企業ホームページ運営の心得

本当に役立つWeb専門家に出会う3つの方法

Webに詳しくない担当者が良い専門家に出会う方法を紹介
Web 2.0時代のド素人Web担当者におくる 企業ホームページ運営の心得

コンテンツは現場にあふれている。会議室で話し合うより職人を呼べ。営業マンと話をさせろ。Web 2.0だ、CGMだ、Ajaxだと騒いでいるのは「インターネット業界」だけ。中小企業の「商売用」ホームページにはそれ以前にもっともっと大切なものがある。企業ホームページの最初の一歩がわからずにボタンを掛け違えているWeb担当者に心得を授ける実践現場主義コラム。

宮脇 睦(有限会社アズモード)

心得其の392

仕事の5割は尻ぬぐい

ありがたいことに「クチコミ」がお客様を連れてきてくれます。もっとも、その半数は同業者の尻ぬぐい案件です。まるで「駆け込み寺」のようで、最初から相談してくれていれば解決も早いのにとため息をつきつつ、

ネタになる

とほくそ笑むのは、売文稼業のあさましさ。一方で、医療における「セカンドオピニオン」のように、Webに関する客観的なアドバイスをしてくれる相談相手がいないことは中小企業のWeb現場の問題です。そんなときこそ、本サイト「Web担当者Forum」の出番なのですが、ついつい「人」に頼りたくなるのが「人情」というもの。ところがその「人=専門家」がトラブルを生み出しています。

今回は、Web担当者が注意すべき「専門家」と、本当に役立つ「専門家」に出会う方法を紹介します。今すぐ3つの方法を知りたい方は、最後をご覧ください。

○○の関係者という問題

まずは「○○の関係者」。言葉からも明らかなように、「関係者」とは「専門家」ではないのですが相手は素人。彼らの売り口上はこうです。

○○の関係者だから、検索結果を操作できる

いまだに残るSEOの売り口上です。○○に当てはまる言葉は、時代で変化し、古くから存在して今でも根強いのが「ヤフー」ですが、最近では「Google」や「楽天」の名前も耳にします。私が聞いた範囲では検索結果の操作にかかる費用とは数十万円で、最大でも50万円ほど。SEOを少しでもかじったことがある人にとっては笑い話の1つですが、いまだにこうした営業が絶えないのは、それを信じてしまう人がいるから。

また、出版社やテレビ局の「関係者」を匂わせ、Webに口を出す人もいます。こちらに至ってはWebとは「無関係」ですが、大手の名前に弱いのが日本人です。

逆伝道師という問題

次に多い尻ぬぐいは、「自称専門家」が散らかした案件です。「素人にしては詳しい」や、「Web好きだけどプロじゃない」という人にアドバイスを求め、それに従ったものの結果がでない、とは当然の話。

いわゆる「半可通」という存在で、金銭の授受がなければ被害がないというわけではなく、むしろ悪質なのは、

自分が知らないことは、とても難しい

と、依頼主のWebへの抵抗感を高めてしまう逆エバンジェリストだからです。のらりくらりと言い訳が繰り返され、3年間もサイトが完成されず、私の所に持ち込まれたケースもあります。1日も早く、プロの専門家=Webを仕事にしている人に相談してほしいものですが、このプロにも問題があります。Web業界人の「実力」とは、素人にとっては不明確なものだからです。

Web業界人という問題

以下は個人の特定を避けるため、一部の事実関係を入れ替えております。心当たりがあっても、別人です。たぶん。

ある企業が、新規事業のサイトを構築するにあたり、知人にWeb業界で名の知れたという触れ込みの、フリーのWebデザイナーAさんを紹介されました。しかし、その1か月後、尻ぬぐいが私の所にまわってきます。

1か月の間、Aさんからはクライアントに連絡をせず、繰り返しの催促の末に提出されたのが、A4の紙一枚に印刷されたイラストだけでした。さんざん待たせた末に、説明も謝罪もないままの紙切れ1枚の提出にクライアントは激怒します。実はクライアントにも「発注者」としての問題があったのですが、これは次回に詳しく紹介します。

クリエイターとプロデューサー

WebデザイナーのAさんとはどんな人物か。まず「名前」だけなら私の方が有名と断言できるのは、Aさんの名前では「検索結果」に表示されないからです。ようやく見つけたAさんのサイトに掲載された「実績」は、ナショナルブランドや有名雑誌の名前が並びますが、どれも一部だけの担当のようで、それは「クリエイター」の領分です。

クライアント(広告代理店や制作会社ではない元の発注者)の趣旨を汲み取り、全体の構成を考える「プロデュース」業務を担う実力は乏しかったのではないでしょうか。また、自分の名前でSEOを施していないことは見逃すにしても、クライアントに対して「音信不通」はフリーランス失格です。

そんなAさんが「有名」と紹介された理由は3つ。

  1. 有名企業の仕事をしている=有名人
  2. 局所的業界有名人
  3. 自称

(1)はいわゆる「錯覚」で、(2)は我が社の看板娘的な身内ボメで、(3)はそのまま。Web業界の「有名人」には注意が必要です。

専門家を探す方法

Web担当者として仕事に必要な知識を身につけることも、もちろん重要です。とはいえ、Web担当者が独力で学ぶには限界があり、やはり「専門家」というフィルタを通して洗練された情報の優位性は、今後より高まることでしょう。もちろん、本サイトも含めて。そこで最後に、本当に役立つ「専門家」を探す方法を3つ紹介しておきます。

まず、定番であり王道が「クチコミ」です。冒頭に述べたように、弊社への「尻ぬぐい案件」の大半が「クチコミ」です。ただし、条件があります。紹介者自身が、実際に取引をしたことがある専門家なり、業者だということです。ただの知人程度では、先の問題のある「専門家」にあたる可能性があります。

次にWeb媒体も含め、執筆内容に賛同なり共感を覚える「執筆者」に声を掛けてみることです。連絡先が掲載されていれば、直接、メールなり電話なりで相談してみます。少なくとも書いている分だけの責任は負っており、詐欺まがいの人に出会う可能性はグッと低くなります。私の知る限りですが、問い合わせに気軽に応じる執筆者は多いものです。「読者」と名乗られると応じてしまうのは、筆者の性かもしれません。

最後はお気に入りのサイト、参考になったコンテンツの「運営者」へ相談すること。たいていのサイトには「連絡先」が記載されているので、そこを通じて連絡を取ります。これは20世紀のWeb界隈では定番のノウハウ。仮に運営者が素人であっても、実際に「運営」している人のアドバイスは参考になることは、21世紀の今も変わりありません。

今回のポイント

ミスマッチな専門家がいる

クチコミが最強、問い合わせがセカンドベスト

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