有料コンテンツの購入きっかけは「ストアの説明13.9%」、決済手段では「クレジットカードに47%が抵抗感」
この記事は、ドコモ・ドットコムが発行するモバイルビジネス・マーケティング情報誌「スマートフォンレポート」の一部を、Web担当者Forum向けに特別公開したものです。
今回は2012年11月に発表された「スマートフォンレポート vol.3」から、調査報告3「有料課金コンテンツに対するユーザー行動/意識調査」の調査レポートをお届けする。
何がコンテンツ購入の決め手となったのか、何が購入をやめさせたのか
様々なコンテンツがGoogle PlayやApp Store、dメニューなどのキャリアメニューにて提供されている中、有料コンテンツ/サービスを購入する際に、ユーザーは何をきっかけに、何を判断材料として購入に至るのか。今回はこの部分に関するユーザーの行動・意識について、調査・分析を実施した。
まず有料コンテンツを購入、もしくは月額会員登録をしようと思った最初のきっかけだが、かなりばらついた回答結果となる中、個別課金購入において最も多かったのは「Google PlayやApp Store内での説明内容」(13.9%)、次いで「友人や家族のクチコミ」(10.6%)となった。一方、月額課金サービスにおけるきっかけを見ると、「友人や家族のクチコミ」(9.1%)、「Webサイトなどの記事、レビュー」「Google PlayやApp Store内での説明内容」(各6.5%)となっている。個別課金、月額課金共にマーケットプレイスにおける説明内容や、クチコミ、Webサイト上のレビューなどを参考にしている傾向が表れた(図1)。
次に、最終的に購入を決意した要因を見ると、個別課金、月額課金ともに「価格の適切さ」(個別:30.8%、月額:17.2%)が最多回答となっており、次いで「他のユーザーのレビュー・評価」(個別:25.4%、月額:13.1%)が続いている。更に、個別課金では「ランキングでの人気具合」(22.1%)、「Google PlayやApp Store内での説明内容」(21.8%)が、月額課金では「クチコミ」(12.8%)、「お試しコンテンツの有無」(10.7%)がそれぞれ高い。販売価格が納得出来る範囲内にありつつ、多くのユーザーが購入した結果としてランキングに入っていたり、他のユーザーによる評価が高ければ、安心感や信頼感といった要素が後押しとなって購入へと至る心理がうかがえる(図2)。
継続利用を前提に有料登録する月額課金方式は、dメニューといったキャリアポータルなどで主に展開されているが、その登録理由にも注目したい。回答者数が多かったのは「初月無料だったから」「継続的に魅力的なコンテンツが提供されそうだったから」「お試し会員を実施していたから」「サービス内の提供コンテンツが豊富だったから」の4項目で、大別すると、「初月無料」「お試し会員」といった金額面でのメリットと、「継続的に」「豊富なコンテンツが提供される」というサービス内容でのメリットが重視されている。
一方で、月額課金サービス利用停止のきっかけとして「毎月料金を支払って利用するほどの魅力がなくなったから」「利用料が高いから」「サービス内容に飽きたから」を挙げるユーザーが多い。入会時の料金ハードルを下げつつ、会員に対して継続的に豊富なコンテンツを提供して飽きさせないといった、前述した2つのメリットを継続的に満たすことが非常に重要といえる(図3、図4)。
会員登録の手間やクレジットカード登録が購買意欲低下の要因に
では、購入しようと思っていたものの、直前になってその意欲が低下してしまったケースにおいては、何がその要因となっているのか。最多回答となったのは、価格の適正さを重視している傾向と合致する形で、「思っていたより価格が高かった」(41.5%)となった。コンテンツの販売価格が適正と感じられない場合、半数近いユーザーが直前になって購入をやめる可能性を示している。次いで「会員登録時の入力項目が多かった」「クレジットカード登録が必須であった」への回答が多かったが、これら3つの項目は30%を超える回答を集めていることを考えると、十分注意しなくてはならない点である。適正な価格設定に加え、よりシンプルで分かりやすい購入/登録フロー、幅広いユーザー層にとって利用しやすい決済手段の設置に留意したいところだ。
一方で、「メールマガジン登録が必須であった」ことによって購入意欲が低下したというユーザーは少ない。購入者に対するプッシュ型の告知を実現するメールマガジンは、登録者に対して継続的に様々なサービス訴求が出来ることを考えると、今後も是非導入したい機能である(図5)。
ユーザー考えるコンテンツの適正価格とは
ユーザーはコンテンツの適正価格をどの程度に感じているのか。ジャンル毎に適正と思われる金額を質問し、その平均値を見ると、比較的高額となったのは「パチンコ/パチスロ」(個別:445円、月額:410円)、「ゲーム」(個別:359円、月額453円)、「電子書籍」(個別:438円、月額:422円)、「コミック」(個別:317円、月額:406円)といったエンタメ系コンテンツであった。これに「音楽」「動画」が300円台で続くといった状況である。
エンタメ系コンテンツ、特にパチンコ/パチスロを含むゲームアプリなどに対しては、個別課金、月額課金を問わず、ある程度の金額なら支払ってもよいと考えるユーザーが多い傾向を示している。ただし、エンタメ系コンテンツであっても、女性を主なターゲットとした「デコメ素材」「きせかえツール」「占い」などといったコンテンツに関しては、安価を望む声が多い。ここに関しては、女性の安価志向が表れているのではないかと推測される。
一方、「天気」や「ニュース」などといった情報系コンテンツは無料コンテンツが数多く利用されていることもあってか、100円未満を望むユーザーが過半数となるなど、低額での提供を望む声が強い。勿論これらはユーザーの希望金額であるため、実際の市場価格とは乖離している部分もあるが、購入への誘導にあたって参考にしていただければと思う(図6)。
47%のユーザーがクレジットカード決済に不安を抱く
また、購入意欲を低下させる要因として挙げられていた「クレジットカードの利用」についてだが、「抵抗感のある決済手段は何か」という質問においても最多回答を集めており、クレジットカードを持っていないユーザーや、カード番号を入力することに面倒さや不安感を抱くユーザーは存在する模様である。
ただし、スマートフォンにおいて利用したことがある決済手段は何かという質問に対し、spモードのようなキャリア課金決済に次いで2番目に多い回答を集めているのもクレジットカードであり、その利用自体が否定されているわけではない。Google PlayやApp Storeではクレジットカードの利用機会が多いこともあり、今後スマートフォン利用が更に高まるにつれてクレジットカード利用機会は増加し、徐々にその抵抗感は薄らいでいくのではと予想される(図7、図8)
ユーザーに有料コンテンツの購入/登録を促す際には、どのようなきっかけで購入意欲を持つのか、ユーザーの購入を決定させる要因とは何かを把握し、その上でユーザーニーズに近しい価格で提供することが重要と考える。更に、個別課金と月額課金それぞれの特性や、各サービスがメインターゲットとするユーザーの特性も考慮しなくてはならないところである。
今後更なる成長が見込まれるスマートフォン市場において、コンテンツビジネスの競争はより激しくなっていくと思われるが、市場において最大効果を発揮するためにも、ぜひ上記要素を考察の上、施策展開していただければと思う。
- 調査対象:15~69歳の男女620サンプル
※性年代別に以下の通り割付10代 20代 30代 40代 50代 60代 計 男性 31 62 62 62 62 31 310 女性 31 62 62 62 62 31 310 計 62 124 124 124 124 62 620 - 調査地域:全国
- 調査実施期間:2012年9月27日(木)~9月29日(土)
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査実施機関:株式会社マクロミル
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