タブレットユーザーの利用動向、動画視聴に次いで電子書籍に高いニーズ
この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。
今回は2013年1月に発表された「スマートフォンレポート vol.4」から、調査報告3「タブレット端末に関する利用動向/意向調査」の調査レポートをお届けする。
話題のタブレット端末に対して、
今ユーザーはどのような利用意向をもっているのか
スマートフォンと共に、新たなメディアデバイスとして注目を集めているタブレット端末。特に2012年に入ってからは、従来から人気の高い「iPad」シリーズのみならず、新機能や低価格を強くアピールしたAmazonの「Kindle Fire」シリーズやGoogleの「Nexus 7」が注目を集めるなど、これまでに無い盛り上がりを見せている。利用ユーザーも増加していると想定されるが、実際のところどのような目的で購入したのか、そしてどのような使われ方をしているのかといったタブレット端末利用動向を、調査データを基に分析してみたい。
まず、タブレット端末の購入意欲を見ると、調査対象ユーザーの約半数に購入への意欲がうかがえた(図1)。更にどの端末に興味を持っているのかを見ると、依然として「iPad」ブランドの強さが明らかとなっている。男性は「iPad」、女性は「iPad mini」にそれぞれやや傾倒しており、通信に関してはWi-Fiモデルの方がやや高い人気を示す傾向がうかがえる。次いで人気が高いのは「Kindle」シリーズ、「Google Nexus」シリーズとなり、話題の機種が予想通り人気を集める結果となった。
また当記事内にグラフ掲載はしていないが、画面サイズとしては7インチ程度のモデルに人気が集中している。一方で、「機種は分からないがタブレット端末は購入したい」と回答するユーザーが3割を超えており、どの機種が良いのかよく分からなかったり、決めかねているユーザーが多い模様である。裏を返せば、多くのユーザーを惹き付けるまでの魅力が出現していない、もしくは訴求しきれていない状況とも考えられる(図2)。
購入目的と利用シーンはWebサイトやアプリによる情報収集・閲覧が多数
次に、タブレット端末を当初どのような目的で購入したのかと、実際にはどのように使っているのかを対比する形で見てみたい。購入前には、「Webサイトやアプリなどで様々な情報を収集・閲覧するため」「家で使っていたパソコンの代わりとして利用するため」「音楽や動画、電子書籍などの閲覧利用のため」といった利用目的を持っていた傾向が感じられ、ゲームやECサイトの利用を目的にしている回答はそれ程多くなかった(図3)。
では実際の利用はどうかというと、「Webサイトやアプリなどで様々な情報を収集・閲覧するため」に使っているという回答はやはり高いものの、「家で使っていたパソコンの代わりとして利用するため」という回答はやや減少する結果となった。一方で「家事で調べ物をしたい時などに利用」「ゲームなどをするため」「ECサイト(インターネットショッピングサイト)を利用するため」といった回答は増加している。実際にタブレット端末を使ってみると、音楽や動画、電子書籍などに加え、ゲームやECショッピングなど、エンタメ系コンテンツを数多く楽しんでいるといったユーザー動向がうかがえる。更に女性においては、家事において当初の想定以上に活用している模様である(図4)。
全体的には、従来使っていたPCの代わりとまではいかないものの、Webサイト閲覧を中心に、エンタメ系コンテンツなどを想定以上に活用しているユーザーが多いといえよう。
スマートフォンと異なり、タブレット端末では無料コンテンツ利用が中心
ではどのようなジャンルのWebサイト・アプリを使っているのだろうか。有料と無料といった切り口でジャンル毎に利用傾向を見ると、Webサイトとアプリでは大きな利用傾向の違いは感じられず、ほぼ同様の結果となった。Webサイト・アプリ共に無料サービスでは「ニュース」「天気」「ゲーム」「動画」が、有料サービスでは「コミック/電子書籍」「ゲーム」「音楽」「ツール/仕事効率化」が高い利用傾向を示した。タブレット端末ユーザーは全体的に、情報系サービスを中心に無料コンテンツを利用しつつ、無料では基本的に入手できない「音楽」「電子書籍/コミック」「ゲーム」「ツール/仕事効率化」といったコンテンツを必要に応じて購入している模様である。
一方で、有料コンテンツについては「利用しない」と回答したユーザーがWebサイト、アプリ共に過半数を記録しており、特にWebサイトにおいてその傾向がより高く出現している。基本的に課金コンテンツ利用機会があまり多くないPCに類似していることもあってか、タブレット端末においてはスマートフォンでの利用とは異なり、無料でのコンテンツ利用がまだまだ中心となっている模様である。但し、スマートフォンに近しい機能面やコンテンツ配信力、PC以上に高い携帯性・機動性を考慮すると、魅了ある課金コンテンツがより充実されることで、その利用も高まりを見せることが推測される(図5、図6)。
電子書籍の利用意向が、ブログなどのネット閲覧を超える
一方、未だタブレット端末を保有していないユーザーは、購入後どのようなコンテンツや機能を利用してみたいと考えているのか。最多回答となったのは「ネット動画の視聴」で、次に続く「電子書籍の閲覧」と共に「ブログなどインターネットの閲覧」を上回っている。「電子新聞」や「ゲームアプリ」への利用意向も高いことから、エンタメ系コンテンツや新聞・書籍系コンテンツに対するニーズの高さが強く感じられる(図7)。
またタブレット既存ユーザーに対し、別の設問にてどのようにスマートフォンとの使い分けを行っているかを聞いたところ、「動画や電子書籍などのコンテンツを大きな画面で見たいとき」にタブレット端末を使うと回答したユーザーが約50%を記録しており、これら回答を併せて考慮すると、タブレット端末特性のひとつである「(スマートフォンに比べて)大きな画面」という部分に魅力を感じ、この特性に合致したコンテンツを利用してみたいと考えるユーザーが多い模様である。「テレビ(ワンセグ)」「電子コミック」といったコンテンツに対しても高いニーズが感じられるが、このようなソフト面が今後どの程度充実していくかが、タブレット端末購入判断における鍵になっていくであろう。
中でも「電子書籍」「電子コミック」「電子新聞」といった出版系コンテンツは、ブックリーダー端末も数多く発売されるなど、大きな画面サイズに適したコンテンツとして以前より注目されてきたジャンルである。海外では既にイギリスの「Financial Times」やアメリカの「Wall Street Journal」といった新聞社が電子版にいち早く移行し、多くの有料会員を獲得している。雑誌でもアメリカの「Newsweek」が2012年12月を持って紙媒体を廃止し、電子版への完全移行を発表するなど、出版系コンテンツの電子化は更に加速している感があるが、日本の市場においても今後更に電子化及び電子書籍マーケットの充実とその利用が拡大するのではと推測される。
「動画」や「ゲーム」といった他のコンテンツも含め、今後タブレット端末の特性を活かした新たなコンテンツが登場し、内容や量ともに充実、整備されていくことで、多くのタブレット端末ユーザーが更に生まれ、その市場を拡大していくのではないだろうか。コンテンツプロバイダー側としても、このような利用拡大を見据えながら、既存コンテンツのタブレット対応及び新たなタブレット向けコンテンツ配信ビジネスを検討してはいかがだろうか。
調査対象 | 半年以内にスマートフォンを購入した15~69歳の男女 412サンプル ※性年代別に以下の通り割付
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調査地域 | 全国 | ||||||||||||||||||||||||||||||||
調査実施期間 | 2012年12月4日(火)~12月5日(水) | ||||||||||||||||||||||||||||||||
調査方法 | インターネットリサーチ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
調査実施機関 | 株式会社マクロミル |
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