もそれぞれの「引き出し」を整備していく必要があるでしょう。いわば日夜、三題噺ができるようにしていくのです。そのために、私がおススメする言葉探しをいくつか紹介します。
書店めぐり
言葉の刺激を受けるのに最も良い場所は書店です。寄りやすい大型書店や専門書店をいくつか覚えておいて、定期的に回ります。背表紙を見ながら、目にとまった本のタイトルを製品名などに置き換えることをすれば、休日の散策が企画会議に生まれ変わります。
雑誌の定期購読
いつも買う雑誌を作ります。自分の趣味とは違う方が企画には良いでしょう。使えそうな見出しの載った目次や記事のページを切りとって積み上げていきます。
100円ショップで古新聞ストッカーを売っていますから、そこにページを積んでいくと便利です。いよいよコンテンツ企画を考えるとなったら、切り取ったページをデスクの上に出して、1枚ずつめくりながら読んでいきます。そのページを元々なぜ切り取ったか忘れていても構いません。そこに書かれた言葉が示す風景のうえに、テーマとなる製品を置いてみればアイデアが生まれます。
本当に気に入ったページは別にファイリングしていきましょう。企画のためのベストセレクションです。仕事に入る前にこのファイルを心静かにめくっていくだけでアイデアが次々にわいてくる、そんなファイルを持った人が良いコンテンツを生み出すのです。
ソーシャルメディアストック
良いと思うFacebookページを「いいね!」して、いつでもその発信が目に入るようにしておくことも重要です。言葉の意味などわからなくても刺激になるので、海外のページなども交えておくと発想が広がります。
言葉が少ないPinterest(ピンタレスト)などの画像系のSNSでも、「うちの製品をこんな角度で表現するためには」と考えていけば、コンテンツのアイデアが尽きることなく生まれます。
こうした企画を生み出すための「秘策」を、プランナーはそれぞれ独自のものを持っています。人と話す、歴史書や地図を開く、自分に適したストックを持って、コンテンツを生み出していきましょう。
次回は、大量ページのコンテンツを瞬時に作り出すための方法「百人一首法」を検討していきましょう。
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