スマートフォンレポート

スマホを使ってネットで買い物をする人は増えたのか? データから見る傾向と対策

スマートフォンの普及でネットで買い物をする人は増えたのか?

この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。

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スマートフォンの普及でネットで買い物をする人は増えたのか? 今回は2014年5月に発表された「スマートフォンレポート vol.12」から、調査報告2「iPhoneユーザー調査 スマートフォンでのECサービス利用において、拡大傾向はみられるのか?」の調査レポートをお届けする。

昨年と比べてスマホでは女性向けジャンルのサービスが伸びる

スマートフォン向けのサービスにおいては、新規サービスが立ち上がったり、既存サービスのUIが最適化されたりなど、利便性の充実が日々図られている印象である。この傾向は様々なジャンルにおいて感じられるが、今回はその中でも特に利用の高まりが感じられるECサービスに注目し、ここ1年間におけるiPhoneユーザーのEC利用動向を比較分析することで、その傾向にどのような変化が起こったのかを浮き彫りにしてみたい。

今回調査対象としたのは、2014年2月とその1年前の2013年2月における、iPhoneユーザーのECブラウザサービス利用傾向である。その利用傾向を分析するにあたっては、「接触率※1」と「100人当たりの利用回数※2」という2つの軸を利用することとした。「接触率」からは、当該時期にどれだけのユーザーがサービスにアクセスしたかという、利用ユーザーの「広さ」を検証する。

また「100人当たりの利用回数」からは、無作為に抽出した100人においてどの程度のサービス利用があったのかという「利用の広さと深さ」を検証する(100人当たりの利用回数としたのは、2つの時期における調査対象パネル数が異なるため、その違いを吸収するために100人当たりに換算し、同基準にて比較検証するためである)。この2つの指標から、ここ1年における利用の変化を分析したい。

※1 接触率:指定期間内の有効サンプル(=期間中の全利用者)において、当該ドメイン/サブドメインへ接触した人の割合
※2 利用回数:アプリへの接触を10分単位で計測し、10分間に1度でも視聴があれば1カウントと記録。

まず接触率の高い順にソートした(図1)より、10%以上を記録したサービスの数を比較すると、該当するサービス数がここ1年で2倍以上に増加していることがわかる。サービス利用範囲の拡大が明確になった形だが、特に「通販」「コンタクトレンズ」「美容」といったジャンル利用の伸びが目立っている。

図1:1年前との件数比較[接触率]

これらのサービスは主に女性ユーザーに利用されていると推測されるが、これは2013年にスマートフォンユーザーが大きく増加したことが関連していると思われる。ドコモの「ツートップ戦略」、iPhone 5s、iPhone 5cの3キャリアからの発売、店舗におけるキャッシュバックキャンペーンの激化など、スマートフォンの販売促進が大きく展開されたことにより、多くのユーザーがスマートフォンへと移行した。

その中で比較的多数を占めた女性層が、前述のジャンルを含め、様々なスマートフォンサービスを利用し始めたことが反映されたと想定される。加えてスマートフォンに最適化したサービスも以前に比べて増えるなど、利用環境が更に整備され、使いやすくなったことも後押ししていると思われる。

ユーザー1人当たりのECサービス利用頻度が高くなる

次に、100人当たりの利用回数を2014年2月、2013年2月とで比較した表(図2)をみると、20回以上を記録したサービス(水色で表記)の数が対前年同月比で約30%増えている。オレンジ色で示された10回以上を記録したサービス数も同率で増加しており、接触率のみならず、サービスの利用回数という観点からも増加傾向にあることがわかる。すなわち、一人のユーザーがより多くのECサービスを、以前よりも頻度高く利用するようになってきたといえよう。

※100人当たりの利用回数=「利用回数」/「総パネル数(アクティブなパネル数)」×100(人)。言い換えると、「当該サービスの利用有無にかかわらず集めたiPhone利用者100人の中での利用回数」を意味する。なお利用回数は当社独自集計値であって、概算数値となる。

図2:1年前との件数比較[100人当たりの利用回数]

一方、データをもう少々詳細に見ていくと、「ZOZOTOWN」や「@cosme」においては、2014年2月における100人当たりの利用回数が多いものの、その接触率は他サービスに比べ低いことに気付く。

これは、サービスの利用者数自体はそれほど多くないものの、利用しているユーザーはサービス内の様々なページを閲覧するなど、より深く利用していることを意味している。

実際に、前述2サービスの平均ページアクセス数は「楽天市場」や「Amazon.co.jp」といった大手総合サイトよりも多い。アクセス後すぐに離脱するような利用ではなく、サービス内の様々なページがじっくりと閲覧されている好例といえよう。

また今回はECサービスに加え、買い物する際参考にすると思われる代表的なコマース系情報サービス「価格.com」「シュフー」も分析対象に加えてみた。結果的には、どちらも全体の1/4程のユーザーが利用し、その回数も非常に高い数値を示す結果となった。

1年前との比較という観点ではそれほど大きな変化はないものの、買い物をするにあたってこのような情報サイトを利用し、商品価格の比較検討を行うといった傾向はかなり浸透していることがうかがえる。

今回の調査分析からは、この1年間でより多くのサービスを利用するようになったという「広さ」の拡大と、利用回数も増加したという「深さ」の拡大が共に現れる結果となった。すなわち、ECサービスの市場自体も着実に成長しているといえよう。

ECサービスは従来PCからの利用が中心であったが、今後はスマートフォン利用環境の整備に伴い、スマートフォンからの利用が更に増加することが想定される。今回はiPhoneユーザーをベースに利用の変化を分析したが、この動きはiPhoneに限ったことではない。

ECサービス運営者は、スマートフォンユーザー全体を対象に、サービスのスマートフォンへの最適化を早急に推し進め、スマートフォンで購入しやすい形にサービス構成を整えながら、今後のスマートフォンECサービス利用拡大に備える必要があると考える。

※各数値においては、調査モニターの属性傾向が反映されている点をご了承下さい。

取得データiPhoneユーザーのインターネット経由でのサイト・アプリ接触状況データ
※3G(UQ含む)/Wi-Fi経由とも取得
調査対象
関東地区在住のiPhoneユーザー
  • 2014年2月 計832名(男性 399サンプル/女性 433サンプル)
  • 2013年2月 計553名(男性 339サンプル/女性 214サンプル)
集計対象期間
  • 2014年2月データ 2014年2月1日(土)~2月28日(金)
  • 2013年2月データ 2013年2月1日(金)~2月28日(木)
調査実施機関ビデオリサーチインタラクティブ

この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。

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