紙とペンだけで良質なコンテンツのアイデアをアウトプットできる魔法のツール、マンダラートとは?
なぜ、企業のホームページにあるコンテンツでは思ったような成果が出ないのか。多くの企業に存在する、辞書型コンテンツと商品・製品ページを例に挙げ、なぜそのコンテンツではダメなのか解説していきます。また、どのようにそのコンテンツを改善すべきか、成果の出るコンテンツを作るにはどうすべきか、3×3のマス目が書かれたマンダラートを使って解決方法を紹介します。
ホームページにあるコンテンツの目的は、製品を「売るため」と「知ってもらうため」
何のためにホームページのコンテンツを作るのか? といえば製品を売るためもしくは、商品を知ってもらうためです。ところが、コンテンツを作ることに一生懸命になるあまり、その目的や役割を忘れてしまうことがあります。
そこで今回は、多くの企業が陥りがちな、今すぐに改善すべきコンテンツ例を2つご紹介します。自社のホームページがそのようになっていないか、確認しながら読み進めてみてください。
記事後半では、効率的にアイデアを発想するのに役立つ「マンダラート」を使って、良質なコンテンツの作り方を紹介します。
改善すべきコンテンツ①辞書型コンテンツ
辞書型コンテンツは、今すぐ改善すべきコンテンツの典型的な例です。業界の第一人者企業として展開すると非常に良いコンテンツであり、その業界に関連するさまざまなキーワードが掲載されたページが網羅的に作成できるので比較的作成しやすく、検索上も効果の高いものとなります。
ところが、製品と結びつけてコンテンツを作ることを忘れてしまうと、せっかく検索から多くの「関心のある人」が辞書型コンテンツに訪れるにもかかわらず、言葉の意味だけを調べて、直帰してしまいがちです。
辞書コンテンツを作成しているサイトの担当者は、次の点をチェックしてください。
- この辞書の各ページが入口になったとき、その人が関連製品を見たいと思うか?
- すぐにリンクをクリックして商品を見に行くことができるか?
たとえ製品情報のトップに行くボタンがグローバルナビゲーションにあっても、検索から辞書に入ってきた人の意識はコンテンツエリア内(表示ページ内)に向いているので、ページ内で関連製品に直接誘導することが肝心です。
コンテンツを企画する際には、必ず最後は商品情報を見せる、製品を良いと思わせる、ということを意識していなければ、成果につながるコンテンツとはいえません。
改善すべきコンテンツ②
製品・商品紹介ページの特長が「箇条書き」になっている
ホームページの製品・商品紹介ページには、商品の特長が書かれていますが、わかりやすく簡潔に紹介するために、「箇条書き」で書かれていることがあります。
しかし、箇条書きで書かれているだけでは、商品紹介ページの役割としては不十分です。訪問者がその製品や商品を「いい商品だ」と判断するのは、特長に「自分の実現したいこと」が具体的に書かれている必要があります。
たとえば、このことを洗剤のホームページで考えてみましょう。洗剤で良いポイントは次の2点に集約され、強調すべき内容となります。
- 汚れがよく落ちる
- 環境にやさしい
しかし、どの企業もこういった内容を主張しているので、他社の製品と差がつきません。
また、次のような特長が書かれているかもしれません。
- 詰め替え用袋が良いデザインなので手を汚さずに詰め替えられる
- 粒子が細かいので、車を洗ってもボディに傷をつけない
- 皮脂に強いので、ソファの手すりの黒ずみに使っても効果が高い
しかし、こういった内容を箇条書きで書かれていたとしても、商品紹介ページとしてはまだ不十分です。もっと簡略的に書かれている場合は、「用途:衣類、キッチン、リビング、自動車」という形かもしれません。
この商品紹介ページの何が不十分なのか。検索する人の気持ちになって考えてもらいたいのですが、「洗剤を選ぼうとしている人」は「洗剤」というキーワードを検索窓に入れて、いくつかの洗剤のサイトを比較しながら洗剤を選んでいきます。そのため、箇条書きの特長でも選んでくれるかもしれません。
しかし、「洗剤と特定せずに汚れを落としたい人」は「洗剤」にキーワードを絞って検索しているわけではなく、「汚れを落とすことが目的」です。つまり、「洗剤」というキーワードを思いついていないかもしれません。そういった状態の検索者は、上記のような製品特長のページではそもそも来訪してくれませんし、来訪したとしても自分の目的とは関係ないと判断して離脱してしまいます。
ではなぜ、多くの企業がこういった短い言葉で商品を紹介するのでしょうか。それには2つの理由があります。
- 製品や商品の数が多くそれぞれの紹介ページを作る必要があるため、1つの製品に使えるページが1ページ程度と少なくなる場合が多く、深く突っ込んだ内容を紹介しきれない
- 印象を強くするために良いところを2つか3つに絞り込んで書くため、良いところがたくさんある製品ほど、箇条書きになってしまう
製品・商品ページは、ユーザーの課題を解決する場所
たとえば、あなたが「車 汚れ」とキーワードで検索していたとします。その場合、あなたは「車の汚れを落とす」ことが目的で、解決策が何かは想定せずに検索しているはずです。
検索結果によっては、次のようなホームページがでてくるかもしれません。
- コイン洗車場
- ガソリンスタンド
「車の汚れを落とす」ことが目的の場合、近所のコイン洗車場やガソリンスタンドで汚れが落ちれば、検索者の目的は解決します。
もし、検索結果に洗剤のサイトが現れていれば、「なんだ、この洗剤を買ってきて洗えば一番安上がりじゃないか」ということになったかもしれません。ところが、検索結果には洗剤のサイトは出てきていません。それは、検索者の解決したい課題に応えるような商品紹介ページになっていないからです。
洗剤の商品ページにおけるライバルは、他社の洗剤だけでなく、コイン洗車場やガソリンスタンドも含まれるのです。
最近は「コンテンツSEO」と難しい言い方をしますが、そんな専門用語は必要ありません。製品特長とは、もともと誰かが困っているのを解決するために作られているものです。製品やサービスの特長がホームページに書いてあって、それを求める人が訪れるから製品やサービスが高く評価されるという単純なプロセスです。この出会いが発生するようにすれば、製品やサービスは売れます。求める人が来ないから、ホームページの効果が上がらないのです。
解決方法
「製品・商品の良いところ」「誰が喜ぶのか」をマンダラートを使ってすべて洗い出す
では、どのようにすれば、効果が上がる製品・商品紹介ページを作ることができるのでしょうか。
まずは製品の良いところをすべてリストアップすることから始めましょう。その良い方法として、下のようなマンダラートをご紹介します。
マンダラートとは?
3×3の合計9つのマス目を使ってアイデアを発想していく手法です。マスの中央にテーマを書き、残りの8マスにそのテーマに関連するアイデアを書き込んでいき、テーマをより具体的に、体系的に知るための手法です。簡単に描けますので、アイデアを発想する前に、たくさん作ってしておきましょう。
①マス目の中央にテーマを記入する
まずマンダラートのマス目の中央に、これからホームページでコンテンツを考えるべき製品やサービスを1つ書き入れます。
②空欄の8マスにテーマの「良いところ」を記入する
空欄の8マスに1つずつ、その製品やサービスの良いところを記入してください。
ビジネスパーソンは、製品の良いところを2、3つに絞って主張するという訓練を受けていますから、8つ思い出すのはなかなか大変かもしれません。なかには「安い」とだけ書いて手が止まってしまう人もいるかもしれません。しかし安いという理由だけで売れている製品はありません。同じ「安い」なかでも選ばれている理由があるはずです。全部埋めるまで帰れないという気持ちで埋めてください。
全部埋める、という意識が普段箇条書きにしてしまっている細かい長所も思い出して記入することにつながります。空欄がアイデアを引っ張り出してくれるのです。
これを1人1枚ずつ、複数人で行い空欄のないマンダラートをつきあわせてみると、誰も思い出さなかった長所を1人だけ思い出していたり、非常に面白い結果が生まれます。これを「製品の良いところ集め」と呼んでいます。
③8マスの言葉を別のマンダラートの中央に転記する
8マスが埋まったら、白紙のマンダラートを8枚用意して、それぞれの中央に今書いた「良いところ」を1つずつ書き移していきます。
④良いところの空欄に「どんな人が喜ぶのか」記入する
転記した「良いところ」の周りに8マスの空欄があります。今度はこの空欄に、そのテーマの良いところを「どんな人が喜ぶのか」思い出して記入してきましょう。これも8マス、全部埋めてください。
マスマーケティングの発想では、製品のターゲットだからといってマス目に「30代女性」などと書いてしまいますが、ホームページはそれではいけません。たとえば「粒子が細かいから車に傷をつけない」という洗剤の良いところを喜ぶのは、「車が汚れている人」です。ホームページでは、個別のお客様の喜ぶ顔を思い出しながら、その人の問題を解決してあげるためにコンテンツを作るのです。
他にも、BtoBの製品で「安い」という特長があったとしたら、それを喜ぶのは予算のない企業かもしれません。予算のない企業にもいろいろあります。中小零細の会社もあれば、大企業でも予算に余裕のない新規事業部門もあるでしょう。こうして細分化していけば、8マス全部が埋まるはずです。
さらには、「腰痛に効く」といった特長なら、オフィスの冷房で困っているOLさんもあれば、中高年男性もあるでしょう。腰痛に悩む人が多い業種もあるでしょうし、妊婦さんも多くが腰痛に悩まされます。
人間の販売員なら、顧客の顔を見て、こうした違いに対してすべて説明の仕方を変えて話をします。立ち仕事で腰痛を抱える料理人と妊婦さんに同じ説明をするのは、よほどしつけが悪い販売員だけです。それでは売れるものも売れません。「この製品は自分に良い」と思えなければ買うはずはありません。
ところがホームページには、どんな顧客にもひと通りの説明しか用意されていません。それでは売れるはずがないのです。ただ、製品情報のコーナーで個別対応する紹介文を載せるのは大変なので、売りたい製品についてコンテンツを作ってそこをカバーするわけです。
⑤「良いところ集め」からコンテンツへ
さて、最初の「良いところ8つ」シート1枚と「良いところを喜ぶ顧客」シート8枚ができました。
これで1人あたり、8テーマ×8顧客 = 64テーマのコンテンツの種がそろったことになります。複数人で行った場合は整理が必要です。
- 同じ顧客を想定しているマス目を集める
- 同じ特長を想定しているシートを集める
このようにコンテンツの種をExcelなどで整理し、それを基にどの特長やターゲットからコンテンツ化すれば、より多くの人にリーチできるかを検討するのです。
- オフィスの冷房に悩む花子さんのための腰痛解消講座
- 中高年は日常生活のここに注意! 腰痛を防ぐ暮らし
上記のようにマス目から文章化していけば、コンテンツのネタが湯水のようにできあがります。
というより、これまでのホームページにいかに何も書いていなかったかがわかって、びっくりするでしょう。お客様に役立つ情報が書かれているからお客様が集まり、製品が評価されるホームページになる。これが自然な流れなのです。
次回は別の「コンテンツを湯水のように生み出す井戸」を掘っていくことにしましょう。
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