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Web制作者とCMSベンダーが考える、いま、そしてこれからのWebサイトに必要な戦略とシステムとは?

4者でパネルディスカッションと来場者からの質問に答える
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Webサイト構築の最新テクニックとCMSの今後について語られた「CMS DAYS TOKYO 2013」の第4部「今後のWebサイトに必要なもの」をレポートする。

第5部では、第1部から第4部までの講演を行った諏訪氏、生田氏、吉川氏、神野氏をパネリストとし、ロフトワーク取締役兼CMOの矢橋友宏氏がモデレーターとなって「今、そしてこれからのWebサイトに必要な戦略とシステムとは」と題されたパネルディスカッションが行われた。

Webサイトの戦略と必要なシステムをスピーカー4名でディスカッション

矢橋氏は、まず諏訪氏に対して「Web制作に大きく取り組む場合とLeanに小さく取り組む場合の違い」について質問する。

組織の中で後回しにしてしまうと、永遠に後回しにしてしまうことがある」と答える諏訪氏は、とりあえず始める決断をすることが重要であることを示す。

ロフトワークがLeanへの取り組みを始めていることに対しての感想を求められた生田氏は、「非常に共感するし、やれることからやるというのは我々もやっていきたい」とした上で、「第3部で説明していたように基盤の構築ということもこれから必要になってくることは間違いなく、顧客DBや商品DBなどを扱う大掛かりな取り組みも行っている」と話した。

生田氏は、「非常に苦労しているが、こういった大きな取り組みができるようになるには、小さな取り組みでバントヒットでもよいから成果を出す必要があり、Webの重要性やメリットを認知させる必要がある」とした。まずは成果を出して社内の共感を集めることが重要となるのだ。

また、生田氏はWebが一般的なものとなっているなかで、技術的な問題はユーザーには関係がなく、CMSの利用者もマニュアルなどは読まないことを強調する。よいWebサイトを作るためには、仕組みや技術がわかる人は、あくまでサポート役となり、(仕組みがわかっていなくても)商品や現場がわかっている人が主導する必要があると説明する。

CMSの認知度は向上、将来的にはCMSを導入するのが当たり前になる

吉川氏と神野氏には、矢橋氏から「CMSは空気のようなものとして当たり前に使われるような存在となっているか」という質問が投げられる。

昔に比べれば格段の違いがあり、現在はCMSという言葉を多くの人が知っている」と話す吉川氏は、一方で静的なページのコンテンツを管理するイメージが強く、それ以上の機能はスクラッチで作らなければならないと考えている人が多いため、適用範囲が広がってきているCMSをなるべく「基盤ツール」と呼ぶようにしていることを明かした。

また、マルチデバイスに対応しなければならなくなることで、手作業では限界があり、CMSなどのシステムを導入しようと考えている人が多くなっていることも示した。

ユーザーはマニュアルをまったく読まず、CMSを入れるだけでWebサイトが大きく変革すると考えているユーザーが増えていると感じる(神野氏)

神野氏は、現実的にはSIerなどからマニュアルをしっかりと整備することを求められているという。

これは一般の人にもCMSが認知されてきたことの証でもあるが、CMSのメーカーとしてはその先を見ていかなければならず、マニュアルを見なくてもCMS側が自動的に判断するような仕組みを作っていかなければならないところに苦労していることを明かした。これらの苦労を経て、将来的にはCMSを導入することが当たり前になる時代が来ると神野氏は考えているようだ。

制作会社と良い関係を築いてプロジェクトを成功させる

ディスカッションの後半は、来場者とパネラー4名の質疑応答が行われた。

まず、諏訪氏と生田氏に対して「Web担当者がプロジェクトを進めていく上で、会社組織や制作会社との関係で注意することは何か」という質問が投げられた。

10社でコンペを行ったりすると、良い制作会社はやる気を失ってしまう(諏訪氏)

諏訪氏は、制作会社選びのコツについて、サイトを見たりして、その制作会社とフィーリングが合ったり、ワクワクするといった気持ちで2~3社に絞り込んで、個人的に会ったり、他のミーティングに出たりしてパートナーを決めていくとよいと話す。

生田氏は「我々も5社以上のコンペは受けないし、それをやっても低価格でろくでもないものしか提供できない会社しか残らないことが多い」と話し、コンテンツを作るのではあれば、互いに共感を得られる人と納得するまで話をするほうがよいと説明する。

制作者をうまく使おうと思ったら、“やり直し”と言ってはいけない(生田氏)

さらに生田氏は、パートナーを選択してプロジェクトが進み始めてからの対応について、「最初に“すばらしい”と褒めてから“こんなすばらしいものができるならもう1~2案見てみたい”と言えば、制作者は徹夜してでも最短納期で作ってくる(笑)」と話す。

生田氏自身もクライアントからボロボロに文句を言われて社内に戻っても、先方が喜んでいてこのデザイナーの作品をもっと見たいと言っていると伝えるという。「やり直し」と言わなくても、修正案を気持ちよく出させる方法は、他にもあるということだ。また、制作側はパートナーとして扱われているかどうかに敏感で、その信頼関係を築いておくことも重要だとした。

2020年東京オリンピックの年にWebサイトはどうなっているか

パネルディスカッションの最後は、矢橋氏から「2020年にオリンピックが開かれて盛り上がる中、デバイスの種類も増えていることが考えられるが、2020年のWebのあり方やユーザーの行動様式はどのようになっているのか」というテーマが出された。

それに対して、4名のパネラーはそれぞれ、次のように話している。

2020年はわずか7年後だが、テクノロジーの世界ではずいぶん先のことで、我々は来年や再来年のテクノロジーに追いつくのに必死だ。2020年にはおそらく、Google Glassなどのウェアラブルデバイスなどのようにデバイスが大きく変わってきていると思う。オリンピックが大きなブレークポイントとなると思うので、そこに向かって製品を開発していく必要があると思う。(神野氏)

2020年は7年後だが、7年前の2006年はちょうどスマートフォンが出始めた頃だ。神野さんが言うように、7年後はデバイスが大きく異なり、ウェアラブルなどが当たり前のように使われているだろう。そのような中で、今日話したようなデバイスにどう対応するかを議論する時代ではなくなっていると思う。

それらはすべてツールメーカーが吸収し、2020年はどのようなコンテンツを配信するかに集中できるような時代にならなければならない。ツールメーカーとして、多様なデバイスを使いながらさまざまなサービスがオリンピック競技の下支えになるような仕組みを作っていきたいと思う。(吉川氏)

Webが一般的になって、Webとは何、といった議論がなくなっているかもしれない。2020年かどうかはわからないが、現在のビデオやDVDのようにWebが一般の人でも使い方がわかるものとなり、自分なりのWebの使い方で、自由に、有効に使われるものとなっていると想像する。我々がやらなければならないのは、一般的なレベルのサービスをWebで提供し、当たり前のサービスを提供すること。Webだから、というエクスキューズは今はまだ付くかもしれないが、2020年にはリアルでもバーチャルでもまったく同じサービスを提供できるようにしたい。(生田氏)

今日はGoogleの話がよく出てきていたが、2020年までにGoogleの検索がどれくらい減っているかに興味がある。ソーシャルの登場によって、Googleを経由しないケースが増えている。若い人がスマートフォンを使うことが当たり前になっている中で、検索窓にいちいち入力していくのは手間なので、コンテンツからコンテンツへジャンプする仕組みが出てくるだろう。

たとえば、オリンピックで動画から直接、他のコンテンツへジャンプして目的の情報を手に入れるための技術やコンテンツのマネージメントが必要となってくる。脱検索エンジンで、どこまでGoogleの検索を経由せずに、コンテンツから次に見たいコンテンツにたどり着けるようになるかが楽しみだし、Googleの頑張りを見ていきたい。(諏訪氏)

◇◇◇

第一回となる「CMS DAYS TOKYO 2013」は、Web制作とCMSメーカーのトップが初めて集まるイベントとして、200名以上のWebに関る参加者が集まった。矢橋氏は、「このような機会をもっと増やしていきたい」と話す。

また、4名のパネラーも、Web担当者、Web制作会社、CMSメーカーの3者がもっとコミュニケーションが行えるようになり、ワークショップや勉強会などのさまざまな形で、皆が意見や知恵を出し合っていける機会としたいとし、今後も第二回、第三回と工夫を凝らしながら「CMS DAYS」というイベントを育てていくことを確認しあい、イベントのまとめとした。

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