「1. 使用者の発意に基づき」とは?
「1. 使用者の発意に基づき」とは?
まず、「使用者」とは、「雇い主」みたいな意味ね。会社や個人事業主のほか、業界団体みたいな、法人化されてない団体で代表者等がいるものなどが「使用者」たりえるわ。
ふむふむ。では、「発意に基づき」とはどういう意味ですか?
「発意に基づく」場合とは、典型的には、使用者から具体的な指示がある場合ね。ただ、それに留まらず、使用者の間接的な意図の下に創作した場合も含むと言われているわ。たとえば、従業者の立場や業務内容からして、使用者が制作を予定・予期するような著作物を制作する場合ね。
あの~、今回のブログって、何人かの有志が集まって、自由なノリで書き出したものなんですよ。だから、上からブログを書くように指示があったわけではありません。また、それまで我が社には公式ブログやその計画もなかったので、会社が「制作を予定・予期していた」ものともいえるかどうか…。
会社はブログを書くことは承諾してたわよね? 会社Webサイトにでかでかとブログのバナ―が貼ってあるからそうだと思うけど。
はい、それはもちろん。会社のPRになりますしね。
それなら「法人等の発意に基づく」と言えるわ。業務に従事する人が法人等の承諾を得て著作物を制作する場合も、この要件を満たすからね。
そうなんですね。良かった~!!
「2. 使用者の業務に従事する者」とは?
「使用者の業務に従事する者」って、どういう意味ですか?判断基準はありますか?
そうね…この要件の解釈には諸説あるけど、有力な立場は、
- 雇用契約から生じるような指揮・監督関係があり、
- 使用者に著作権を帰属させることを前提にしているような関係がある
かどうかを判断基準としつつ、実態を総合的に検討すべきとしているわ。
もう少しわかりやすく! 具体例をお願いします!!
そうね。まず、使用者と雇用契約関係(使用者の指揮監督の下、労働を提供しその対価を受け取る関係)にある者、つまり、会社の従業員やアルバイトなどは「使用者の業務に従事する者」にあたるわ。
わかりました。それでは、雇用契約関係にない、派遣社員の人とか、外部のフリ―ランスの人とかは、「使用者の業務に従事する者」にあたらないのでしょうか?
雇用契約関係になくても、派遣社員の人については、あたるケ―スが多いと思うわ。これに対して、外部のフリ―ランスの人(請負契約・委託契約)については、あたるとされた例がないではないけど、まずあたらないと思っておいて。
インタ―ンシップに来てくれた学生なんかはどうでしょうか?
インタ―ンシップの学生も、ただちに「業務に従事する者」とは言えないわね。でも、我が社の指揮命令系統の中で実際に我が社の業務を行ってもらうことを目的とするインタ―ンシップであれば、あるいは「業務に従事する者」にあたるかもしれないわね。
なるほど…インタ―ンや派遣の人たちの執筆した分は、一般論では確定できないわけですね。後で個別に有栖川さんに検討をお願いしましょう。
「3. 職務上作成する著作物であること」とは?
これは、その人の地位や業務内容からして、制作することが予定・予期・期待されているものである、という意味よ。1の要件と判断要素が重なるわね。
勤務時間外や勤務場所以外で制作したものはどうですか? 今回のブログ、カフェとか自宅で書いたりしていた人もいそうなんです。
勤務時間内に作成されたか、勤務場所で作成したかどうかは、「職務上作成」したものか判断する上での一要素と考えて。裁判例では、使用者の業務の内容、作成する人が従事する業務の種類・内容、作成された時間・場所、作成についての会社の指揮監督の有無・内容、著作物の種類・内容、公表態様等を総合判断すべきという考え方を示したものがあるわ。
ぶっちゃけ、ケ―スバイケ―スってことですね。
まあそうね。たとえば、会社の広報用ブログが会社で書き終わらなかったから自宅に持って帰って続きを書いた、なんて場合には「職務上作成した」と言いやすいわね。逆に、大部分を自分の裁量で勤務時間外に自宅のPCで作成していたなら、そういうものはそもそも会社の仕事として作成すべきと期待されてないから、「職務上作成した」とは言えないんじゃないかしら。
なるほど。今回のブログは、会社の公式ブログ的な位置づけですし、誰が書くかも広報担当が割り振ってたから、前者のパタ―ンにとても近いです。
そうね。会社のWebサイトからバナ―でリンクされてるし、ブログタイトルも「ランディングカンパニ―Web制作ブログ」だし、体裁からすると公式っぽいわね。内容もWeb制作テクニックに関するブログだし、Web制作会社である我が社のPR目的で作成されていると認定しやすいわ。「職務上作成する著作物」の要件は満たしそうね。
ソーシャルもやってます!